Japanese Journal of Conservation Ecology
Online ISSN : 2424-1431
Print ISSN : 1342-4327
Importance of study designs in evidence-based conservation
Tatsuya Amano
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Article ID: 2306

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Abstract

要約:生物多様性保全において科学的根拠を利用する「エビデンスに基づく保全」の重要性が近年益々認識されている。生物多様性に対する脅威となる要因の影響や、保全活動の効果を評価することは、保全のために重要なエビデンスとなるが、これらの評価を行うためには様々な研究デザインが用いられている。ランダム化比較試験やBACI (Before-After-Control-Impact)デザインなど、複雑な研究デザインの方が頑健なエビデンスを導けることはすでに知られているが、どのデザインがどれほど正確なのか、定量的な比較はあまり行われてこなかった。本稿では、脅威や保全活動が生物多様性に及ぼす影響を異なる研究デザインがどれだけ正確に推定できるのかについて、近年の研究成果を基に解説する。また、生態学や保全生物学で頑健な研究デザインがあまり利用されていない現状と、この問題がエビデンスに基づく保全を推進する上での障壁となっている問題について議論する。

はじめに

世界的に進む生物多様性の損失はとどまることを知らず (WWF 2020)、現在、科学がどのように生物多様性の保全や回復に貢献できるかが益々問われている。科学が生物多様性保全に貢献する道筋の一つが、「エビデンスに基づく保全(evidence-based conservation)」の推進であると言えるだろう。エビデンスに基づく保全では、これまで保全活動において科学的手法を用いて得られた知見(エビデンス)が十分に活用されず、結果として効果的な意思決定が行われなかったという問題を解消するために、保全に関するエビデンスを積極的に創出、系統的に集約し、意思決定支援ツールという形で意思決定者に提供することを目指している (Sutherland et al. 2004; Dicks et al. 2014; 天野 2017)。保全における適切なエビデンスの利用は、2022年12月に新たな生物多様性に関する世界目標として採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」 (Convention on Biological Diversity 2022)でも、下記のように明記されている。

「ターゲット 21:生物多様性の効果的かつ衡平なガバナンス、参加型の統合的管理を行うため、そして広報、普及啓発、教育、モニタリング及び知識管理を強化するために、最良の利用可能なデータ、情報及び知識を、意思決定者、実務家、及び一般の人々が利用できるようにする。」 (環境省 2022)

生物多様性保全を推進する上で重要なエビデンスとして、様々な脅威が生物多様性に及ぼす影響の評価や、保全活動が生物多様性に及ぼす効果の評価がある。例えば、日本の里山環境で森林や農地の管理が放棄されることでどのような生物にどのような影響を及ぼすのか、また逆に農地で有機農法のような環境保全型農業を行った際に、どのような生物にどのような便益をもたらすのか、などについての科学的知見は、里山環境における生物多様性保全を推進するために重要なエビデンスとなる。変化を続ける生態系において、特定の処理(例えば有機農法の導入や保護区の設置など)を適用することで、動態の始点を強制的に移動させ、要因の影響を分かりやすくすることが可能となる。これは因果関係を明らかにするために用いられるHillの基準(Hill 1965)に基づくと、原因と結果の時間性を明確にすることに相当する。また、ここでいう「処理」は、農地の放棄や新たな外来生物の侵入など、意図的でない場合もある。しかしながら、そういった処理の効果は様々な研究デザインを用いて評価することができ、用いられた研究デザインによって、得られたエビデンスの質に大きな違いがあると考えられる。質の低いエビデンスを用いると誤った意思決定を行ってしまう恐れもあるため、異なる研究デザインの良い点と悪い点を理解し、適切な研究デザインをエビデンス創出の際に用いることが重要になる。

そこで本稿では、生物多様性に対する脅威の影響や、保全活動の効果などを評価する際に用いられる主要な研究デザインを紹介し、それぞれの利点と問題点、さらには頑健な研究デザインに基づいたエビデンスの創出や活用における課題を議論する。

研究デザイン

研究デザインの種類

生物多様性に対する脅威の影響や保全活動の効果などを評価する際に用いられる研究デザインは大きく分けて6種類ある(図1:After, Before-After, Control-Impact, Before-After-Control-Impact, ランダム化Control-Impact, ランダム化Before-After-Control-Impact)。まず最も簡素なAfterデザインでは、脅威や保全活動などによる「処理」が起こった後に、その影響を受けた処理区における動態のみを測定する。例えば、ある圃場で有機農法を始めた後に、その圃場で観察されるチュウサギArdea intermediaの個体数を調査する、といった形である(図1、図2A)。もちろんこのAfterデザインでは、処理区の動態が処理の影響を受けたかどうか判別できないため、処理区の動態を処理が起こる前後で比較するBefore-After(BA)デザインが存在する。同じ例で説明すると、このデザインでは有機農法を始める前と後でその圃場で観察されるチュウサギの個体数を比較し、個体数が増加していれば有機農法の効果があったと解釈する(図1、図2B)。AfterデザインとBAデザインでは、対照区が存在せず、処理区を無作為に選出するランダム化も行われていないという共通した問題が存在する。つまりこれらの研究デザインでは、有機農法が行われた圃場には元々多くのチュウサギが観察されていたという可能性や、有機農法とは関係がない別の要因によってチュウサギの個体数がその圃場で増加していたという可能性を排除することができない。

そこで対照区を利用する研究デザインとして、Control-Impact(CI)デザインとBefore-After-Control-Impact(BACI)デザインが存在する。CIデザインはAfterデザインに対照区を追加したもので、処理が起こった後で処理区と対照区を比較し、その差を処理の効果と解釈する(図1)。この場合、有機農法を行った圃場と行わなかった圃場で、観察されるチュウサギの個体数を比較し、有機農法を行った圃場の方が多ければ、有機農法はチュウサギの個体数を増加させる効果があると解釈することになる(図2C)。ただし、CIデザインでは処理後の動態しか観測しないため、処理前後での実際の変化は観測できない。一方、BACIデザインはBAデザインに対照区を追加した形となる(図1)。つまり、処理区と対照区を設定し、ともに(処理区で)処理を行う前後で動態を観測、処理区の変化分と対照区の変化分の差を処理の効果と解釈する。これにより、例えば有機農法を行っていない圃場(対照区)と行った圃場(処理区)の両方でチュウサギが増加していたとしても、処理前後での増加分が有機農法を行った圃場での方が大きければ、有機農法がチュウサギの個体数を増加させる効果があったと解釈できる(図2D)。CIデザインとBACIデザインに共通する問題は、処理区と対照区が無作為に選ばれていない(ランダム化されていない)点である。そのため、処理区と対照区の変化の差が処理以外の要因の影響に起因している可能性は完全には否定できない。例えば、有機農法がチュウサギにとって好適な環境条件(例えば、餌生物にとっての生息地の質が高い、人為的かく乱が少ないなど)をもつ圃場で行われやすい場合、処理区と対照区で見られた個体数増加の差は、有機農法以外の要因で説明できるかもしれない。

以上の問題を解決するために、無作為に選んだ圃場を処理区と対照区に振り分けるランダム化が行われる。この空間的なランダム化によって、空間的に偏って分布する未知の要因によるデータの偏りを、ランダムなノイズに変えることができる。CIデザインでランダム化が行われる場合、ランダム化Control-Impact(R-CI)デザインと呼ばれる。このデザインは実験系ではしばしば基本として用いられ、ランダム化(無作為化)比較試験(Randomised Controlled Trial:RCT)という用語でも知られている。R-CIデザインでは、例えばある地域に存在する圃場からランダムに選んだ圃場を処理区と対照区に設定し、処理区で有機農法を行った上で、その後処理区と対照区で観測されるチュウサギの個体数を比較する(図1)。処理区と対照区がランダムに選出されているため、処理後に観察されたチュウサギ個体数の差は処理に起因すると解釈することができる。同様にBACIデザインをランダム化したランダム化BACI(R-BACI)デザインも存在する(図1)。

ランダム化は、応答変数が処理以外の要因によってどのように変動するかについての事前知識がない場合に、特に有効な手法である。処理以外の要因についての事前知識がある場合、その影響を排除する手法はランダム化以外にも存在する。例えば、その要因が定量可能な場合は(例えば、上記の有機農業とチュウサギの例における餌生物にとっての生息地の質など)、定量化して共変量として解析に組み込むことができるだろう (Ockendon et al. 2021)。また、考慮したい要因が空間的に正の自己相関していることが期待できる場合(例えば、人為的かく乱の影響が車道からの距離で表される場合など)、処理区と対照区を空間的に近い位置に配置するブロック化を行い、ブロックを考慮した解析を行うことができる。同様のアプローチとして、処理以外の要因が似た条件の処理区と対照区を事後的に選出して比較するマッチング法も、後述するようにランダム化を行うことが困難であることが多い保全科学の分野ではよく利用される手法である (Schleicher et al. 2020)。

以上で紹介した研究デザインは、特に他の研究分野では別の用語で表現されることも多い。例えばBACIデザインは、計量経済学などで用いられるDID(Difference-in-Differences)デザインと同じと考えられ、BAデザインは公衆衛生学や教育学では分割時系列解析(interrupted time series analysis)としても知られている (Wauchope et al. 2021, 他の同義語に関しては、Christie et al. 2020のFig. 1も参照)。

研究デザインの評価

次に、処理の効果を評価する上で研究デザインによってどの程度正確度や精度が異なるかについて、最近の二つの研究を用いて紹介する。

Christie et al. (2019)では、After、BA、CI、BACI、R-CIの5つの研究デザインに注目し、実データから推定したパラメータに基づいたシミュレーションを用いて、架空の生物個体群に環境の影響が及ぼす真の効果と、各研究デザインによって推定される効果を、複数の指標を用いて比較した。その結果、BACIとR-CIでは90%以上の試行において真の効果が正であるか負であるかの方向を正しく推定した一方で、CIとBAでは約75%、Afterに至っては約50%の試行でしか真の効果の方向を正しく推定することができなかった。真の効果を定量的に推定する精度はさらに研究デザインによって大きく異なり、例えば、推定した効果が真の効果と同じ方向で且つ真の効果の30%以内に収まる試行の割合は、BACIで65%以上、R-CIで51%以上、BAで22%以上、CIで20%以上、Afterでは9%以上であった(実際の割合は処理区と対照区の数による)。さらに、処理区と対照区の数を増やすことによってBACIデザインでは高い正確度を保ったままで精度を高めることができるが、他のデザインでは精度は上がるものの推定値は偏ったままで正確度が向上しないことも明らかにしている。

次にChristie et al. (2020)では、BA、CI、BACI、R-CI、R-BACIという4つの研究デザインの比較を行った。BACIもしくはR-BACIを用いて処理の効果を推定するために収集された51の生態学的データを利用して、各データの全てを用いた場合(BACIもしくはR-BACIデザイン)と一部のみを用いた場合(例えば、BACIデザインで収集されたデータの処理区だけを用いるとBAデザインに、処理後のデータだけを用いるとCIデザインとなる)で推定される効果を比較した。その結果、ランダム化されたデザインで収集されたデータの場合、R-BACIとR-CIによる推定には真の効果に対する偏りがほとんど見られない一方で、BAデザインによる推定には大きな偏りが含まれることが明らかになった。ランダム化されていなデザインで収集されたデータの場合、対照区のあるBACIとCIの方がBAデザインよりも遥かに低い偏りを示した。

以上2つの研究の結論には多少の差異はあるものの、共通した結論として、比較対象のないAfterデザインはもちろんのこと、対照区のないBAデザインや、対照区があってもランダム化されていないCIデザインは、一般にBACIデザインやR-CIデザインに比較して、効果を推定する正確度が低いことが明らかになったと言える。

頑健な研究デザインに基づいたエビデンスが直面する課題

上記の研究から、After、BA、CIなどの簡素なデザインを用いて得られたエビデンスを利用すると、生物多様性に対する脅威の影響や保全活動の効果などを評価する際に、不正確な結論をもたらしたり、さらには誤った意思決定を導いてしまったりする可能性すらあることが分かる。では、エビデンスに基づく保全は頑健な研究デザインを用いたエビデンスだけに頼るべきだろうか?結論から述べると、次に説明する理由からそれは現段階では困難であると考えられる。

コスト・労力

まず、BACIやR-CIのように頑健なエビデンスが得られる研究デザインには、利用するために多大なコストや労力がかかるという問題が存在する。例えば有機農法とチュウサギの例を用いて説明すると、Afterデザインでは既に有機農法が行われている圃場を見つけてそこでチュウサギの調査を行うだけであるが、Before-Afterデザインではその圃場で有機農法が行われる前からチュウサギの調査を行う必要がある。Control-Impactデザインでは近くに有機農法が行われていない圃場を対照区として探さないとならないし、BACIデザインに至っては、処理区と対照区で処理前後の調査が必要となる。ランダム化を行うためには、対象とする調査地の圃場からランダムに選んだ圃場で有機農法を実際に行ってもらわないとならないため、さらに労力が必要となる。小規模の保全活動であれば処理区と対照区のランダム化はまだ可能かもしれないが、大規模な保全活動(例えば離島における外来種の根絶など)や脅威(例えば生息地の消失など)の影響を評価する場合には、実験的にランダム化した処理区と対照区を設定することはかなり困難であると想像できる。十分な反復の確保や処理のランダム化が比較的容易である実験系の研究に比較して、主に野外でデータを取得する生態学や保全生物学のような分野では、頑健な研究デザインを用いるために要するコストや労力は、特に大きな障壁になると言えるだろう。

頑健なデザインが用いられた研究の分野間及び地域的な偏り

このように頑健な研究デザインを利用するためにはコストや労力が余分にかかるため、現実には簡素なデザインを用いた研究が非常に多い。例えばChristie et al. (2020)では、保全活動の効果についてのエビデンスを収集しているConservation Evidenceプロジェクト (Sutherland et al. 2019)と、社会学における介入効果についての系統的レビューを行っているキャンベル共同計画(「キャンベル共同計画」https://www.campbellcollaboration.org, 2024年2月13日確認)のデータベースに注目し、そこに収蔵されている個別研究が用いた研究デザインを調査している。その結果、どちらのデータベースにもAfterデザインやCIデザインを利用している研究が非常に多く、R-BACI、R-CI、BACIという頑健な研究デザインを利用している研究の割合は、Conservation Evidenceでは23%、キャンベル共同計画では36%だけであった。ランダム化デザインを利用している研究の割合は特にConservation Evidenceで低く、これは先述したようにランダム化を行うために必要なコストや労力が、特に野外でデータを取得する生態学や保全生物学の分野で大きな障壁となっていることを反映していると考えられる。

頑健な研究デザインに基づいたエビデンスは、国や地域によってはさらに得られにくいものであることが知られている。Christie et al. (2021)が保全活動の効果についてのエビデンスの空間分布を研究デザイン毎に調べたところ、エビデンスの分布はそもそもヨーロッパや北米に偏っていたが、その偏りは頑健な研究デザインに基づいたエビデンスほど大きく、BACIやR-CIに基づいたエビデンスのほとんどは西ヨーロッパや北米の限られた国に集中していた。Christie et al. (2021)は英語で発表されたエビデンスのみに注目しており、英語のエビデンスが得られない地域でも英語以外の言語で発表されたエビデンスが存在することが知られている (Amano et al. 2021)。ただし、非英語のエビデンスの方が簡素な研究デザインに基づいている傾向があるため (Amano et al. 2021)、全ての言語で得られるエビデンスを含めても、頑健な研究デザインに基づいたエビデンスの得られる地域が限られているという結論に変わりはないであろう。

エビデンスに基づく保全を推進するために

前項で述べたような課題が存在する中、用いた研究デザインによって得られるエビデンスの質が異なることを考慮しながら、エビデンスに基づく保全を推進するためにはどのようなことができるだろうか?

まず第一に、今後の研究でエビデンスを作り出す際には、その研究を行う条件下において可能な限り頑健な研究デザインを用いる努力をすることが重要となるであろう。例えば、ランダム化が困難な野外調査であっても、処理区を対照区と比較するCIデザインの利用によって、Afterデザインを用いる場合より遥かに頑健なエビデンスを得ることができるだろう。また、Before-Afterデザインが利用できるような対象の場合、コストや労力が許せばBACIデザインを用いることがより望ましい。頑健な研究デザインの利用は質の高いエビデンスの創出につながるため、より多くの労力やコストをかける価値のあることであるという認識を研究コミュニティ内外で高めることも重要であろう。例えば、適切な研究デザインの利用は研究助成機関・団体や学術誌によっても推進されるべきだと考えられる (Christie et al. 2019)。大学における講義や専門家を対象としたトレーニングプログラムにおいても、エビデンスに基づく保全という概念と共に、適切な研究デザインを利用することの重要性を周知することが重要である。Downey et al. (2021)では、ランダム化や対照区の設置、反復の重要性についての説明を含めたオープンアクセス教材を作成・出版している(次のリンクからダウンロード可:The Evidence in Conservation Teaching Initiative「Evidence in Conservation Teaching」https://www.britishecologicalsociety.org/applied-ecology-resources/about-aer/additional-resources/evidence-in-conservation-teaching/, 2024年2月13日確認)。Ockendon et al. (2021)でも反復や対照区の重要性を統計学の基礎知識がなくても分かるように平易な文章で説明している。

一方、既に簡素な研究デザインを用いて得られているエビデンスは全く役に立たないということになるのだろうか?従来の系統的レビューやメタ解析のようなエビデンス集約の手法では、研究デザインは適格性基準の一つとして利用されることで簡素な研究デザインに基づいたエビデンスは除外されるか、研究デザイン毎に別の解析が行われることが通例であった (Borenstein et al. 2009; Collaboration for Environmental Evidence 2022)。しかしながら、R-CIのようにランダム化されたデザインが広く利用されている医療分野に比較して、頑健な研究デザインに基づいたエビデンスの量が絶対的に少ない生態学や保全生物学においては、簡素な研究デザインに基づいたエビデンスしか得られないという状況が数多く存在すると考えられる。また、R-CIデザインを重視する公衆衛生の分野ですら、新型コロナウィルス感染に対するマスクの有効性のような、R-CIの利用が困難な課題に関しては、それ以外の研究デザインを盲目的に軽視することで明確な科学的助言ができなくなる危険性が指摘されている (The Royal Society and The British Academy 2020)。既に得られているエビデンスを最大限活用してエビデンスに基づく保全を推進するためには、例えば性質の異なるエビデンスを集約できるベイズ手法を用いたモデリング (Koricheva et al. 2013)などを通して、異なる研究デザインに基づいたエビデンスの質や偏りを考慮したうえで結論を導き出すことが重要な試みになるだろう。

謝 辞

本稿は2022年2月22日にオンラインで行われたつくばE3セミナー「「それってあなたの感想ですよね?」にならないための因果推論フェス in 生態学」における著者の講演に基づいている。セミナーの企画者である竹下和貴氏、中西康介氏、林岳彦氏、横溝裕行氏に謝意を表する。著者はAustralian Research Council Future Fellowship FT180100354とUniversity of Queensland strategic fundingから支援を受けた。

著者情報

ORCID

Tatsuya Amano https://orcid.org/0000-0001-6576-3410

図1.生物多様性に対する脅威の影響や保全活動の効果を評価する際に主に利用される6種類の研究デザインの比較。処理(例:農業活動)が時間=0に行われ、その前後で鳥の数を比較している。処理区と対照区にそれぞれ3反復(一列の圃場が一反復)あることを仮定。各太線で囲まれた部分が、各研究デザインで測定の対象となる部分を示している。Christie et al. (2020)のFig. 1を改変。Creative Commons Attribution 4.0 International License (http://creativecommons.org/licenses/by/4.0/、 2024年2月13日確認)。

図2.(A)Afterデザイン、(B)Before-Afterデザイン、(C)Control-Impactデザイン、(D)Before-After-Control-Impact(BACI)デザインにおける処理の効果の定義。処理(例:保全活動)が中央に位置する垂直の点線で示されている時間に行われ、その前後で対象種の個体数を観測することを仮定している。Afterデザインでは処理後の処理区の個体数のみを観測する一方で、Before-Afterデザインでは処理前後での個体数の差を、Control-Impactデザインでは処理後の処理区と対照区での個体数の差を、BACIデザインでは処理区での処理前後での個体数の差(A)と、対照区での処理前後での個体数の差(B)の差(A-B)を、それぞれ処理の効果として定義する。

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https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
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