2012 Volume 29 Issue 2 Pages 122
臨床医,とりわけ外科医の仕事は個々の患者への対応であり,病態はもちろん患者や家族の期待を考慮しながら方針の決断を共有しながら実践するのが医療である。しかしその決断は必ずしも容易でない。その理由の一つは診断や治療,予後にまつわる不確実さである。
そうした不確実さのなかで,私たち甲状腺外科医が最も頻繁に対応しなければならない疾患は甲状腺癌である。なかでも最も頻度の高い乳頭癌に対する最適な治療法の選択や隣接臓器へ浸潤する進行癌への対応は長らく議論の的となってきた。
第44回日本甲状腺外科学会学術集会でこれらのテーマに関するシンポジウムが開催された。本特集では同シンポジウムで発表された5名の先生方に執筆をお願いした。それぞれの施設でのご経験を踏まえて創意と工夫に満ちた治療方針を提示されている。日々の臨床決断に役立つ特集となることを願っている。