Official Journal of the Japan Association of Endocrine Surgeons and the Japanese Society of Thyroid Surgery
Online ISSN : 2758-8777
Print ISSN : 2186-9545
[title in Japanese]
[in Japanese]
Author information
JOURNAL FREE ACCESS FULL-TEXT HTML

2013 Volume 30 Issue 1 Pages 1

Details
抄録

1990年頃にGorgen Guyattにより提唱されたEvidence-based Medicine(EBM)という概念は,またたく間に臨床の場に浸透し,EBMを基本とした数多くの疾患診療ガイドラインが誕生いたしました。遅ればせながら2010年に「甲状腺瘍診療ガイドライン」も誕生し2年半が経過いたしました。甲状腺腫瘍関連の分野はもともと質の高いエビデンスが得られにくい分野でありますが,臨床医学の発展にはエビデンスの積み重ねが必須と考えます。このような観点から昨年の秋に横浜で行われた第45回日本甲状腺外科学会では学会のテーマを“新たなるエビデンスの蓄積を”とさせていただき,同名のシンポジウムを企画いたしました。本特集はこのシンポジウムを誌上で再現させたものであります。甲状腺腫瘍診療ガイドラインが出版された後,この分野で日本発の重要な論文が幾つか発表されております。その中からこのシンポジウムでは5編を厳選して発表していただきました。各演者の発表は論文発表後のデータや新たな考え方などを加えての発表であり大変分かりやすく示唆に富むものでありました。テーマは乳頭癌の発生率,濾胞癌,乳頭癌の予後予測因子,TSH抑制療法,放射性ヨード内用療法と多岐に及んでおりますが,各演者はそれぞれの立場で出来ることを最大限に利用して臨床研究を行っており,その態度は学ぶべきものがあると思います。甲状腺腫瘍診療ガイドラインは2014の改訂に向けて準備が進められております。ここに挙げた5編の論文は改訂時に検討すべき内容をもつものと思われます。すべての医療行為は何らかの根拠があって行われます。その根拠が信頼するに足りるものかを検証することが臨床研究の第一歩であると思います。また現在エビデンスとして挙げられているものでも約20%のものは2年以内に覆されているとの報告もなされております。われわれは今後も地道にエビデンスを追い求めなければなりません。本特集が単に知識の吸収に留まらず新たな臨床研究のヒントとなれば幸いです。

 

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
feedback
Top