Official Journal of the Japan Association of Endocrine Surgeons and the Japanese Society of Thyroid Surgery
Online ISSN : 2758-8777
Print ISSN : 2186-9545
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2013 Volume 30 Issue 1 Pages 26

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抄録

副腎疾患は従来皮質,髄質由来の疾患双方共に比較的稀な病変と考えられ,何らかの内分泌学的異常を呈してから外科手術の適応になると考えられていた。しかし近年のCT,MRI,超音波などの画像診断および腹腔鏡などの外科手術手技の進歩によりほとんど有意の内分泌学的異常所見を呈さない患者で副腎に腫瘤が認められ外科手術的に摘出される患者が非常に増加してきている。加えて副腎は血流が比較的豊富なことから他臓器由来の悪性腫瘍の転移が多いことは従来から剖検のデータなどから知られていた。しかし近年副腎の転移病変で初めて肺などの他臓器での原発病変が認められる症例も少なからず報告されてきている。特に片側性の副腎転移性病変の場合術前に診断が得られず外科手術検体で初めて診断される症例も増加してきており臨床,放射線,病理にとって重要な課題となってきている。

このようなことから副腎の外科手術に従事する者も皮質,髄質双方に由来する副腎病変の病理所見を的確に理解しておくことが望まれる。しかし同時に副腎病理,特に腫瘍性病変は他の内分泌臓器由来の腫瘍と比較しても良悪性の病理組織学的鑑別が極めて困難であることは知られており,特に副腎髄質腫瘍は未だ基準が確立していない現状である。加えて同じ悪性腫瘍でも患者によっては術後の臨床経過あるいは生物学的悪性度がかなり異なることも副腎腫瘍では知られており,摘出した検体での精査が何よりも求められている。更に摘出された病変の由来を規範するに際して種々の細胞生物学的マーカーを免疫組織化学的に用いての精査も現在では欠かせない検討技法となっている。そこで本特集では副腎疾患の外科手術に従事する内分泌外科医を対象に皮質,髄質双方を含む副腎疾患並びに転移性病変の臨床病理に関して分かりやすく解説を加えた。是非今後の副腎疾患の外科手術に参考になるようにしていただければ幸いである。

 

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