抄録
膵神経内分泌腫瘍の術後5年生存率は60~80%,肝転移再発率は30~85%と報告されている。原発巣切除の意義は極めて高く,リンパ節郭清が必要である。核出術が選択可能な腫瘍の肉眼型分類は,理論上被膜形成のある単純結節型に限定されるが,被膜形成や被膜外浸潤などの病理学的所見を術前に判定することは極めて困難であることは極めて明白であり,リンパ節郭清を伴う定型的切除を選択することがベストである。また,本邦においては初診時に遠隔転移を認める症例が約2割,非機能性NECに至っては半数を占める。肝転移を伴う症例の予後は極めて不良であり,集学的治療の一環としての外科切除が果たす役割は極めて重い。しかしながら,切除だけで根治を狙うことには限界がある。
従来のソマトスタチンアナログ製剤に加えて,2011年にエベロリムスが2012年にスニチニブが保険適応となった。近年の大腸癌に対する集学的治療の革新的な進歩がそうであったように,膵神経内分泌腫瘍においても分子標的療法の発展に伴い外科治療の適応は今後ますます拡大していくことが予想される。
はじめに
膵神経内分泌腫瘍は1907年にOberndorfer[1]が消化管カルチノイドを発表してから20年後に世界で初めて悪性機能性神経内分泌癌(インスリノーマ)の膵切除が報告された。患者は外科医で低血糖が軽快したものの術後1カ月ほどで死亡した[2]。1955年にガストリノーマ[3],1958年にVIPoma,1966年にグルカゴノーマ,1977年にソマトスタチノーマが相次いで報告されたが,その後約40年に渡って革新的な発見はなかった。P-NETの分類方法については1963年の発生部位による分類(前腸,中腸,後腸)から40年の時を経てBiological behaviorによる分類が2004年に提唱され,2010年にKi-67(核分裂像)によるGradingが提唱された。しかしながら,手術適応や手術術式に関するコンセンサスは,全世界的に未解決である。まして,この数年に保険承認された分子標的療法を加えた集学的治療における外科治療の役割はさらに不明である。本稿では,当科における分子標的治療と各種治療法の成績を交えて,膵神経内分泌腫瘍の治療戦略について概説する。
1.術前画像局在診断の困難性と術式選択
P-NETは血流が豊富であり,早期層の強い造影効果が診断の根拠となりうるが,たとえばガストリノーマの原発巣が31~59%などと報告されているように通常のCTの検出率は非常に悪い[4,5]。最近のMDCTの検出感度でさえ,1cm以下,1~2cm,3cm以上の腫瘍検出感度がそれぞれ,10%以下,40%,ほぼ100%と報告されている[6]。つまり,術前に1cm以下のリンパ節転移や肝転移を検出できる可能性は極めて低く(図1),術後再発があっても再発なしとされる可能性が高い。このような状況下でリンパ節転移が予後因子にならないと判断するのは危険であるし,ましてしてやDisease free survivalが議論できるはずがない。原発巣,リンパ節転移,肝転移,骨転移の検出感度は,FDG-PET-CTがそれぞれ26%,29%,55%,75%,68Ga-DOTA-NOC PET CTがそれぞれ94%,93%,81%,75%という報告もある[7]が,10mm以下の腫瘍を検出できるかという本質的な問題については何も記載がない。確かにDOTA-NOC PET CTは本邦においては保険適用外であるし,小腫瘍の検出という点では疑問符が残る。肝転移の同定はCTとSandostatin受容体シンチグラフィー(SRS)で差はないが,肝転移以外の転移巣同定はCTよりSRSが優れている。なお,肝転移の同定個数はMRI>CT>SRSの順に優れており[8],当科ではEOB-MRIを全例に行っている。エコーの肝転移同定率は46~68%なので勧められない。
鑑別を要する疾患としては,転移性膵腫瘍,膵内副脾(図1c),serous cystic neoplasm solid serous adenomaなどが挙げられる。転移性では腎細胞癌,乳癌,肺癌が多い。当教室では上記疾患以外にCTで確認できる腫瘍を切除し,islet cellの非腫瘍性集簇と病理で診断されたこともある(図1d)。この病変には太いfeeding arteryがCTで確認できていたが,腫瘍性病変ではなかった。
2.術式選択のための術前病理診断
ガイドラインでは診断の確定のための生検診断が推奨されているが,Ki67を含む悪性度診断の信頼性は低い。手術検体のWHO2010年分類を針生検1本,あるいは3本で診断できる確率は59.5%,64.7%にすぎないという報告もあれば[9],EUS-FNAと手術検体の一致率が89~92%という報告もある[10,11]。いずれにせよ,術前生検によるWHO2010分類の正診率は良くて10人に1人,悪ければ4人が間違う危険があるので,生検で得た「仮」のWHO2010年分類を根拠にして縮小手術を行うのは危険である。しかしながら生検せずに不確かな画像診断を根拠に経過観察を行うことも問題であり,仮のWHO分類を知るためというよりは「原病の病理学的診断のため」に生検が有用である点については議論を待たない。
3.膵神経内分泌腫瘍の術式選択
2014年のNCCNガイドラインにおいては,転移のない非機能性腫瘍は基本的にリンパ節郭清を伴う定型切除が推奨されている(表1)。1~2cmであっても高率に転移するので核出を行う場合であっても所属リンパ節郭清はするべきであるが,1cm未満においては手術の危険性と発生部位を考慮して経過観察を考慮しても良いとしている。機能性腫瘍では術式は腫瘍径に依らない。グルカゴノーマ,VIPomaは「リンパ節郭清を伴う定型切除」が推奨されている。主膵管から離れた突出型インスリノーマは鏡視下あるいは核出が,それ以外は浸潤傾向があっても定型切除が推奨されており,リンパ節郭清は必ずしも記載されていない。つまりKimuraらのSPDPや[12]鏡視下切除[13]も考慮される。主膵管から離れた膵頭部突出型ガストリノーマは核出に加えて十二指腸周囲のリンパ節郭清が,その他は定型切除が推奨されている。腫瘍の局在がわからない場合は経過観察が可能である。
日本の神経内分泌腫瘍診療ガイドラインにおいては,「悪性が疑われないインスリノーマ」だけが,縮小手術可能とされている。その他すべてのP-NETは腫瘍径に関係なく「リンパ節郭清を伴う定型的膵切除術」が推奨されている。ただし,インスリノーマで「悪性が疑う」ケースをどう判断するかは記載されていない。WHO2004年分類で考えれば,悪性とは同時性肝転移や周囲臓器への浸潤傾向ということになるし,WHO2010年分類で考えればG1以外ということになる。しかしながらG1であるから良性である確証はどこにもない。Octreotide LARの第3相試験であったPROMID試験に登録された症例の95%が「転移を有する非切除G1」であったことは記憶に新しい[14]。原発がG1であったとしても同時性異時性に肝転移やリンパ節転移をきたす症例は日常臨床で散見する。インスリノーマのG1だけが特別に悪性度が低いという根拠があれば,縮小手術が妥当という論理になる。当科ではインスリノーマのG2が42%を占め,膵内転移やリンパ節転移や他臓器転移をきたしているケースがG1,G2を問わず36%に認める。
当教室では大きさや術前EUS-FNAのKi-67値とは無関係に全例リンパ節郭清を伴う定型的切除を行っているが,切除不能な多数の肝転移を伴う症例やMEN1型においては,膵機能を少しでも温存するために原発巣の縮小手術が許されると考えている。
4.経過観察か手術か
上述のように,NCCNガイドラインでは経過観察が許されるのは以下の2つのケースである:①手術の危険性が高い施設における1cm未満の非機能性腫瘍,②腫瘍の局在がわからないガストリノーマ。日本のガイドラインではMEN1型を除き,腫瘍径に依らず切除が推奨されている。MEN1型では「1cm以下」と「増大しない2cm以下の腫瘍」が経過観察対象となっているが,それ以外は高率にリンパ節転移をきたすので基本的に「リンパ節郭清を伴う定型切除」が推奨されている。Kloeppelらは0.5cmを超えると悪性の可能性があるとし,Haynesらは,非機能性は例え病理で良性と判断されても根治切除と慎重な経過観察をするべきだとしている。MEN1型は15~20歳で半数が非機能性P-NETを発症し,外科的切除基準を満たす割合が高いことが報告されている[15]。現在の本邦の平均寿命から考えると15~20歳に対しては5年生存率ではなく50年生存率を期待したいところであり,経過観察を推奨する根拠はレベルⅣである。
病理学的に診断のついていない膵腫瘤19例の5年無増悪生存率が83%であるから15mm以下のP-NETは経過観察で良いという報告[16]がある一方で,病理学的診断のついている非機能性P-NET1,854例を対象に非切除群の5年生存率が切除群に比べて有意に低いので,「腫瘍径2cm以下は切除」を推奨する真逆の報告[17]が存在する。しかも後者の報告では切除群5mm以下でさえ同時性に33%がリンパ節転移,11%が遠隔転移を有していたが,前者の報告では病理学的診断ではなくCTでPNETと診断された15mm以下全症例が同時性リンパ節転移も遠隔転移も0%と対照的である。この相反する2つの報告が神経内分泌腫瘍の予後判断におけるCriticalな問題を象徴している。まずは絶対的な公理を確認したい。「神経内分泌腫瘍の確定診断はクロモグラニンA,シナプトフィジン,CD56の免疫染色で顕微鏡的になされなければならない」ということである。前述したように,MDCTが1cm以下のP-NETを検出できる感度は10%以下である。よって原発がP-NETでない場合,予後を議論すること自体に意味がなくない。また,仮に原発の診断が正しかったとしても,10人中9人以上の割合で「1cm以下の転移,再発の診断」を間違うわけで,その場合の無増悪生存率が信用できるかどうかは自明である。たとえば,4cm以下で経過観察を勧めているLeeらの論文[18]では非切除群77人中27人しか病理診断がついていないにもかかわらず,非切除群は大きさに変化がなく再発も死亡もない(7%消息不明)としている。切除群は9%にリンパ節転移を認めたものの半数が術後合併症を起こし約5年間の予後が変わらないので,膵液瘻などの合併症をした分だけ切除群が損をしたような印象を与えられてしまうが,これが仮に病理が確定している27人だけの検討であればどのような結果であったかが重要である。
5.肝転移の治療
肝転移に対するアプローチは,手術,TAE,サンドスタチンLAR,アフィニトール,スーテントなどがあるが,それぞれの長所,短所を考慮し最適な治療法を組み合わせて選択する必要がある。P-NETは30~85%が肝転移をきたし[19],R0手術はたったの7~15%にしか期待できない[20]。
切除可能な肝転移やリンパ節転移に対し,領域リンパ節郭清を伴う定型手術を施行した場合に,5年生存率65~80%が報告されている[21~25]。NCCNのガイドラインでは遠隔転移があっても完全切除ができるのであれば,原発と転移巣の2期的あるいは1期的切除を推奨している。完全切除が出来なくとも症例を選べば減量切除を推奨している。ENETSのガイドラインでは,肝生検で低分化型と診断された場合は,肝切除は推奨されない。非機能性の片葉同時性肝転移では原発切除+肝切除,両葉の同時性あるいは異時性肝転移でも切除が可能であればラジオ波なども交えつつ切除が推奨されている。症候性では症状緩和を狙い手術を含めた集学的治療を勧めている。日本のガイドラインでは肝転移やリンパ節転移は,制御可能であれば切除が推奨されている。膵と肝転移の同時切除が必要な場合は,二期的手術を考慮する。肝切後の5年生存率は61~81%,ホルモン症候を含む症状の改善率は90~100%と報告されている[25~36]。基本的にはR0手術を目指すが,腫瘍がほぼ切除できていればR0手術と予後に差が認められなかったという報告がある[28,34,35]。90%の腫瘍切除を行う腫瘍減量手術は,内科的治療抵抗性の症候性に対して行った場合,90%の症状寛解が見込める[32,33,37]。切除後5年再発率は80%以上で多くは2年以内に再発する[25,27,31,33,34,38,39]。肝臓が全再発部位の80~90%を占め,骨,肺,リンパ節,腹膜,脳などで再発する[25,27,31,33,34,38,39]。
切除不能な肝転移は,条件により原発巣の切除が推奨されている。切除不能な肝転移を有する膵NETの原発巣の切除が予後を改善するとの報告があるが[40],原発切除の意義は症状緩和のみであるとする見解もあり結論が出ていない[41]。肝転移の程度や分化度からある程度の予後が見込める症例に限定される。
当科においては原発切除を行った症例の5年生存率は82%で,原発切除できなかった症例は29%である(図2)。NETの肝転移への血流は90%以上が肝動脈から供給されており,TAEやTACEが有用である。TAEの症状緩和効果は90%で,効果は6~27カ月持続する[42]。TACEの症状緩和効果は50~90%で,6~53カ月持続する。TAE後の5年生存率の中央値が50%,生存期間中央値は20~80カ月である。一方,NECのTAE後の生存期間は15カ月である。TACE後の5年生存率は40~80%,生存期間中央値は32~50カ月と報告されている[42~44]。以下に当院における成績を示す。平均治療回数は3回(1~9回),肝膿瘍は5.5%に発症した。第1回TACEの治療効果はPRが42%,原発性肝癌取扱い規約5th editionにおけるTE4(腫瘍壊死効果100%または腫瘍縮小率100%)が17%,TE3(腫瘍壊死効果50%以上または腫瘍縮小率50%以上)が25%であった。
転移性肝癌の移植成績において大腸癌は2年生存率14%と極めて不良で長期生存が期待できないことが知られている。NETの肝移植は,肝外転移のない切除不能な肝転移が適応であるが,再発率が高く一般的ではない[45]。5年生存率は44%~90%と幅がある[46,47]。成績を悪化させる因子は55歳以上,肝移植+膵同時切除という報告もあれば[47],50歳以下,原発巣が肺か腸,術後ホルモン療法がという報告[48]もあり,はっきりとした要素はわかっていない。
膵NET(G1/G2)に対する分子標的薬のランダム化比較試験ではエベロリムスとスニチニブが有意な無増悪生存期間の延長を示している。2013年の報告によれば,OS,PFSともに両薬剤で有意差はないという結果が出ている[49]。
エベロリムスは2011年12月に保険適用になった。エベロリムスは奏効率5%でProgression free survival(PFS)が11カ月で対照群の4.6カ月より有意に延長した(RADIANT-3)[50]。特筆すべき副作用は間質性肺炎,感染(口内炎,下痢),血小板減少である。当科では間質性肺炎のモニターにKL-6を使用し,上昇傾向の場合は一時打ち切り,その減少を待って再開するかスーテントなどに変更することにしている。一度間質性肺炎の初期徴候がみられても,減量再開時にはその兆候がみられないこともある。当科23症例に対する使用経験では,PR3例(18%),SD6例(36%)であった。有効例では,多発肝転移によるChild-Cの10点がChild-A 6点まで改善した1例や原発G2肝転移G3の肝転移単発再発がPRになった1例や,非切除多発肝転移症例がPR相当になり,切除を狙えるレベルになった症例を経験した。2013年までの報告ではエベロリムスはスニチニブに比べて末梢性浮腫と発熱が多いが,好中球減少と高血圧は少ないとされている。
2010年ASCOでは高分化P-NETに対するスニチニブの第Ⅲ相試験(SUN1111)の報告がなされた[51]。スニチニブ群のPFSが11.4カ月と対照5.5カ月に対して有意だった。スニチニブは2012年8月に保険適用となった。注意すべき副作用は腫瘍崩壊症候群とQT延長症候群である。高血圧,好中球減少などは対症的に対処できる場合が多い。当科では12例中2例に腫瘍崩壊症候群に伴うDIC様症状を経験した。なお,甲状腺機能低下で体重増加がみられることもあり,体重が増えた場合に腫瘍の進行に伴うるい痩が改善したと誤解することもあるので,判断に迷う場合は甲状腺機能の測定も行った方が良いだろう。国内第二相試験12例の結果では,スニチニブに対する感度は使用開始後1カ月でほぼ予想可能であり,当科12例においてもほぼ同様の成果が得られているので非切除症例に対して使用した場合でも,切除を狙える可能性もあるだろう。スニチニブは,投与中止から2週程度で切除やTAEを施行できると考えられている。当院12例(評価不能3例)中,PR3例(33%),SD4例(44%)であった。
内分泌症状の緩和にはソマトスタチンアナログ[14]が推奨されている。インスリノーマによる急性期低血糖に対して高濃度のブドウ糖補充が有効であるが,低血糖発作の頻度の抑制にジアゾキシドやエベロリムスが有効なことがある。ただし,ジアゾキサイドは血小板減少症で中止を余儀なくされることがあるので注意が必要である。ガストリノーマに対しては高用量のPPIが推奨される。VIPオーマによる急激な下痢による脱水症状に対して,電解質液の大量の補液が推奨される。グルカゴノーマによる遊走性壊死性紅斑にアミノ酸と脂肪酸の定期的輸注が有効である。カルチノイド症候群の下痢に対してロペラミドなどの止痢薬が有効である。ストレプトゾシン+ドキソルビシンは臨床試験のクオリティに関する懸念が指摘されている。ダカルバジン,テモゾロミド+カペシタビン,インターフェロン,ソマトスタチンアナログなども一定の抗腫瘍効果が報告されている。術前化学療法や肝転移巣R0切除後の肝動注塞栓・化学療法の効果を期待する意見もあるが,エビデンスはない。
6.TNM分類とWHO分類の使用方法について
TNM分類とWHO2010分類をどう使い分けるか混乱を招いている。「WHO分類はあくまでもTNM分類に添えて使いなさい」とよく指摘されるが,具体的にどうすれば良いのかは明らかではない。TNM分類といっても,AJCCの分類とENETSの分類は統一されていない(表2:遠隔転移がStage Ⅳだけは共通である)。TNM分類が考慮されずにWHO分類が1人歩きしている。
AJCCではStage分類に腫瘍径はほとんど関与しない(Stage ⅠAとⅠBを分ける)が,ENETSでは2cm前後,4cm前後でStageが細かく分類されている。AJCCでは比較的外科的視点で分類されている印象があるが,ENETSは非外科的な視点で作られている。すなわち,T因子に関係なくStage Ⅲbはリンパ節転移があり,全例切除し病理学的に判断しなければ,Stageは分類不能である。Strosbergの425例を用いたValidationでは[52],AJCCのStage Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳの5年生存率はそれぞれ92%,84%,81%,57%であり,ENETS分類より差が出やすいとしている。予後因子はAJCCを含めれば,AJCC Stage Ⅳと分化度(poorly)が残り,ENETSを含めれば年齢と分化度が残る。
リンパ節転移が予後因子にならないのでリンパ節郭清は不要だとする論文や学会発表を散見するが,現時点でAJCCもENETSもリンパ節転移の情報を取り入れている現実がある。今後,TNM分類やWHO分類が目指すゴールや役割分担について意思統一がなされていくことを期待したい。
おわりに
P-NETのエビデンスは未だ確立されておらず,米国の2.7倍の有病率があると考えられている[53]我が国がエビデンスを作っていく使命があると考える。診断,手術術式,治療方針,悪性度評価を踏まえた新しいTNM分類の創設など,やらなければならないことは山積みである。All Japanでこれらの課題を一つ一つ解決していく必要性があるだろう。
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