2020 Volume 37 Issue 4 Pages 225
第32回日本内分泌外科学会総会を2020年9月17日(木)と18日(金)に開催させていただきました。当初,同年5月に長崎市で開催の予定でしたが,新型コロナウイルス(COVID-19)感染の拡大を踏まえて9月に延期となり,前例のないWEB形式での開催となりました。
近年,医療分野の進歩には,再生医療,ゲノム医療,人工知能の応用など目を見張るものがあります。このような状況の中,内分泌外科がどのように変わっていくのか,変わらないもの,変えてはいけないものは何なのかを,診療科の垣根を越えて議論していただきたいとの思いで,総会のテーマを「これからの内分泌外科 変わるもの,変わらないもの」としました。初めてのWEB開催に不安がありましたが,プログラムは思いのほか順調に進行し,テーマに沿った活発な討論が行われました。これも,座長および演者の皆様のご協力の賜と感謝申し上げます。
特別講演では,福島県立医科大学副学長(長崎大学名誉教授)の山下俊一先生が「原子力災害と被ばく医療-放射線健康リスクの最前線」のタイトルで講演され,会員にとって示唆に富んだお話を聴くことができました。教育講演,教育セミナーでは甲状腺癌,膵・消化管神経内分泌腫瘍,乳癌,副腎腫瘍の講演があり,ビデオシンポジウム,シンポジウム,ワークショップでは甲状腺,副甲状腺,副腎,乳腺・前立腺などの領域別に,最新の研究や診断・治療について活発な討論が行われました。
今回多くの発表の中から,シンポジウム2「副甲状腺外科を極める」を特集として取り上げました。このシンポジウムでは,原発性副甲状腺機能亢進症の手術適応,画像診断,外科的治療戦略,透析患者における二次性副甲状腺機能亢進症に対する外科治療,さらに腎移植後三次性副甲状腺機能亢進症の外科治療について内科医,外科医,泌尿器科医による興味深い発表と討論が行われました。ご多忙の中,この特集にご執筆をいただいた5名のシンポジストの先生方に心より感謝いたします。本特集が副甲状腺診療を行う多くの先生方のお役に立てることを信じています。