Official Journal of the Japan Association of Endocrine Surgeons and the Japanese Society of Thyroid Surgery
Online ISSN : 2758-8777
Print ISSN : 2186-9545
Summary of the special session; What is needed now for the future of the Japan Association of Endocrine Surgery
Nobuyasu Suganuma
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2022 Volume 39 Issue 4 Pages 241-243

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抄録

日本内分泌外科学会は,甲状腺,副甲状腺,副腎,前立腺,乳腺,膵臓,下垂体をはじめとした様々な内分泌疾患を対象として,外科,耳鼻咽喉科・頭頸部外科,泌尿器科,内科,産婦人科,放射線科,病理診断科など多くの診療科により構成されている。「若手内分泌外科医の育成」「女性医師支援・子育て支援,働き方改革」「内分泌外科専門医の盤石化」「地域格差の是正」の4項目を重要課題として推進していくことが目標として掲げられており,本特別企画では「若手内分泌外科医の育成」をテーマとして,甲状腺内視鏡手術のシステム構築や地方会創設の取り組み,各領域における若手内分泌外科医の育成に関して5人の先生方よりご発表いただいた。

 

2022年6月23~25日の3日間,つくば国際会議場におきまして,原尚人会長のもと第34回日本内分泌外科学会総会が開催されました。「内分泌外科の新たな未来へ to the next generation」というテーマにおいて,未来へ向けて次世代にいかに引継ぎ学会を発展していくかを議論すべく,特別企画「内分泌外科の未来へ向けて―今何が必要か?」が企画されました。日本内分泌外科学会は,甲状腺,副甲状腺,副腎,前立腺,乳腺,膵臓,下垂体をはじめとした様々な内分泌疾患を対象として,外科,耳鼻咽喉科・頭頸部外科,泌尿器科,内科,産婦人科,放射線科,病理診断科など多くの診療科により構成されています。1988年の設立以来会員数は増加しており,2021年において会員数は1,826名となりましたが,ここ数年間は横ばいの状況が続いています。診療科別の内訳は,外科46%,耳鼻咽喉科・頭頸部外科17%,泌尿器科11%となっており,この3科が全体のおよそ3/4を占めています。最近の学会員の推移としては,外科,泌尿器科はほぼ横ばい,耳鼻咽喉科・頭頸部外科は増加傾向にあり(図1),女性医師の占める割合は14%で,他学会と同様に近年その比率は増加傾向となっています(図2)。

図1.

内分泌外科学会会員数の推移

図2.

内分泌外科学会領域別会員数

このような背景をもとに,内分泌外科学会ホームページには,「若手内分泌外科医の育成」「女性医師支援・子育て支援,働き方改革」「内分泌外科専門医の盤石化」「地域格差の是正」の4項目を重要課題として推進していくことが記載されています。今回の学会ではそれぞれがテーマとして取り上げられ活発な議論がなされました。本特別企画では「若手内分泌外科医の育成」を中心に5人の先生方にご登壇いただきました。前半2題は新しい医療の均霑化への取り組みや若手の育成の新たな場の提供として,甲状腺内視鏡手術のシステム構築と地方会創設の取り組みについて中条哲浩先生,宮章博先生より,後半3題は外科,泌尿器科,耳鼻科の各分野における若手,中堅,ベテランの各世代の代表として山崎春彦先生,滝澤奈恵先生,北村守正先生より若手内分泌外科医の育成の取り組みに関してそれぞれお立場からご発表いただきました。

第一演題は,鹿児島大学消化器・乳腺甲状腺外科,中条哲浩先生より「甲状腺内視鏡手術の均霑化~技術認定制度に向けた取り組み~」としてご発表いただきました。甲状腺内視鏡手術は2016年に良性疾患,2018年に悪性腫瘍で保険収載されましたが,高い整容性や患者満足度,在院日数の短縮などのメリットがあるものの,手術手技の難易度,手術時間の延長,システム導入時のコストなどの問題により,予想以上に普及が進んでいない現状があります。他領域では,内視鏡からロボット手術へと進んでいる中,甲状腺領域でも標準術式として確立していくには,学会を中心とした教育システムの構築が重要であり,2023年度より設立される甲状腺内視鏡手術の技術認定制度や経験症例の研修・指導体制,quality controlなどへの取り組みについて具体的にご説明いただきました。

第二演題は,隈病院外科,宮章博先生より「日本内分泌外科学会の地方会創設に向けた取り組み」に関してご発表いただきました。2019年に日本甲状腺外科学会との発展的統合を遂げた日本内分泌外科学会では今年から総会が年1回となりましたが,それに伴い発表・討論を通じた教育の機会が減ることが危惧されていました。これに対して既存の関連する地方会・研究会の実態をアンケートで調査いただき,業績として抄録のある研究会は63件あるものの,内分泌外科学会の特徴である複数科にわたる研究会は少ないことからWeb開催による研究会の開催という具体的なご提案をいただきました。

第三演題は,外科若手医師代表として横浜市立大学附属市民総合医療センター乳腺甲状腺外科,山崎春彦先生より「魅力的な内分泌外科にするために~各分野での取り組み(外科編)~」についてご発表いただきました。所属施設では心臓血管外科,呼吸器外科,消化器外科,乳腺甲状腺外科,救急外科を有しており,各グループを周りながら一般外科医としての修練を積むことで,外科専門医を最短で取得できるとともに,その過程において自分の専門領域を選択できるシステムや外科手術手技や研究セミナーの開催により,安定した若手外科医の確保に向けた取り組みを紹介いただきました。

第四演題は,泌尿器科中堅医師代表として関西医科大学附属病院腎泌尿器外科,滝澤奈恵先生より「魅力的な内分泌外科にするために~泌尿器科での取り組み~」をご発表いただきました。泌尿器科ではいち早く導入されたロボット支援手術や日進月歩の薬物治療による人気を背景に,自科での診療機会に触れてもらうための様々な工夫をご紹介いただきました。また,近年のCOVID19流行下での若手医師勧誘の工夫や,都市圏で導入されているシーリングの問題を含め,自施設から泌尿器科全体に至るまで詳細にその取り組みを解説いただきました。

第五演題は,耳鼻咽喉科・頭頸部外科ベテラン医師代表として金沢医科大学頭頸部外科学,北村守正先生より「魅力的な内分泌外科にするために~各分野での取り組み(耳鼻科編)~」をご発表いただきました。耳鼻咽喉科・頭頸部外科では新規入会者の1/3が女性医師を占める状況から早期より取り組んでいる支援体制や学生研修医に対する取り組みについてご紹介いただきました。また,耳鼻咽喉科・頭頸部外科における内分泌外科の現状と今後の方向性についてご意見賜りました。

内分泌外科の魅力を伝えることで,限られた医師数から若手医師を確保し,世の中に貢献できるよう教育していくことは学会に課せられた重要な課題です。各先生方からご提示いただいた内容は,いずれも現在の内分泌外科学会が掲げる問題点を明確にしたうえで,各問題点に対する方向性を示していただきました。ご登壇いただいた5人の先生方,ともに座長をお引き受けいただきました滝澤奈恵先生,貴重な機会を与えていただきました原尚人会長に心よりお礼申し上げます。

 

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