Japanese Journal of Medical Technology
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Part 1 Neuropsychological Tests
Neuropsychological tests
Minoru KOUZUKI
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2017 Volume 66 Issue J-STAGE-2 Pages 11-21

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Abstract

神経心理学的検査とは,高次脳機能を評価するための検査であり認知症診療においては必須の検査である。認知症に伴う症状としては,中核症状と行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia; BPSD)があり,これらの症状を定量化する目的で神経心理学的検査が用いられる。神経心理学的検査は,スクリーニングとしての検査,認知症の進行度合いや治療効果の評価としての検査,鑑別診断の補助としての検査に分類することができるが,なかでもスクリーニングとしての検査は臨床検査技師が参画できる領域であると考える。代表的な検査としては改訂長谷川式簡易知能評価スケール(Hasegawa’s Dementia Scale-Revised; HDS-R)やMini-Mental State Examination(MMSE)が広く一般に使用されているが,マンパワーをかけずに行える方法としてタッチパネル式コンピュータを用いた簡易スクリーニング法(物忘れ相談プログラム)も推奨される。認知症の症状は様々であり,一つの神経心理学的検査で全ての症状を評価できないため評価目的により使い分ける必要がある。但し,我が国のみならず世界中で多数開発されているため,その選択は検査の信頼性や妥当性,対象疾患やその重症度等を考慮し,しっかりとエビデンスを調べたうえで導入することが望ましい。また,検査の総点数だけで評価するのではなく,どこを間違えたかを確認することで,障害されている機能をある程度推測することができるため,多面的に評価する必要ある。神経心理学的検査は医師または医師の指示により他の従事者が実施できる検査であるが,検査を熟知した者が行うことが望ましいため,認定認知症領域検査技師の認定資格を取得した技師が積極的に行っていくことを期待する。

I  臨床的意義

神経心理学的検査とは,脳の損傷や認知症等によって生じた知能,記憶,言語等の高次脳機能の障害を評価するための検査である。医師または医師の指示により他の従事者が実施できる検査であり,資格は問われない(会報JAMT Vol. 17 No. 36,2011年を参照)。また,臨床心理士という公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格を有する心の専門家(2016年現在は国家資格となっていない)はいるが,法的な業務占有資格ではない。実際の現場でも言語聴覚士,理学療法士,作業療法士等の職種の人が担当している病院も少なくない。しかし,神経心理学的検査の多くは,被検者と検査者のやり取りで行われる質問式の検査のため,そのときの被検者の気分,検査者の質問の仕方や態度,相手との信頼感等,様々な要因が結果に影響を及ぼすことがある。したがって,臨床心理や神経心理等に係る専門教育を受け,検査を熟知した者が行うことが望ましい。また,神経心理学的検査は認知症のどの症状を評価するかによって用いる評価尺度は異なるが,全ての症状を一つの検査で評価することはできないことと,一つの検査が一つの機能だけに対応しているわけではないことは,心得ておく必要がある。検査の総点数をみるだけでなく,どのように間違ったのかを確認することが重要であり,検査のもつ意味を単一的ではなく多面的に考えることで,障害されている機能をある程度推測することができる。また,神経心理学的検査は我が国以外にも世界中で開発されており,どの検査を用いるかは検査の信頼性や妥当性,評価する機能,対象疾患やその重症度等を考慮し,しっかりとエビデンスを調べたうえで導入することが重要である。

認知症の症状には中核症状と行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia; BPSD)がある。中核症状としては記憶障害,見当識障害,失語,失行,失認,実行機能障害等がある。BPSDには多くの症状があり,徘徊,興奮,暴力,幻覚,妄想,うつ状態,不潔行為等があるが,周りの環境や,性格,心理状態等が原因で現れると考えられている(Figure 1)。これらの症状を定量的に評価する目的で,神経心理学的検査が用いられるが使用目的により,検査を使い分ける必要がある。

Figure 1 

中核症状と行動・心理症状(BPSD)

認知症の症状には中核症状とBPSDがある。中核症状は神経細胞の障害に伴って生じるもので,中核症状の存在がわかりにくい症例はあるが,中核症状を欠く認知症はないと考えられている。一方,BPSDは中核症状に本人の性格,周囲の環境,心理状態等の様々な要因が加わって引き起こされると考えられており,全ての症状が出現するわけではない。

神経心理学的検査の使用目的として,スクリーニングとしての検査,認知症の進行度合いや治療効果の評価としての検査,鑑別診断の補助としての検査があげられる。認知症の進行度合いや治療効果の評価としての検査や鑑別診断の補助としての検査は,検査に時間や労力を要するものも多いため,自施設でできる検査あるいは検査にかかる時間等を考慮して,時と場合に応じた対応になるため,一概に言うことは難しく,各施設で実施している検査に差があるだろう。一方で,スクリーニングとしての検査に関しては初診時あるいは健診等で行うことが目的であるため,短時間で簡便に行える検査である必要がある。認知症かそうでないかのふるい分けが目的であるため,感度の高い検査を選択することも考え方の一つである。代表的な検査としては改訂長谷川式簡易知能評価スケール(Hasegawa’s Dementia Scale-Revised; HDS-R)やMini-Mental State Examination(MMSE)があり,多くの病院で用いられている。HDS-RやMMSEは病院で行うことが多いが,健診のようにマンパワーが少なくても大多数を検査できる方法として,タッチパネル式コンピュータを用いた簡易スクリーニング法である物忘れ相談プログラムも広く一般に使用されている。もちろん,病院に導入して活用することも全く問題ない検査である。最近の話題として,2017年3月12日より道路交通法が改正となり,75歳以上の高齢運転者は,運転免許更新に際して,定められた認知機能検査を受けることとなった。この認知機能検査の結果,「認知症のおそれがある」とされた場合,臨時適性検査(認知症の専門医への受診),または認知症の専門医か認知症に係る主治医が作成した診断書の提出が命じられる。したがって,今まで病院を受診するきっかけがなかった人が運転免許更新の際に専門医への受診を命じられれば病院に来ることになるため,特に認知機能のスクリーニング検査の件数が増えることが予想される。このような社会情勢を考えても,臨床検査技師が神経心理学的検査,特にスクリーニング検査を行えるようになることは,非常に価値のあることだと考える。しかし,検査の結果,認知症と診断された場合は,運転免許の取消しまたは停止となるため,その人の生活を左右する検査であることを理解したうえで責任をもって行う必要がある。

本稿では全ての神経心理学的検査を紹介することはできないが,主にスクリーニング検査とその後の進行度合いや治療効果の評価のための検査について紹介する。

II  検査の方法および検査データ

1. スクリーニング検査

1) HDS-R1)~3)

1974年に長谷川和夫らによって認知症(当時は痴呆と呼んでいた)スクリーニングテストとして長谷川式簡易知能評価スケール(HDS)が作成された。しかし,HDSが作成されて以来長い年月が経過し,その質問項目が現代社会に適合していない部分があることや,質問項目のなかで統一性に欠ける問題があることなどいくつかの点が指摘されるようになり,1991年にHDSの内容を再構成し,さらに認知症の鑑別力の高いスケールとしてHDS-Rが作成された1)。HDS-R作成にあたり削除された項目は,出生地,終戦の年,1年は何日か,日本の総理大臣の名前,最近起こった出来事からどのくらい経ったか,の5項目であり,検査に際して同席者が必要だったり,日本人以外に行う際に困難であったり,被検者が若年者であると不適当であったり,簡単すぎる等という理由から削除となったとされている。HDS-Rは,年齢,日時の見当識,場所の見当識,3つの言葉の記銘,計算,数字の逆唱,3つの言葉の遅延再生,5つの物品の記銘,言語の流暢性の9つの項目で構成されている(Table 1)。HDS-Rの特徴としては,簡便さと検査時間の短さが挙げられ,被検者の生年月日のみ事前に調べておけば検査を行うことができる。また,HDS-Rは動作性の検査が含まれていないことも特徴であり,高齢者に対しては負担が大きく,防御的な反応を引き起こさせる原因になることや,日常生活動作(activities of daily living; ADL)の障害に配慮してあえて動作性検査を排除したとされている。動作性検査がないことで,血管性認知症(vascular dementia; VaD)による麻痺やレビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies; DLB)やパーキ‍ンソン病でみられるパーキンソニズム等のように運動機能に障害をきたしている可能性がある人にも使うことができる。また,記憶に関する配点が高くなっているため,特にアルツハイマー型認知症(Alzheimer’s disease; AD)の鑑別には有用であると考えられる。

Table 1  改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)について1)
質問内容 注意事項
年齢(1点) 2年までの誤差は正解とする。
日時の見当識(4点) 年・月・日・曜日を別々に聞いても良い。正答に対して,得点を与える。
場所の見当識(2点) 場所が本質的にとらえられていればよい。
正答が出なかった場合は5秒おいてからヒントを与える。
3つの言葉の記銘(3点) 正解が出なかった場合は,正答の数を採点した後に,正しい答えを教え,覚えてもらう。
3回言っても覚えられない場合は,遅延再生の項目から覚えられなかった言葉を除外する。
計算(2点) 最初の引き算の答えが誤ったものであれば,そこで中止し次の設問へ進む。
数字の逆唱(2点) 3桁と4桁の数字の逆唱を行うが,3桁の逆唱に失敗したらそこで中止し次の設問へ進む。
3つの言葉の遅延再生‍(6‍点) もし答えられない言葉があった場合は少し間隔をおいてからヒントを与える。
5つの物品記銘(5点) 用いる物品に特に指定はないが,「時計」「鍵」「タバコ」「ペン」「硬貨」など相互に無関係なものを用いる。
言語の流暢性(5点) 途中で言葉に詰まり10秒程度待っても次の野菜の名前が出てこない場合はそこで打ち切‍る。

検査に際して特に注意が必要な点をいくつか記載する。場所の見当識では病院名や住所などは言えなくても現在いる場所がどういう場所なのかがわかっていれば正解とする。計算の問題では,「100引く7はいくつですか?」「それからまた7を引くといくつになるでしょう」と質問し「93から7を引くと?」というように検査者が最初の引き算の答えを繰り返して言ってはいけない。その他にも細かい注意点があり,実施する前には加藤ら1)が発表しているHDS-Rの原著論文を参照していただきたい。

HDS-Rの結果に与える要因としては,年齢や教育歴とは相関を示さなかったと報告されていることより,加齢や教育年数に影響を受けにくい検査であることが示唆される。また後に記載するMMSEとの相関値も高く,既知の認知症スクリーニング検査との併存的妥当性も高い。30点満点で点数が低いほど認知機能障害が重度である検査であり,カットオフ値を21/20とした際に,ADやVaDが含まれた認知症群と非認知症群を識別できる感度は90%,特異度は82%と報告されており,その有用性は高い。しかし,HDS-Rはあくまでスクリーニング検査であって,これのみで診断をするための検査ではないことや,重症度分類を行うための検査ではないことや,認知症の種類を鑑別できる検査ではないことは,注意を要する。加藤らの研究では,Global Deterioration Scaleを用いて重症度分類をして評価したところ,軽度認知症群:19.10 ± 5.04点,中等度認知症群:15.43 ± 3.68点,やや高度認知症群:10.73 ± 5.40点,非常に高度認知症群:4.04 ± 2.62点,非認知症群:24.27 ± 3.91点と報告し,重症度を非常によく分類できる検査であることは確認しているが,誤解を招く恐れがあるためこの数値は参考程度にとどめていただきたい。また,各設問は認知症群で有意に点数が低いという結果であったが,3つの言葉の記銘に関しては,認知症群でも正解率は高かったと示している。これは即時記憶の障害を評価している問題であり,認知症がある程度進行しないと障害されない機能であるため,逆に考えるとこの問題が正解できなければある程度進行していると判断することもできる。また,視空間認知機能が障害されるDLBの鑑別のためには追加で,立方体の模写や後に記載するClock Drawing Test(CDT)を追加で行うことも方法の一つである。

2) MMSE2)~4)

HDSの開発から遅れること1年後の1975年にFolsteinら4)によって開発され,広く世界中で使用されている認知症のスクリーニング検査である。当時から認知機能を評価する検査は多くあったようであるが,短時間で実施できる検査ではなくある程度時間を要するものだったため,MMSEの開発に至ったとされている。また,「Mini」としているのは,気分,精神状態,考える姿勢に関する質問を除外し,認知機能のみに濃縮していることが由来である。日本語版のMMSEは数種類公表されており,原版との等価性を見極めて使用する必要がある5)。また,後にも述べる著作権の問題を考えると,妥当性や信頼性の確認がなされている株式会社日本文化科学社から販売されているMMSE-Japanese精神状態短時間検査を用いることが望ましいと考える6)。MMSEは時間の見当識(時間,場所),記銘(物品名の復唱),注意(計算Serial 7’s,あるいは言葉の逆唱),想起(物品名の想起),言語(物品名の呼称,文章の反復,3段階の口頭命令,読解,書字),図形模写の11項目で構成されている(Table 2)。HDS-Rと異なっている点として,4つの動作性の検査(3段階の口頭命令,読解,書字,図形模写)が含まれていることが挙げられる。

Table 2  Mini-Mental State Examination(MMSE)について4)
質問内容 注意事項
時間の見当識(5点) 年,季節,月,日,曜日について質問し,正答に対して得点を与える。
場所の見当識(5点) 原版ではstate,country,town,hospital,floorについて質問している。
物品名の復唱(3点) 原版では3つの関連のない物の名前を伝えるとされているが,物の指定はされていない。
注意(計算Serial 7’sあるいは言葉の逆唱)(5点) 原版では計算ができない,あるいはしたがらない場合は言葉の逆唱を行うとなっている。
物品名の想起(3点) 物品名の復唱で全て復唱できなかった場合は,行わない。
物品名の呼称(2点) 原版では腕時計と鉛筆をみせるとなっている。
文章の反復(1点) 原版では「No ifs, ands or buts」となっている。
3段階の口頭命令(3点) 白紙の紙を与え,3段階の動作命令を一度に与える。
読解(1点) 対象は高齢者が多いので,「眼を閉じなさい」という文章は,大きくはっきり見える字で提示する。
書字(1点) 文章には主語と述語が含まれていれば,正しい文法や句読点でなくても構わないものとす‍る。
図形模写(1点) 模写された図形は角が10個あり,2つの五角形が交わっている必要がある。
手指の震えによる線のゆがみは無視して評価する。

検査に際しての注意点をいくつか記載する。物品名の復唱では3つの関連のない物の名前を伝え,その3つの物品名を復唱させるが,1つでも間違いがあれば正解するまで最大で6回まで教示する。もし,6回行っても正しく復唱できない場合は,その後の物品名の想起は行わないものとする。注意の問題では,100から7を順に引き算をし,5回までできれば次の設問に移る。しかし,対象者がこの作業をできない場合やしたがらない場合は,原版では「world」という言葉を逆唱してもらうが,日本語版では「セカイチズ」や「フジノヤマ」の逆唱を採用しているものがある。「world」を例にすると,「dlrow」は5点,「dlorw」は3点というように逆唱したときに正しい位置にある文字の数を点数とする。文章の反復は1回のみで評価し,完全な反復に対して得点を与える。原版では「No ifs, ands or buts」という言葉であるが,うまく日本語に置き換えることが難しく,日本語版では暫定的に用いているもの(「つべこべ言っても駄目」や「みんなで,力を合わせて綱を引きます」等)が多い。書字の設問では,例を示すことはせず,自発的に文章を記載してもらう必要がある。また,文章には主語と述語が含まれていなければならないが,正しい文法や句読点でなくても構わないものとする。図形模写の設問は,交わった五角形の図形を示し,模写してもらうが,模写された図形は角が10個あり,2つの五角形が交わっている必要がある。図形を描く際の手指の震えによる線のゆがみは無視して評価する。その他にも細かい注意点があり,実施する前にはMMSEの原著論文および日本語版のマニュアルを参照していただきたい。

30点満点の検査であり,森らの日本語版MMSE7)では,カットオフ値を24/23点としたとき,感度83%,特異度93%だったと報告されている。このように非常に優れた結果が得られているが,MMSEは教育歴や年齢の影響を受けることがわかっている。教育年数が少ないと若年者でも点数が低くなることが報告されているが,それは発展途上国で多いと考えられ,我が国においては小学校と中学校の9年間は義務教育となっているため,Crumらの研究8)で9~12年の教育歴ではMMSEの平均は28 ± 1.9点だったと報告されていることより,そこまで影響はないと考える。但し,教育年数が16年以上の人を対象にMMSEを実施した研究で,認知症の人を検出するにはカットオフ値を27/26点としたときに,感度89%,特異度91%だったと報告されており,教育年数が高いと検査結果が良くなることが示唆され,検査に際して教育年数を確認する意義はあると考える9)。また,年齢についても85歳以上の人ではMMSEの平均点が24 ± 2.9点だったと報告されていたが8),これは1993年に報告されたpopulation-based studyのデータであり,正確な臨床診断はできていないことを制限として述べており,もしかすると現在の診断精度であればMCIや軽度ADとなっている人もいたかもしれない。MMSEはHDS-Rと同様にスクリーニング検査であるため,認知症の種類を鑑別できる検査ではないことは知っておく必要があり,原版でも認知症の種類は特定されておらず,神経変性型の認知症を対象にしていることや,うつ状態でもMMSEの点数の低下がみられたと報告されている。MMSEとHDS-Rの使い分けについては,両者に類似している問題があるが,MMSEは動作性の検査も含まれていること,HDS-Rは言語性の問題に重点を置いていることを考慮して,自施設で使用しやすい方を選択する必要があり,必ずしも両方の検査を行わなくても良いと考える。

3) 物忘れ相談プログラム10)

2002年に浦上らによって開発された,タッチパネル式コンピュータを用いた簡易認知機能スクリーニング検査である(Figure 2)。物忘れ相談プログラムは言葉の即時再認,日時の見当識,図形認識(立方体,三角柱),言葉の遅延再認の5項目で構成されている。HDS-RやMMSEは対人式の検査法であるのに対して,物忘れ相談プログラムはタッチパネル式コンピュータを用いた検査法であるので,対象者が一人でできるため,常に誰かが対応する必要はない。検査に要する時間も,HDS-RやMMSEが約10分かかるのに対して,物忘れ相談プログラムは約5分と短時間で行える。また,タッチパネル式コンピュータを用いることで,ゲーム感覚で検査を受けてもらえるため精神的,身体的なストレスが少ないことや,毎回同じ聞き方で質問をすることができるので検査者による差異や誘導尋問によりヒントを出してしまうといったことがない点は,利点であると考える。しかし,検査に際して注意が必要な点として,コンピュータの画面がちゃんと見えており文字も認識できているか,あるいは音声がしっかりと聞こえているかは検査を始める前に確認が必要である。さらに,今でこそタッチパネル式のコンピュータが世間に普及しているが,高齢者にとってはなじみが薄いため,操作性も教示する必要があり,うまく画面をタッチできておらず,解答していないことになっていたりする場合がしばしばみられる。ただし,物忘れ相談プログラムにはタッチパネル式コンピュータの操作に慣れてもらうために,1問だけ練習問題を実施することができる。初めて検査を行う人には練習問題からしてもらうことが望ましい。また,押し間違いによる再入力は,検査時間の延長によりストレスの原因になるため,基本的にはできないようになっている。被験者から押し間違えの訴えがあった際は,最後に点数を修正するように対応する。

Figure 2 

タッチパネル式コンピュータ

「物忘れ相談プログラム(MSP-1100)」。本体は充電して使うこともできるため場所を選ばずどこでも実施することができる。また,プリンターに接続しておけば,その場で結果を印刷することも可能である。

15点満点の評価であり,カットオフ値を13/12点としたときに,AD群と健常対照群を識別できる感度96%,特異度97%と報告されている11)。広く一般に使用されており,地域の認知症検診や病院での一次スクリーニングの際に用いられている。筆者の経験では,高齢者でもタッチパネル式コンピュータに対して抵抗なく検査を受けてもらえていると思われるが,やはり押し間違いには注意が必要である。また,物忘れ相談プログラムが13点の人は軽度認知障害(mild cognitive impairment; MCI)の可能性が高いとも考えられている。

4) Clock Drawing Test(CDT)3)

CDTは視空間認知と構成能力を評価できる簡易な検査である。CDTは多くの研究者からその有用性が報告されているが,施行法や採点法は統一されていないのが現状である12)。基本的には時計の文字盤を書き,そこに文字と指定時間の長針および短針を書くという簡単な検査である。しかし,方法に関しては,時間を指示して書かせる方法や,時計を見せてコピーさせる方法等,さまざまである。時計の円盤に関しては,事前に記載しているもの(外円法)もあれば円から書いてもらうもの(白紙法)もある。書いてもらう時間に関しても,10時10分や11時10分が多い印象であるが,8時20分や1時45分等様々で,なかには時間は記載させずに文字盤のみ記載させる方法もある。さらに大きな違いは採点法であり,これだけ検査法が多岐にわたるので,採点法も一致していないことはおのずと理解することができる。どの採点法を使うかで,疾患鑑別の感度や特異度に差があるため13),施設ごとにエビデンスを見極めた方法を選択する必要があるが,スクリーニング検査であるので,できるだけ簡単に評価できる方法が望ましいと考える。CDTはADやDLBで点数が悪くなるが,時間を指示して書かせる方法と比較して時計を見せてコピーさせる方法において,ADでは点数の改善を示したが,DLBでは改善が見られなかったことが報告されている14)

2. 総合的認知機能検査

1) Alzheimer’s Disease Assessment Scale(ADAS)2),3),15)

1983年にMohsら15)によって開発され,ADの認知機能障害を評価する認知機能下位尺度(ADAS-cog)と精神状態等を評価する非認知機能下位尺度(ADAS-non cog)の2つの下位尺度から構成されているが,ADAS-cogが独立した認知機能検査として用いられることが多い。認知機能下位尺度は記憶,言語,行為の3領域の評価に重点をおき,①単語再生,②口頭言語能力,③言葉の聴覚的理解,④喚語困難,⑤口頭命令に従う,⑥手指および物品呼称,⑦構成行為,⑧観念運動,⑨見当識,⑩単語再認,⑪テスト教示の再生能力の11項目で構成されている。一方,非認知機能下位尺度は涙もろさ,抑うつ気分,集中力の欠如,検査に対する協力度,妄想,幻覚,徘徊,多動,振戦,食欲の亢進/減少の10項目で構成されている。本稿では,認知症領域で多く使用されているADAS-cogについて言及する。

ADAS-cogは全問正解で0点,全問不正解で70点の検査となっている。MMSEやHDS-Rと違って,高得点になるほど認知機能障害が高度となる点は,注意が必要である。検査時間も約40分前後かかるため,スクリーニング検査として使用するものではない。ADASは原則としてADを対象としたコリン作動薬による認知機能の変化を評価することを目的としているため,治療効果を評価するために用いることが適切な使用方法であると考える16)。アメリカの食品医薬局(Food and Drug Administration; FDA)でもADの治験でADASを使用することを推奨されており17),ADの治験ではスタンダードで用いられている検査法であり,多くの論文から報告されている。ADAS-cogのADの自然経過として年間9~11点上昇すると報告されており,その悪化率は軽度ADや高度ADより中等度ADの方が高かったことが示されている18)。また,MMSEによる重症度分類別(MMSE < 23点:極軽度,MMSE = 20–23点:軽度,MMSE = 10–19点:中等度,MMSE = 0–9点:高度)のADAS-cogの点数としては,極軽度が23.1 ± 7.7点,軽度が22.9 ± 8.9点,中等度が38.6 ± 9.8点,高度が54.8 ± 7.6点だったと報告されている19)。一方でADAS-J cogはFASTによる重症度分類別の比較の点数として,軽度が15.5 ± 5.7点,中等度が26.7 ± 9.0点,高度が40.6 ± 13.4点となっており16),本来は重症度分類のために用いる検査ではないが,一つの参考としてご覧いただきたい。

2) Touch Panel-type Dementia Assessment Scale(TDAS)20)

浦上,井上ら20)によって開発された認知機能検査である。TDASは前述したADの進行度合いや薬物治療の効果を検出する指標として世界的に最も信頼性が得られている評価法であるADAS-cogを一部改変し,タッチパネル式コンピュータに導入したものである。物忘れ相談プログラムと同様で,日本光電工業株式会社から販売されており,一つの機械に物忘れ相談プログラムとTDASがソフトとして入っている形になっている(Figure 3)。検査項目は①単語再認,②口頭命令,③図形認識,④概念理解,⑤名称記憶,⑥時間の見当識,⑦お金の計算,⑧道具の理解,⑨時計の理解の9項目である。タッチパネル式コンピュータを用いる利点は物忘れ相談プログラムの項で記載した内容と同様であるが,特に大きな相違点としては,ADASは検査時間が約40分前後かかる緻密な検査であるため,ある程度検査を熟知した者が行うことが望ましいが,TDASはコンピュータが質問をするため,誰でも行うことができる。また,検査時間も約20分と短時間で実施可能である。

Figure 3 

タッチパネル式コンピュータの内容

1台のコンピュータに複数のソフトが内蔵されており,トップメニューには,物忘れ相談プログラム,TDAS,ものトレ(物忘れトレーニングプログラムの略で,現実見当識訓練,回想療法,認知刺激療法,音楽療法を利用して脳を活性化するソフト)が表示される。物忘れ相談プログラムは,簡易な質問を用いたスクリーニング検査であり通常5分以内に終わるが,TDASは,もう少し難しい質問となっており検査時間は約20分を要する。

TDASは全問正解で0点,全問不正解で101点の検査である。特に単語再認の配点は72点と最も高く,記憶に関する配点が大きくなっている検査であるため,ADに対して有用であることが示唆される。TDASは,≤ 6点が正常域,7~13点が予防域(MCIの多くが含まれる),≥ 14点が認知症の疑いになると概ね考えられており,地域の認知症検診や認知症予防教室の効果判定の際に頻用されており,その有用性も確認されている21),22)。TDASはADAS-cogを改変したプログラムであると記載したが,実際にTDASの点数と専門家が行ったADAS-cogの点数は極めてよく相関する(r = 0.69, p < 0.01)ことがわかっており,特に単語再認,名称記憶,日時の見当識は同等の評価ができていたと報告されている20)。TDASとADASの大きな違いとしては,TDASはコンピュータを用いた検査であるのでADAS-cogの11項目を全てコンピュータ化することができないため,ADAS-cogのうち7項目を採用し,新たに2項目(お金の計算,時計の理解)を追加している点である。

3) Severe Impairment Battery(SIB)2),3),23),24)

多くの認知機能検査は軽度から中等度の認知症患者を対象としており,認知機能が中等度から高度の認知症患者を評価する目的で開発された検査である。SIBは40個の質問からなり,社会的相互作用,記憶,見当識,言語,注意,実行,視空間能力,構成,名前への志向の9つの下位尺度から構成されている。100点満点で評価し,点数が低いほど認知機能障害が高度であることを示す。高度ADを対象とした治験でも評価尺度として用いられており,SIB日本語版の信頼性や妥当性の検討もされている25)。Schmittらの研究24)では,MMSEが16~20点の群はSIBが91.3 ± 4.6点,MMSEが10~15点の群はSIBが81.0 ± 18.6点,MMSEが5~9点の群はSIBが63.3 ± 16.7点,MMSEが0~4点の群はSIBが29.3 ± 18.2点だったと報告しており,一つの参考としてご覧いただきたい。

3. 観察式の重症度評価法

1) Clinical Dementia Rating(CDR)2),3),26)~28)

1982年にHughesら26)から報告され,国際的に広く使われている認知症の重症度を評価する観察式の評価尺度の一つである。検査に際しては,対象者本人だけでなく,本人の日常生活をよく知っている介護者からも情報が必要となる。検査は,記憶,見当識,判断力と問題解決,地域の活動,家庭状況および趣味,身の回りの世話の6項目について,論文で示されている判定表28),29)に基づき0点,0.5点,1点,2点,3点の5段階でそれぞれの項目を評価し,これらの6項目の評価点を総合的に判断しCDR = 0:健康,CDR = 0.5:認知症の疑い,CDR = 1:軽度認知症,CDR = 2:中等度認知症,CDR = 3:高度認知症と判定する。この総合的な判断の方法については,文献にわかりやすく記載されているのでそちらを参照していただきたい27)。一般的にCDR = 0.5はMCIあるいは極軽度の認知症と考えられている30),31)。CDRの使い方は総合評価だけでなく,6項目の合計点数を求めて評価(sum of boxes)する方法を用いている研究もあり,より定量的に認知症の経過を評価することも可能である。

2) Functional Assessment Staging(FAST)2),3),32)

1984年にReisberg32)らから報告された,ADの重症度をADLの障害によって分類する評価法である。CDRと同様に国際的に頻用されている観察式の臨床病期分類であり,我が国でも使用頻度は高い。評価は論文で示されている判定表29),32)に基づき,stage 1=正常,stage 2=年齢相応,stage 3=境界状態,stage 4=軽度AD,stage 5=中等度AD,stage 6=やや高度AD,stage 7=高度ADと判断される。またstage 6と7はさらに5段階と6段階の下位分類が設定されており,進行に応じた具体例が示されている。原版32)ではstage 1 = Normal,stage 2 = Forgetfulness,stage 3 = Early confusional,stage 4 = Late confusional,stage 5 = Early dementia,stage 6 = Middle dementia,stage 7 = Late dementiaとなっており,日本語版とは少し異なっているが,それぞれのstage分類の特徴として教示されている内容を考慮すると,日本語版の方が,臨床的には適切で理解しやすいと考えられている29)

最後に本稿で紹介した認知症の評価法についてTable 3にまとめたのでご参照いただきたい。

Table 3  本稿で紹介した認知症の評価法について
評価項目 スコア範囲 対象 補足
HDS-R 認知機能
(主に見当識,記憶,注意,言語)
0–30点
(30点:正常,0点:高度な障害)
一般的なカットオフ値:21/20点
患者本人 日本では頻繁に用いられている。
教育歴の影響は受けないと報告されている。
動作性の検査は含まれておらず,言語性の検査が主体である。
MMSE 認知機能
(主に見当識,記憶,注意,言語,構成能力)
0–30点
(30点:正常,0点:高度な障害)
一般的なカットオフ値:24/23点
患者本人 臨床診療で世界的に用いられている。
年齢,教育歴,読解記述力に影響を受ける。
認知機能障害の初期の兆候への感度は低い。
高度の患者には床効果がみられる。
物忘れ相談プログラム 認知機能
(主に見当識,視空間認知,記憶)
0–15点
(15点:正常,0点:高度な障害)
一般的なカットオフ値:13/12点
患者本人 タッチパネル式コンピュータを用いた認知機能検査。検査時間は5分以内と短時間で行える。
CDT 視空間認知,構成能力 コンセンサスが得られた採点方法がない 患者本人 検査法も多岐にわたり,それにより採点法も異なるため,標準化された方法がない。
ADAS-cog 認知機能
(主に見当識,記憶,実行機能,構成能力,注意)
0–70点
(障害が軽度なほどスコアが低く,高度な障害ほどスコアが高くなる)
患者本人 ADの治験で用いられるスタンダードな検査法。
検査には約40分前後を要するため,検査を熟知した者が行う必要がある。
TDAS 認知機能
(見当識,記憶,言語,実行機能,視空間認知)
0–101点
(障害が軽度なほどスコアが低く,高度な障害ほどスコアが高くなる)
患者本人 ADASを一部改変し,タッチパネル式コンピュータに導入した検査。
検査時間は約20分と短時間で実施できる。
専門の検査者は必要ない。
CDR 全体の状態
(記憶,見当識,判断力や問題解決能力,地域の活動,家庭状況や趣味,身の回りの世話)
5段階評価
(0=障害はない,0.5=疑いあるいは極軽度の障害,1=軽度障害,2=中等度障害,3=高度障害)
患者本人,介護者 神経病理学的変化との妥当性も検証されている。
6項目の合計点数(sum of boxes)を算出し,0–18点で評価する方法もある。
FAST ADLやIADL 7段階評価
(1=正常,2=年齢相応,3=境界状態,4=軽度AD,5=中等度AD,6=やや高度AD,7=高度AD)
患者本人,介護者 Stage 6と7はそれぞれ5段階と6段階のsubstageが設定されている。
SIB 認知機能
(社会的相互作用,記憶,見当識,言語,注意,実行,視空間能力,構成,名前への志向)
0–100点
(障害が軽度なほどスコアが高く,高度な障害ほどスコアが低くなる)
患者本人 MMSEやADASを完全に実施できない高度な患者に対して用いる。

HDS-R:改訂長谷川式簡易知能評価スケール,MMSE: Mini-Mental State Examination,CDT: Clock Drawing Test,ADAS: Alzheimer’s Disease Assessment Scale,TDAS: Touch Panel-type Dementia Assessment Scale,CDR: Clinical Dementia Rating,FAST: Functional Assessment Staging,SIB: Severe Impairment Battery,AD:アルツハイマー型認知症,ADL: activities of daily living,IADL: instrumental activities of daily living.

III  検査実施上の留意点

認知症に用いられる神経心理学的検査の多くは原版が英語であるため,英語から日本語に翻訳して使用する必要がある。その際に,適切な言語学的妥当性のある翻訳を行う必要があることと,文化の違いがあるため,文化的適応を行う必要がある。原版が英語の神経心理学的検査の多くは既に妥当性や信頼性が確認されている日本語版が公表されているが,例えばMMSEに関して言えば,数種類の日本語版が公表されており,原版と等価性が高いものを選ぶ必要がある5)

また,MMSEに関して著作権の問題が指摘されている33)。MMSEは前述したとおり,1975年に開発されたスクリーニング検査であるが,2000年になって著者らが権利を主張し始め,2001年に知的財産権がPsychological Assessment Resources(PAR)に移管された。このことにより,MMSEを使用するにはPARから購入する必要があり,要するに使用料を払わなければならなくなった。日本でも,株式会社日本文化科学社から日本語版のMMSE(MMSE-Japanese精神状態短時間検査)が販売されており,原版出版社であるPARとの契約に基づいて作成していると明記されている。実際に,sweet 16という16問からなる簡易な認知機能のスクリーニング検査34)の内容がMMSEと似ているというPARの要請で,sweet 16がインターネットから消されたという事例が発生したと報告されている33)。そもそもsweet 16を検証している論文では,MMSEの著作権のことにふれており,MMSEと類似している項目は,他の検査法でも広く用いられていると記載されている。Newmanらの論文33)の中でも,「copyleft(著作権を保持したまま,その著作物の使用,改変,コピー,配布を許諾するという概念)」を採用することで,医療の改善のための明るい未来を構築することができると述べているが,各検査法の使い方には注意が必要である。

IV  認知症患者への対応と注意事項

いきなり検査を実施せずに,警戒心を解くために,自己紹介を行ったり,場をなごませたりして検査者への信頼感を少しでも作ることが望ましいと考える。例えば,知らない場所に連れてこられ,知らない人にいきなり質問をされたら,どんな人でも不安になるだろう。場を和ますために多くの時間を使うことはできないが,限られた時間の中でも少しはできることがあると考える。

また,質問内容によっては馬鹿にしたように思われる人もいるため,「なかには簡単な質問もありますが,皆さんにお聞きしていることですのでご容赦ください」や「あなたが不快に思う質問があるかもしれませんがご容赦ください」のように事前にことわりを入れて,検査に対する心構えをしてもらうようにすることは検査をスムーズに行う上で重要である。筆者の経験では,ことわりの一言があることで被検者のみならず,検査者としても質問をしやすくなるという利点があると考える。検査の性質上全く不快に思わずに受けていただける方は少ない検査であるが,できるだけ配慮することで被検者に快く検査を受けてもらえるようにすることは可能である。認知症だから何もわからないのではなく,怒り,悲しみ,不快,楽しみ等の感情はいつまでも残っているため,自分が被検者になった際に,このように聞いてほしいというようなことを考えながら検査を行うことが大事である。このことが,検査の内容だけでなく認知症を十分理解した人が検査を行う必要があるということにつながっていると考える。さらに,多くの認知症は病態が緩徐に進行するため,経過観察で何度も来院し検査を受ける可能性がある。したがって,いつも快く検査を受けてもらえるようにするためにも認知症の方への接し方は大事であると考える。

V  診療報酬点数

2016年度現在の認知機能検査やその他の心理検査の診療報酬は,検査及び結果処理に概ね40分以上を要する「操作が容易なもの」は80点,検査及び結果処理に概ね1時間以上を要する「操作が複雑なもの」は280点,検査及び結果処理に概ね1時間30分以上を要する「操作が極めて複雑なもの」は450点と算定されている。なお,神経心理学的検査の項目は多岐にわたるため,詳細は診療報酬点数表等をご参照いただきたい。

COI開示

本論文に関連し,開示すべきCOI 状態にある企業等はありません。

文献
 
© 2017 Japanese Association of Medical Technologists
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