Japanese Journal of Medical Technology
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Case Reports
A patient with antibody against low-frequency red blood cell antigen Cob
Mami NAKAOMarie YAMADANaotomo YAMADASeiji KAWASAKIHideaki NAKAMURAYasushi KUBOTAShinya KIMURAEizaburo SUEOKA
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2020 Volume 69 Issue 3 Pages 445-450

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Abstract

低頻度抗原に対する抗体である抗Cobは,溶血性輸血反応の原因となることが知られている。今回我々は本邦において症例数の少ない抗Cobの検出を経験したので報告する。症例は75歳男性,右大腿動脈内膜摘除術目的に当院へ入院となった。術前検査として血液型検査,不規則抗体検査の依頼があり,血液型はA型RhD陽性,不規則抗体検査で陽性となったため同定検査を実施した。検査で陽性を示した赤血球試薬はいずれもCo(b+)であることから不規則抗体抗Cobの存在が疑われたが,当院では確定できなかったため,日本赤十字社九州ブロック血液センターへ精査を依頼した。後日,不規則抗体は抗Cobとの報告を受けている。手術に伴い赤血球液4単位の依頼があったが,抗Cob試薬を常備しておらず,赤血球製剤の抗原検索が困難であり,交差適合試験で陰性となった4単位を準備した。手術中には赤血球液2単位を輸血されたが,明らかな輸血副反応は認めていない。本症例は,不規則抗体スクリーニング,同定検査において抗原表のパターンと合致しない場合には低頻度抗原に対する抗体の存在も念頭に置く必要があることを再確認する症例であった。

Translated Abstract

The anti-Cob antibody, an antibody against low-frequency antigens, is known to cause hemolytic transfusion reactions. Here, we report a rare case involving the anti-Cob antibody. A 75-year-old man was admitted to our hospital for endarterectomy of the right femoral artery. Preoperative examinations for blood typing and irregular antibodies revealed that his blood type was type A and he was positive for RhD. He also showed a positive result in an irregular antibody examination; thus, identification of the antibody was performed. The presence of the irregular anti-Cob antibody was suspected because all the red blood cell reagents used were Co (b+), which explains the positive result for our patient’s serum. Then, we requested confirmation of the typing of the irregular antibody at the Kyushu Block Center of the Japan Red Cross, and the irregular antibody was proved to be the anti-Cob antibody at a later date. Although there was a request for four units of packed red blood cells for use during surgery, we did not have an anti-Cob reagent. Therefore, four units of packed red blood cells, which were negative in a cross-matching test, were prepared. Although two units of red blood cells were transfused during the operation, no obvious adverse reactions were observed. From our experience, it is necessary to consider the presence of an irregular antibody to low-frequency antigens when the result of a random antibody screening examination does not match the pattern on the antigen table.

I  はじめに

Colton血液型は,Coa(CO1),Cob(CO2),Co3(CO3),Co4(CO4)の4種類の抗原で構成されており,CoaとCobは優劣のない対立遺伝子で,第7染色体の短腕(7p14)にある1)。日本人の頻度はCo(a+b−)が99.4%,Co(a+b+)が0.6%で,Co(a‍−‍b‍+),Co(a−b−)の報告はない1),2)。Colton血液型の中で,Coaは高頻度抗原,Cobは低頻度抗原であり,これらの抗原に対する抗体,抗Coa,抗Cobは溶血性輸血反応の原因となることが知られている3)~5)。抗Cobの報告例は数少なく,調べた限りでは本邦において数例のみである6),7)。今回,我々は低頻度抗原に対する抗体である抗Cobを保有する症例を経験したので報告する。

II  症例

患者:75歳,男性。

既往歴:脳梗塞,左下肢静脈瘤,虫垂炎,憩室炎による腹腔内出血。

現病歴:閉塞性動脈硬化症,2型糖尿病,末期腎不全,慢性C型肝炎であり,両下肢のしびれを主訴とし,右大腿動脈内膜摘除術目的に当院へ入院となった。

輸血歴:不明。

術前検査:血液型はA型RhD陽性。不規則抗体検査で陽性となり,精査の結果,陽性を示した赤血球試薬がCo(b+)であることから,不規則抗体抗Cobの存在が疑われた。当院では確定出来ず,日本赤十字社九州ブロック血液センターへ精査を依頼し,後に不規則抗体は抗Cobとの報告を受けた(Table 1)。

Table 1  不規則抗体同定に至るまでの経緯
8月11日 術前検査で不規則抗体スクリーニング陽性。
精査の結果,低頻度抗原に対する抗体である抗Cobの可能性を示唆。
8月12日 担当医に以下の説明を実施。
・患者が不規則抗体陽性であること
・推測される不規則抗体は臨床的意義のある抗体で赤血球製剤の選択が必要であること
・適合血の確保は難しくないこと
・不規則抗体が低頻度抗原に対する抗体であり同定が困難であること
・不規則抗体の同定のためには日本赤十字社九州ブロック血液センターへ依頼が必要であること
・依頼のためには追加で採血が必要であること
8月18日 日本赤十字社九州ブロック血液センターへ依頼。
8月19日 手術中に赤血球液2単位の輸血を実施。
9月28日 日本赤十字社九州ブロック血液センターより不規則抗体は抗Cobであるとの報告を受ける。

輸血:手術に伴い赤血球液4単位の依頼があったが,当院は抗Cob試薬を常備しておらず,赤血球製剤のColton抗原検索が困難であり,交差適合試験で陰性となった4単位を準備した。手術中には赤血球液2単位が輸血されたが,溶血性輸血反応を示唆する臨床所見や検査データは認めなかった。

III  方法

1. 不規則抗体スクリーニング

全自動輸血検査システムAutoVue Innova(オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス社,以下オーソ社)にて低イオン強度溶液添加間接抗グロブリン試験(low ionic strength solution-indirect antiglobulin test; LISS-IAT)を実施した。また,試験管法では生理食塩液法,ポリエチレングリコール添加間接抗グロブリン試験(polyethylene glycol-indirect antiglobulin test; PEG-IAT)を実施し,赤血球試薬にイムコア社のパノスクリーン・トリオ,パノスクリーン・Diaを使用した。反応増強剤であるポリエチレングリコール(polyethylene glycol; PEG)PEG試薬はイムコア社のガンマPEGを,抗ヒトIgG血清はオーソ社のオーソ®抗ヒトIgG血清(ウサギ)を使用した。

2. 同定検査

同定パネル赤血球試薬にはオーソ社のリゾルブ®パネルA,イムコア社のパノセル-10を使用し,生理食塩液法,PEG-IATを実施した。反応増強剤,抗ヒトIgG血清は不規則抗体スクリーニングと同一のものを使用した。

3. 追加検査

酵素試薬であるイムコア社のガンマフィシン溶液を使用してCo(b+)赤血球試薬を処理し,PEG-IATを実施した。

また,検出した抗体の免疫グロブリンクラスの確認のためジチオスレイトール(dithiothreitol; DTT)で処理した血清でPEG-IATを実施した。

4. 直接抗グロブリン(direct antiglobulin test; DAT)

オーソ社の多特異性抗体,オーソ®クームス血清バイオクローンでDATを実施した。

5. 抗体価

反応増強剤無添加間接抗グロブリン試験(saline-indirect antiglobulin test; Sal-IAT),PEG-IATにてそれぞれ抗体価を測定した。

IV  結果

1. 不規則抗体スクリーニング

全自動輸血検査システムAutoVue Innovaによる不規則抗体スクリーニングでスクリーニング赤血球試薬No. 3にのみLISS-IATで(2+)の凝集を認めた(Table 2)。また,試験管法による不規則抗体スクリーニングでは生理食塩液法陰性,PEG-IATでDi(a+)血球にのみ(2+)の凝集を認めた(Table 3)。

Table 2  全自動検査システムAuto Vue Innovaによる不規則抗体スクリーニング結果
Cell No. Rh-hr Kell Duffy Kidd Xg Lewis MNS P LUTHERAN Special Antigen Typing LISS-IAT
D C E c e f Cw V K k Kpa Kpb Jsa Jsb Fya Fyb Jka Jkb Xga Lea Leb S s M N P1 Lua Lub
1 + + 0 0 + 0 0 0 + + 0 + 0 + + 0 0 + + 0 + + + + + + 0 + 0
2 + 0 + + 0 0 0 0 0 + 0 + / + 0 + + 0 + + 0 0 + + 0 + 0 + Di (a+) 0
3 0 0 0 + + + 0 0 0 + 0 + / + + + 0 + 0 0 + + 0 + + 0 0 + 2+

LISS-IAT:低イオン強度溶液添加間接抗グロブリン試験

Table 3  試験管法による不規則抗体スクリーニング結果
Cell No. Rh-hr Kell Duffy Kidd Lewis P MNS LUTHERAN Xg Special Antigen Typing Sal PEG-IAT IgG感作赤血球
D C E c e V Cw K k Kpa Kpb Jsa Jsb Fya Fyb Jka Jkb Lea Leb P1 M N S s Lua Lub Xga
1 + + 0 0 + 0 0 + + 0 + 0 + 0 + + 0 + 0 + 0 + + 0 0 + + 0 0 +
2 + 0 + + 0 0 0 0 + 0 + 0 + + 0 0 + 0 + + + 0 + + 0 + + 0 0 +
3 0 0 + 0 + 0 0 0 + 0 + 0 + + 0 + 0 0 + + 0 + 0 + 0 + 0 0 0 +
Di(a+) + 0 + + + 0 0 0 + 0 + 0 + + 0 + + 0 + + + 0 0 + 0 + + Co (b+) 0 2+ N.T.

Sal:生理食塩液法

PEG-IAT:ポリエチレングリコール添加間接抗グロブリン試験

N.T.:未実施

2. 同定検査

リゾルブ®パネルAを用いた試験管法では生理食塩液法(0~w+),PEG-IATで赤血球試薬No. 3に(3+),赤血球試薬No. 10に(2+)の凝集を認め,他は陰性であった(Table 4)。また,パノセル-10を用いた試験管法では生理食塩液法(0~w+),PEG-IAT陰性となった。反応のパターンは抗原表と一致せず,消去法を実施したところ,抗原表に記載されている抗原に対する抗体は全て否定された。Diaについてはさらに追加でDi(a+)赤血球試薬と反応させ,生理食塩液法陰性,PEG-IAT陰性を確認し否定した。

Table 4  試験管法によるリゾルブ®パネルA赤血球試薬での結果
Cell No. Rh-hr Kell Duffy Kidd Xg Lewis MNS P LUTHERAN Sal PEG-IAT IgG感作
赤血球
D C E c e f Cw V K k Kpa Kpb Jsa Jsb Fya Fyb Jka Jkb Xga Lea Leb M N S s P1 Lua Lub
1 + + 0 0 + 0 + 0 0 + 0 + / + + + + + + 0 + 0 + + + + 0 + 0 0 +
2 + + 0 0 + 0 0 0 0 + 0 + / + + 0 + 0 + 0 0 + 0 + 0 0 0 + 0 0 +
3 + 0 + + 0 0 0 0 0 + 0 + 0 + 0 + 0 + + 0 0 + + + + + 0 + 0 3+ N.T.
4 + 0 0 + + + 0 0 0 + 0 + / + 0 0 + + + 0 + 0 + 0 + + 0 + 0 0 +
5 0 + 0 + + + 0 0 + + 0 + / + + 0 + + + 0 + + + + + + 0 + w+ 0 +
6 0 0 + + + + 0 0 0 + 0 + / + 0 + + + + 0 + + 0 + 0 0 0 + w+ 0 +
7 0 0 0 + + + 0 0 + + 0 + / + 0 + + + + 0 + 0 + + 0 + + + 0 0 +
8 0 0 0 + + + 0 + 0 + 0 + 0 + 0 0 0 + + + 0 + + 0 + + 0 + w+ 0 +
9 0 0 0 + + + 0 0 0 + 0 + / + + + 0 + + + 0 + 0 0 + + 0 + w+ 0 +
10 0 0 0 + + + 0 0 0 + 0 + / + + 0 + 0 0 0 + 0 + 0 + + 0 + w+ 2+ N.T.
11 + + 0 0 + 0 0 0 + + 0 + / + 0 + 0 + + 0 + + + + 0 + 0 + w+ 0 +
自己 0 0 +

Sal:生理食塩液法

PEG-IAT:ポリエチレングリコール添加間接抗グロブリン試験

N.T.:未実施

Table 3の試験管法で反応したスクリーニング赤血球試薬の抗原表Special Antigen TypingにCo(b+)の記載があったことから,抗Cobの可能性を考え以下の追加検査を実施した。

3. 追加検査

他のスクリーニング赤血球試薬の中でSpecial Antigen TypingにCo(b+)と記載のあった赤血球試薬3本と患者血清を反応させたところ3本全てにおいてPEG-IATで(1+~2+)の凝集を認めた。フィシン処理した赤血球試薬でのPEG-IATで(2+)の凝集を認めた。DTT処理後の血清で検査を実施した結果,PEG-IAT(2+)と反応した。

4. DAT

DATは陰性であった。

5. 抗体価

抗体価は,Sal-IATで2倍,PEG-IATで32倍であった。

6. 日本赤十字社九州ブロック血液センターからの報告

患者血清とオーソ社のリゾルブ®パネルC,イムコア社のパノセル-10との反応は生理食塩液法陰性,PEG-IAT(0~2+)であり,オーソ社のリゾルブ®パネルCでは11本中2本で陽性,イムコア社のパノセル-10では11本中4本で陽性であった。オーソ社のリゾルブ®パネルCの抗原を調べたところ凝集を認めた赤血球試薬はCo(b+)で,凝集を認めなかった赤血球試薬はCo(b−)であり,また,イムコア社のパノセル-10で凝集を認めた赤血球試薬4本もCo(b+)であったことから抗Cobを示唆された。患者はDAT陰性,Co(b−)であった。さらに追加で患者血清とCo(b+)赤血球7本を反応させ,全てPEG-IATで陽性を示した。以上の結果より不規則抗体は抗Cobであるとの報告を受けた。

V  考察

抗Cobは1970年にGilesら8)によって報告された。Colton血液型に対する不規則抗体は溶血性輸血反応や新生児溶血性疾患の原因抗体となることが知られている3)~5)。今回検出した不規則抗体は,DTT処理後の血清においてもPEG-IATで反応を認めたことからIgG型であると推測された。抗Cobは自然抗体もしくは免疫抗体として存在するが,本症例がどちらであるかは判別できなかった。患者の現病歴,既往歴から過去に輸血された可能性も考えられるが,詳細は不明であり,また輸血が実施されていたとしてもCobは低頻度抗原(日本人は約0.6%)であることからCo(b+)の赤血球製剤が輸血された可能性は低いと思われる。今回当院での同定検査では,数本の赤血球試薬で生理食塩液法(w+)の凝集を認めたが,PEG-IATでの反応と一致しないこと,抗CobはIgGが主であり,IAT法で検出される9)ことからこの反応は抗Cobによる反応ではないと考える。また,酵素処理血球を用いた反応では,凝集の強さに増強は認められなかったが反応の強さは未処理血球と同等であり,Cobが酵素抵抗性であることを確認した。

抗Cobは溶血性輸血反応を起こす可能性があるため,輸血の際にはCo(b−)の赤血球製剤を選択する必要がある。しかしながら,Cobは低頻度抗原であり適合血を選択することは難しくないと考えられる。本症例においては手術に伴い赤血球製剤4単位の依頼があったが,当院では抗Cob試薬を所有していなかったため,赤血球製剤がCo(b−)であることの確認はできず,交差適合試験で陰性となった血液製剤を払い出し2単位が輸血された。その後の検査結果などから溶血所見はなく,明らかな溶血性輸血反応は認めていないと思われる(Table 5)。

Table 5  手術前後での血液検査結果
8月11日 8月20日 8月23日 8月26日 8月31日
手術8日前 手術後1日 手術後4日 手術後7日 手術後12日
Hb(g/dL) 9.9 10.0 11.7 10.5 10.4
PLT(×103/μL) 228 183 190 202 207
総-Bil(mg/dL) 0.6 0.5 0.4 0.3 0.3
非抱合-Bil(mg/dL) 0.5 0.4 0.2 0.2
AST(IU/L) 24 21 23 26 98
ALT(IU/L) 21 10 6 12 40
LD(IU/L) 214 230 204 184 250
K(mEq/L) 4.4 6.0 4.7 5.5 5.5
CRP(mg/dL) 0.39 7.10 3.13 1.01

※8月19日の手術中に,赤血球液2単位の輸血が実施された。

本症例は,手術直前での不規則抗体検出であり同定が困難であったことから,担当医へ交差適合試験で陰性となった血液製剤を払い出すこと,精査を依頼するために追加採血が必要であることを説明し,不規則抗体同定のために日本赤十字社九州ブロック血液センターへ精査を依頼した。低頻度抗原に対する抗体の存在が示唆された際に,自施設で抗体を同定することは限られた試薬の中では困難な場合があるが,適合血を得ることは難しくないため実際の輸血で問題となることは稀と考えられる。本症例では不規則抗体スクリーニングの赤血球試薬にCo(b+)が含まれていたことから低頻度抗原に対する抗体を検出し,またSpecial Antigen TypingにCo(b+)の記載があったこと,Co(b+)の赤血球試薬が数本あったことから不規則抗体が抗Cobであると推測できた。今回はメーカーからの抗原情報の取得は難しかったが,Special Antigen Typingに記載がない場合でも,メーカーに問い合わせることで情報を得られることがある。

低頻度抗原に対する抗体は,不規則抗体スクリーニング陰性で交差適合試験において陽性となり検出されることも少なくない。そのような場合には,血液製剤を払い出すまでに時間を要してしまう可能性やtype and screen(T&S),コンピュータクロスマッチにおいては見逃されたまま患者へ輸血される可能性が危惧される。しかしながら,Cob抗原陽性の頻度は日本人約0.6%,白人約10%であり,海外製の不規則抗体スクリーニング試薬を使用していることを考慮すると,交差適合試験よりも不規則抗体スクリーニングにおける検出の可能性の方が高いと考えられるが,本邦における抗Cobの検出は少なく,本症例は非常に稀な症例であったと言える。今後,国際化がますます進むことで国内ではあまり検出されなかった抗体に遭遇する機会が多くなると予想される。

VI  結語

今回,低頻度抗原であるCobに対する抗体,抗Cobを保有する症例を経験した。低頻度抗原に対する抗体は,不規則抗体スクリーニングにおいて検出されずに,交差適合試験において検出されることも少なくない。また,検出された抗体が抗原表の反応パターンに合致しないことなどから低頻度抗原であることが推測されるが,同定には苦慮する場合がある。本症例は抗原表のパターンと合致しない場合には,低頻度抗原に対する抗体の存在も念頭に置く必要があると再認識する症例であった。

COI開示

本論文に関連し,開示すべきCOI 状態にある企業等はありません。

謝辞

不規則抗体同定にご協力頂きました日本赤十字社九州ブロック血液センターの皆様に深謝いたします。

文献
  • 1)  前田 平生,他:「Colton(CO)血液型,Gill(GIL)血液型」,輸血学 改訂第4版,367–369,中外医学社,東京,2018.
  • 2)   永尾  暢夫,他:「日本人におけるColton式血液型の頻度とCo(a+b+)の2家系」,血液事業,1982; 5: 15–17.
  • 3)   Covin  RB et al.: “Acute hemolytic transfusion reaction caused by anti-Coa,” Immunohematology, 2001; 17: 45–49.
  • 4)   Michalewska  B et al.: “Anti-Coa implicated in severe hemolytic disease of the foetus and newborn,” Transfus Med, 2008; 18: 71–73.
  • 5)   Lee  EL,  Bennett  C: “Anti-Cob causing acute hemolytic transfusion reaction,” Transfusion, 1982; 22: 159–160.
  • 6)   菊池  正輝,他:「患者から検出された抗Cobの2例」,血液事業,1986; 9: 123.
  • 7)   西川  厚,他:「母児間に発症した自己免疫性溶血性貧血」,Immunohaematology, 1985; 7: 103–108.
  • 8)   Giles  CM et al.: “Identification of the first example of anti-Cob,” Br J Haematol, 1970; 19: 267–269.
  • 9)  Reid ME, Lomas-Francis C: “Cob Antigen (Colton System),” Blood Group Antigens & Antibodies, 26, SSB Books, New York, 2007.
 
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