臓器移植において,Rituximabはレシピエントに投薬することでB cell系の一部を枯渇化させ,一時的に抗体産生細胞への分化を抑制する働きがある。そのためドナー特異的抗体(DSA)となる新生抗体の産生抑制や,抗体関連型拒絶(ABMR)の予防および治療を目的に重要な役割を担う治療薬として使用されてきている。しかし,RituximabはDSAを検出する補体依存性細胞傷害試験(CDC-XM)のB cellに偽陽性を引き起こすことが知られている。本研究では,Rituximabの影響を回避するためMagnetic Beads,抗イディオタイプ抗体を用いた血清処理法と蛋白分解酵素を用いたB cell上のCD20抗原処理法について検討を行った。Magnetic Beads,抗イディオタイプ抗体を用いた血清処理法ではRituximab 600 mg/bodyまで偽陽性を回避することができた。しかし,蛋白分解酵素によるB cell処理法では安定した結果を得ることはできなかった。CDC-XMは,ウサギ補体に反応性を示す補体依存性抗体のみ検出する方法として今なお重要視されている抗体検出法である。今後Rituximab投薬症例に有用な血清処理方法になり得ると推察される。
The administration of rituximab to an organ transplantation recipient has the effects of depleting a part of B cells and temporarily suppressing their differentiation into antibody-producing cells. Therefore, rituximab has been used as a therapeutic drug to suppress the production of nascent antibodies that could develop into donor-specific alloantibodies (DSA) and treat antibody-mediated rejection. However, rituximab is known to cause a false positive result in the complement-dependent cytotoxicity crossmatch (CDC-XM) test using B cells, which is performed to detect DSA. In this study, to avoid the interference of rituximab, we investigated the protective effects against rituximab of a serum treatment method using magnetic beads and anti-idiotypic antibodies and a CD20 antigen treatment method using proteolytic enzymes on B cells. The serum treatment method enabled the prevention of false positives in patients administered with rituximab up to 600 mg/kg body weight. However, stable results could not be obtained with the B cell treatment method using proteolytic enzymes. The CDC-XM test is still the gold standard method for detecting only the complement-dependent antibodies that show reactivity with the rabbit complement. It is speculated that this serum treatment method will be a useful preconditioning method in the CDC-XM test for rituximab-administered cases.
臓器移植では,レシピエントが産生したドナー特異的抗体(donor specific alloantibodies; DSA)により移植臓器が障害を受け,抗体関連型拒絶(antibody-mediated rejection; ABMR)を引き起こすことがある。そのため,このDSAを正確に検出することがABMRの診断および発症リスクを判断する上で有益な情報になる。このDSAとしては,主にABO血液型不適合臓器移植に関与する抗血液型抗体や,感染・輸血・妊娠・再移植などにより免疫抗体として産生される抗HLA抗体などが代表的である。
近年では,このDSA陽性症例に移植前処置として,脱感作療法や抗体除去療法を併用した免疫療法が広く普及してきたことにより,移植後早期のABMRが回避できるようになり移植成績が向上している1),2)。
また,脱感作療法としては,2000年頃から分子標的薬である抗CD20モノクローナル抗体(Rituximab: IDEC Pharmaceuticals, Biogen IDEC, Cambridge, MA, USA)が臓器移植分野において広く使用されるようになってきた3)~5)。
このRituximabは本来,血液の癌であるB細胞性非ホジキンリンパ腫や自己免疫疾患に対する治療薬として,1990年前半に開発されたマウス-ヒトキメラ型モノクローナル抗体である6)。
Rituximabは,臓器提供を受けるレシピエントに投薬することで,B細胞系の一部を枯渇化させ,一時的に抗体産生細胞への分化を抑制する働きがある。そのため,ABO血液型不適合生体臓器移植では,レシピエント自身の脾臓摘出を回避することが可能となり,同時にABMRの予防および治療を目的に重要な役割を担う治療薬として使用されるようになってきた7),8)。
当院では,DSA検出法として,臓器提供されるドナーのリンパ球(T, B cell)とウサギ補体を使用した補体依存性細胞傷害試験(complement-dependent cytotoxicity crossmatch; CDC-XM),および細胞膜上での抗原抗体反応を検出するフローサイトメトリーリンパ球クロスマッチ(flow cytometry lymphocyte crossmatch test; FCXM)の2つの方法を使用して日常的に抗体を測定している9)。しかしながら,この2つの検査法は,通常ではRituximabを投薬した症例において,Rituximabに対する前処理を実施しないと偽陽性を呈してしまう。Rituximabの抗体構造のうち,定常領域がヒト抗体(IgG1)由来であり,補体結合能を有することがその原因と考えられる。このため,ドナーB cell表面に発現している分化抗原CD20にRituximabが結合すると,検査結果の判断が難しくなることから,Rituximab投薬後の症例では,ドナーリンパ球(B cell)を使用するクロスマッチ検査を省略する施設も多い10)。
筆者らは,以前ドナーリンパ球(T, B cell)を蛋白分解酵素protease type XIV(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)を用いて,リンパ球(T, B cell)上のFcγレセプターやCD20抗原を処理することで,Rituximabの影響を回避するFCXM前処理法を報告している11)。しかし,この方法ではCDC-XMに対して確実に偽陽性を回避することはできなかった。そこで,本研究では,CDC-XMについてもRituximabの影響を回避する前処理法を考案し検討を試みたので報告する。
東京女子医科大学において,本研究に同意を得た生体腎移植を施行したレシピエント5症例と,生体肝移植を施行したレシピエント3症例を対象とした。内訳は,抗HLA抗体陰性の生体腎移植レシピエント5症例(全例Rituximab 200 mg/body投薬),抗HLA抗体DSA陽性の生体肝移植レシピエント3症例(Rituximab投薬量は症例6:600 mg/body,症例7:500 mg/body,症例8:300 mg/body)である。
対象症例の検体使用に関しては,すべて個人同意を得て患者情報を匿名化し管理を行った。そして,関連企業との利益相反はなく,東京女子医科大学の倫理審査委員会承認(承認番号:3731-R)のもとに実施した。
Dithiothreitol(DTT, FUJIFILM Wako Pure Chemical Corporation Inc., Osaka, Japan)とレシピエント血清を1:9の割合で混和し,37℃,30分間静置反応した12)。
2. Magnetic Beadsを用いたレシピエント血清処理方法4.0 mLのMagna Bind Goat Anti-Mouse IgG Magnetic Beads(Magnetic Beads, Pierce Biotechnology, Rockford, IL)をTubeに加え,専用磁石(Stem Cell Technologie Inc., Cologne, Germany)にセットし室温5分間静置反応した。
Tubeの上澄み液を除去し,DTT処理したレシピエント血清を50 μL加え攪拌後,4℃,30分間静置反応した。専用磁石に再度セットし,室温5分間静置反応後,上澄み血清を回収した。
3. 抗イディオタイプ抗体を用いたレシピエント血清処理方法DTT処理した25 μLのレシピエント血清と,5 μLのanti-idiotypic rat anti-rituximab monoclonal antibody MB2A4(1 mg/mL; AbD Serotec, Oxford, UK)をTubeに加え攪拌後,4℃,30分間静置反応した。
4. ドナーリンパ球細胞分取方法ドナーのヘパリン加末梢血液より,EasySep法(Stem Cell Technologie Inc.)を用いてB cellを分取し,自動セルカウンターCell Drop FL(DeNovix Inc., Wilmington, DE)にて2 × 106 cell/mLに細胞数を調整した。
5. 蛋白分解酵素を用いたドナーB cell上のCD20抗原処理方法2.0 × 106個のドナー細胞に,蛋白分解酵素8 mg/mL protease type XIV(Sigma Chemical Co.)を加え攪拌後,37℃,11分間静置反応した。
6. 補体依存性細胞傷害試験(complement-dependent cytotoxic crossmatch; CDC-XM)60ウェルのTerasaki tray(One Lambda Inc., Canoga Park, CA)に,抗HLA抗体陰性血清negative control serum(NC: One Lambda)・陽性血清positive control serum(PC: One Lambda)およびレシピエント血清を各ウェルにそれぞれ1 μL加え,流動パラフィン(FUJIFILM Wako Pure Chemical Corporation Inc.)でカバーした。
各ウェルに,2 × 106 cell/mLに調整したドナーのB cellをそれぞれ1 μL分注し,37℃インキュベーターで60分間静置反応後,ウサギ補体(One Lambda)を5 μL分注し更に120分間室温静置反応させたあと,蛍光2重染色液FluoroQuench(One Lambda)を10 μL加え,カバーガラスをして位相差蛍光顕微鏡Eclipse Ts2(Nikon Instruments Inc., Melville, NY)にて判定した13)。
①Dithiothreitolで処理したレシピエント血清と未処理のドナーリンパ球
②Magnetic Beadsで処理したレシピエント血清と未処理のドナーリンパ球
③抗イディオタイプ抗体で処理したレシピエ ント血清と未処理のドナーリンパ球
④蛋白分解酵素で処理したドナーリンパ球と Dithiothreitolで処理したレシピエント血清
CDC-XMは,位相差蛍光顕微鏡を使用してドナーのB cellについて,それぞれ生細胞数Acridine Orangeと死細胞数Ethidium Bromideを画像統合ソフトウェアNIS-Elements Ar(Nikon Solutions Corporation, Tokyo, Japan)を用いて解析した14)。また,B cellのカウントは,輝点Bright spotによる二値化法で算定し死細胞率(%)として解析した。抗HLA抗体(DSA)は,Luminex法のLABScreen Single Antigen testにてnormalized Mean Fluorescence Intensity(nMFI)> 1,000陽性と定義した。
Bright spotによる二値化法でのNC,PC,Sample陽性率60%の位相差蛍光顕微鏡写真をFigure 1に示す。
Bright spotによる自動細胞カウント法においてNCの生細胞数728個,PCの死細胞数642個,陽性率60%(生細胞数266個,死細胞数407個)
CDC-XMの検討結果をTable 1に示す。
症例 No. |
抗HLA抗 体(DSA) |
Rituximab (mg/body) |
Dithiothreitol処理 | Magnetic Beads処理 | 抗イディオタイプ抗体処理 | 蛋白分解酵素処理 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
生細 胞数 |
死細 胞数 |
死細胞率 (%) |
生細 胞数 |
死細 胞数 |
死細胞率 (%) |
生細 胞数 |
死細 胞数 |
死細胞率 (%) |
生細 胞数 |
死細 1 胞数 |
死細胞率 (%) |
|||
1 | 陰性 | 200 | 0 | 1,831 | 100 | 1,888 | 9 | 0 | 2,085 | 0 | 0 | 978 | 1,042 | 52 |
2 | 陰性 | 200 | 3 | 1,995 | 100 | 1,688 | 12 | 1 | 1,939 | 4 | 0 | 1,064 | 876.6 | 45 |
3 | 陰性 | 200 | 0 | 2,053 | 100 | 2,116 | 4 | 0 | 2,184 | 0 | 0 | 817.6 | 1,030.4 | 56 |
4 | 陰性 | 200 | 5 | 1,870 | 100 | 2,008 | 16 | 1 | 2,008 | 4 | 0 | 904 | 1,232 | 58 |
5 | 陰性 | 200 | 6 | 2,098 | 100 | 1,952 | 4 | 0 | 2,002 | 8 | 0 | 1,470.4 | 506 | 26 |
6 | 陽性 | 600 | 0 | 1,939 | 100 | 163 | 1,781 | 92 | 277 | 1,818 | 87 | 95 | 2,048 | 96 |
7 | 陽性 | 500 | 0 | 1,928 | 100 | 986 | 1,020 | 51 | 937 | 1,048 | 53 | 169 | 2,028 | 92 |
8 | 陽性 | 300 | 0 | 1,888 | 100 | 1,862 | 624 | 25 | 1,830 | 701 | 28 | 168 | 1,824 | 92 |
8症例すべてCDC-XM B cell死細胞率は100%であった。
2. Magnetic Beadsで処理したレシピエント血清と未処理のドナーリンパ球抗HLA抗体陰性の5症例では,CDC-XM B cell死細胞率は症例1が0%,症例2が1%,症例3が0%,症例4が1%,症例5が0%であった。
抗HLA抗体DSA陽性の3症例では,CDC-XM B cell死細胞率は症例6が92%,症例7が51%,症例8が25%であった。
3. 抗イディオタイプ抗体で処理したレシピエント血清と未処理のドナーリンパ球抗HLA抗体陰性の5症例において,CDC-XM B cell死細胞率は0%であった。また,抗HLA抗体DSA陽性の3症例では,CDC-XM B cell死細胞率は症例6が87%,症例7が53%,症例8が28%であった。
4. 蛋白分解酵素で処理したドナーリンパ球とDithiothreitolで処理したレシピエント血清抗HLA抗体陰性の5症例において,CDC-XM B cell死細胞率は,症例1が81%,症例2が76%,症例3が98%,症例4が97%,症例5が70%であった。また,抗HLA抗体DSA陽性の3症例では,CDC-XM B cell死細胞率は症例6が96%,症例7が92%,症例8が92%であった。
近年,DSA検出法として,ヒトリンパ球を必要としない精製HLA分子を結合させた合成ビーズ法(solid phase assay; SPA)が普及してきた15)。SPAは,Total IgG・IgGサブクラス・Total C1q・Total C3dなど,DSAとなるIgGを種類ごとに測定することが可能となってきた。しかし,検査試薬自体がとても高価であることから,現時点ですべてを導入することは難しいのが現状である。
本邦における脳死または心停止下ドナーからの臓器移植は,(公社)日本臓器移植ネットワーク(Japan Organ Transplant Network; JOT)に登録されているレシピエントから選定が行われるが,そのDSAを判断する最終確認検査には,SPAではなくCDC-XMが重要視され,今もなおDSAの有無を正確に判定する検査法として位置づけられている。そして,施設によってはレシピエント候補のSPAから補助としてバーチャルクロスマッチを併用し,受諾の有無を決定している施設もある16)。
SPA結果解釈の課題は,shared epitopeの影響を受けること,HLAに類似した自然抗体を検出すること,使用する検査試薬により補体非依存性の抗HLA抗体も検出することなどから,提供臓器によってはCDC-XMと結果の乖離が生じ,判断が難しくなるケースが考えられる。
Rituximabは,plasma cellやPro B cellを除く,ほとんど全てのB cell表面に発現している分化抗原CD20に対して結合し,補体依存性細胞傷害作用(complement-dependent cytotoxicity; CDC)や抗体依存性細胞介在性細胞傷害反応(antibody-dependent-cellular-cytotoxicity; ADCC)などを介して,CD20陽性細胞を枯渇化する作用がある。
CD20抗原は,ヒトB細胞表面に存在する297個のアミノ酸からなる約35 kDaの抗原であり,細胞膜を4回貫通しているリンタンパク質である17)。Rituximab投薬後の抗HLA抗体陰性レシピエント血清は,通常の高速遠心処理やDTT処理のみでCDC-XMを実施すると,B cellに対して強陽性となりT cellは陰性になる。また,FCXMでは,T cellに対して弱陽性となり,B cellに対しては強陽性を呈することが知られている。
Vaidyaら18)は,このFCXMのT cellに対する弱陽性反応について,T細胞膜上のFcレセプターとCD20抗原構造には類似性があり,Rituximabが交差反応を示す可能性があると報告している。ただ,筆者らが以前報告した蛋白分解酵素を用いたドナー細胞上のCD20抗原処理法を用いれば,FCXMに関してはRituximabによる偽陽性を回避することが可能であった10)。そのため,本研究では,CDC-XMにおいても正確な結果を得る前処理方法の考案が急務であった。
一つ目の方法は,レシピエント血清中のIgM抗体を失活させるため,Dithiothreitolを用いて処理する方法である。この方法は,Rituximabの影響を含めたドナー特異的IgG抗体を主体として確認する目的で検討項目としたため,8症例すべて偽陽性のままの結果であった。
二つ目の方法は,Rituximabの抗体構造がマウス-ヒトのキメラ型抗体であることに着目し,マウス由来の可変部領域に対して,Anti-Mouse IgGを結合したMagnetic Beadsを使用し,Rituximab自体をレシピエント血清中から吸着除去する方法である。この方法は,Beardenら19)が既に先行文献を報告している。彼らの報告によると,FCXMにのみ有効であり,CDC-XMではRituximabの影響を完全に取り除くことができなかったと報告している。
彼らの反応条件は,20~25℃ 2時間であった。そこで,筆者らはFCXMにおいて2次抗体での静置反応を4℃にて実施している技術を応用し,4℃ 30分間静置反応させる条件に変更し,CDC-XMを実施した。その結果,抗HLA抗体陰性症例では,B cellがほぼ陰性化することを確認し,かつ抗HLA抗体DSA陽性症例においてもRituximab投薬前(症例6が100%,症例7が50%,症例8が30%)とほぼ変わらない結果が得られた。
三つ目の方法は,Rituximabの F(ab)2 fragmentに,抗イディオタイプ抗体であるラット抗リツキシマブモノクローナル抗体を直接結合させ,プレブロッキングする方法である。この方法は,Alheimら20)が既にFCXMについて先行文献を報告している。筆者らは,この方法についても4℃ 30分間静置反応させる条件に変更し,CDC-XMにも応用した結果,Magnetic Beads処理法とほぼ変わらない結果が得られた。
四つ目の方法は,蛋白分解酵素を用いて,臓器提供ドナー細胞上のCD20抗原を処理する方法である。細胞膜の基本構造は,脂質二重層で蛋白分解酵素を用いて,膜上抗原を処理する方法である。CDC-XMではヒトよりも高力価なウサギ補体を使用するため,脆弱な状態の細胞膜が直接傷害され,抗ドナー抗体ではない抗体が偽陽性反応を引き起こす。よって本研究では安定した結果を得ることはできなかったと考えられる。
本研究で使用したRituximab投薬量は,症例1~5まで200 mg/body,症例6が600 mg/bodyでDSA陽性,症例7が500 mg/bodyでDSA陽性,症例8が300 mg/bodyでDSA陽性であった。本研究での最大投薬量である600 mg/bodyまでレシピエント血清を確実にMagnetic Beadsや抗イディオタイプ抗体で処理することで,Rituximabの影響を回避できたことは今後の移植医療において有効な手法になると考えられる。
Shirakawaら21)の報告では,Rituximabを200 mg/body投薬で良好な移植成績であったと腎移植において報告がなされていることから,移植医療において最大投薬量600 mg/bodyまでRituximabの影響を回避できれば十分であると考えられる。
本邦では,CDC-XMの結果判定を通常目視で判断している施設が主流であるが,今回,当院に導入したBright spotによる二値化法は,通常の主観的な判定から,客観的な判定が容易になり,初心者でもCDC-XMの結果判定がしやすくなると考えられる。
本研究の検討結果から,CDC-XMにおいてRituximabによる偽陽性を回避する方法として,筆者らが考案したレシピエント血清のMagnetic Beadsおよび抗イディオタイプ抗体で処理したレシピエント血清を使用することで,今後正確なDSA鑑別に有効であると考えられた。
CDC-XMは,DSAを正確に検出し,ABMRの診断および発症リスクを判断する上で重要な抗体検出法あることから,今回報告した血清処理方法は,今後Rituximab投薬症例に有用な血清処理方法になり得ると推察される。
本論文に関連し,開示すべきCOI 状態にある企業等はありません。