Journal of Japan Academy of Psychiatric and Mental Health Nursing
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Effects of Acceptance and Commitment Therapy (ACT) on Personal Recovery of Psychiatric Day Care Patients
Hirotada KatoHironori YanagisawaHideo OkumuraMasato InoueTakashi Mitamura
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2023 Volume 32 Issue 2 Pages 12-22

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Abstract

目的:精神科デイケア利用者9名に対し,3名ずつの小集団によるアクセプタンス&コミットメント・セラピー(G-ACT)を実施し,パーソナルリカバリーへの効果を検討した.

方法:G-ACTはプログラム4回とフォローアップ2回で実施し,シングルケースデザインを用いて個別に効果を検討した.効果指標は,価値に基づく行動の生起頻度とパーソナルリカバリーの測定尺度(QPR)を用いた.

結果:9名中5名に価値に基づく行動の生起頻度に有意な増加が認められた(Tau = 0.44~0.57, p < .05).QPRは9名中6名に有意な上昇が認められた(Tau = 0.55~0.75, p < .05).QPRに有意な上昇のなかった3名は価値に基づく行動にも有意な増加はなく効果量も小さかった(Tau = 0.15~0.17).

結論:G-ACTにより価値に基づく行動の生起頻度が上昇した5名はQPRも上昇し,パーソナルリカバリーを促進することが示された.今後は,効果量の小さかった対象者の状況要因を分析し,介入方法をさらに検討する必要がある.

Translated Abstract

Purpose: Group acceptance and commitment therapy (G-ACT) was conducted involving 9 psychiatric day care patients (3 in each group), and its effect on personal recovery was examined.

Methods: G-ACT was implemented with four program sessions and two follow-up sessions. We hypothesized that G-ACT would promote personal recovery and examined the effects of individualized intervention using a single case design. As effect indicators, the frequency of occurrence of value-based actions and Questionnaire about the Process of Recovery (QPR) were used.

Results: A significant increase in the frequency of occurrence of value-based actions was observed in 5 out of the 9 patients (Tau = 0.44–0.57, p < .05). With regard to QPR, a significant increase in the score was observed in 6 out of the 9 patients (Tau = 0.55–0.75, p < .05). Three patients who did not show a significant difference in the QPR score did not exhibit a significant increase regarding value-based actions with a small effect size (Tau = 0.15–0.17).

Conclusion: Five patients whose frequency of occurrence of value-based actions increased by G-ACT also showed an increase in the QPR score, indicating that G-ACT promotes personal recovery. In the future, it will be necessary to analyze situational factors of subjects with small effect sizes and further examine methods of intervention.

Ⅰ  はじめに

リカバリーとは,疾患を経験した個人が成長し人生の新しい意味や目的によって,その人の態度・価値・感情・目標・スキル・役割を変化し発展させていく極めて個別的なプロセスであり(Anthony, 1993),その個別的な側面を強調し「パーソナルリカバリー」とも呼ばれる(Slade, Amering, & Oades, 2008).Leamy et al.(2011)は,系統的レビューにより,パーソナルリカバリーの構成要素として,人とのつながり(Connectedness),将来への希望(Hope),アイデンティティ(Identity),人生の意味(Meaning),エンパワメント(Empowerment)の5つのテーマを抽出している.この5つのテーマは,頭文字から「CHIME」と名付けられ,精神保健分野のパーソナルリカバリー支援の指針となっている(Slade, Oades, & Jardan, 2017).

パーソナルリカバリーに有効とされる支援には,これまで培われてきた従来のリカバリーを志向する実践があり,IMR(Illness Management and Recovery),WRAP(Wellness Recovery Action Planning),リカバリーカレッジなどが挙げられる(Slade, Oades, & Jardan, 2017).また,ポジティブ心理学は,精神的健康を維持するためのウェルビーイングを重視しているため,疾患からのリカバリー後も継続する支援として期待されている(Slade, Oades, & Jardan, 2017).

本邦の看護領域においては,千葉・宮本・川上(2011)が,ポジティブ心理学を取り入れたリカバリー促進プログラムの効果を検討している.また,WRAPの視点を取り入れた看護計画によるリカバリーへの影響の前後比較(小瀬古ら,2020)や,IMRの取り組みによるパーソナルリカバリーへの影響の質的分析(杉本・森崎,2021)など,従来のリカバリー支援におけるパーソナルリカバリーへの効果に着目した看護支援が検討され,その有効性が示唆されている.現時点においては,アウトカムとしてのパーソナルリカバリーへの効果だけでなく,個別のプロセスとしてパーソナルリカバリーへの効果を実証的に検討していくことが課題となっている.

O’Donoghue et al.(2018)は,パーソナルリカバリー支援のためのアクセプタンス&コミットメント・セラピー(Acceptance and Commitment Therapy;以下,ACT)のプログラムを開発している.パーソナルリカバリーとは,疾患の症状軽減だけでなく,目標や希望に基づき人生に参画し,価値あるアイデンティティや社会的役割を取り戻しながら,人生の意味や目的を見出していくプロセスである(Anthony, 1993).ACTの介入では,人生の意味や目的を「価値」として明確化し,その「価値に沿った行動」,すなわち,その人個人が定めた人生の方向性に自ら進んでいくプロセス,の促進を目指す(Harris, 2009/2012).そうした価値に基づいた人生への参加を促進するという意味において,パーソナルリカバリーを促進することができる(O’Donoghue et al., 2018).

これらの知見から,加藤ら(2021)は,パーソナルリカバリー支援のための統合失調症者に対する集団ACTプログラム(Group-based ACT;以下,G-ACT)を,看護師を含む多職種チームで実施し,3名でのG-ACTの効果を検討している.対象者は,疾患からの回復段階である精神科デイケアに通所する慢性期統合失調症患者であった.この研究では,価値に基づく行動の生起頻度(例:セルフケアの自立を目指した「食器洗い」の日々の回数)を行動指標とし,シングルケースデザインを用いて系時的に反復測定することで,パーソナルリカバリーへの効果を検討している.統計的分析の結果,介入前と介入期以降において,G-ACTに参加した3名全員に価値に基づく行動の生起頻度に有意な増加(p < .05)が認められた(Tau = 0.43~0.53).この結果は,パーソナルリカバリーの継続的なプロセスへのG-ACTの有用性を,シングルケースデザインを用いることで実証的に示すものであった.シングルケースデザインを用いた実践は,看護領域でも用いられており(鎌倉,2016),セルフマネジメントを支援し,治療後の日常生活につなげていく継続的なプロセスを支援するために用いられている.

これらの結果を踏まえ,パーソナルリカバリーへの効果を検討するためには,疾患からの回復段階における継続的プロセスとして,統合失調症に限らず,その効果を検討する必要がある.なぜなら,対象者としている精神科デイケアの利用者にとって,自分らしい人生を価値に沿って生きるというパーソナルリカバリーをACTによって促進することは,統合失調症に限らず,精神保健の支援として期待されることだからである.また,パーソナルリカバリーの先行研究では,パーソナルリカバリーを測定するための尺度開発が進められ,その構成要素である「CHIME」を包括するQPR(Questionnaire about the Process of Recovery)(Neil et al., 2009)が開発されている.Neil et al.(2009)は,この尺度を用いて精神保健の支援に活用することを検討している.既述の加藤ら(2021)の研究では,パーソナルリカバリー尺度を用いた検討はされていない.こうした尺度の使用はパーソナルリカバリーについて検討する上で有益と考える.

そのため,本研究においては,パーソナルリカバリーの継続的プロセスを捉えるためのシングルケースデザインを用いた反復測定において,標準化された尺度であるQPRと,参加者ごとに設定される「価値に基づく行動」の生起頻度を使用し,それぞれでの変化の出方の相違についても検討することとした.また,疾患を限定せずパーソナルリカバリーへの効果を検討するため,精神科デイケアに通所する人全体に対象を広げ,研究を実施した.

Ⅱ  研究目的

精神科デイケアの精神疾患を抱える利用者に対しG-ACT介入を実施し,パーソナルリカバリーを促進する効果を検証することを目的とした.

Ⅲ  方法

1. 研究デザイン

シングルケースデザイン(多層ベースラインデザイン)を用いた介入研究.

2. 対象者の選定および参加依頼の方法

選定基準は,精神科デイケア利用者であり,認知機能が安定しG-ACTの言語交流が可能な者であり,主治医が承諾した者とした.除外基準は,精神症状が強く急性増悪状態の者,定期的な通所が難しい者とした.参加依頼の方法は,対象者に研究の目的,方法,倫理的配慮を口頭と書面を用いて具体的に説明した.介入中には質問紙や活動記録表の自己記録を依頼するが,簡便にチェックする方法であることを説明した.研究への同意は任意であり,同意が得られなくても不利益になることはない旨を伝え,心理的な強制力が働かないように配慮した.参加の同意を得られた人に,同意書に署名していただき,研究参加者とした.

3. 倫理的配慮と安全上の配慮

本研究は,第一著者の所属大学(承認番号:2愛県大学情第1-33号)および研究協力施設の倫理審査委員会の承認を受けた.安全上の配慮には,デイケアスタッフの第四著者に日々の観察を依頼し,精神保健指定医である第三著者および主治医と密に連携しセッションごとに参加者の状態や関係性を話し合い,症状の悪化が懸念される場合には介入を中断し,治療的対処を依頼できる体制で実施した.

4. 実施機関・プログラムの実施者

精神科デイケアにて第一著者がファシリテーターとなり第二著者と実施した.第一著者は精神科臨床経験15年の精神看護専門看護師(7年目)であり公認心理師資格を取得している.認知行動療法やACTの研修を100時間以上受講し統合失調症への認知療法とACTの実施経験がある(加藤ら,2021).介入はACTを専門とする公認心理師の第二著者と第五著者のスーパーヴァイズの下で実施した.

5. 効果指標とデータ収集方法

1) 主要評価指標としたアウトカム指標

①Questionnaire about the Process of Recovery(QPR)日本語版(Kanehara et al., 2017, 2020):パーソナルリカバリーをQPRで測定した.得点が高いほどリカバリープロセスを体験していることを示す.各セッション後に回答を得た.

②価値に基づく行動の生起頻度:事前面談のイニシャル・アセスメントを第二著者と共に行い,標的とする各個人の価値に基づく行動を各参加者と決定し,実践した行動の生起回数を活動記録表に正の字で記録してもらい週ごとに集計した.

2) ACT介入におけるプロセス指標

ACTの介入プロセスの効果を検討するため開発された尺度において,日本語版の信頼性と妥当性が検証されている尺度を用いた.文献と内容を以下に記す.

①Valuing Questionnaire(VQ)日本語版(土井ら,2017):VQは前進因子・阻害因子の各5項目の2因子尺度であり,前進因子が高いと価値に沿えており,阻害因子が高いと価値に沿えていないことを示す.各セッション後に回答を得た.

②Cognitive Fusion Questionnaire(CFQ)日本語版(嶋ら,2016):得点が高いほど思考に囚われる傾向を示す7項目尺度であり,各セッション後に回答を得た.

③Acceptance and Action Questionnaire II(AAQ-II)日本語版(嶋ら,2013):AAQ-IIは得点が高いほど体験の回避が強いことを示す尺度であり,1因子7項目版を使用した.各セッション後に回答を得た.

6. 統計的分析方法

シングルケースデザインの統計的分析にはBaseline Corrected Tau(Tarlow, 2017)を用いた.この分析法は,ベースライン期の上昇や下降の傾向を測定し,ベースライン自体に有意な傾き(p < .05)がある場合,この影響を統制した上で,ベースライン期と介入後のデータとの効果量と有意差の検定ができる.Baseline Corrected Tau Calculator(http://ktarlow.com/stats/tau/)を使用した.

Ⅳ  介入の手続き

1. 介入方法

介入は3名ずつの小集団とし,多層ベースラインデザインを用いて2週間ごとに介入の開始時期をずらし3グループ(計9名)に実施した.多層ベースラインデザインは,介入開始時期を集団間でずらすことで,介入を開始した集団と介入を開始していない集団とがある時期において比較することができるため,介入を開始した集団の変化が介入によるものであるか視覚的に分析することができる.介入の効果検証は効果量Tau-Uによる統計的検定も実施するため,多層ベースラインデザインによる視覚的な分析は,介入の効果を検討する際の参考とした.

2. G-ACTプログラムの内容

G-ACTは,加藤ら(2021)によるリカバリー支援のためのACTプログラムを再構成し,プログラム4回,フォローアップ2回の全6回を実施した(表1).このACTプログラムは,人生の道のりを自身がバスの運転手となって走る「バスの乗客」メタファーを一貫して用いる.このメタファーは,バスの方向性(人生における価値の明確化),運転を邪魔する乗客の声(言語による思考・イメージ)への対応(脱フュージョン),その上でどのように運転し続けるか(アクセプタンス)というACTのプロセスを包括的に説明できる(O’Donoghue et al., 2018).扱うメタファーやエクササイズは,日本語での容易な理解が得られるものを選択するため,翻訳書籍の意味内容が伝わりやすいものを用いた(Ciarrochi, Hayes, & Bailey, 2012/2016Harris, 2009/2012).グループの規模は,加藤ら(2021)と同様にO’Donoghue et al.(2018)の介入プログラムを参考とし,介入実施者を2名,1グループ3名とし,セッションの時間は60分とした.

表1

G-ACTの概要

実施形態 タイムライン 全体の実施内容
研究者 参加者
1 個別 インテーク面接
ベーライン1回目
(約1ヶ月前)
研究説明の後,同意書の記入を依頼.インテーク面接を行い,標的とする価値に基づく行動を仮定し,活動記録表の書き方と今後の記載を依頼する. 参加者は同意の後,同意書に記入する.活動記録表の書き方を練習する.面接後に質問紙(QPR, VQ, CFQ, AAQ-II)を記入する(その場で回収).
2~5 集団 ベースライン
2~5回目
活動記録表の確認および継続の依頼をしていく. 活動記録表の提示と継続を確認.説明後に質問紙(QPR, VQ, CFQ, AAQ-II)を記入する(その場で回収).
6 集団 ACTプログラム
1回目
第1回のテーマ:価値の明確化
・価値に沿って生きることの動機づけ
・自身の価値の明確化
活動記録表の提示と確認をともに行う.グループのエクササイズに参加する.最後に,質問紙(QPR, VQ, CFQ, AAQ-II)を記入する(その場で回収).
7 集団 ACTプログラム
2回目
第2回のテーマ:脱フュージョン
・人間の言語によるバーチャルな体験
・頭の中の声(マインド)との関わり方
活動記録表の提示と確認をともに行う.グループのエクササイズに参加する.最後に,質問紙(QPR, VQ, CFQ, AAQ-II)を記入する(その場で回収).
8 集団 ACTプログラム
3回目
第3回のテーマ:アクセプタンス
・呼吸法とボディエクササイズ
・不快なマインドや感情の受けとめ方
活動記録表の提示と確認をともに行う.グループのエクササイズに参加する.最後に,質問紙(QPR, VQ, CFQ, AAQ-II)を記入する(その場で回収).
9 集団 ACTプログラム
4回目
第4回のテーマ:全体をつなぐ
・脱フュージョンの復習
・アクセプタンスの復習
・観察する自己への気づき
活動記録表の提示と確認をともに行う.グループのエクササイズに参加する.最後に,質問紙(QPR, VQ, CFQ, AAQ-II)を記入する(その場で回収).
10 集団 フォローアップ
1回目
ACTプログラムのフォローアップ介入を実施する.
活動記録表の確認と継続をフォローアップする.
活動記録表の提示と継続を確認.グループのエクササイズに参加する.最後に,質問紙(QPR, VQ, CFQ, AAQ-II)を記入する(その場で回収).
11 集団 フォローアップ
2回目
ACTプログラムのフォローアップ介入を実施する.
活動記録表の確認と継続をフォローアップする.
活動記録表の提示と継続を確認.グループのエクササイズに参加する.最後に,質問紙(QPR, VQ, CFQ, AAQ-II)を記入する(その場で回収).

3. ベースライン期

初回のみ個別に事前面談を実施した.イニシャルアセスメントと標的行動の選定を,第二著者と共に行った.具体的には,睡眠,起床,食事,家族交流,日課,外出頻度,対人交流,趣味や余暇などを聴き,「今後できるようになりたいこと」「さらに増やしたい行動」を聴き取った.その上で,今後増加することで対象者のQOLが向上すると予想される行動を「価値に基づく行動」と仮定し,対象者に説明し同意の得られた行動を,継続して自己記録することを依頼した.

4. ACT介入期

1) 各セッションの構造

それぞれのセッションは次の3つの内容によって構成された.①活動記録表の確認:活動記録表の継続を確認し,日々の価値に基づく行動について実践した感想を報告してもらい,行動が維持できるようにフィードバックを行った(15~20分).②各プロセスの導入:当該セッションの目的に沿った,新たなメタファーやエクササイズの導入を行った(20~30分).③ホームワークの説明:実施したワークに関連する内容を踏まえ,次回までに実践する価値に基づく行動を活動記録表へ記載してもらい,ホームワークとして設定した(10~15分).

2) 第1回:価値の明確化(#6)

「バスの乗客」メタファーを説明し,導入で「人生のすごろくエクササイズ」(Ciarrochi, Hayes, & Bailey, 2012)を実施した.思いつきで選択した6つの数字に基づいて人生をすごろくに沿って進め,価値に沿わない生き方を一通り体験してもらった.その後,すごろくの中から大切にしたい価値を選択してもらい,価値に沿って生きる動機づけを促した.次に「価値の明確化エクササイズ」(Harris, 2009)を行った.このエクササイズでは自分の願いが叶う「魔法の杖」や「あり余る財産」メタファーにより,お金でできることは全てし尽くしてもらった後に何がしたいかを聴くことで,本当に大切な価値の明確化を促した.その後,価値の4領域(人との繋がり,働くこと,成長と健康,余暇)を説明し,価値の見落としを確認し「価値の的エクササイズ」(Harris, 2009)により視覚化し理解を深めた.

3) 第2回:脱フュージョン(#7)

自身の行動を邪魔する乗客の声(「どうせやれるわけがない」などのネガティブな声)を共有した.次に「頭の中の声エクササイズ」(Harris, 2009)として,人間の言語がバーチャルな世界を生み出す体験と,言語による頭の中の声(マインド)が,いかに制御できないものであるかを「マインドの引き算(ができない体験)エクササイズ」と「一番好きな食べ物(を思い浮かべない)エクササイズ」(Harris, 2009)を用いて体験してもらった.乗客と向き合いバスのハンドルを離すこと(現実体験から離れること)を「バスの乗客」メタファーを用いて説明し,乗っては降りていく乗客を眺めて観察することの有効性を検討した.

4) 第3回:アクセプタンス(#8)

乗客の声(マインド)の特性を復習し,どのように受けとめ運転し続けるか(アクセプタンス)を身体感覚による「呼吸法とボディエクササイズ」(O’Donoghue et al., 2018)「拡張のエクササイズ」(Harris, 2009)を用いて行った.「拡張のエクササイズ」では不快なマインドを想起し,ボディエクササイズでその居場所を特定し,優しく拡張する体験により,その不快な感覚が変化する体験を促した.

5) 第4回:全体をつなぐ(#9)

各セッションの構造に沿って振り返り後,これまでのワークをつなぐ自己視点として,脱フュージョンとアクセプタンスの体験を用いながら,ただ観察する自己に気づくエクササイズを行なった.最後にG-ACT全体の感想を共有した.

5. フォローアップ期

1) フォローアップ(#10〜#11)

新たなワークの導入は行わず,明確となっている価値に基づく行動プランを,1セッションの流れに沿って振り返ることを中心に行い,これまで体験したワークを用いて,自己記録の継続と生活の中での実践への動機づけを続けた.

2) 最終セッション(約3ヶ月後)

介入は実施せず,活動記録表の回収と,質問紙の記入のみを実施した.

Ⅴ  結果

1. 研究参加者の概要

参加した9名の概要を表2に示す.3名ごとにG-ACTに参加し,各効果指標をベースライン期より系時的に測定した.G-ACTプログラム介入は,多層ベースラインデザインにより2週間ごとの時間差で3グループに実施された.

表2

研究参加者の概要

グループ 年齢 性別 診断名 研究参加期間中の状況変化
P1 G1 60歳代前半 女性 統合失調症
P2 40歳代後半 女性 うつ病 ベースライン期にQPRが有意に低下
P3 40歳代前半 女性 躁うつ病 統合失調症 ベースライン期にQPRが有意に低下
P4 G2 40歳代後半 男性 統合失調症 フォローアップ期に体調不良あり,2回目を延期
P5 40歳代前半 女性 統合失調症 プログラム後に失恋経験あり,その後休職する
P6 70歳代前半 女性 うつ病
P7 G3 30歳代後半 男性 統合失調症 プログラム3回目を欠席,プログラム後1ヶ月入院
P8 60歳代前半 女性 神経症 うつ病
P9 60歳代後半 女性 うつ病 ベースライン期にQPRが有意に低下

2. 効果指標の統計的分析結果

主要評価指標としたアウトカム指標のQPRの推移と,価値に基づく行動の生起頻度の推移を図1に示す.プロセス指標を含むBaseline Corrected Tauによる統計分析結果を表3に示す.P7(ID7番のParticipantを示す.以下同様)はプログラム3回目を欠席し,プログラム介入終了後に1ヶ月の入院となったため,自己記録できなかった価値に基づく行動の生起頻度は,統計的分析から除外した.

図1

QPRと価値に基づく行動の生起頻度の変化

Note. QPR = Questionnaire about the Process of Recovery. VDB = Value-directed behaviors. Frequency of occurrence of individual’s value-directed behavior was calculated for each week.

表3

Baseline Corrected Tauによる統計的分析結果

Outcome measures
QPR Tau SE p Value-directed behaviors Tau SE p
P1 Baseline trend 0.89 .068 P1 Baseline trend –0.22 .794
Baseline vs. Since Intervention 0.75 0.27 .005* Baseline vs. Since Intervention 0.57 0.26 .005*
P2 Baseline trend –1.00 .027* P2 Baseline trend 0.67 .308
Baseline vs. Since Intervention (Baseline Corrected) 0.63 0.32 .018* Baseline vs. Since Intervention 0.49 0.28 .016*
P3 Baseline trend –0.95 .043* P3 Baseline trend 0.18 1.000
Baseline vs. Since Intervention (Baseline Corrected) 0.73 0.28 .006* Baseline vs. Since Intervention 0.46 0.29 .029*
P4 Baseline trend –0.40 .462 P4 Baseline trend 0.50 .242
Baseline vs. Since Intervention 0.17 0.40 .568 Baseline vs. Since Intervention 0.33 0.29 .098
P5 Baseline trend –0.32 .613 P5 Baseline trend 0.74 .130
Baseline vs. Since Intervention 0.17 0.40 .566 Baseline vs. Since Intervention 0.36 0.30 .078
P6 Baseline trend 0.20 .806 P6 Baseline trend 0.30 .546
Baseline vs. Since Intervention 0.72 0.28 .008* Baseline vs. Since Intervention 0.44 0.28 .034*
P7 Baseline trend 0.00 1.194 P7 Baseline trend –0.75 .070
Baseline vs. Since Intervention 0.15 0.44 .675 Baseline vs. Since Intervention
P8 Baseline trend 0.80 .086 P8 Baseline trend 0.52 .133
Baseline vs. Since Intervention 0.55 0.34 .042* Baseline vs. Since Intervention 0.45 0.28 .021*
P9 Baseline trend –1.00 .027* P9 Baseline trend 0.47 .260
Baseline vs. Since Intervention (Baseline Corrected) 0.69 0.30 .009* Baseline vs. Since Intervention 0.34 0.31 .103
Process measures
VQ Progress Tau SE p VQ Obstruction Tau SE p
P1 Baseline trend 0.11 1.000 P1 Baseline trend –0.11 1.000
Baseline vs. Since Intervention 0.37 0.38 .188 Baseline vs. Since Intervention –0.41 0.37 .142
P2 Baseline trend –0.60 .267 P2 Baseline trend –0.36 .579
Baseline vs. Since Intervention 0.18 0.40 .563 Baseline vs. Since Intervention 0.41 0.37 .156
P3 Baseline trend 0.12 1.000 P3 Baseline trend 0.12 1.000
Baseline vs. Since Intervention 0.52 0.35 .066 Baseline vs. Since Intervention –0.09 0.41 .799
P4 Baseline trend 0.22 .794 P4 Baseline trend –0.32 .613
Baseline vs. Since Intervention 0.07 0.41 .869 Baseline vs. Since Intervention –0.41 0.37 .141
P5 Baseline trend 0.00 1.227 P5 Baseline trend 0.20 .806
Baseline vs. Since Intervention 0.29 0.39 .317 Baseline vs. Since Intervention –0.71 0.29 .011*
P6 Baseline trend 0.53 .312 P6 Baseline trend –0.40 .462
Baseline vs. Since Intervention 0.07 0.41 .864 Baseline vs. Since Intervention –0.45 0.37 .103
P7 Baseline trend 0.74 .130 P7 Baseline trend –0.74 .130
Baseline vs. Since Intervention –0.22 0.44 .523 Baseline vs. Since Intervention –0.10 0.45 .831
P8 Baseline trend 0.53 .312 P8 Baseline trend 0.32 .613
Baseline vs. Since Intervention 0.63 0.32 .021* Baseline vs. Since Intervention –0.26 0.39 .367
P9 Baseline trend 0.00 1.000 P9 Baseline trend 0.95 .043*
Baseline vs. Since Intervention 0.49 0.36 .131 Baseline vs. Since Intervention (Baseline Corrected) –0.74 0.28 .006*
CFQ Tau SE p AAQ-II Tau SE p
P1 Baseline trend –0.22 .794 P1 Baseline trend –0.74 .130
Baseline vs. Since Intervention –0.69 0.30 .011* Baseline vs. Since Intervention –0.76 0.26 .005*
P2 Baseline trend –0.11 1.000 P2 Baseline trend 0.53 .312
Baseline vs. Since Intervention –0.04 0.41 .935 Baseline vs. Since Intervention 0.43 0.37 .120
P3 Baseline trend 0.00 1.194 P3 Baseline trend –0.32 .613
Baseline vs. Since Intervention 0.26 0.39 .364 Baseline vs. Since Intervention –0.14 0.40 .677
P4 Baseline trend –0.53 .312 P4 Baseline trend –0.20 .806
Baseline vs. Since Intervention –0.45 0.36 .101 Baseline vs. Since Intervention –0.19 0.40 .513
P5 Baseline trend 0.53 .312 P5 Baseline trend 0.80 .086
Baseline vs. Since Intervention –0.61 0.32 .023* Baseline vs. Since Intervention –0.39 0.38 .164
P6 Baseline trend –0.32 .613 P6 Baseline trend –0.84 .096
Baseline vs. Since Intervention –0.30 0.39 .286 Baseline vs. Since Intervention –0.64 0.31 .020*
P7 Baseline trend –0.32 .613 P7 Baseline trend –0.22 .794
Baseline vs. Since Intervention –0.16 0.44 .668 Baseline vs. Since Intervention –0.30 0.43 .406
P8 Baseline trend –0.53 .312 P8 Baseline trend –0.74 .130
Baseline vs. Since Intervention –0.04 0.41 .934 Baseline vs. Since Intervention –0.28 0.39 .326
P9 Baseline trend –0.60 .267 P9 Baseline trend 0.80 .086
Baseline vs. Since Intervention –0.09 0.41 .799 Baseline vs. Since Intervention –0.04 0.41 .935

* p < .05

Note. QPR = Questionnaire about the Process of Recovery; VQ = Valuing Questionnaire; CFQ = Cognitive Fusion Questionnaire; AAQ-II = Acceptance and Action Questionnaire II.

1) QPRの変化

3名(P2; P3; P9)に,ベースライン期において有意(p < .05)な下降のトレンドが認められ,その3名はベースライン期の統制をした上で検定を行なった.結果,9名中6名に,介入期以降に有意な上昇(p < .05)が認められた(P1: p = .005, Tau = 0.75; P2: p = .018, Tau = 0.63; P3: p = .006, Tau = 0.73; P6: p = .008, Tau = 0.72; P8: p = .042, Tau = 0.55; P9: p = .009, Tau = 0.69).その他3名(P4, P5, P7)のQPRに有意差はなく,効果量は小さかった(Tau = 0.15~0.17).

2) 各参加者の価値に基づく行動(Value-directed behaviors)の生起頻度の変化

5名の価値に基づく行動の生起頻度が,ベースライン期と介入期以降の比較において,有意な増加が認められた(P1: p = .005, Tau = 0.57; P2: p = .016, Tau = 0.49; P3: p = .029, Tau = 0.46; P6: p = .034, Tau = 0.44; P8: p = .021, Tau = 0.45).統計的分析から除外したP7以外の,その他3名(P4; P5; P9)に有意差はなく,効果量は中程度であった(Tau = 0.33~0.36).目視分析では,P4は介入1~2回目までは上昇し,その後にベースライン期のレベルに戻り維持した.P5は介入期に著しい上昇傾向のトレンドがあったが,フォローアップ期に入るとベースライン期のレベルまで戻り,上昇と下降を繰り返しながらそのレベルを維持した.P9は,生起頻度は60回以上の記録が維持されており,実践の取り組みは多かったが,ベースライン期と介入期以降との比較においては,有意な差は認められなかった.

3) プロセス指標の変化

VQ Progress(前進因子)は,1名にのみ有意な上昇がみられた(P8: p = .021, Tau = 0.63).VQ Obstruction(障害因子)は,2名に有意な減少がみられた(P5: p = .011, Tau = 0.71; P9: p = .006, Tau = 0.74).CFQは2名に有意な減少が認められた(P1: p = .011, Tau = 0.69; P5: p = .023, Tau = 0.61).AAQ-IIは2名に有意な減少が認められた(P1: p = .005, Tau = 0.76; P6: p = .020, Tau = 0.64).その他のプロセス指標に有意な差は認められず,得点量は個人間のばらつきが大きかった.

Ⅵ  考察

1. 効果指標の分析結果によるパーソナルリカバリーへの効果

パーソナルリカバリーを評価したQPRは9名中6名に有意な上昇(p < .05)が認められた.そのうちの5名は,価値に基づく行動の生起頻度も有意に増加しており,G-ACTによる介入が,パーソナルリカバリーを促進する効果が期待できることが示された.しかし,QPRに有意な上昇のあった6名中の3名(P2; P3; P9)は,Baseline Corrected Tauの分析において,ベースライン期にネガティブな有意な傾きがみられていた.このことは,ベースライン期において,家庭やデイケアでのネガティブな状況要因に左右されていた可能性があると考えられた.また,質問紙による自身をモニターすること自体が負担となり,ネガティブな傾向へ向かわせる要因であった可能性がある.この3名は,いずれもうつ症状の診断を受けている対象者であった.しかし,介入後に,有意なポジティブな変化がQPRにみられたことからは,うつ症状を抱える当事者に対しても,G-ACTの介入が,負担を伴いながらも,徐々にパーソナルリカバリーを実感できるようになっていく過程につながったと考える.

QPRが有意に上昇した6人のうち,ベースラインが安定して経過した3名(P1; P6; P8)は,プロセス指標においても,VQ,CFQ,AAQ-IIのいずれかの指標にポジティブな有意差(p < .05)がみられた.このことは,G-ACTでテーマとした「価値の明確化」「脱フュージョン」「アクセプタンス」のいずれかが影響した可能性があり,G-ACT介入プロセスが個別性に沿って影響しパーソナルリカバリーの一助になったと考える.しかし,中期的なプロセスへの介入であるため,ベースライン期の安定に限らず,介入期以降の状況要因(薬物の使用,デイケアにおける通常の集団プログラムの効果など)の影響も考慮していく必要がある.

QPRに有意な変化のなかった3名(P4; P5; P7)は,効果量も小さかったが(Tau = 0.15~0.17),ベースライン期よりの悪化はみられなかった.この3名は,価値に基づく行動においても有意な増加はなかったが,効果量は中程度であり(Tau = 0.33~0.36),研究期間全体を通しての脱落はなく,自己記録と効果指標の測定による自己観察は続けられていた.これらのことから,G-ACT介入によるパーソナルリカバリーへの効果として,価値に基づく行動の生起頻度が強く増進された場合には,QPRも上昇する可能性が高いことが示された.また,QPR,価値に基づく行動の生起頻度の効果量が小さい場合にも,G-ACTの悪影響は少なく,パーソナルリカバリーのプロセスを支持する可能性が示された.

2. パーソナルリカバリーに対するG-ACTの有用性の検討

パーソナルリカバリーは,疾患を経験した個人が,人生の意味や目的を見直し成長していく極めて個別的なプロセス(Anthony, 1993)である.また,そのプロセスは,次々と達成されていくような直線的なものではなく,小さな一歩の連続である(Deegan, 1988).本研究では,G-ACTの介入がパーソナルリカバリーを促進すると仮説を立て,実証的に効果を検討した.価値に基づく行動の生起頻度とQPRの多層ベースラインデザインにおける介入開始前後の視覚分析では,価値に基づく行動の生起頻度は9名中6名が増進し,QPRは9名中7名が上昇する変化がみられた.ベースライン期と介入期以降における統計的分析によるTau-Uの効果量検定では,価値に基づく行動の生起頻度とQPRが,ともに上昇する傾向が5名に認められたことからは,G-ACTがパーソナルリカバリーの一助となる可能性を,実証的に示すことができたと考える.また,QPRに有意差のなかった3名においてもベースライン期の値よりの減少はなく,維持されたことから,全ての人が同じペースでパーソナルリカバリーのプロセスを進んでいるわけではなく,実生活の中でそれぞれの障壁を抱えながらも,少しずつゆっくりとパーソナルリカバリーに向かう道のりを辿っていることが考えられた.

この3名のG-ACTの経過を辿ると,P4は体調不良によりフォローアップ2回目を延期して実施しており,P5はプログラム介入後に失恋というネガティブな状況要因が発生していた.P7は精神症状の悪化によるプログラム3回目の欠席連絡があり,プログラム終了後に1ヶ月の入院期間があった.これらのことは,G-ACTの中で自身を観察する視点をプログラム4回目の観察する自己のエクササイズとして扱ったが,P5は失恋を受け止め,プログラム介入の中で表出することができ,P7は精神症状の悪化を自覚し入院する意思をプログラムの中で表出していた.ネガティブな状況要因が重なる中でも,自己観察をし続け,上昇と下降を繰り返しながらも維持する過程は,パーソナルリカバリーの過程と捉えることができ,その変化のプロセスを下支えし維持する効果があったと考える.

診断横断的なG-ACTのパーソナルリカバリーへの有用性として,全体の効果量はTau = 0.33~0.57であり,加藤ら(2021)の統合失調症圏のみを対象とした結果(Tau = 0.43~0.53)とほぼ同様の結果であった.通常のデイケアプログラムの効果,見知った間柄での人間関係の影響など,その他の状況要因が相乗して作用していることを考慮した上で,精神科デイケアでの診断横断的なパーソナルリカバリー支援の1つとして,G-ACTの有用性を付加できたらと考える.

3. パーソナルリカバリーを支援するための看護への示唆

パーソナルリカバリーは,看護を含む精神保健分野の支援目標であり,いかにそのプロセスを評価し支援に活かすかが課題である.今回G-ACTの実践に対し,シングルケースデザインを用いて個別的なプロセスを捉え,参加者と共に系時的に観察しながら支援を行ったことは,パーソナルリカバリーという個別的で縦断的なプロセスに対する支援としての1つの方法論となることを,提示することができたと考える.看護は他の医療福祉職と比べても個別性を重視した当事者主体の支援を実践しており,関わる時間,心理的な距離の近さ,さらには信頼関係においても当事者に最も近い職種であると考える.G-ACTのスキルや考え方を用いながらも,ベースとなる看護支援の在り方と関係性が基盤となるため,その実際の看護支援を,介入前,介入中,介入後を通して実証的に検討することは,看護展開と評価を適切なものとし,今後の看護の発展につながると考える.

4. 本研究の課題

本研究では,精神科デイケアに通所できる人を対象としており,幅広い重症度や精神疾患への一般化には限界がある.対象者は9名と少人数であったが,シングルケースデザインを用いて個別の継続的プロセスを実証的に検討することは可能であり,個別性を重視する看護支援を向上するために今後も1つ1つの支援内容を個別のプロセスとして実証的に可視化し,パーソナルリカバリーのデータの蓄積と検証を積み上げていく必要がある.

謝辞

本研究にご協力頂きました研究参加者および研究協力施設の関係職員の皆様に心より感謝申し上げます.

著者資格

HKおよびTMは,研究の着想およびデザイン,論文の作成を行なった.HKおよびHYは,介入の実施とデータ収集,MIおよびHOは,介入時以外の観察とデータ収集を行なった.HK,HYおよびTMで,データ分析を実施した.作成された草稿に著者全員が助言し,著者全員が最終原稿を読み,承認した.

利益相反

本研究における利益相反は存在しない.

文献
 
© 2023 Journal of Japan Academy of Psychiatric and Mental Health Nursing
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