Journal of Environmental Chemistry
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Review
Human exposures to per- and polyfluoroalkyl substances (PFAS) and their biomonitoring
Kouji H. HARADAYukiko FUJII
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2026 Volume 36 Issue Special_Issue Pages s44-s49

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要約

ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とペルフルオロオクタン酸(PFOA)は撥水・撥油剤,泡消火剤,フッ素樹脂製造補助剤などに使用されてきた。日本国内では血中PFAS濃度に地域差が認められ,曝露源として,関西や東京の複数地点で濃度が高かった飲料水が考えられた。一方で魚や貝類からPFOSなどが検出されている。血中PFAS濃度は魚介類摂取量と相関することから,魚介類からの摂取は曝露のベースラインとなると考えられる。ヒトバイオモニタリング,特に血液サンプルを用いた手法がPFAS曝露評価において信頼性が高い。PFOSとPFOAは主に血液と肝臓に分布し,長い半減期を有する。尿や母乳中のPFAS濃度は低く,分析には血漿または血清が適している。過去のデータでは,1970年代から2000年代にかけて日本の血液サンプルでPFAS濃度が上昇している。また,長鎖ペルフルオロアルキルカルボン酸も広く存在する。沖縄,大阪,岐阜など地域的な汚染が存在する地域での2020年以降の調査では,ドイツや米国の機関が推奨する指針値を超える高濃度のPFAS血中濃度が確認された。今後の取り組みとして分析方法の標準化,曝露源の特定,包括的な健康リスク評価が求められる。

Summary

Per- and polyfluoroalkyl substances (PFAS) are highly fluorinated organic compounds characterized by perfluoroalkyl chains such as CF3- or -CF2- groups. Perfluorooctane sulfonate (PFOS) and perfluorooctanoic acid (PFOA) are the most studied PFAS, used in water/oil repellents, firefighting foams, and fluoropolymer production aid. Due to their chemical stability and resistance to biodegradation, PFAS persist in the environment and accumulate in wildlife and humans. Exposure occurs through contaminated water, air, food, and consumer products. Studies have shown regional differences in PFAS levels in Japan, with higher concentrations of drinking water in several locations of Kansai and Tokyo. Seafood is a substantial source of exposure, with PFNA and PFUnDA detected in fish and shellfish. Thus, blood levels of PFAS correlate with seafood intake and biomarkers like eicosapentaenoic acid. Human biomonitoring, especially via blood samples, is the most reliable method to assess PFAS exposure. PFOS and PFOA mainly distribute in blood and liver, with long half-lives (e.g., PFOA: 3.8 years). Since PFAS levels in urine and breast milk are low, blood plasma or serum is preferred for chemical analysis. Historical data show increasing PFAS levels in Japanese blood samples from the 1970s to 2000s, especially in Kyoto. Long-chain perfluoroalkyl carboxylic acids (e.g., perfluorononanoic acid, perfluoroundecanoic acid) are also prevalent and may affect lipid metabolism. Recent surveys in Okinawa, Osaka, and Gifu where local contaminations exist revealed high PFAS blood levels, exceeding guidance values recommended by German and U.S. agencies. These values were derived from epidemiological evidence on health risks of developmental effects, cholesterol elevation, and increased diabetes and cancer risks. The guidance recommends exposure reduction and clinical follow-up for individuals exceeding the threshold levels. Future efforts should focus on standardized analysis, identification of exposure sources, and comprehensive health risk assessments. Despite regulatory bans of selected PFAS, legacy contamination and ongoing exposure from other PFAS remain concerns.

1. はじめに

Per- and Polyfluoroalkyl substances(PFAS)は有機フッ素化合物のうち,フッ素化の程度が高いものの一群であり,定義としては完全にフッ素化された,トリフルオロメチル基(CF3-)又はジフルオロメチレン基(-CF2-)からなるPerfluoroalkyl chainを持つ化学物質を示すものである1。これらはそれぞれの物質の特性に応じて種々の利用がある。ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS),ペルフルオロオクタン酸(PFOA)はこれまでにもっとも調査,研究が行われてきたPFASである。PFOSは撥水・撥油剤(代表的な製品に3M社のスコッチガード)の構成原料,泡消火剤,半導体リソグラフィの光酸発生剤,メッキ加工のミスト防止剤などに用いられ,PFOAはフッ素樹脂の製造工程での乳化剤としての使用のほか,種々のPFASの副生成物として含有される2。それらの製造,使用,廃棄の過程により,環境へ放出されてきた。

PFOS,PFOAに代表されるPFASのペルフルオロアルキル鎖は化学的に安定であり,生分解をうけず,長期間環境に残留する。PFOSは野生生物で広く検出されており,生物濃縮性が高いと考えられている3。PFOAは野生生物での検出例はPFOSより比較的まれで生物濃縮性は低いが4,ヒトにおいては体内半減期が3.8年と長い5

PFOS,PFOA以外にも環境中で検出されるPFASとして,PFOA(炭素数8)より炭素数が多い,長鎖ペルフルオロアルキルカルボン酸(LC-PFCA,炭素数9以上)が挙げられる。LC-PFCAはPFOS,PFOAと同様に極めて安定した化学構造を持ち,環境中で分解されにくく,生体内に蓄積しやすい性質を有している。

2. PFASの曝露

PFASは水,大気,食事,日用品などの経口,経気道,経皮吸収から体内へ入る可能性がある。水道水の水源が汚染されたことで高いPFAS曝露を受けていた地域が世界各地で発覚してきた。日本の河川,水道水を調査した研究ではPFOAが関西の河川,水道水で他の地域より高い濃度で検出されている6。一方,関東の多摩川の流域ではPFOSが高かった6。京阪神で血液中PFOA濃度が高かったという地域差7は水道水以外の要因もある。大気中PFOA濃度は関西では比較的高いことが報告されており8,地域差をいくらかは説明しうると考えられる。食事は多くの生物蓄積性を示す化学物質の主要曝露経路であるが,PFASも例外ではない。陰膳法の食事調査では2000年代では約 100 ng/dayのPFOA,PFOSを摂取していた9。別の陰膳調査ではPFOAの摂取量は平均で約 20 ng/dayと低いものの,LC-PFCAも検出されている10

これらのLC-PFCAへの曝露はどこに由来するかについてはいくつかの調査がある。魚介類からのPFNAやPFUnDAの検出も報告されている。北太平洋の14地点で採取されたマダラからPFNAやPFUnDAが高濃度で検出され,日本近海での汚染が顕著であることが示されている11,12。また貝類としては,汽水域に生息するアサリに含まれるPFASの調査事例があり13,14,PFOAが比較的高く,陸域からのPFOA負荷を反映している可能性がある。農林水産省の調査(令和6年度国産農畜水産物に含まれるPFASの実態調査結果)では,マイワシ,カツオ,アサリ,ホタテガイなどの魚介類からPFNAが検出されていた15。これらの結果は,海洋環境を通じた食物連鎖によるPFASの濃縮と,魚介類を通じたヒトへの曝露の可能性を強く示唆している。魚介類の摂取量やバイオマーカーであるエイコサペンタエン酸濃度が血清中PFAS濃度と関連していた16,17。グリーンランドのイヌイットを対象とした調査でも血液中PFAS濃度が極めて高いことが報告されており18,食物連鎖の高次の生物を食料とすることのリスクを示した。

3. PFASのヒトバイオモニタリング

以上のようなそれぞれの媒体のモニタリング結果から平均的なPFAS曝露量を推計することも可能ではあるが,実際には食品や日用品ごとの差が大きく,個人ごとの生活習慣,接触期間の違いが大きいことから,個人ごとの値としての推計値は不確実なものとなる。個人ごとの曝露評価を行う上では,体内濃度を基にした生物モニタリングによる推定がもっとも信頼しうる。ヒト生物モニタリングで使用される血液や尿などは,個人ごとの様々な経路からの曝露の総和を反映することから種々の曝露経路を総合したものといえるし,多くのPFASについては代謝物などの存在を考慮する必要も少ないため用いやすい。

PFASのバイオモニタリングには身体への侵襲性が比較的少ない血液がよく用いられる。PFOS,PFOAの体内分布としても血液と肝臓が大きいことから,血液濃度で主要な臓器の濃度を代表すると考えられる19。尿は侵襲性がほとんどないことから種々の環境化学物質のモニタリングに利用されるが,PFASについては,利用は少ない。PFOSとPFOAは,ラットとマウスでは主に腎臓から尿中に排泄されるが20,ヒトでの腎クリアランスは極めて低く,尿中濃度が低いためである21。母乳中のPFASを分析した文献もあるが,血液中濃度に比べると低濃度である22,23。このことから,母乳を利用したバイオモニタリングは授乳婦に対してのモニタリング手法としては限られる一方で,乳児にとっての曝露量を知るうえでは重要である。毛髪や爪を用いた報告もあるが,血液中濃度との関連,体内動態モデルについての検討がまだ十分ではない24,25

血液の構成成分は,細胞成分(赤血球,白血球,血小板)と液体成分に大別される。多くの場合,液体成分である血清あるいは血漿が用いられる。細胞成分を含む検体との比較はこれまでに行われているが,PFOS,PFOAは大半が血清,血漿に分布するが一部のPFASでは細胞成分への分布が見られることから注意が必要である26。液体成分としては血漿,血清では凝固成分であるフィブリノゲンの有無の違いであり,これはPFAS濃度への影響は軽微とされている。

PFOS,PFOAのように体内半減期が長い,つまり蓄積しやすいPFASについては,サンプル採取した時点での濃度が,それ以前の一定期間の曝露量を反映するということから,過去の曝露状況として用いることも可能であり,疫学研究では,横断的に採取された血液であっても,症例対照研究とみなすことも可能となる。これらのことから多くの疫学研究では血中PFAS濃度を曝露指標として用いられることが多い。血中濃度のほかの曝露の推計値として,水道水の汚染地域では飲水量27,職業曝露では業務内容を用いて推計することもあるが28,特定の曝露源がある場合に限られる。

4. 血液中のPFAS濃度の長期動向

上記のようにPFASの曝露評価において,血液中濃度の測定は最も直接的かつ信頼性の高い手法であり,日本国内でも複数の地域で調査が実施されている。京都大学生体試料バンクを用いた2003~2004年の調査では,全国10地域・男女各10名ずつ,計200検体を分析した結果,ほぼすべての検体からPFOSおよびPFOAが検出され,地域差が顕著に現れた6。関西ではPFOAが高くなっていた。実際に水道水でも濃度が高かったことが反映されたものと考えられた。

有機フッ素化合物の普及から,ヒト血液中で有機態フッ素が検出されることは知られていた29。米国3M社の研究グループは,ヒト血清中からPFOA・PFOSがppbのオーダーで検出され,特にPFOSが大きな割合を占めることを報告した30。その濃度は1960年代のヒト血清中の有機態フッ素濃度とあまり変わらないことから,長期傾向として増加している可能性については否定的であった。米国メリーランド州でのコホート研究の保存血清を用いた研究では80年代から90年代にかけてPFOAの増加が見られたが,2005年においては予備研究ながら減少に転じた31。スウェーデンでは母乳中PFOS濃度の推移が検討されており,2000年から2005年にかけて減少傾向であった32

日本においては,京都大学生体試料バンクの凍結保存試料を用いた測定で,70年代よりPFOSおよびPFOAは東北からの検体で,ともに増加していた33。特に京都府で採取された血液検体では,PFOAにおいては,1980年以降の増加が男女とも著しい一方,PFOSでは,1990年代までで横ばいに達していることが判明した6。1990年代から2000年代へかけての増加傾向は中国瀋陽でも認められたがPFOSの増加が顕著であった34。日・中間での経年的増加傾向の違いはPFOA・PFOSの使用の規模や形態の違いを反映している可能性がある。

PFOS,PFOA以外にも血液中で頻繁に検出されるPFASとしてLC-PFCAがある。特にPFNA(炭素数9),PFUnDA(炭素数11),PFTrDA(炭素数13)などの奇数炭素鎖PFCAは,従来のPFOA(炭素数8)やPFOS(炭素数8)といった偶数炭素鎖のPFASと同程度に環境中,血液中で検出され,特に日本ではその傾向が顕著である。京都大学の調査では,2000年代後半に日本,韓国,ベトナムの一般住民の血清中において,奇数炭素鎖PFCAがPFOAよりも高濃度で検出されることが報告されている35。この結果は,奇数鎖PFCAが環境中で優勢であることを示しており,PFOS,PFOAとは異なる用途や事業所で使用が続いている可能性を示唆した。PFNAやPFUnDAは,PFOAなどと同様に界面活性剤,撥水加工製品などに使用されたとみられ,製造過程で副生成物としても環境中に放出されることがある36。血液中でのPFNAやPFUnDAの検出は,健康影響の観点からも重要である。全国規模のエコチル調査では,妊婦の血中PFNAやPFUnDA濃度が脂質代謝に影響を与える可能性が示されており,総コレステロール(HDL含む)の上昇や中性脂肪の低下との関連が報告されている37。動物実験でも脂質代謝への影響は代表的なものであることから,健康影響評価にはこれらのPFASの分析も不可欠である。

5. 近年の血液中PFAS濃度の調査事例

近年,PFASによる汚染が発覚した地域において血液を用いたバイオモニタリングを実施した事例がある(Table 1)。このうち,沖縄県宜野湾市において,普天間基地周辺の湧水や水道水から高濃度のPFASが検出されており,2019年に住民団体の要請を受けて京都大学の研究チームが実施した血液調査では,住民の血中PFAS濃度(34 ng/mL)が水道水の汚染がなかった南城市と比較して有意に高いことが報告されている38。2022年に浦安市の医療機関の受診患者を対象とした調査でもPFHxSなどが高い状況が続いていた39。東京多摩地域でも2020年に小規模な調査が実施され,他の地域に比べて高い血液中濃度が示された40。大阪府では,2023年に実施された調査で,摂津市では,PFOS+PFOAの平均値が 28 ng/mLと報告されている(未刊行データ)。愛知県豊山町・北名古屋市では,2023年に54人を対象とした調査で,PFOS+PFOAの平均値は 14 ng/mL,4種合計では 21 ng/mLに達した(未刊行データ)。岐阜県各務原市では,三井水源地の井戸水から国の暫定目標値の11倍のPFASが検出され,住民131人を対象とした血液検査では,PFOS+PFOAの平均値が 67 ng/mLに達し,18歳以下の8割が健康リスクを示す濃度を超えていた(未刊行データ)。さらに,岡山県吉備中央町では,円城浄水場から国の暫定目標値を超えるPFASが検出されたことを受けて,2023年11月から12月にかけて住民709人を対象に全国初の公費による血液検査が実施された結果,PFOS+PFOAの平均値は 171.2 ng/mLに達し41,全員が米国アカデミーの指針値(20 ng/mL)42を超えていた。この値は,同時期に調査された各務原市や宜野湾市と比較しても著しく高く,一定期間にわたり高濃度PFASの水道水を摂取していたことが要因と考えられている。これらの血中濃度は環境省の2021年調査での値より比較的高く,調査手法や対象の違いがあるものの水道水による曝露で押し上げられていることは明らかであった。今後は,異性体を含めた種々のPFASの包括的なモニタリングと,地域ごとの曝露源の特定が重要であり,健康影響の評価と対策の強化が求められる。

Table 1 Human biomonitoring results for PFAS in recent years around contaminated sites of Japan.

6. リスク指標としての血液中濃度

現状のPFASの曝露量からみて,急性の影響があるわけではない。しかしながら,欧米を中心としたこれまでの疫学調査で,PFASの曝露量が高いグループと低いグループの比較の中でいくつかの疾患の割合の差がみられたものがある。これは健康リスクの上昇として理解され,リスクの防止として対策を行うことが必要である。

ドイツ環境庁のヒトバイオモニタリング委員会は血液中の各種化学物質の指標値を設定している。HBM-Iは現時点での知見で有害な影響はないと判断される水準で,特段の対策は要しないとされる。HBM-IIは曝露がある個人において健康リスクがありうる水準で,曝露の低減を要するとされる。ドイツ環境庁のHBM-IIではPFOS 20 ng/mL,PFOA 10 ng/mL(妊娠可能年齢女性ではそれぞれ半分の濃度)とされている43。この数値の根拠はそれまでに実施されてきたヒトでの健康リスクとPFASの血中濃度との関連の調査,疫学研究の結果をまとめたものである。それは,子どもの発達,出生体重の低下,妊孕力の低下,ワクチン接種後の抗体価の低下,血中コレステロール値の増加,2型糖尿病リスクの増加などの上昇が始まる血中濃度を総合したものとなっている。リスクの増加ということで,これらの数値を超えたことで確定的な影響を引き起こすものではないが,集団としてのリスクが懸念されるということを示している。

米国科学・工学・医学アカデミーは7種のPFASの合計値で 20 ng/mLを超えないこと42,としたものがある。これらは種々の研究結果から,脂質異常症,甲状腺ホルモン疾患,出生児体重の低下,妊娠高血圧症候群,腎臓がんのリスク上昇の可能性があるとしている。ドイツHBM-IIでは目標値を超える場合に,曝露低減と住民へのカウンセリングの提供の必要があるとしている。さらに米国アカデミーの臨床ガイダンスでは,患者個人への注意深い診察,検査を推奨している42。米国毒物・疾病登録局(ATSDR)は健康リスクベースのスクリーニング方法を確立していないが,これらのガイダンスを考慮する一つとして紹介している。

沖縄,東京,大阪の調査地域ではこの指標を超える血中濃度が数割で見られることは相当数の住民について健康リスクを懸念されることを示している。どちらのガイダンスも曝露を低減させることが重要とされており,そのことにより,将来的なリスクを低減させることが期待されている。

7. まとめと今後の課題

多くの地域の研究で血液中PFASの分析が実施されてきた。分析方法の標準化(ISOなど)はされてはいないが,標準試料の参考値はいくらか提供されており,米国標準技術研究所(NIST)の血清試料(SRM 1957)が利用可能であり,分析のQCとして参考になるだろう44,45。分岐鎖の定量についてコンセンサスはないが,少なくとも直鎖と分岐鎖を同じものとして定量することについては妥当ではない46。一方で,試薬として個別の異性体の供給が十分ではないため,核磁気共鳴分析で評価されているtechnical mixtureを使用することが現状での次善の策となる。

現在,PFOA,PFOSについては新規の製造,輸入は国内ではなくなっているとされる。しかしながら,在庫製品や敷地に残留している成分からの曝露は否定できない。また他のPFASからの非意図的なPFOA,PFOSの発生についても可能性が指摘されている47。また半減期が長いこともあり,規制される以前の曝露による影響が現在も続いていることも想定される。健康リスクにおいて曝露の時間的な累積,時間平均,最高濃度のいずれが重要なのか,また曝露が低減した後にも影響が継続するのかという点で解析されたものはほとんどなく,不確実性があり,現在製造されていないからといって問題がないと言い切れない。

日本の労働者におけるPFAS研究はほとんど報告されていないが,3M社,デュポン社と類似の化学工程を持つ事業所があるため,労働者のPFAS曝露は当然ありうる48。過去に遡っての調査は可能であると考えられ,日本からのエビデンスを期待したい。

血液中のPFAS分析は地域の曝露状況や対策の効果の測定,また健康調査において役立つと考えられる。一方,対象者個々人についてはその意味付けと健康リスクとの関係で可能な限り説明と相談するような体制,最終的には医療的なフォローアップが望ましい。これは全米アカデミーズのガイダンス42をもとにした対応を参考にすべきだろう。

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