Journal of Information and Communications Policy
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"License-free" broadcasting programs within the meaning of § 54 of the German State Media Treaty (MStV)
SHUJI SUGIHARA
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2023 Volume 7 Issue 1 Pages 185-214

Details
要旨

ドイツでは、数年前から、とりわけインターネット上のライブストリーミング・コンテンツが認可を義務付けられる「放送」にあたるか否かが、判例・学説において激しく議論されてきた。その際、当該コンテンツが放送にあたるか否かの判断は、第一次的に、ドイツの放送法であるメディア州際協定にいう「放送」概念に照らして審査されることになる。すなわち、メディア州際協定にいう放送概念は、とりわけ「リニア」、「公衆」、「同時視聴」、「番組スケジュール」、および「ジャーナリスティックかつエディトリアル〔な制作〕」といった概念によって特徴付けられ、当該コンテンツがここでいう「放送」に該当するとみなされた場合、その提供のために放送認可が必要となる。

しかしながら、当該コンテンツがメディア州際協定にいう放送にあたるとしても、その提供のために常に認可が必要なわけではない。すなわち、メディア州際協定は、第54条において「認可不要な」放送に関する規定を設け、認可義務の原則の例外について定めているのである。具体的には、メディア州際協定54条は、①個人および公の意見形成にとってわずかな意義のみを有する放送、②6ヶ月間の平均で、同時接続ユーザーが20,000未満の放送プログラム、③将来的に6ヶ月平均で同時接続ユーザーが20,000人を下回ることが明らかに予測される放送は、認可を必要としない放送とみなされると規定する。それに加えて、同条項は、認可不要な放送を判断するための審査手続および判断手続については州メディア協会が規則によってこれを詳細に規律すると定めている。

このように、2020年11月7日発効のメディア州際協定は、従来から議論されてきた「放送」の概念の問題、および放送とライブストリーミング・コンテンツの区分をめぐる問題について一定の解決を試みたのである。そこで本稿は、このメディア州際協定54条にいう「認可不要な」放送に関する規定の内実、ならびに認可不要の確認に関する審査手続および判断基準について分析し、ドイツの法規制のあり方を検討することにしたい。

Translated Abstract

Whether or not internet streaming services classify as "broadcasting" that requires a license has been intensely debated in Germany for the past few years. This question must be primarily examined with reference to the concept of "broadcasting" as defined in the Interstate Media Treaty (Medienstaatsvertrag) which came into effect on November 7, 2020. Even in cases where streaming media are classified as broadcasting according to the Interstate Media Treaty, however, they may not necessarily need a broadcasting license to offer their services. In other words, § 54 of the Interstate Media Treaty allows for "license-free" broadcasting, i.e. for exceptions to the principle of mandatory licensing. By this provision the Interstate Media Treaty attempts to resolve to some extent the issues surrounding the concept of "broadcasting" and the distinction between broadcasting and streaming media services. This paper analyzes the details of the provision regarding "license-free" broadcasting referred to in § 54 of the Interstate Media Treaty as well as the procedures and criteria for "license-free" broadcasting.

1.はじめに

ドイツでは、数年前から、インターネット上のライブストリーミング・コンテンツが放送法にいう「放送」とみなされうるのか否か、またたとえ「放送」にあたるとしても、当該コンテンツに対して認可義務を課すことに意味があるのか否か、という問題が盛んに議論されてきた2

その背景には、最近になって、放送認可につき管轄権を有する監督機関である「認可および監督のための委員会」(Kommission für Zulassung und Aufsicht、以下「ZAK」と略記)が、複数の事例で、インターネット上のライブストリーミング・コンテンツを「放送」とみなし、それゆえ認可が必要とであると判断したとことが挙げられる。例えば、ZAKの2017年1月31日の決定3では、ドイツ信用銀行(Deutsche Kreditbank (DKB))による男子ハンドボール選手権(Handball-WM 2017)のインターネット・ライブ中継が認可を必要とする放送とみなされ、また、同年3月21日のZAKの決定4でも、ライブストリーミングによるゲームの実況プレイ動画(Let’s Plays)を提供していたインターネット・コンテンツ「PietSmietTV」が認可を要する放送とみなされている。さらに、ドイツにおける最大のメディアコンツェルンであり全国紙「Bild」で有名なAxel Springer社(Axel Springer SE)が自己のインターネット・プラットフォームである「bild.de」を介してライブストリーミング配信していた3つのコンテンツについても、ZAKは2018年4月18日に、当該コンテンツは「認可を義務付けられる放送」とみなされるという報告を行った5。その後、Axel Springer社は訴えを提起したが、ベルリン行政裁判所は2019年9月26日の判決6において、結論としてAxel Springer社の訴えを棄却している。

こうした動きのなか、2020年11月7日に、従来の放送州際協定に代わって新たに「メディア州際協定」(Medienstaatsvertrag (MStV))が発効した。とりわけ同州際協定は、第54条において「認可不要な放送プログラム」(Zulassungsfreie Rundfunkprogramme)に関する規定を新たに設け、一定の要件を満たした放送につき認可を必要とすることなく提供することを可能としたのである。同規定の対象には、例えばTwitchやYouTubeといったビデオプラットフォーム(Videoplattform)上で提供されるライブストリーミング・コンテンツが含まれるとともに、同規定は、旧法である「放送州際協定」(Rundfunkstaatsvertrag (RStV))に比し7、認可なしに配信可能なストリーミング・コンテンツの範囲を大幅に拡大したのである。加えて同規定によれば、認可不要な放送を判断するための審査手続および判断基準については州メディア協会が規則によってこれを詳細に規律するとされており、これを受けて2021年4月に、州メディア協会による「メディア州際協定54条1項にいう認可不要の具体化のための規則(Satzung zur Konkretisierung der Zulassungsfreiheit nach § 54 Abs. 1 des Medienstaatsvertrag)」(以下、「ZFS」と略記)が発効した。

このように、メディア州際協定は、とりわけ第54条の規定およびZFSによって、従来から議論されてきた放送とライブストリーミング・コンテンツの区分の問題、およびそれに伴う「放送」概念の法的不明確性の問題につき、一定の解決を試みたのである8。そこで本稿は、メディア州際協定54条およびZFSにいう「認可不要な」放送に関する規定を分析し、ライブストリーミング・コンテンツに対する法規制のあり方を検討することにしたい。その論点は多岐に渡るが、本稿は以下において、とりわけ①メディア州際協定にいう放送概念と認可不要な放送プログラム、②認可不要な放送プログラムに対する適用除外規定および制限適用規定、ならびに③認可不要の確認に関する審査手続および判断基準について取り上げ、それぞれの論点について分析することにしたい。

2.メディア州際協定にいう放送概念と認可不要な放送プログラム

本章では、認可不要な放送に関する諸規定について分析する前提として、①メディア州際協定2条1項1文にいう「放送」の概念と放送認可、②メディア州際協定54条にいう認可不要な放送プログラムの概念、さらに③旧法である放送州際協定20条3項にいう施設放送・イベント放送および「瑣末な放送」、について詳述する。

2.1.メディア州際協定2条1項1文にいう「放送」の概念と放送認可

基本法5条1項1文は放送の自由について規定しているが、メディア州際協定は、この憲法上の「放送」概念とは異なる独自の概念として「放送」を定義する。さらにメディア州際協定は、放送プログラムが「放送」に該当するとみなされた場合には、その提供のために認可が必要であると規定する。

(1)メディア州際協定にいう「放送」の概念

メディア州際協定は、「放送」の概念につき、第2条1項1文において以下のように規定する。

メディア州際協定2条1項1文

放送とは、リニアの情報・通信サービスをいう;リニアの情報・通信サービスとは、公衆に向けてかつ同時視聴のためになされる、遠距離通信(Telekommunikation)を介した、番組スケジュールに基づく、動画または音声による、ジャーナリスティックかつエディトリアルに制作されたコンテンツの提供(Veranstaltung)および配信(Verbreitung)をいう。

すなわち放送法上の「放送」概念は、とりわけ「リニア」、「公衆」、「同時視聴」、「番組スケジュール」、および「ジャーナリスティックかつエディトリアル〔な制作〕」といった概念によって特徴付けられる。この点、旧規定である放送州際協定2条1項1文は、放送の概念につき、「放送とは、リニアの情報・通信サービスをいう;リニアの情報・通信サービスとは、公衆に向けてかつ同時視聴にためになされる、電磁波を用いた、番組スケジュールに基づく、動画または音声によるコンテンツの提供および配信をいう」と規定していたが、メディア州際協定では、この「電磁波を用いた」という文言が「遠距離通信を介した」に変更されると同時に、「ジャーナリスティックかつエディトリアルに制作された(コンテンツ)」という文言が新たに挿入された。

ところで、メディア州際協定は、この放送の概念に加えて、「放送プログラム」(Rundfunkprogramm)という概念を用いている。「放送プログラム」とは、メディア州際協定2条2項1号によれば、「番組スケジュール(Sendeplan)に基づき時間内に配置された一連のコンテンツ(Inhalte)」をいうと定義される。つまり、ドイツの放送法では、個別のコンテンツないし番組の集合体は「放送プログラム」と言われている。メディア州際協定の条文のなかでは、「放送プログラム」の他、「放送番組」(Sendung)、「コンテンツ」(Inhalt, Angebot, Beitrag)などの概念が併用されているが、本稿で扱われる第54条の規定では「放送プログラム」の概念が用いられている9

(2)放送認可

さらに、民間のコンテンツ提供者は、自己のコンテンツがメディア州際協定2条1項1文にいう「放送」と分類された場合には、同52条1項に基づき、その提供のために州の行政機関である「州メディア協会」(Landesmedienanstalt)の付与する「認可」(Zulassung)を要する。

メディア州際協定52条1項

(1) 民間放送事業者は、放送プログラムの事業のために認可を要する。第54条は〔それによって〕影響を受けない。全国向けに配信されない放送の事業者の認可は、州法に従う。全国向けに配信される放送の事業者の認可については、本章の規定が適用される;その他の〔認可については〕州法が適用される。

ただし、メディア州際協定52条1項は、旧法である放送州際協定20条1項と同様に、全国向けに配信されない放送の認可と、全国向けに配信される放送の認可とを区別する10。すなわち、全国向けに配信される放送プログラムは、メディア州際協定52条から58条までの規定が適用されるが、それ以外の放送プログラムについては州メディア法ないし州放送法の規定に従うことになる。

そして、民間事業者が認可を受けて放送とみなされるコンテンツをインターネットによって提供する場合には、1,000ユーロから10,000ユーロまでの手数料が発生するだけでなく11、内容上厳格な規制に服することになる。

2.2.メディア州際協定54条にいう認可不要な放送プログラム

もっともメディア州際協定は、民間の放送プログラムに対する認可義務の原則の例外について定めている。すなわちメディア州際協定54条は、一定の要件を満たした放送プログラムは第52条1項にいう認可を要しないと規定する。なお、メディア州際協定54条は同2条1項1文にいう放送のみを適用対象としているため、とりわけ「リニア」の要件を欠くビデオオンデマンド・コンテンツは同規定の適用範囲から除外される12

(1)メディア州際協定54条の規定内容

メディア州際協定54条1項は、①「個人および公の意見形成にとってわずかな意義のみを有する」放送プログラム(1号)、②6ヶ月間の平均で、同時接続ユーザーが20,000人未満の放送プログラム(2号前段)、③「予測された通りの発展を遂げた」、すなわち将来的に6ヶ月平均で同時接続ユーザーが20,000人を下回ることが明らかに予測される放送プログラム(2号後段)は、認可を必要としない放送プログラムとみなされる、と規定する。

メディア州際協定54条【認可不要な放送プログラム】

(1) 以下の放送プログラムは認可を要しない。

  • 1. 個人および公の意見形成にとってわずかな意義のみを有する放送プログラム、または、
  • 2. 6ヶ月間の平均で同時接続ユーザー(gleichzeitige Nutzer)が20,000人に到達しなかった放送プログラム、もしくは予測された通りの発展を遂げた放送プログラム管轄権を有する州メディア協会は、申請に基づき、異議不存在の証明書(Unbedenklichkeitsbescheinigung)により認可不要(Zulassungsfreiheit)の確認を行う。

(2) 州メディア協会は、第1項にいう認可不要の具体化のために、規則によって詳細を規律する。

(3) 本州際協定の発効前に届出がなされていた、インターネットを介してのみ配信されるラジオプログラムは、第52条にいう認可された放送プログラムとみなされる。

(4) 第15条、57条、および68条の規定は、認可不要な放送プログラムには適用されない。第53条は、同条1項1号を除き準用される。管轄権を有する州メディア協会は、第1項にいう放送プログラムの事業者に対して、第55条および第56条にいう情報(Informationen)および資料(Unterlagen)の提出を要請することができる。

本条1項にいう認可不要な放送プログラムの判断基準のうち、第1項1号にいう「個人および公の意見形成にとってわずかの意義のみを有する放送プログラム」という要件は「質的」基準、第1項2号にいう「6ヶ月間の平均で同時接続ユーザーが20,000人に到達しなかった放送プログラム、もしくは予測された通りの発展を遂げた放送プログラム」という要件は「量的」基準と言われている(本稿第4章を参照)。メディア州際協定の立法理由書(Begründung zum Staatsvertrag zur Modernisierung der Medienordnung in Deutschland)によれば、第54条1項1号および2号にいう要件は「択一的にも重畳的にも(alternativ wie auch kumulativ)」適用可能であり、それゆえこれらの諸要件のうちのひとつが満たされた場合には、当該コンテンツは認可不要となるという13

本条1項2文および第2項は、認可不要な放送プログラムの審査手続に関して規定する。また、本条項は、第3項においてインターネットラジオに関する特別規定を設け、第4項においては、認可不要な放送プログラムに対する適用除外規定等を列挙している。

なお、メディア州際協定54条は、このような認可を要しないコンテンツを「認可不要な」(„zulassungsfrei“)放送プログラムと表現しているが、これは確かに学説では従来から使用されていたものの、旧法である放送州際協定では用いられておらず、メディア州際協定において法律上初めて用いられた文言である14

(2)メディア州際協定54条と放送州際協定2条3項との差異

上述のように、州メディア協会による認可を必要としない「認可不要な」放送プログラムはメディア州際協定54条において初めて法律上規定されたが、旧法である放送州際協定も、第2条3項において、認可を義務付けられる「放送」に該当しないコンテンツについての規定を設けていた。

放送州際協定2条3項

(3) 以下にいうコンテンツは放送には該当しない。

  • 1. 潜在的な同時接続ユーザー数が500人未満のコンテンツ
  • 2. 視聴デバイスのストレージから直接的に伝達されるコンテンツ
  • 3. 個人的または家庭的な目的のみに用いられるコンテンツ
  • 4. ジャーナリスティックかつエディトリアルに制作されていないコンテンツ
  • 5. 個別の対価を得てその都度提供される放送番組から構成されるコンテンツ

両規定の間には確かに類似点も存在するが、とりわけ以下の三点について決定的な差異が存する。第一に、放送州際協定2条3項が、同項1号以下で列挙された一定の「コンテンツ」は「放送」には含まれないと規定しているのに対して、メディア州際協定54条1項は、同項1号以下で列挙された一定の「放送プログラム」は「認可を要しない」と規定する。すなわち、一方で放送州際協定2条3項によれば、例外として列挙された五つのコンテンツは同2条1項にいう「放送」とはみなされず、それゆえ認可を得ることなく提供が可能となるのに加えて、このようなコンテンツはもはや放送ではないため、放送に適用される青少年保護や広告に対する厳格な規制に服することなく提供が可能となる。他方でメディア州際協定54条1項によれば、例外として列挙された「認可不要」な放送プログラムは単に同52条にいう認可義務を免れるのみであり、原則として、認可を要する放送に適用される規制に服することになる15

第二に、メディア州際協定54条1項は、放送州際協定2条3項に比し、認可の要件を大きく緩和している16。すなわち、メディア州際協定54条1項は、認可不要な放送プログラムの要件である同時接続ユーザー数の上限を大幅に緩和し、これにより、放送州際協定で規定されていた同時接続ユーザーが500人を超えるコンテンツも、メディア州際協定では20,000人未満であれば認可を得ることなく提供が可能となった。この点につき州の観点からも、「各州は、メディア州際協定により、放送プログラムに対する認可義務の部分的な撤廃によって、多くのコンテンツにつき大幅な軽減および手続の簡略化を行った。〔さらに〕(例えば区分された届出義務によるなどして)認可義務を完全に撤廃することが有益か否か、さらにはそれをどのように行うかについては、各州はさらなる審査を望んでいる17」という評価がなされている18

また、メディア州際協定も、旧法と同様に、例えば同時接続ユーザー数の6ヶ月平均をどのように算定するのか、また、当該基準を個別の放送番組ごとに考慮すべきか否か、コンテンツ提供者が複数のチャンネルを有する場合にこのチャンネルの同時接続ユーザー数のすべてを総計すべきか否かといった問題についてはなんら基準も設けていない19。ただし、これらの基準は、後述するように、2021年4月発効のZFSのなかで詳細に規定されている。

第三に、放送州際協定2条3項が「潜在的な同時接続ユーザーが500人未満のコンテンツ」は放送には該当しないと規定し、500名以上の同時接続ユーザーがコンテンツを受信しうる状態となった場合に当該コンテンツが放送に該当すると規定していたのに対して、メディア州際協定54条1項は、「6ヶ月平均で同時接続ユーザーが20,000人に達しなかった」放送プログラムは認可を要しないと規定し、20,000人以上の同時接続ユーザーがコンテンツを実際に視聴した場合に当該コンテンツが認可を要すると規定する20。また、メディア州際協定54条1項が基準とするユーザー数は、いわゆる「ユニークユーザー数」(Unique Users)をいうのではなく、同条項の文言から明らかなように「平均同時接続ユーザー数」(average concurrent users)を指している21

(3)インターネットラジオ

放送州際協定は、上述した放送に該当しないコンテンツを列挙する同2条3項の規定と並んで、インターネットラジオ(Internethörfunk)については別個に規定を設けていた。すなわち、同20b条1文および2文は「インターネットを介してのみラジオプログラム(Hörfunkprogramme)を配信する者は、認可を要しない。同プログラムを提供する者は、管轄する州メディア協会に当該コンテンツを届け出なければならない」と規定し、番組スケジュールに基づき公衆に向けてかつ同時視聴のために提供される純粋なラジオ・ストリーミング・コンテンツについては届出義務のみを課し、認可義務を不要としていた22

これに対してメディア州際協定は、この特別規定を削除し、インターネットラジオについても原則として認可を要するとした。その理由につき、州の見解によれば、インターネットラジオとその他のラジオとの間で差異を設けることは、認可の領域においてはもはや時代に適合しないからだという23

ただし、メディア州際協定54条3項は、「本州際協定の発効前に届出がなされていた、インターネットを介してのみ配信されるラジオプログラムは、第52条にいう認可された放送プログラムとみなされる」と規定し、同協定の発効以前に既に州メディア協会に届出がなされているラジオプログラムについては認可が不要であるとしている。また、そもそもインターネットラジオの放送プログラムも、メディア州際協定54条1項にいう認可不要な放送プログラムに該当するとみなされる場合には、認可を得ることなく提供が可能となる24

2.3.放送州際協定20条3項にいう施設放送・イベント放送および「瑣末な放送」

ところで、旧法である放送州際協定は、前述した放送に該当しないコンテンツを列挙した第2条3項とは別に、第20条3項において、簡略化された認可手続によって提供が許される放送番組、および認可を必要としない放送番組について規定していた。換言すれば、上述のように放送州際協定2条3項が特定のコンテンツは「放送に該当しない」と規定していたのに対して、同20条3項は、同2条3項に基づき「放送」とみなされたすべてのコンテンツが同20条1項1文にいう「認可」を要するわけではない、と規定していた25

(1)放送州際協定20条3項にいう規定内容

放送州際協定20条1項1文は、メディア州際協定52条1項1文と同様に、「民間放送事業者は、放送の事業のために認可を要する」と規定し、認可留保の原則(Grundsatz des Zulassungsvorbehalts)を定めていたが、放送州際協定20条3項はその例外を規定していた。

放送州際協定20条3項

(3) 州法は、〔放送番組が〕以下の場合に、簡略化された認可手続(vereinfachtes Zulassungsverfahren)を定めることができる。

  • 1. 放送番組が、公のイベント(öffentliche Veranstaltung)の局地的領域において、および公のイベントと時間的に関連して、提供ないし配信される場合、または
  • 2. 放送番組が施設(Einrichtungen)のために提供される場合であり、かつ、当該施設が同一の目的で利用されており、放送番組が当該施設でのみ受信可能であり、さらに当該施設において果たされるべき任務と放送番組が機能的関連性を有している場合

限られた数の住居のために〔配信される〕放送番組、またはひとつの建物に限定された、もしくは連結されたひとつの複合建造物に限定された施設のなかで〔配信される〕放送番組は認可を要しないと定める州法の規定は妨げられない。

本条項のうち、第3項1文は、各州の立法者が、特定の放送番組のために簡略化された認可手続を規定することを認めている。さらに、第3項2文は認可を要しない放送番組について規定しているが、ここでいう放送番組は、第3条1文にいう簡略化された認可手続に基づく放送番組とは全く別個のものである26

(2)放送州際協定20条3項1文にいうイベント放送および施設放送

放送州際協定20条3項1文は、いわゆる「イベント放送」(Veranstaltungsrundfunk)(1号)および「施設放送」(Einrichtungsrundfunk)(2号)について規定しており、これらの放送は、州法に基づき簡略化された認可手続に服するとする。換言すれば、各州は自己の放送法のなかで、イベント放送および施設放送の事業者のための簡略化された認可手続を定めることができる。ここでいう簡略化された認可手続の対象には、例えば、認可要件、申請方法、認可内容、集中排除原則に関する規定の遵守などの要請の緩和が含まれる。ただし、このような簡略化された認可手続に服する放送プログラムの事業者も、広告規制のような放送法上の根本的規定や、青少年メディア保護州際協定(Jugendmedienschutz-Staatsvertrag (JMStV))にいう青少年保護のための規定には服さなければならない27

本条項にいう放送のうち、一方で第1号にいうイベント放送については、放送番組が、公のイベントの局地的領域において配信されること、およびこのイベントと時間的に関連して配信されることを要件としている。具体的には、見本市、スポーツイベント、展示会、会議、芝居の上映などに付随する放送番組がこれに含まれる。放送州際協定20条3項1文1号は、放送番組の内容に関する規律ではなく、当該番組の配信が、イベント会場に局地的に限定されるとともに、その放送時間も原則として公のイベントが開催される時間に限定されることを前提としている。さらに、本条項にいう認可もこのイベントの開催期間中にのみ付与されることになる28

他方で、第2号にいう施設放送は、施設の目的ないし施設の任務との機能的関連性を要件としている。換言すれば、施設放送については、例えば当該放送番組を介してホテルのサービスに関する情報を宿泊客に提供したり、百貨店の客に商品の販売を促進したりするなど、放送番組と施設が同一の目的に寄与しなければならない。それゆえ、確かにその受信は当該施設内に限定されるが、ひとつの施設に限定されるわけではなく、同一の目的をもった複数の施設における放送であるか否かが問題とされる。ここでいう施設放送には、百貨店の個々の店舗内の放送、ホテルチェーンの個々の建物内の放送の他、例えば刑務所内の放送、または学校、病院、託児所もしくは老人ホーム内で配信される放送などが含まれる。さらに、百貨店や店舗における音楽番組(Musiksendungen)も、ここでいう施設放送に含まれると解されている29

ただし、イベント放送および施設放送について規定する放送州際協定20条3項は、メディア州際協定には踏襲されていない。さらに、後述する2021年4月発効の州メディア協会の規則(ZFS)にも、文言上は放送州際協定20条3項1文2号が踏襲されたのみである(ZFS第4条2項4号)(本稿第4章4.4.を参照)。しかしながら、メディア州際協定の立法理由書によれば、放送州際協定第20条3項にいうイベント放送や施設放送も、メディア州際協定54条1項1号にいう認可不要な放送コンテンツに含まれるとされている30

(3)放送州際協定20条3項2文にいう認可手続を要しない放送

放送州際協定20条3項2文は、「限られた数の住居」のために配信される放送番組、ないし「限定された」施設内でのみ、つまり狭い射程を有する施設内でのみ配信される放送番組は認可を要しないと定め、いわゆる「瑣末な放送」(Bagatellrundfunk)について規定していた31

本条項でいう「施設」の概念は、上述した放送州際協定20条3項1文2号にいう「施設」とは異なるものと解されている。すなわち、同20条3項1文2号にいう「施設」が、組織的に統一されてはいるが「連結されたひとつの複合建造物」に限定されていない施設であるのに対して、本条項にいう施設は、ひとつの場所に存する狭い建物、または場所的に相互に密接に結びついた建物のみを意味している。

また本条項は、「限られた数の住居」の概念につき明らかにしているわけではないが、州法のなかには、具体的に100未満の住居とする規定もあれば、250未満の住居とする規定も存在していた32。ただし、本条項はメディア州際協定には踏襲されなかったため、これらの州法の規定は、現行法ではその大半が削除されている。

3.認可不要な放送プログラムに対する適用除外規定および制限適用規定

前述のように、メディア州際協定54条1項にいう認可不要な放送プログラムは、認可義務を除けば、原則として、認可義務のある放送プログラムに適用される諸規定が制限なしに適用される。しかしながら、同54条4項に従えば、そのうちのいくつかの規定が、認可不要な放送プログラムに対しては適用を除外されるか、または制限的に適用される。具体的には、そのような適用除外規定ないし制限的な適用規定とは、①ドイツおよび欧州の映画またはテレビ作品の支援義務に関する規定(同15条)、②年度決算書等の公示および提出義務に関する規定(同57条)、③第三者に対する放送時間の付与義務に関する規定(同68条)、④提供者を「行為能力が制限されていない者」に限定する規定(同53条1項1号)、ならびに⑤州メディア協会による情報および資料提出の要請に関する規定(同55条および56条)である。

3.1.ドイツおよび欧州の映画またはテレビ作品等の支援義務の適用除外

メディア州際協定54条4項1文は、同15条の規定は認可不要な放送プログラムには適用されないと規定する。すなわち、同条項によれば、テレビ事業者に対してドイツおよび欧州の映画作品またはテレビ作品の放映の支援だけでなく、その制作の支援をも義務付けるメディア州際協定15条の規定は、認可不要な放送プログラムには適用されないとする。以下、メディア州際協定15条の背景および規定内容について詳述する。

(1)欧州の映画作品およびテレビ作品の支援に関する規定

ところで、欧州の映画およびテレビ作品の支援については、本条項の他にも、例えばメディア州際協定の前文や、EUメディア視聴覚指令において規定が設けられている33

このうち、一方でメディア州際協定前文の第6条は、「本州際協定は、ドイツ国内におけるその他の規律および支援計画とともに、欧州の新しい映画作品およびテレビ作品の持続的援助(nachhaltige Unterstützung)に寄与する」と規定する。この点、旧法である放送州際協定においても、前文の第3条2文において、「本州際協定を介して、またとりわけドイツ連邦共和国内におけるその他の規律および支援計画を介して、欧州の新しいテレビ作品の制作は持続的に援助されなければならない」と規定されていた。

他方で、2007年12月11日に採択されたEUにおける「視聴覚メディア・サービス指令34」(Richtlinie über audiovisuelle Mediendienste、以下「AVMD指令」と略記)の2010年の統合版の規定35は、第16条1項において、「加盟国は、テレビ事業者が、ニュース、スポーツ報道、ゲームショー、広告、文字多重放送、およびテレショッピングに割り当てられていない自己の放送時間の主要部分を欧州の作品の番組ために留保することを、実際に実行可能な範囲でかつ適切な方法により配慮する。この割合は、情報、教育、文化、娯楽の領域における公衆に対する放送事業者の責任を考慮したうえで、適切な基準に基づき、漸次達成されなければならない」と規定する36。さらに、AVMD指令の第17条は、「加盟国は、テレビ事業者が、ニュース、スポーツ報道、ゲームショー、広告、文字多重放送、およびテレショッピングに割り当てられていない自己の放送時間のうち少なくとも10パーセントを、またはその代わりに、加盟国の裁量により放送プログラム事業の予算の少なくとも10パーセントを、テレビ事業者から独立している制作者による欧州の作品の番組ために留保することを、実際に実行可能な範囲でかつ適切な方法により配慮する。この割合は、情報、教育、文化、娯楽の領域における公衆に対するテレビ事業者の責任を考慮したうえで、適切な基準に基づき、漸次達成されなければならない。それに加えて、より最近の作品、すなわちその制作後5年以内に放送される作品に対しても、適切な割合が留保されていなければならない」と規定している。

(2)メディア州際協定15条の規定内容

このような規定を受けて、メディア州際協定は、第15条において、ドイツおよび欧州の作品の確保や支援についての詳細を定めている。もともと、1980年代半ばにドイツおよび欧州の市場においてアメリカの映画やテレビ作品が席巻したことに対する措置として、既に1987年12月1日発効の放送州際協定において類似の規定が設けられていたが、その後、2004年4月1日発効の第7次改正放送州際協定(7. RÄStV)および2009年6月1日発効の第12次改正放送州際協定(12. RÄStV)による改正法を経て、現行規定の内容へと変更がなされていった37。メディア州際協定15条は、以上のような経過を経て規定された放送州際協定6条をそのまま踏襲したものである。

メディア州際協定15条【欧州の作品、自社作品、委託作品、共同作品】

(1) テレビ事業者は、視聴覚遺産の一部ないし文化財としての、ドイツおよび欧州の映画作品およびテレビ作品(Film- und Fernsehproduktionen)の確保に寄与する。

(2) ドイツ語圏および欧州圏における多様性を表現するために、さらには欧州の映画作品およびテレビ作品を支援するために、テレビ事業者は、劇映画、テレビドラマ、連続番組、ドキュメンタリー番組、およびこれらに匹敵する作品のために予定された自己の放送時間全体の主要部分(Hauptteil)を、欧州法に基づき、欧州の作品のために担保しなければならない。

(3) 総合テレビプログラム(Fernsehvollprogramm)は、その多くの部分(wesentlicher Anteil)を、ドイツ語圏および欧州圏の自社作品、委託作品、共同作品で構成されなければならない。このことは、その内容上の核心部分に鑑みて可能である限りにおいて、専門テレビプログラム(Fernsehspartenprogramm)にも妥当する。

(4) 公共放送は、自己の放送プログラム任務(Programmauftrag)の枠内で、かつ経済性および節約性の原則を考慮したうえで、自己の放送プログラムの調達の質的および量的な保障のために、直接的な反対給付の履行を必要とせずに、映画の支援に関与する権限を有する。州法による更なる規律は妨げられない。

メディア州際協定15条は、第一次的にテレビ事業者にのみ適用され、ラジオ事業者には適用されない38。本規定のうち同条1項から3項までは、公共放送および民間放送の事業者に適用されるが、民間放送については、全国放送だけでなく、地方およびローカルの窓番組プログラム(Fensterprogramm)の事業者も含まれると解されている39。これに対して、第4項の規定は公共放送にのみ適用される。また、第3項は総合テレビプログラム、および内容上可能な限りで専門テレビプログラムにのみ適用されるが、第1項および2項は、総合テレビプログラム、専門テレビプログラム、または有料テレビ(Pay-TV)の提供者など、すべてのテレビ事業者に適用されるとされる40

本条項のうち第1項は、ドイツおよび欧州の映画作品とテレビ作品の確保という目的について規定しており、さらに放送事業者に対して、この目的の達成に貢献するという義務を包括的に課したものである41

第2項および第3項は本条項の核心的規定であり、欧州作品の放送のためのクオータ規定(Quotenregelung)を含むものである(「放送時間のクオータ制」(Airtime-Quoten)と呼ばれる)42。すなわち第2項は、テレビ事業者に対して、劇映画、テレビドラマ、連続番組、ドキュメンタリー番組、およびこれらに匹敵する作品のために予定された自己の放送時間全体の主要部分を欧州の作品のために担保することを義務付けている。ここでいう「主要部分」とは、劇映画やテレビドラマ等のために予定されている放送時間のうち少なくとも50パーセントの放送時間をいうと解されている43。また、第3項によれば、総合テレビプログラムないし専門テレビプログラムは、その多くの部分を、ドイツ語圏および欧州圏の自社作品、委託作品、共同作品で構成されなければならないとされる。ここでいう「多くの部分」とは、第2項にいう「主要部分」の概念に含まれる下限よりも少ない割合をいうと解されており、具体的には、AVMD指令の第17条にいう10パーセントの下限を下回ることは許されないが、25〜33パーセントの範囲であれば適切であるとみなされている44

最後に、第4項によれば、公共放送は映画の支援に参加する権限を有するとされる。ただし、同条項は映画支援に参加するという公共放送事業者の権利のみを定めたものであり、映画支援の義務については同条項からは導き出されないと解されている45

以上のように、メディア州際協定15条はテレビ事業者に対してドイツおよび欧州の映画作品またはテレビ作品に関する様々な支援を義務付けているが、認可不要な放送プログラムの提供者は、メディア州際協定54条4項1文に基づきこれらの義務を免除されることとなる。

3.2.年度決算書および状況報告書の公示および提出義務の適用除外

メディア州際協定54条4項1文は、同57条の規定は認可不要な放送プログラムには適用されないと規定する。ところでメディア州際協定57条の規定内容は、1997年1月1日発効の第3次改正放送州際協定(3. RÄStV)によって新たに挿入されたものであり、メディア州際協定の制定に際しても、旧法である放送州際協定23条の規定が内容上なんらの変更されることなく本条項に踏襲された46。本条項の規定およびその内容は以下の通りである。

メディア州際協定57条【公示義務、およびその他の提出義務】

(1) すべて放送事業者は、その法形式(Rechtsform)にかかわらず、毎年、大規模資本会社(große Kapitalgesellschaft)に適用される商法典の規定に従って、事業年度の終了に続く第9番目の月の満了までに、附属説明書を含む年度決算書(Jahresabschluss)および状況報告書(Lagebericht)を作成し、公示しなければならない。第1文は、第62条1項1文に基づき放送事業者の放送プログラムが帰属する、当該事業者への直接的な出資者、および第62条1項2文に基づき放送プログラムが帰属する、当該事業者への間接的な出資者に準用する。

(2) 放送事業者は、上記の期限内に、当該報告期間(Berichtszeitraum)における放送プログラムの供給源(Programmbezugsquelle)のリストを、管轄権を有する州メディア協会に提出しなければならない。

メディア州際協定57条1項および2項は、放送事業者の公示義務(Publizitätspflicht)および提出義務(Vorlagepflicht)について規定する。本規定の趣旨は、放送市場におけるメディアの集中に対処しうるようにするために、放送という事業の経済的透明性を高めることにあるとされる47

本条項のうち、一方で第1項1文によれば、すべての民間放送事業者は、その法形式にかかわらず、商法典の第242条以下および第264条以下の諸規定に基づき、年度決算書および状況報告書を作成し公示しなければならない。また、それらの作成および公示は、各事業年度の終了後9ヶ月以内になされなければならない。加えて、この作成および公示義務は、放送事業者自身に対してのみならず、メディア州際協定62条1項1文ないし同1項2文に基づき当該放送プログラムが帰属する、同放送事業者への直接的または間接的な出資者に対しても課される。その際、放送事業者およびその出資者は、それぞれ個別に年度決算書および状況報告書を作成しなければならず、商法典にいう軽減措置(Erleichterung)は適用されないと解されている48

他方で、第2項は、すべての民間放送事業者に対して、第1項にいう期限内に、放送プログラムの供給源のリストを、管轄権を有する州メディア協会に提出することを義務付けている。このリストには、例えば、通信社、放送事業者の委託を受けて独自の番組を制作する委託番組制作会社、放送プログラムを補完するために放映されるローカル番組等のカバープログラム(Mantelprogramm)の供給者、特定のイベントや映画に関する権利の仲介業者などの情報が記載されなければならない49

ところで、メディア州際協定57条にいう義務は、同条1項が「すべての放送事業者」と規定しているにもかかわらず、メディア州際協定50条1項1文が「第51条、および第53条から第68条までは、全国で提供されるコンテンツにのみ適用される」と規定していること、さらに、メディア州際協定57条の規定が「民間放送に関する特別な規定」(„Besondere Bestimmungen für den privaten Rundfunk“)について定めるメディア州際協定第4章(IV. Abschnitt)に含まれていることから、実際には全国放送を営む民間放送事業者にのみ適用されることになる50

3.3.宗教団体および政党に対する放送時間の付与義務の適用除外

メディア州際協定54条4項1文は、同68条の規定は認可不要な放送プログラムには適用されないと規定する。メディア州際協定68条は、民間の全国放送プログラムの事業者に対して放送時間の譲渡を請求する宗教団体および政党の権利について規定しており、それゆえ地方ないしローカルの放送プログラムの事業者には適用されない(メディア州際協定50条1文を参照)。メディア州際協定68条の規定内容は、既に1991年放送州際協定によって導入され(第24条)、その後1997年1月1日発効の第3次改正放送州際協定(3. RÄStV)において第42条に移動された後、メディア州際協定では、若干の変更がなされたうえで、第4章「民間放送に関する特別な規定」のうち「意見多様性の確保」(„Sicherung der Meinungsvielfalt“)に関する第3節(3. Unterabschnitt)の最後に置かれることとなった。同規定の内容は以下の通りである。

メディア州際協定68条【第三者に対する放送時間】

(1) プロテスタント協会、カトリック協会、およびユダヤ教徒コミュニティに対しては、要請に基づき、宗教番組の配信のための適切な放送時間が認められなければならない;当該放送事業者は、総原価(Selbstkosten)の返還を要求することができる。

(2) 政党には、ドイツ連邦議会選挙に参加する間、当該政党に対して少なくともひとつの州名簿が承認された場合には、総原価の返還と引換えに、適切な放送時間が認められなければならない。さらに、政党およびその他の政治団体は、欧州議会におけるドイツ連邦共和国を代表する議員の選挙に参加する間、当該政党および政治団体に対して少なくとも一人の候補者推薦が承認された場合には、総原価の返還と引換えに、適切な放送時間を請求する権利を有する。

ところで、メディア州際協定68条では「第三者の対する放送時間」(„Sendezeit für Dritte“)という概念が用いられているが、本規定は実際には、教会および政党のための放送時間についてのみ定めている51。本規定のうち、同68条1項によれば、放送事業者は、プロテスタント協会、カトリック協会、およびユダヤ教徒コミュニティ52に対して、要請に応じて、宗教番組の配信のための適切な放送時間を与えなければならないとされる。例えばイスラム教や自由教会などの他の宗教団体に対してはこうした請求権は認められていないが、放送事業者が自らこれらの宗教団体に放送時間を付与することは容認されていると解されている53。また、本条項によれば、放送事業者の当該義務は、適切な放送時間の付与に限定されており、それゆえ、放送資料の作成やライブ配信に際しての伝送線路(Sendestrecke)の構築を支援する義務はないとされている54。本条項に基づき放送事業者が教会に放送時間を付与した場合には、当該放送事業者は、そのために同事業者に発生した、例えば人件費や光熱費などを含む総原価の支払いを請求できる55

同様に放送事業者は、本条2項に基づき、政党およびその他の政治団体に対しても適切な放送時間を付与する義務を負う。請求権者は、連邦議会選挙および欧州議会選挙に際しては政党、欧州議会選挙に際しては政党およびその他の政治団体である。それゆえ非政党系有権者団体(Wählervereinigung)や個々の立候補者は請求権を有さない。また、州議会選挙における放送時間の請求権は、本条項では認められていない56

3.4.認可不要な放送の提供者と未成年者

メディア州際協定54条4項2文によれば、同53条は同条1項1号を除き、認可不要な放送に準用される。ところで、メディア州際協定53条は、2008年9月1日の第10次改正放送州際協定(10. RÄStV)において新たに挿入された放送州際協定20a条を踏襲した規定であり、民間の全国放送事業者に対する認可の付与の人的要件について規定している57。以下、メディア州際協定53条の規定内容、および同規定と認可不要な放送プログラムとの関係について詳述する。

(1)メディア州際協定53条の規定内容

メディア州際協定53条は、第1項において、民間の全国放送事業者が認可を得るために満たさなければならない人的な要請を列挙する。

メディア州際協定53条【全国放送の事業者に対する認可の付与】

(1) 認可は、以下にいう自然人または法人に対してのみ付与することができる。

  • 1. 行為能力が制限されていない者
  • 2. 官職に就く能力を判決によって失っていない者
  • 3. 基本法18条に基づき自由な意見表明の基本権を喪失していない者
  • 4. 団体として禁止されていない者
  • 5. ドイツ連邦共和国、欧州連合のその他の加盟国、または欧州経済領域に関する協定のその他の締結国において住所または所在地を有しており、かつ、裁判所によって訴追されうる者
  • 6. 法律の規定、およびこれに基づき行われた行政行為を遵守して放送事業を行うことが保証されている者

(2) 法人においては、第1項1号から3号まで、および6号にいう要件は、法律上の代表者または定款に基づく代表者によって満たされなければならない。株式会社の法形式にある放送事業者に対しては、株式会社の定款のなかで、株式を、記名株式としてのみ、または記名株式および無議決権優先株式としてのみ発行することができる旨を定めている場合にのみ、認可を付与することができる。

(3) 教会および大学を除く公法上の法人、その法定の代表者および管理職、ならびに政党および非政党系有権者団体(Wählervereinigung)に対しては、認可を付与することは許されない。同じことは、第1文で列挙された者と株式法15条にいう結合企業の関係にある企業についても妥当する。第1文および第2文の規定は、外国の公的機関または公的官署に準用する。

すなわち、同条項によれば、①第一に、全国放送の民間事業者は自然人または法人58でなければならない。それゆえ、民法上の組合の他、商事会社であっても法人格を持たない合名会社(OHG)や合資会社(KG)などの人的会社は認可を取得することができない59。②第二に、放送事業者は民法104条以下にいう行為能力がなければならない(1号)。法人が放送事業者の場合には、法人自体に行為能力が認められないため、その法律上の代表者または定款に基づく代表者がこの要件を満たさなければならない(第2項1文)60。③第三に、放送事業者は官職に就く能力を有していなければならない(2号)。官職に就く能力の喪失要件については刑法45条1項61が規定しており、それによれば「重罪を理由として1年以上の自由刑を言い渡された者」とされている。④第四に、基本法18条に基づき意見表明の自由の基本権を喪失した者は放送認可を取得できない(3号)。基本法18条は、意見表明の自由の喪失の要件として、この基本権が「自由で民主的な基本秩序に敵対するために濫用」されたこと、を挙げている。⑤第五に、基本法9条2項と結びついた結社法(Gesetz zur Regelung des öffentlichen Vereinsrechts(Vereinsgesetz))3条以下に基づき禁止された結社は、放送事業を行うことが禁止される(4号)。基本法9条2項および結社法3条に従えば、その目的もしくは活動が刑法に違反している結社、または憲法適合的秩序もしくは諸国民の間の協調の思想に反する結社は禁止される。⑥第六に、放送認可は、ドイツ連邦共和国、欧州連合のその他の加盟国、または欧州経済領域に関する協定のその他の締結国において住所または所在地を有しており、かつ、当該住所または所在地において裁判所によって訴追されうる者にのみ付与される(5号)。⑦第七に、放送認可の申請者は放送事業者としての信頼性(Zuverlässigkeit)を示さなければならない(6号)62

また、メディア州際協定53条2項は、第1項を補完して、法人の対する特別な人的要件について規定する。さらに、同3項によれば、放送の国家からの自由(Staatsfreiheit des Rundfunks)の要請は、国内における公法上の法人だけでなく、外国の公的機関または公的官署にまで及ぶとされる63

(2)認可不要な放送とメディア州際協定53条1項1号の規定の関係

メディア州際協定54条4項2文に従えば、認可不要な放送プログラムについては、放送認可が不要であるにもかかわらず、原則として認可付与のための規定が適用される64。すなわち、認可不要な放送プログラムの提供者は、メディア州際協定53条にいう認可のための人的要件を満たした場合にのみ、当該コンテンツの提供が許されるのである。

ただし、同54条4項2文によれば、認可不要な放送プログラムは、例外的に同53条1項1号が適用されない。つまり、当該放送プログラムの提供者は、無制限の行為能力を有する必要がない。したがって、例えばゲームのライブストリーミング・コンテンツ(Let‘s Plays)の領域において、認可義務のある放送コンテンツとは異なり、認可不要な放送プログラムを未成年者が運営することは可能である65

もっともメディア州際協定は、このような制限行為能力者が放送事業者として契約を締結した場合に、当該契約が有効となりうるか否かについてはなんら規定を設けていない。この点につき、学説のなかには、当該問題については民法106条以下が適用されるべきであり、それゆえ法定代理人である両親の事前同意があった場合にのみ当該契約は有効となりうると解する立場もある66

3.5.州メディア協会による情報および資料提出の要請

メディア州際協定54条4項3文は、「管轄権を有する州メディア協会は、第1項にいう放送プログラムの事業者に対して、第55条および第56条にいう情報および資料の提出を要請することができる」と規定する。すなわち同条項に基づけば、州メディア協会は、認可不要な放送プログラムの提供者に対して、認可義務を課されている放送プログラムの事業者の場合と同様に、メディア州際協定55条および56条にいう情報および資料の提出を要請することができる。とりわけ同55条1項および2項、ならびに同56条1文は以下のように規定されている。

メディア州際協定55条1項、2項【認可手続のための諸原則】

(1) 認可申請書には、申請者の氏名および住所、ならびに放送プログラムの内容、放送プログラムのカテゴリー(総合プログラムまたは専門プログラム)、放送プログラムの放送時間、伝達技術、および計画されている配信領域が記載されていなければならない。

(2) 必要な限りにおいて、管轄権を有する州メディア協会は、〔さらなる〕情報(Auskunft)、およびとりわけ以下に掲げる事項に及ぶさらなる資料(Unterlagen)の提出を要請しなければならない。

  • 1. 申請者に対する第62条にいう直接的および間接的な出資の記載、申請者の資本関係および議決権関係の記載、ならびに株式法(Aktiengesetz)にいう申請者との結合企業の資本関係および議決権関係の記載
  • 2. 第1号にいう出資者のうち租税基本法(Abgabenordnung)の第15条にいう親族に関する事項(Angabe)、〔さらに〕このことは、〔自然〕人の代理人、人的会社の代表者、または法人の組織の代表者にも妥当する
  • 3. 申請者の定款および〔申請者が定める〕規則
  • 4. 申請者に対する第62条にいう直接的または間接的な出資者の間に存在し、共同放送事業、信託関係、ならびに第60条および62条に基づく重要な関係に関連する合意
  • 5. 第1号から4号までに基づき提出された資料および事項が完全なものである旨の申請者による書面による宣言

メディア州際協定56条1項【情報請求権および調査権限】

(1) 管轄権を有する州メディア協会は、第60条から第67条まで、および第120条にいう責務の履行のために必要なすべての調査を実施し、かつ、そのすべての証拠を集めることができる。当該州メディア協会は、義務裁量に基づき事実の調査のために必要であるとみなした証拠を用いる。当該州メディア協会は、とりわけ、

  • 1. 情報提供を求めること、
  • 2. 行政手続法13条にいう当事者を聴聞し、証人および専門家から事情を聴取し、または当事者、専門家、証人から文書による見解を求めること、
  • 3. 記録および書類を採用すること、
  • 4. 検証を実施すること、ができる。

事実の解明が当事者によっては目的達成に至らず、またはその成功の見込みがない場合にはじめて、当事者ではない第三者が情報提供のために動員される。

メディア州際協定54条4項3文に基づき、州メディア協会は、認可不要な放送プログラムの提供者に対して、例えば、提供者の氏名、住所、放送プログラムの内容、放送プログラムのカテゴリー、放送時間、伝達技術、計画されている配信領域などの認可手続に際して必要な情報および資料(同55条1項)や、当該提供者の資本関係および議決権関係(同55条2項1号)、ならびに親族に関する情報および資料(同55条2項2号)などの提出を要請できる。

それに加えて、州メディア協会は、メディア州際協定60条から67条まで、および同120条にいう「意見の多様性の確保」の責務を履行するために必要な調査および証拠の収集を行うことができる(第56条1項)。

ただし、認可不要な放送プログラムの提供者に対する、メディア州際協定55条にいう州メディア協会の情報提供の要請(Auskunftsverlangen)は、認可義務のある放送コンテンツの場合とは異なり、州メディア協会の裁量に基づき行われると解されている。すなわち、認可義務を課されている放送プログラムについては、同55条2項が「〔さらなる〕情報、およびとりわけ以下に掲げる事項に及ぶさらなる資料の提出を要請しなければならない」と規定しているのに対して、認可不要な放送プログラムについては、同54条4項3文が「情報および資料の提出を要請することができる」と規定しているからである。この点につき、学説は、認可義務のある放送プログラムと認可不要な放送プログラムの差異に基づく合理的な区別であると解している67

4.認可不要の確認に関する審査手続および判断基準

2020年11月7日のメディア州際協定の発効に伴い、州メディア協会は、同州際協定で規定された諸基準を具体化するために複数の規則を制定した68。これらの規則は最終的に2021年4月に発効したが、そのうちのひとつが、メディア州際協定54条にいう認可不要な放送プログラムに関する審査手続および判断基準を定めたZFSであった。以下では、このZFSの内実につき、とりわけ①制定の経緯、②ZFSの目的・適用範囲、および州メディア協会の管轄権、③認可不要の確認に関する審査手続、④認可不要の確認に関する審査の「質的」基準、ならびに⑤認可不要の確認に関する審査の「量的」基準、に関して検討を加えることにする。

4.1.ZFSの成立の経緯

ところで、メディア州際協定54条1項は、前述のように、①「個人および公の意見形成にとってわずかな意義のみを有する」放送プログラム、②6ヶ月間の平均で同時接続ユーザーが20,000人未満の放送プログラム、③「予測された通りの発展を遂げた」放送プログラムは認可を要しないと規定し、コンテンツがどのような要件の下で認可義務を免除されるかについて定めている。ただし、これらの諸要件は放送技術のダイナミズムの発展に鑑みて「開かれた」(offen)ものと理解されており、それゆえメディア州際協定54条2項は、同条1項にいう認可不要の具体化は各州メディア協会の規則(Satzung)によって規律されると定めている69

これを受けて、州メディア協会は、2021年2月3日付けでZFSの草案を作成した。同草案の第6条は「この規則は、2021年4月15日に効力を発する」と規定するだけでなく(同1文)、同年4月14日までにすべての州メディア協会が内容上一致した規則を制定および公布しなければ、本規則は無効となる旨を規定していた(同2文)。そのため各メディア協会は、同規定に基づきそれぞれZFSを制定し、最終的に2021年4月14日の期限内にZFSを公布した70。ただし、いくつかの州メディア協会は、実際には2021年2月3日以前に既にZFSを作成・交付しており、例えばメクレンブルク・フォアポメルンの州メディア協会(MMV)は2021年1月27日に、ザールラントの州メディア協会(Landesmedienanstalt Saarland)は2020年12月4日にZFSを公布していた71

4.2.ZFSの目的・適用範囲、および州メディア協会の管轄権

ZFS第1条は、「この規則は、メディア州際協定54条1項にいう認可不要の具体化について規律する」と規定する。すなわちZFSの目的は、上述のように、メディア州際協定54条1項の規定を具体化することにある。また、ZFSの適用対象は、同2条1項によれば、全国向けに配信される放送プログラムである。

さらに、ZFSに基づく認可不要の確認に関する審査の管轄権は、原則として当該放送事業者が所在地もしくは住所を有している州のメディア協会、または所在地および住所がない場合には当該放送事業者の常設の滞在場所にある州のメディア協会が有している(ZFS第2条2項1文)。ただし、複数の州メディア協会が管轄権を有している場合、または当該放送事業者が外国に所在地を有している場合には、当該事件に最初に関わった州メディア協会が管轄権を有する(同2項2文)。

4.3.認可不要の確認に関する審査手続

メディア州際協定54条1項2文は、「管轄権を有する州メディア協会は、申請に基づき、異議不存在の証明書により認可不要の確認を行う」と規定する。すなわち、同条項は、放送事業者が、州メディア協会の異議不存在の証明書(Unbedenklichkeitsbescheinigung)を介して自己のコンテンツの認可不要を証明しうる可能性について規定している。こうした認可不要の確認に関する手続、すなわち異議不存在の証明書の交付請求に関する手続は、ZFS第3条において規定されている72

ZFS第3条【手続】

(1) 放送事業者の申請に基づき、管轄権を有する州メディア協会は、異議不存在の証明書により認可不要の存在を確認する。民間放送事業者は、自己の既存のまたは計画された放送プログラムに関して申請の権限を有する。

(2) 放送事業者は、認可不要の要件が存在していることを説明し、かつ疎明しなければならない。このことは、異議不存在の証明書の交付申請にかかわらず妥当する。

(3) 管轄権を有する州メディア協会の要請に応じて、放送事業者は、審査のために必要な資料および情報を提出しなければならない。このことは、とりわけ以下に掲げる事項を含む。

  • 1.ターゲット(Zielgruppe)およびユーザーの相互交流の可能性を含む、放送プログラムの内容
  • 2. 配信の頻度および配信時間(Häufigkeit und die Dauer der Ausstrahlung)
  • 3. 実際に使用された、または予定されている伝達方法(Übertragungswege)
  • 4. 伝達方法に応じて分類された、実際の技術的な射程範囲

(4) 管轄権を有する州メディア協会は、認可および監督のための委員会(ZAK)を介して、認可不要に関する決定を下す。

(1)放送事業者による申請

メディア州際協定54条1項1文に定める要件を満たした放送事業者は、同1項2文およびZFS第3条1項に基づき、異議不存在の証明書によって認可不要の存在の確認を申請することができる。立法理由書によれば、この申請は任意(fakultativ)であり、それゆえ異議不存在の証明書は必ずしも新しい放送プログラムの開始の要件となるわけではない73。また、この申請は、既存の放送プログラムだけでなく、将来的に計画されている放送プログラムに関して行うことができる(ZFS第3条1項2文)。

(2)放送事業者の説明義務および情報提供義務

放送事業者は、本手続のなかで、認可不要の要件が存在することにつき説明し、疎明しなければならない(ZFS第3条2項1文)。加えて、放送事業者は、州メディア協会の要請に応じて、認可不要の判断に必要な資料および情報を、放送事業者による異議不存在の証明書の交付請求にかかわらず提出しなければならない(ZFS第3条2項2文、同3項1文)74。その際、ZFS第3条3項2文によれば、とりわけ、①ターゲットおよびユーザーの相互交流の可能性を含む、放送プログラムの内容(1号)、②配信の頻度および配信時間(2号)、③実際に使用された、または予定されている伝達方法(3号)、ならびに④伝達方法に応じて分類された実際の技術的な射程範囲(4号)が報告されなければならない、とされる。このうち、①および②の事項は、後述するZFS第4条にいう「質的基準」の審査を可能とする情報である(ZFS第4条1項4号および5号を参照)75

(3)ZAKによる認可不要の決定

ZFS第3条4項に従えば、管轄権を有する州メディア協会は、放送認可につき管轄権を有する監督機関である「認可および監督のための委員会76」(Kommission für Zulassung und Aufsicht、以下「ZAK」と略記)を介して、認可不要に関する決定を下す。ただし、ZAKの決定により異議不存在の証明書が交付された場合でも、その後当該放送プログラムの枠組的条件に変更があり、その結果、当該コンテンツがもはや認可不要な放送ではなく認可が課される放送と位置付けられうるときには、管轄権を有する州メディア協会は、行政手続法49条2項1文3号に基づき、必要に応じて当該証明書を撤回することができるとされている77

4.4.認可不要の確認に関する審査の「質的」基準

メディア州際協定54条1項1号は「個人の、または公の意見形成にとってわずかな意義のみを有する放送プログラム」は認可を要しないと規定し、「質的基準」(qualitative Kriterien)に基づく認可不要の要件を定めており、さらにZFS第4条がその内容について詳細に規定する。以下、この質的基準につき詳述する。

(1)ZFS第4条の規定内容と放送プログラムの「影響力」

ZFS第4条は、メディア州際協定54条1項1号にいう質的基準につき、①「個人および公の意見形成に対する放送プログラムの意義の判断」に際して「考慮」すべき五つの基準を列挙するとともに(ZFS第4条1項)、②当該放送プログラムが「個人および公の意見形成に対してわずかな意義のみを有する」四つの状況を列挙している(ZFS第4条2項)。

ZFS第4条【質的基準】

(1) 個人および公の意見形成に対する放送プログラムの意義の判断に際しては、とりわけ以下の事項を考慮することができる。

  • 1. ジャーナリスティックかつエディトリアルな制作の程度(Grad)
  • 2. 視覚および/または聴覚的な制作の程度
  • 3. テーマ的な構成
  • 4. 放送事業者が開放している、ユーザーとの相互交流およびユーザー間の相互交流の可能性の程度
  • 5. 配信の頻度および配信時間

(2) 〔放送プログラムの内容が〕以下の場合には、放送プログラムは、(個別の事例に依拠して)個人および公の意見形成に対してわずかな意義のみを有するものと判断されうる。

  • 1. 放送プログラムの内容が、専らまたは主として(ausschließlich oder klar überwiegend)、商品またはサービスの売れ行きの促進を目的としている場合
  • 2. 放送プログラムの内容が、専らまたは主として、個人のライフスタイルの利益に関連している場合
  • 3. 放送プログラムの内容が、公のイベント(öffentliche Veranstaltung)に関連して提供される放送番組から構成されている場合
  • 4. 放送プログラムの内容が施設(Einrichtungen)のために提供される放送番組から構成されている場合であり、かつ、当該施設が同一の目的で利用されており、放送番組が当該施設でのみ受信可能であり、さらに当該施設において果たされるべき任務と放送番組が機能的関連性を有している場合

もっとも、認可不要の確認に関する審査の質的基準は、このZFS第4条で列挙される事項にとどまらないと解されている78。ところで連邦憲法裁判所は、従来から自己の判例のなかで、「放送は、メディアのなかでも、その『普及作用』(Breitenwirkung)、『即時性』(Aktualität)、『暗示力』(Suggestivkraft)ゆえに特別な意味と有する」と判示しており、「放送」の概念にとって重要な基準は、普及作用、即時性、暗示力であると解してきた79

この連邦憲法裁判所の判例を踏まえて、メディア州際協定の立法理由書も、「ジャーナリスティックかつエディトリアルな制作がわずかにのみ示されている放送コンテンツ、または確かに継続性を指向した番組スケジュールを有しているが、他の理由から伝統的な放送プログラムに妥当する影響力(Wirkkraft)を示していない放送コンテンツも、〔メディア州際協定54条1項1号にいう認可不要な放送プログラムに〕含まれうる。それについての詳細は、州メディア協会が規則によって規律する」と述べている80。すなわち、立法理由書は、放送プログラムが認可不要と認められるか否かの判断に際しては、当該放送プログラムが伝統的な放送と同様の「影響力」を有していないか否かが基準になると述べている。したがって、とりわけメディア州際協定54条1項1号にいう質的基準に基づき審査がなされる場合には、ZFS第4条にいう基準と同時に、こうした放送プログラムの「影響力」も考慮に入れなければならないと解されている。

(2)ZFS第4条1項にいう「考慮することができる」基準

ZFS第4条1項は「個人および公の意見形成に対する放送プログラムの意義の判断に際しては、とりわけ以下の事項を考慮することができる」と規定し、認可不要の判断に際しての四つの基準を列挙する。

第一に、ZFS第4条1項は「ジャーナリスティックかつエディトリアルな制作の程度」を挙げる(1号)。この基準に照らせば、一方で、例えば全国紙「Bild」で有名なAxel Springer社(Axel Springer SE)が自己のインターネット・プラットフォームである「bild.de」を介して提供するライブストリーミング・コンテンツについては、伝統的な放送に匹敵する「ジャーナリスティックかつエディトリアルな制作の程度」が認められることになる。他方で、動画配信プラットフォーム上の個人のライブストリームは、通常は「ジャーナリスティックかつエディトリアルな制作の程度」がわずかであるとみなされることになる。ただし、このようなコンテンツであっても、プロフェッショナルなゲームの実況プレイ動画(Let’s Plays)や、その内容が明らかに精錬されているライブストリーミング・コンテンツなどは、例外的にその「程度」が高いとみなされうる81

第二に、ZFS第4条1項は、「視覚および/または聴覚的な制作の程度」を挙げる(2号)。この基準によれば、例えば最近の多くのユーザー生成コンテンツ(UGC)は、様々な動画コンテンツやオーディオコンテンツを組み合わせて制作されていることから、通常は視覚または聴覚的な制作な程度が高いとみなされることとなる82

第三に、ZFS第4条1項は、コンテンツの「テーマ的な構成」を挙げる(3号)。この点、例えばゲームの実況プレイ動画であれば解説付きのゲームコンテンツがその構成の中心となる。ただし、ゲームの実況プレイ動画のなかにもこれ以外のテーマを同時に扱うものもあり、さらに、そもそもライブストリームで構成される多くのチャンネルは様々な異なるテーマでコンテンツを形成しており、実際にはそのテーマを区分することは困難であるとの指摘もなされている83

第四に、ZFS第4条1項は、「放送事業者が開放している、ユーザーとの相互交流およびユーザー間の相互交流の可能性の程度」を挙げる(4号)。ライブストリームでは、とりわけチャット機能やテレビ会議を介して、しばしば、事業者との相互交流だけでなく、他のユーザーとの相互交流をすることが可能となる。このため、こうした相互交流の程度も当該放送プログラムの認可不要の判断に際して考慮されうることになる。

第五に、ZFS第4条1項は、「配信の頻度および配信時間」を挙げる(5号)。これは、前述した連邦憲法裁判所がいう放送の「普及作用」というメルクマールから導き出された基準であり、配信の頻度が高くかつ配信時間が多い場合には、当該コンテンツは認可を義務付けられる放送とみなされることとなる84

(3)ZFS第4条2項にいう「意見形成に対してわずかな意義のみを有する」状況

ZFS第4条2項は、「以下の場合には、放送プログラムは、(個別の事例に依拠して)個人および公の意見形成に対してわずかな意義のみを有するものと判断されうる」と規定し、放送プログラムの内容に関連して意見形成に対してわずかな意義のみを有する状況を列挙する。

すなわち、第一に、ZFS第4条2項は、「放送プログラムの内容が、専らまたは主として、商品またはサービスの売れ行きの促進を目的としている場合」を挙げる(1号)。それによれば、例えば、玩具や化粧品を紹介するチャンネルやショッピングチャンネルが本条項にいう放送プログラムに該当することになる85。これに対して、ゲームの実況プレイ動画は、通常は「主として」ゲームの売れ行きを目的としていないため、本条項にいう放送プログラムには該当しない。

第二に、ZFS第4条2項は、「放送プログラムの内容が、専らまたは主として、個人のライフスタイルの利益に関連している場合」を挙げる(2号)。この点、とりわけゲームの実況プレイ動画は、通常は「主として」個人の娯楽、またはゲームの楽しさを伝達することに用いられていることから、本規定にいう放送プログラムに該当することになる86

第三に、ZFS第4条2項は、「放送プログラムの内容が、公のイベントに関連して提供される放送番組から構成されている場合」を挙げる(3号)。ところで、前述のように旧法である放送州際協定20条3項1文1号は「放送番組が、公のイベントの局地的領域において、および公のイベントと時間的に関連して、提供ないし配信される場合」には州法は「簡略化された認可手続を定めることができる」と規定されていた(本稿第2章2.3を参照)。ZFS第4条2項は、その文言は異なるもののこの放送州際協定20条3項1文1号を踏襲したものであり、それゆえ本条項にいう放送プログラムはいわゆる「イベント放送」を意味しているとされる87

第四に、ZFS第4条2項は、「放送プログラムの内容が施設のために提供される放送番組から構成されている場合であり、かつ、当該施設が同一の目的で利用されており、放送番組が当該施設でのみ受信可能であり、さらに当該施設において果たされるべき任務と放送番組が機能的関連性を有している場合」を挙げる(4号)。本条項は、旧法である放送州際協定20条3項1文2号を踏襲したものであり、条文の文言もほぼそのまま受け継いでいる(本稿第2章2.3を参照)。それゆえ、本条項にいう放送プログラムはいわゆる「施設放送」を意味しているとされる88

4.5.認可不要の確認に関する審査の「量的」基準

メディア州際協定54条1項2号は「6ヶ月間の平均で同時接続ユーザーが20,000人に到達しなかった放送プログラム、もしくは予測された通りの発展を遂げた放送プログラム」は認可を要しないと規定し、「量的基準」(quantitative Kriterien)に基づく認可不要の要件を定めている。さらに、ここでいう20,000人未満という同時接続ユーザー数を確定するための基準につき、ZFS第5条がその詳細を規定している。以下、この量的基準につき詳述する。

(1)ZFS第5条の規定内容および基準

ZFS第5条は、メディア州際協定54条1項2号にいう量的基準につき、①同時接続ユーザーの数を確定する際の三つの基準を列挙するとともに(ZFS第5条1項)、②同時接続ユーザー数が確定できない場合の算定方法(同条2項)、および③同時接続ユーザー数の算定のための期間について規定している(同条3項)。

ZFS第5条【量的基準】

(1) 放送プログラムの同時接続ユーザー(gleichzeitige Nutzer)の数を確定するために、以下の事項を基準としなければならない。

  • 1. インターネットによる放送配信の領域においては、6ヶ月間における、リニアの配信プロセスの全持続時間にわたる1分毎の視聴(Aufrufe)の平均(平均同時接続ユーザー数(average concurrent user))。視聴がリニアの配信プロセスごとに他の時間間隔で算定される限りにおいて、この時間間隔を根拠とすることができる。
  • 2. 地上波、衛星、およびケーブルシステムを介したテレビ配信の領域においては、6ヶ月間における、5分毎の視聴者(Seher)の数の平均。ひとつの放送プログラムの視聴が60秒未満である視聴者は考慮されない。
  • 3. 地上波、衛生、およびケーブルシステムを介したラジオ配信の領域においては、使用可能な放送視聴調査(Reichweitenerhebungen)の全体

(2) 第1項にいう同時接続ユーザー数が確定できない場合、またはひとつの放送プログラムが異なる伝送路を使用している場合には、同時接続ユーザーの数は、全体的見知(Gesamtbetrachtung)から算出されなければならない。

(3) 決定的な評価期間は、通常は、手続開始前の6ヶ月間である。

すなわちZFS第5条1項は、①インターネット放送、②テレビ放送、および③ラジオ放送に際して、それぞれの放送プログラムの同時接続ユーザー数を確定する際に依拠すべき基準について定めている。

それに従えば、第一に、インターネット放送に際しては、6ヶ月間における「1分毎の視聴の平均」、すなわち平均同時接続ユーザー数(Average Concurrent Users)が基準とされなければならない(同1号)。メディア州際協定の立法理由書によれば、ここでいう6ヶ月間の開始時期は、必ずしも当該放送プログラムの開始と一致する必要はなく、当該放送プログラムの配信後でもその開始時期となりうるとされている89。これに対して、州メディア協会の異議不存在の証明書の申請を行う場合には、通常は、ここでいう6ヶ月間は当該申請前の期間が基準とされなければならない(ZFS第5条3項)90。また、個別の事例において、本条項にいう同時接続ユーザー数を確定することが不可能な場合、またはひとつの放送プログラムが複数の異なる伝送路を使用している場合には、ZFS第5条2項に基づき、同時接続ユーザー数は「全体的見地から算出されなければならない」とされる。

第二に、地上波、衛星、およびケーブルシステムといった伝統的な伝送路を介したテレビ放送に際しては、6ヶ月間における、5分毎の「視聴者の数の平均」が基準とされなければならない(同2号前段)。ただし、ひとつの放送プログラムの視聴時間が1分未満である視聴者は、基準として考慮されない(同2号後段)。また、個別の事例において、本条項にいう同時接続ユーザー数を確定することが不可能な場合には、ZFS第5条2項に基づき、同時接続ユーザー数は「全体的見地から算出されなければならない」。その際、インターネット放送とは異なり、テレビ放送における同時接続ユーザー数の算定に際しては、とりわけZFS第5条1項3号に準用によって、「放送視聴調査」(Reichweitenerhebungen)が基準となりうると解されている91

第三に、地上波、衛生、およびケーブルシステムとった伝統的な伝送路を介したラジオ放送に際しては、使用可能な放送視聴調査に基づく全体的見地が基準とされなければならない(同3号)。

以上のように、ZFS第5条1項は同時接続ユーザーの数を確定する際の三つの基準を列挙するが、このうち伝統的な伝送路を介したテレビ放送とラジオ放送については、たとえ小規模な放送プログラムであっても「個人および公の意見形成」に対する一定の「意義」を有することが大半であるため、実際には本条項は、主としてインターネット放送に対して向けられたものであると解されている92

(2)「予測された通りの発展を遂げた」放送プログラムに対する量的基準

上述のように、メディア州際協定54条1項2号によれば、実際に「6ヶ月平均で同時接続ユーザーが20,000人に到達しなかった放送プログラム」だけでなく、「予測された通りの発展を遂げた」放送プログラムも認可を要しないとされる(本稿第2章2.2を参照)。すなわち、ある放送プログラムの配信が開始されたが、将来的に6ヶ月平均で同時接続ユーザーが20,000人に到達しないことが明らかな場合には、放送認可は不要となる。とりわけこの場合には、たとえ当該放送プログラムの開始後6ヶ月が経過していなくとも、州メディア協会の異議不存在の証明書を発行することが可能であるとされる93。ただし、ある放送プログラムの同時接続ユーザー数が6ヶ月平均で20,000人を超えていたが、この数値が一時的なものであり、将来的に20,000人を下回る可能性があることが明らかである場合には、放送認可は不要と判断される。そしてこのような「予測された通りの発展を遂げた」放送プログラムについても、ZFS第5条にいう基準を考慮して、審査がなされなければならない。

(3)平均同時接続ユーザー数の基準に対する学説の評価

上述のように、ZFS第5条1項は、とりわけインターネット放送の領域において、20,000人未満という同時接続ユーザー数を確定するために、「6ヶ月間における、リニアの配信プロセスの全持続時間にわたる1分毎の視聴の平均」という平均同時接続ユーザー数を基準として採用している(同1号)。学説によれば、確かにこの基準は、①インターネットを介したライブストリームにおいては算定が容易かつ迅速となり、その点から「望ましい」基準であると評価されている。②また、この基準は、実際に当該プログラムの「普及作用」を一定程度まで体現できると解されている。③それに加えて、現状では、この平均同時接続ユーザー20,000人という上限はかなり高く設定されており、それゆえ多くのコンテンツ提供者が、認可を得ることなしに自己のコンテンツを提供することが可能となっていると言われている94

しかしながら、この基準に対しては、①同時接続ユーザー数の6ヶ月平均という基準はあまりに変化しやすいため、ある程度までしか正確に把握しえない。②とりわけ多くのライブストリームは、その配信が6ヶ月を超えると視聴者数が減少する傾向にある。③通常は行われないことではあるが、例えばコンテンツの再送信を繰り返すなどの方法によって、提供者が意図的に同時接続ユーザー数を減少させることは可能である、などの批判も唱えられている95

5.むすびにかえて

以上、本稿は、2020年11月7日発効のメディア州際協定で新たに新設された「認可不要な放送プログラム」に関する第54条の規定、および同規定にいう「認可不要」の具体化について定めた州メディア協会の規則(ZFS)について分析した。これらの規定は、従来から議論されていた、インターネット上のライブストリーミング・コンテンツが認可を要する「放送」とみなされるのか否か、また、「放送」にあたるとしても当該コンテンツに認可義務を課すことにどれほどの意味があるのかという議論について、一定の解決方法を示したものと評価されている。

すなわち、旧法である放送州際協定では、ライブストリーミング・コンテンツの問題については、第一に、当該コンテンツが、「リニア」、「公衆」、「同時視聴」、「番組スケジュール」といった概念によって特徴付けられる放送州際協定2条1項1文にいう「放送」に該当するか否かの判断がなされ、第二に、①「潜在的な同時接続ユーザー数が500人未満のコンテンツ」、②「視聴デバイスのストレージから直接的に伝達されるコンテンツ」、③「個人的または家庭的な目的のみに用いられるコンテンツ」、④「ジャーナリスティックかつエディトリアルに制作されていないコンテンツ」、⑤「個別の対価を得てその都度提供される放送番組から構成されるコンテンツ」は「放送には該当しない」と規定する放送州際協定2条3項の列挙事項を満たすか否かの判断がなされていた96

これに対して、メディア州際協定では、当該コンテンツの提供に放送認可が必要であるか否かの判断に際しては、第一次的に、当該コンテンツが「リニア」、「公衆」、「同時視聴」、「番組スケジュール」、および「ジャーナリスティックかつエディトリアル〔な制作〕」といった概念によって特徴付けられるメディア州際協定2条1項1文にいう「放送」に該当するか否かの判断がなされることは、実質的に旧法と同じである。ただし、メディア州際協定では、たとえ上記の基準に基づき「放送」と分類されたコンテンツも、同54条に基づき、それが①個人および公の意見形成にとってわずかな意義のみを有する場合、②6ヶ月平均で同時接続ユーザーが20,000人に到達しなかった場合、または③予測された通りの発展を遂げた場合には、認可を要することなく配信が可能となるとされたのである。そしてメディア州際協定54条は、これらの諸要件は放送技術のダイナミズムの発展に鑑みて「開かれた」ものであるとの理解を前提に、この認可不要の具体化は各州メディア協会の規則によって規律されると規定した。これを受けて州メディア協会は、ZFSを制定し、認可不要の確認に関する審査手続に加えて、その審査の「質的」基準および「量的」基準の詳細を規定したのである。

さらに、メディア州際協定54条は、こうした認可不要な放送に対して、認可義務を課される放送に適用されるいくつかの規定を適用除外とするか、または制限的に適用されるとした。それとともに、上述した認可不要の「量的」基準に関して、旧法である放送州際協定2条3項が「潜在的な同時接続ユーザー数が500人未満のコンテンツ」は放送には該当しないと規定していたのに対して、メディア州際協定54条が「6ヶ月平均で同時接続ユーザーが20,000人に到達しなかった放送プログラム」は認可を要しないと変更したことから、メディア州際協定により、認可を得ることなく配信可能なライブストリーミング・コンテンツの要件は大幅に緩和されたのである。

確かに、こうした新たな法制度にもかかわらず、あるコンテンツが「認可不要な」放送プログラムの要件を満たすか否かが問題となった場合、いまなお個別の事例において、困難な判断を伴う審査が実施される可能性がある。しかしながら、実務においては、メディア州際協定54条およびZFSの規定によってビデオプラットフォーム上の多くのライブストリーミング・コンテンツは認可義務から広く開放されることとなり、将来的には個別の判断もより容易になっていくと評価されている97

ドイツのライブストリーミング・コンテンツに対する法規制はまだ始まったばかりであり、その評価が定まっているとはいえない状況である。ただし、こうしたドイツの法制度、およびそのあり方をめぐる議論は、日本におけるライブストリーミング・コンテンツと放送との区分に関する議論、およびそれに伴う「放送」概念の見直しをめぐる議論に多くの示唆を与えてくれるものと考えられ、比較法的観点からも今後のドイツの議論および実務に注視していくことにしたい。

〔付記〕本稿はJSPS科研費22K01286(令和4年度〜令和7年度)の研究成果の一部である。

脚注

1 愛知県立大学外国語学部准教授

2 Vgl. Chr.-M. Leeb/F. Seiter, Rundfunklizenzpflicht für Streaming-Angebote?, ZUM 2017, 573; F. Ferreau, Rundfunkbegriff und Rundfunkregulierung – Revision erforderlich?, ZUM 2017, 632; K. Bodensiek/M. Walker, Livestreams von Gaming Video Content als Rundfunk, MMR 2018, 136; C. Siara, Der Medienstaatsvertrag und die „neuen“ Medien, MMR 2020, 370; N. Schechinger, Zulassungsfreier Rundfunk nach § 54 MStV, ZUM 2021, 494.

3 ZAK-Pressemitteilung 02/2017 v. 31. 1. 2017.

4 ZAK-Pressemitteilung 07/2017 v. 21. 3. 2017.

5 epd medien 16/2018, S. 19.

6 VG Berlin, Urteil v. 26. 9. 2019 – 27. K 365. 18. 本判決につき、詳しくは、杉原周治「ライブストリーミング・コンテンツと放送認可」情報通信政策研究5巻2号1頁以下(2022)を参照。

7 とりわけ放送州際協定に基づくライブストリーミング・コンテンツに対する法規制につき、詳しくは、杉原周治「ストリーミング・コンテンツと法規制」メディア・コミュニケーション72号13頁以下(2022)を参照。

8 Vgl. Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (494).

9 Vgl. M. Martini, in: H. Gersdorf/B. P. Paal (Hrsg.), Informations- und Medienrecht, 2. Aufl. 2021, § 2 MStV, Rdnr. 31.

10 Vgl. S. Ory, Der Medienstaatsvertrag – Neuer Wein in neuen Schläuchen?, ZUM 2019, 139 (146).

11 各州メディア協会の定める手数料に関する規則(Kostensatzung)を参照。また、この点につき、Vgl. Ferreau, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2017, 632 (633).

12 Vgl. Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (494).

13 Begründung zum MStV, BayLT-Drs. 18/7640, 96.

14 Vgl. J. Weberling/B. Krüger, Zulassungsfreie Bewegtbild-Angebote von Medienunternehmen im Internet, AfP 2020, 470 (471 f.).

15 Vgl. Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (497); M. Martini, in: Gersdorf/Paal (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 9), § 54 MStV, Rdnr. 4.

16 この点につき、杉原周治・前掲注(7)メディア・コミュニケーション72号18頁を参照。

17 Ziffer 4 der Protokollerklärung aller Länder zum Staatsvertrag zur Modernisierung der Medienordnung in Deutschland vom 29. Juli 2020, Thür. GVBl. 21/2020, S. 418.

18 Vgl. Weberling/Krüger, a. a. O. (Anm. 14), AfP 2020, 470 (471).

19 Vgl. M. Paschke, in: M. Paschke/W. Berlit u. a. (Hrsg.), Hamburger Kommentar – Gesamtes Medienrecht, 4. Aufl. 2021, 7. Abschnitt, Rdnr. 7.

20 Vgl. Martini, in: Gersdorf/Paal (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 9), § 54 MStV, Rdnr. 14b.

21 Vgl. Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (498).

22 Vgl. Bodensiek/Walker, a. a. O. (Anm. 2), MMR 2018, 136 (141).

23 Vgl. Martini, in: Gersdorf/Paal (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 9), § 54 MStV, Rdnr. 22.

24 Vgl. Siara, a. a. O. (Anm. 2), MMR 2020, 370 (371).

25 Vgl. U. Bumke/M, Schuler-Harms/W. Schulz, in: R. Binder/T. Vesting (Hrsg.), Beck’scher Kommentar zum Rundfunkrecht, 4. Aufl. 2018, § 20 RStV, Rdnr. 102.

26 Vgl. Bumke/Schuler-Harms/Schulz, in: Binder/Vesting (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 25), § 20 RStV, Rdnr. 102.

27 Vgl. B. Holznagel, in: G. Spindler/F. Schuster (Hrsg.), Recht der elektronischen Medien, 4 Aufl. 2019, § 20 RStV, Rdnr. 14.

28 Vgl. Holznagel, in: Spindler/Schuster (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 27), § 20 RStV, Rdnr. 15 f.; Bumke/Schuler-Harms/Schulz, in: Binder/Vesting (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 25), § 20 RStV, Rdnr. 104 f.

29 Vgl. Holznagel, in: Spindler/Schuster (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 27), § 20 RStV, Rdnr. 18 f.; Bumke/Schuler-Harms/Schulz, in: Binder/Vesting (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 25), § 20 RStV, Rdnr. 106.

30 Begründung zum MStV, BayLT-Drs. 18/7640, 96.

31 Vgl. Bumke/Schuler-Harms/Schulz, in: Binder/Vesting (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 25), § 20 RStV, Rdnr. 108.

32 Vgl. Holznagel, in: Spindler/Schuster (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 27), § 20 RStV, Rdnr. 21; Bumke/Schuler-Harms/Schulz, in: Binder/Vesting (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 25), § 20 RStV, Rdnr. 108.

33 Vgl. M. Cornils, in: Gersdorf/Paal (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 9), § 15 MStV, Rdnr. 4 ff.

34 「視聴覚メディア・サービス指令」につき、さしあたり、市川芳治「欧州における通信・放送融合時代への取り組み」慶應法学10号273頁以下(2008)、安江則子「EUにおける視聴覚メディア政策と公共放送」立命館国際地域研究33号13頁以下(2011)、鳩貝真里「EU法における視聴覚メディアサービスと文化」政経研究50巻4号95頁以下(2014)、鈴木秀美/山田健太編著『放送制度概論』(商事法務・2017)241頁以下等を参照。

35 本指令の翻訳につき、井上淳「EU視聴覚メディア・サービス指令(翻訳)」メディア・コミュニケーション68号85頁以下(2018)を参照。

36 AVMD指令の第16条にいう、いわゆる欧州作品のクオータ制につき、井上淳「欧州連合におけるコンテンツ施策の考察」情報通信学会誌36巻4号75頁以下(2019)を参照。

37 Vgl. H.-R. Döpkens, in: Spindler/Schuster (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 27), § 6 RStV, Rdnr. 6 ff.; M. Kröber, in: Binder/Vesting (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 25), § 6 RStV, Rdnr. 6 ff.

38 Vgl. Döpkens, in: Spindler/Schuster (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 27), § 6 RStV, Rdnr. 1; Cornils, in: Gersdorf/Paal (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 9), § 15 MStV, Rdnr. 3.

39 Vgl. Cornils, in: Gersdorf/Paal (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 9), § 15 MStV, Rdnr. 3.

40 Vgl. Cornils, in: Gersdorf/Paal (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 9), § 15 MStV, Rdnr. 3.

41 Vgl. Cornils, in: Gersdorf/Paal (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 9), § 15 MStV, Rdnr. 9.

42 Vgl. Cornils, in: Gersdorf/Paal (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 9), § 15 MStV, Rdnr. 2 ff.; Kröber, in: Binder/Vesting (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 25), § 6 RStV, Rdnr. 3 ff.

43 Vgl. Döpkens, in: Spindler/Schuster (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 27), § 6 RStV, Rdnr. 14; Cornils, in: Gersdorf/Paal (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 9), § 15 MStV, Rdnr. 11.

44 Vgl. Döpkens, in: Spindler/Schuster (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 27), § 6 RStV, Rdnr. 21; Cornils, in: Gersdorf/Paal (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 9), § 15 MStV, Rdnr. 16; Kröber, in: Binder/Vesting (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 25), § 6 RStV, Rdnr. 128.

45 Vgl. Döpkens, in: Spindler/Schuster (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 27), § 6 RStV, Rdnr. 29.

46 Vgl. Chr. Nüßing, in: Spindler/Schuster (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 27), § 23, RStV, Rdnr. 1; M. Martini, in: Gersdorf/Paal (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 9), § 57 MStV, Rdnr. 2.

47 Vgl. Martini, in: Gersdorf/Paal (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 9), § 57 MStV, Rdnr. 1; Nüßing, in: Spindler/Schuster (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 27), § 23 RStV, Rdnr. 4.

48 Vgl. Nüßing, in: Spindler/Schuster (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 27), § 23 RStV, Rdnr. 3.

49 Vgl. U. Bumke/M. Schuler-Harms, in: Binder/Vesting (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 25), § 23 RStV, Rdnr. 16; Nüßing, in: Spindler/Schuster (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 27), § 23 RStV, Rdnr. 6.

50 Vgl. Martini, in: Gersdorf/Paal (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 9), § 57 MStV, Rdnr. 3 ff.

51 Vgl. N. P. Flechsig, in: Binder/Vesting (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 25), § 42 RStV, Rdnr. 21.

52 ユダヤ教徒コミュニティは、ドイツ国内で合計20の独立した団体で構成されているという。Vgl. Flechsig, in: Binder/Vesting (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 25), § 42 RStV, Rdnr. 26.

53 Vgl. Chr. Nüßing, in: Spindler/Schuster (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 27), § 42 RStV, Rdnr. 2.

54 Vgl. Nüßing, in: Spindler/Schuster (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 27), § 42 RStV, Rdnr. 3.

55 Vgl. Nüßing, in: Spindler/Schuster (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 27), § 42 RStV, Rdnr. 4.

56 Vgl. Flechsig, in: Binder/Vesting (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 25), § 42 RStV, Rdnr. 37.

57 Vgl. M. Martini, in: Gersdorf/Paal (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 9), § 53 MStV, Überblick; B. Holznagel, in: Spindler/Schuster (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 27), § 20a RStV, Rdnr. 1.

58 ドイツにおける法人の概念につき、さしあたり、村上淳一/守矢健一/ハンス・ペーター・マルチュケ著『ドイツ法入門(改訂第9版)』(有斐閣・2018)196頁以下を参照。

59 Vgl. Martini, in: Gersdorf/Paal (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 9), § 53 MStV, Rdnr. 3.

60 Vgl. Martini, in: Gersdorf/Paal (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 9), § 53 MStV, Rdnr. 5.

61 ドイツ刑法典の翻訳につき、法務省大臣官房司法法制部編『ドイツ刑法典』(法曹会・2007)を参照。

62 Vgl. Holznagel, in: Spindler/Schuster (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 27), § 20a RStV, Rdnr. 9; Martini, in: Gersdorf/Paal (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 9), § 53 MStV, Rdnr. 14.

63 Vgl. Martini, in: Gersdorf/Paal (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 9), § 53 MStV, Rdnr. 37.

64 Vgl. Martini, in: Gersdorf/Paal (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 9), § 54 MStV, Rdnr. 24.

65 Vgl. Martini, in: Gersdorf/Paal (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 9), § 54 MStV, Rdnr. 26.

66 Vgl. Martini, in: Gersdorf/Paal (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 9), § 54 MStV, Rdnr. 26.

67 Vgl. Martini, in: Gersdorf/Paal (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 9), § 54 MStV, Rdnr. 29.

68 epd medien 18/2021, S. 15. 州メディア協会が定めた規則には、ZFSの他、広告に関する規則、懸賞に関する規則、メディア州際協定99条にいう調停委員会(Schlichtungsstelle)に関する規則などがあった。

69 Begründung zum MStV, BayLT-Drs. 18/7640, 96; Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (496).

70 epd medien 18/2021, S. 15.

71 Vgl. Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (496 f.).

72 Vgl. Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (500).

73 Begründung zum MStV, BayLT-Drs. 18/7640, 97; Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (500).

74 Vgl. Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (501).

75 Vgl. Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (501).

76 ZAKにつき、詳しくは、杉原周治・前掲注(7)メディア・コミュニケーション72号19頁以下を参照。

77 Begründung zum MStV, BayLT-Drs. 18/7640, 97.

78 Vgl. Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (497).

79 例えば、Vgl. BVerfGE 90, 60 (87). この第8次放送判決(第1次放送受信料判決)(BVerfGE 90,60)につき、詳しくは、鈴木秀美『放送の自由(増補第2版)』(信山社・2017)253頁以下を参照。

80 Begründung zum MStV, BayLT-Drs. 18/7640, 96.

81 Vgl. Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (497).

82 Vgl. Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (497).

83 Vgl. Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (497).

84 Vgl. Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (498).

85 Vgl. Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (498).

86 Vgl. Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (498).

87 Vgl. Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (498).

88 Vgl. Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (498).

89 Begründung zum § 54 MStV, BayLT-Drs. 18/7640, 96.

90 Vgl. Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (499).

91 Vgl. Martini, in: Gersdorf/Paal (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 9), § 54 MStV, Rdnr. 15; Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (500).

92 Vgl. Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (500).

93 Begründung zum MStV, BayLT-Drs. 18/7640, 96; Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (500).

94 Vgl. Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (499).

95 Vgl. Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (499).

96 州メディア協会のHP(https://www.die-medienanstalten.de/)に掲載されている、メディア州際協定発効前の2018年3月27日作成のチェックリスト(Checkliste zur Einordnung von Streaming-Angeboten im Internet)によれば、当該コンテンツに放送認可が必要か否かの判断に際しては、当該コンテンツが、とりわけ①「リニアの情報・通信サービス」であるか否か、②「ジャーナリスティックかつエディトリアル」に制作されたものであるか否か、③「番組スケジュール」に基づいて提供されているか否か、④「以下にいうコンテンツは放送には該当しない」と規定する放送州際協定2条3項で列挙された事項をみたすか否か、という四つの基準に基づいて行われると指摘されていた。この点につき、杉原周治・前掲注(7)メディア・コミュニケーション72号24頁を参照。

97 Vgl. Schechinger, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2021, 494 (501).

 
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