Journal of Information and Communications Policy
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Machiko Sakai
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2024 Volume 7 Issue 2 Pages 29-45

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要旨

本論文は、著作権侵害対策としてコンテンツ共有プラットフォームでなされるコンテンツ・モデレーションに着目し、サービスプロバイダに対する各種規制においてユーザーの利益をいかに考慮すべきかを明らかにすることを目的とする。EUのデジタル単一市場著作権指令(DSMCD)17条及び関連する欧州司法裁判所(CJEU)での裁判例、そしてDSMCD17条を国内法化したドイツの著作権サービスプロバイダ責任法(UrhDaG)の各規定を検討した。

DSMCD17条4項は、オンラインコンテンツサービスプロバイダ(OSCCP)が自らのサービス上での著作権利侵害を抑制・予防するため、侵害著作物の利用不可能性を確保するために最善の努力を払うことを義務付けており、OSCCPはアップロードフィルター等の導入が事実上不可避であった。しかし、フィルタリングツールの導入はオーバーブロッキングを伴う可能性があり、ユーザーの表現及び情報の自由との関係で懸念が示されていた。CJEUが2022年に出した判決(C-401/19)では、17条4項の解釈は同条の他の規定をも考慮すべきであり、17条7項における合法的なコンテンツのブロッキングを防止するための措置や、同9項における不当なブロッキングに対抗するための効果的な救済措置の確立によって、EU基本権憲章11条によって保護されるユーザーの表現及び情報の自由に関する権利と、同憲章17条2項で保護される知的財産権との公正なバランスを確保するための保護措置を有していると判断された。したがって、権利者の利益だけでなく、コンテンツをアップロードするユーザーの利益も十分に考慮すべきであることが示されている。

UrhDaGはさらに一歩踏み込み、ユーザーの利益を保護する方針を打ち出した。同9条では、コンテンツが「推定的に許容された利用」(権利制限規定等の下で許容される利用)に該当する場合、OCSSPは原則として公に伝達しなければならないとしており、OSCCPに適切なフィルタリングツールの設計を実質的に求めている。

本論文では、フィルタリングツールの利用が不可避な中でユーザーの利益を考慮するためには、(1)フィルタリングツールの設計方針、(2)サービスプロバイダに適切な設計を促すための強制力、(3)フィルタリングツールを評価するための透明性とデータアクセス、(4)事後救済手続の内容と法的性質(「ユーザーの権利」の観点など)が必要となる点を指摘した。EUでの議論は日本法にも一定の示唆を与えるものであり、今後さらなる検討が必要であると結論付けた。

Translated Abstract

This paper examines the issues related to copyright content moderation on content-sharing platforms. Specifically, it discusses the EU's Digital Single Market Copyright Directive (DSMCD), relevant court decisions (C-401/19), and the transposition in Germany, the Act on the Copyright Liability of Online Content Sharing Service Provider (UrhDaG), focusing on the importance of regulations that consider user interests.

Article 17(4) of the DSMCD obliges online content-sharing service providers (OSCCPs) to use their best efforts to ensure the unavailability of copyrighted works, and to fulfil this obligation, OSCCPs would inevitably introduce so-called automated upload filters. However, concerns were raised in relation to users' freedom of expression and information, as upload filters may involve over-blocking; the interpretation of Article 17 given in C-490/19, suggests that other provisions of Article 17, such as Article 17(7) and (9), may take measures to prevent blocking of lawful content and to establish effective and prompt complaint procedures to challenge unjustified blocking, and that the provisions of Article 17 as a whole should be balanced, taking into account not only the interests of rights holders and service providers, but also the interests of users.

The UrhDaG has gone one step further with a policy of protection of user interests: Article 9 of the UrhDaG introduces a new category of "uses presumably authorized by law" (uses permissible under any statutory limitation to copyright) that an OCSSP must, in principle, communicate to the public.

In the face of the inevitable use of automatic upload filters, this paper shows that proper content moderation will require (1) considerations of policies for the appropriate design of upload filters, (2) enforcement against OSCCPs, (3) transparency and data access for evaluating upload filters, and (4) the content and legal nature of ex-post remedy procedures (e.g. from the perspective of 'user rights'). It concluded that the discussions in the EU have certain implications for Japanese law and that further study is needed in the future.

1.はじめに

YouTubeをはじめとするコンテンツ共有プラットフォーム上では、日夜様々なコンテンツがユーザーによって大量に生成・アップロードされ、広く流通している。これらのコンテンツの中には、他人の名誉毀損表現や誹謗中傷表現を含むものに加え、他人の著作権を侵害するものがある。コンテンツ共有サービスを提供する事業者(サービスプロバイダ)は、プラットフォーム上を流通する違法・有害コンテンツを検出し、当該コンテンツの削除やアップロードの防止、アカウント凍結等の対応を行うことが求められ、これは「コンテンツ・モデレーション」と呼ばれている2。コンテンツ・モデレーションを効果的に行うための技術発展は目覚ましく、AI等を利用して、自動的に(かつより効果的に)違法コンテンツを検出し、プラットフォーム上から取り除く技術(フィルタリングツール)が一般的に用いられるようになっており、サービスプロバイダの側も過度の負担とならない形で自動的・網羅的な削除対応が可能である。

これまでプラットフォーム上の違法コンテンツ、とりわけ著作権侵害コンテンツの流通対策に関する日本及び諸外国の法規制では、サービスプロバイダは、権利者からの通知等によって侵害を現実に認識したのちに迅速に当該コンテンツの削除やアクセス不能等の措置をとることで、侵害に対する法的責任を負わないこととされ、一定の条件のもとプロバイダの責任を制限してきた。しかしながら、大量のコンテンツがプラットフォーム上で流通する中で、権利侵害の予防・抑制の必要性は年々高まっており3、著作権法の分野では、EUを中心にサービスプロバイダに対する責任の厳格化が進んでいる4

サービスプロバイダが侵害抑制対応を強化するためには、フィルタリングツールの導入が暗黙の前提とされている。しかし、フィルタリングツールは発展途上で、本来違法ではない利用態様で作られたユーザー生成コンテンツもプラットフォーム上からしばしば取り除かれてしまうことが指摘されており、例えば、著作権法上の権利制限規定等によりユーザーに許容された行為との関係、ひいてはユーザーの表現の自由との関係が問題となりうる。コンテンツ・モデレーションを伴うプラットフォーム規制を深化させていく上で、権利者側の利益、サービスプロバイダの利益のみならず、ユーザーの利益をいかに考慮して設計を行うかという点は喫緊の課題であるといえる。

本論文では以上のような問題意識を踏まえ、著作権侵害対策としてコンテンツ共有プラットフォームでなされるコンテンツ・モデレーションに着目し、サービスプロバイダに対する各種規制においてユーザーの利益をいかに考慮すべきかという点につき検討を行う。特に、サービスプロバイダに対する厳しい規制が話題となったEUのデジタル単一市場著作権指令(Digital Single Market Copyright Directive: DSMCD)517条をめぐる議論、及び当該指令の加盟国内法における実施過程においてドイツで設けられた著作権サービスプロバイダ責任法6(Urheberrechts-Diensteanbieter-Gesetz: UrhDaG)の各規定において、ユーザーの利益がどのように考慮されているかという点について検討を行い、日本への示唆を得ようとするものである。

2.DSMCD17条とCJEUによるCSMCD17条の評価

2019年にEUで成立したDSMCDのうち、本報告に関係するのは17条である(2016年の同指令草案では13条)7。これは、著作権等で保護されるコンテンツのオンラインサービスによる利用のうち、2条6項にいうオンラインコンテンツ共有サービスプロバイダ8(Online Contents-Sharing Service Provider: OCSSP)を対象に、同条の内容を踏まえて諸規定を各加盟国が国内法で制定することを求めたものである。

17条が設けられた背景には、いわゆるValue Gap問題(サービスプロバイダがコンテンツ共有から得る収益と、権利者に還元される収益との間で著しい不均衡が存在しているという問題)がある9。この問題を解消するために、サービスプロバイダの責任を厳格化し、サービスプロバイダがより積極的にコンテンツ・モデレーションを行い権利侵害の予防・抑制を図ることを促しつつ、権利者へ利益還元するような仕組みを作ることが目指されたものといえる。

2.1.DSMCD17条の構造10

17条ではまず、ユーザーによりアップロードされた著作物等を公衆がアクセス可能なようにしているOCSSPを、公衆への伝達行為または公衆に利用可能にする行為の主体であると位置付け、加盟国にそのように規定することを求めている(17条1項前段)。したがって、OCSSPは著作物等を公衆へ伝達または公衆に利用可能にするために、ライセンス契約の締結等を通じて権利者から許諾を得なければならない(17条1項後段)。また、OCSSPは公衆への伝達行為または公衆に利用可能にする行為をする場合、電子商取引指令14条に基づくホスティングプロバイダとしての免責を受けられない(17条3項)。

そして、OCSSPが権利者から何らの許諾も得られない場合は、以下の要件を満たさない限り、OCSSPは許諾のない公衆伝達行為等に関する責任を負う、と定めた(17条4項)。すなわち、(a)許諾を得るために最善の努力(best efforts)をしたこと、(b)権利者が関連する必要な情報をサービスプロバイダに提供した特定の著作物および他の保護対象物を、確実に利用できないようにするため、専門家としての注意に求められる高度の業界水準に従って、最善の努力をしたこと、そして(c)通知された著作物または他の保護対象物へアクセスできないようにするため、またはウェブサイトからそれらを削除するため、十分に理由を示した権利者からの通知を受領した後直ちに、迅速に対応し、かつ(b)に従ってそれらが将来アップロードされないよう防止する最善の努力をしたこと、である。ただし、OCSSPはこれらの要件を満たすために、プラットフォーム上のコンテンツ流通を常に監視することは求められていない(一般的監視義務の否定。17条8項)。

OCSSPと権利者によってこれらのコンテンツ・モデレーションが積極的になされると、ユーザーが他人の著作物を含むコンテンツを適法に制作しアップロードした場合であっても、誤ってアップロードを防止する、削除するといったいわゆる誤検出(false positive)の問題が浮上する。そこで、17条7項第1段落では、「オンラインコンテンツ共有サービスプロバイダと権利者との協力は、利用者によってアップロードされた著作物または他の保護対象物の利用可能性を妨げる結果を招来してはならない」と定め11、ユーザーが生成コンテンツをアップロードし利用可能にする際、(a)引用、批評、レビュー、または(b)風刺、パロディ、カリカチュアの目的における利用に関する既存の例外または制限を援用できることを加盟国が保証しなければならないとした(17条7項第2段落)。さらに、ユーザーに対する救済手続を19条9項で定めている。例えば、OCSSPとユーザーとの間で、アップロードされた著作物等の削除やアクセス不能に関する紛争が発生した場合、ユーザーが利用可能な迅速な不服申立て及び是正手続きをOCSSPが導入することを規定するよう加盟国に求め(17条9項第1段落)、さらに加盟国は、紛争解決のために裁判外の救済手続きを利用できること、及び、特に、権利制限規定の享受を主張するためにユーザーが裁判所等を利用できることを保証しなければならないとした(同項第2段落)。

このDSMCD17条はその制定過程において激論を呼び、成立後も様々な批判が存在する12。特に17条4項に基づいてサービスプロバイダが行う対応は、権利者の著作権保護にとっては適切であるとする見解13がある一方で、これらの対応を行う際には、制定過程では条文の文言から外されたものの、事実上アップロードフィルター等のフィルタリングツールの導入が想定されているため、ユーザーが本来適法になせるはずのアップロード行為もブロックしてしまい、ユーザーの表現の自由に対する萎縮効果が発生しうるといった批判14も根強い。実際、YouTubeのコンテンツID等は技術的に発展途上にあり、過剰なコンテンツブロッキングが現実に生じていることも指摘されている15

2.2.Poland v. Parlament and Council, C-401/19

このような状況を踏まえ、ポーランドは2019年7月、欧州司法裁判所(Court of Justice of the European Union: CJEU)において取消訴訟を提起し、DSMCD17条4項(b)及び(c)を取り消すこと、また代替案として、当該規定を、その実質を変更することなくDSMCD17条の他の規定と分離することが不可能であると裁判所が考える場合、17条を全体として取り消すことを求めた。主張の要点は、OCSSPが免責されるためには、コンテンツの流通に関して予防的に監視をする必要があり、そのためには事実上アップロードフィルター等のツールを使用しなければならないため、17条4項(b)及び(c)の規定は表現及び情報の自由に対する制限を構成し、当該制限の正当化もできないというものであった。これについて、CJEUは2022年4月26日に、結論としてポーランドの訴えを退ける判決を下した(C-401/19, ECLI:EU:C:2022:297)16。その判断枠組みは以下のとおりである。

まず、17条で導入されたOCSSPの法的責任に関するレジームが、表現及び情報の自由に関する権利行使を制限するものであるか否かという点について、CJEUはこれを肯定した。DSMCDにおいてOCSSPが免責されるためには、17条4項(b)及び(c)において、権利者からの情報又は通知の受領を条件に当該OCSSPがプラットフォーム上でユーザーがアップロードを希望するコンテンツの事前審査(prior review)を実施することを事実上義務付けており(para53)、さらに事前審査の実施のために、自動的な検出・フィルタリングツールを使用することが要求されているとした(para54)。したがって、OCSSPに関してDSMCD17条4項に定められた特定の責任レジームは、「EU基本権憲章11条で保障されている、コンテンツ共有サービスの利用者の表現及び情報の自由に関する権利の行使に対する制限を伴うと結論づけなければならない」とした(para58)。

その上で、これらの制限がEU基本権憲章52条1項に定める要件を満たし正当化されるか否かという点について、CJEUは以下のような検討を行い、結論としてこれを肯定した。

EU基本権憲章52条1項では、①同憲章が認める権利及び自由の行使に対するいかなる制限も、法によって規定され、かつ、②これらの権利及び自由の本質を尊重するものでなければならないとし、 ③比例原則に従い、制限は、それが必要であり、欧州連合が認める一般的利益の目的または他者の権利及び自由を保護する必要性に真に合致する場合に限り設けることができると規定している(para63)。CJEUは、同項に照らした審査を行う上では、DSMCD17条4項だけでなく、この責任レジームを規定・補足する他の条文、特に同条7項から10項も考慮する必要があり、さらに立法目的(著作権及び隣接権の権利者保護)も考慮しなければならないとした(para69)。

第一の点について、当該制限を定めるDSMCD17条4項(b)及び(c)では、OCSSPが採らなければならない実際の措置を規定していないが、これはOCSSPの状況、業界慣行、技術発展に適応するためであり(para73)、欧州人権裁判所の判例においても、制限を含む法律が状況の変化に対応できるように十分に開かれた条件で策定されることは妨げられていないとした(para74)。EU基本権憲章16条で保障されるOCSSPの企業活動の自由を尊重し、さらにEU基本権憲章11条で規定されたユーザーの表現及び情報の自由と同憲章17条2項で保護されている権利者の知的財産権との間の公正なバランスを尊重するためには、求められた結果を達成するために講ずるべき具体的措置の決定をOCSSPに委ねることは必要ともいいうるとした(para75)。

第二の点について、CJEUは、DSMCD17条7項・9項及びリサイタル66・70から、EU基本権憲章11条に謳われるサービス利用者の表現及び情報の自由に関する権利と、問題となる様々な権利利益との間の公正なバランスを保護するため、「17条4項(b)及び(c)では、OCSSPに課された義務の履行において、著作権及び隣接権を侵害しないコンテンツを当該プラットフォームで共有するユーザーの基本権の本質に影響を与えるような措置を講じることに繋がってはならないと定めている」と述べ(para80)、ユーザーの表現及び情報の自由に関する権利の本質を尊重していると判断した。

第三の点については、立法目的に対して当該制限という手段が適合的(appropriate)かつ必要である(necessary)こと、さらに狭義の比例性を満たすことの3点が求められる。DSMCD17条でOCSSPに課される義務は、「著作権に関して十分に機能する公正な市場の達成に貢献するような方法で知的財産権が保護されることを確保することを求める」ためのものであり、そのために17条4項で規定された責任レジームは、手段の適合性だけでなく必要性も満たすものであるとした(para82-83)17

そして、狭義の比例性については以下の6点を考慮している。すなわち、

  • ①DSMCD17条7項及び9項、リサイタル66及び70の説明から、EUの立法府は、合法的なコンテンツをフィルタリングして遮断する措置を除くことで、同4項(b)及び(c)で規定された義務を導入する際に要求される手段につき明確で正確な制限を設けたこと(para85-86)18
  • ②同17条7項第2段落で、引用・批評・カリカチュア・パロディ・パスティーシュといった特定の目的のためにユーザーが作成したコンテンツをアップロードし、利用可能にする権限を確保するよう加盟国に求めていること(para87)。さらに利用者の権利の確保という意味では、同17条9項第4段落で、OCSSPは利用規約で、EU法に規定される著作権及び隣接権の例外または制限の下で著作物等を利用できることをユーザーに通知するよう求めていること(para88)
  • ③特定のコンテンツを利用できなくするOCSSPの責任は、当該権利者が当該コンテンツに関連する必要な情報を提供することが条件であること(para89)
  • ④同17条8項は、一般的監視義務を否定することで「オンラインコンテンツ共有サービスのユーザーの表現及び情報の自由に関する権利が守られることを確保するための追加的な保護措置を提供している」こと(para90)
  • ⑤同17条9項第1段落及び第2段落は、同17条7項及び8項に規定された内容に追加して、様々な手続上の保護措置を導入しており、これによって、OCSSPが誤って、または不当に合法コンテンツをブロックするといった場合に、ユーザーの表現及び情報の自由を保護することが可能であること(para93)
  • ⑥同7項〜9項に規定された保護措置を補足するものとして、同17条10項はOCSSPと権利者の協力のためのベストプラクティスを議論する関係者対話の開催等を義務付けていること(para96-97)

以上からCJEUは、DSMCD17条4項、特に(b)及び(c)で規定された免責要件から生じるOCSSPの義務は、基本権憲章11条によって保護される当該サービスのユーザーの表現及び情報の自由に関する権利の尊重を確保し、そして当該表現及び情報の自由に関する権利と、同憲章17条2項で保護される知的財産権との公正なバランスを確保するために、EUの立法府による適切な保護措置を伴っているとした(para98)。

その上で、加盟国はDSMCD17条を国内法化する際、「憲章によって保護される様々な基本権の間で公正なバランスを取ることを可能にする当該規定の解釈に基づいて行動するよう注意」しなければならず、さらに「加盟国の当局と裁判所は、同規定と整合する方法で国内法を解釈するだけでなく、これらの基本的権利や、比例原則などのEU法の他の一般原則と抵触するような同規定の解釈に基づいて行動しないようにしなければならない」点にも言及している(para99)。

CJEUは以上のすべての考慮事項に照らして、ポーランドの訴えを棄却した。

2.3.DSMCD17条(7)及び(9)の位置付けとユーザーの利益

以上のようにC-490/19において、CJEUは、17条4項で規定された免責要件から生じるOCSSPの義務がユーザーの表現及び情報の自由を侵害するか否かを判断するにあたって、当該責任レジームを規定・補足する他の条文、特に17条7項から10項に挙げられた規定を十分に考慮しなければならないと考えていることが明らかとなった。しかも、加盟国における実施に際しては、単に文字通り17条の規定をそのまま導入するだけでなく、憲章によって保護される様々な基本権の間で公正なバランスを取ることを可能にするように、当該規定の解釈に基づいて行動することが求められた19

17条7項に関しては、17条4項(b)及び(c)のような「最善の努力」義務の要求ではなく、「達成されるべき特定の結果(a specific result to be achieved)」を規定しているとした(para78)。すなわち、17条7項は結果義務を含むものであり、同4項との関係においてより高い義務を負っていると理解されている20

また判決では、利用者の権利を確保する手段として、事後的な不服申立てや救済の仕組みにのみ依存するような17条の解釈の可能性を否定している。この解釈の立場は、C-490/19の審理においてスペイン、フランス、ポルトガルが主張した立場でもある。EU法に定める例外または制限に基づく使用といった適法な利用(legitimate uses)が、同条9項のような救済手続により事後的に許容されるのではなく、事前に許容されるべきであるという点を17条7項が明言していない点は以前から指摘されてきたところであるが21、同判決によって、まず何よりも事前のアップロードフィルター等にかかる措置を検討し、同項の内容を踏まえて適切に規律しなければならないことが示された。

従来DSMCD17条の紹介では、サービスプロバイダに対する責任の重さや侵害抑制のための努力義務の強さに力点が置かれる傾向にあったが、C-490/19での判断も踏まえると、権利者側の利益、事業者の利益のみならず、アップロードを行うユーザーの利益もそれ自体十分に考慮に入れる必要があることが意識され法設計がなされている(かつそのように解釈しなければならないと考えられている)点は注目に値する。

その上で、事前に許容されるべき適法な使用の範囲や、救済手続の仕組み作りについては、加盟国の実施に任されている状況である22。次章ではドイツで制定されたUrhDaGの各規定を確認し、ユーザーの利益がどのように考慮されているのかをみる。

3.UrhDaGの構造とユーザーの利益の考慮

DSMCD17条を国内法化するものである著作権サービスプロバイダ責任法(UrhDaG)は2021年5月31日に制定され、同年8月1日に施行された。国内法化の過程では、DSMCD17条に規定される複雑な要件を組み込み、著作権者、サービスプロバイダ、ユーザーの権利利益のバランスを図りつつどのように条文を作り上げていくかが課題になった。UrhDaGの制定に際して、立法者は、DSMCDの複雑な規制構造を考慮して、著作権法の関連する箇所を選択的に修正するのではなく、新法を制定することを選択し23、また指令の条文をそのまま文字通りに国内法に組み込むのではなく、実体的・手続的規定を通じて指令の要件をさらに具体化することを選択した24。その結果、ドイツの規定はDSMCDで定められた範囲を超えるものもあり、一種の「独自路線(Sonderweg)」25と評されている。

3.1.UrhDaGの構造

UrhDaGでは、対象となるサービスプロバイダをサービス提供者(Dienstanbieter)として定義し(2条1項)、サービス提供者がユーザーによってアップロードされた著作物へのアクセスを公衆に提供する場合、公衆伝達行為の主体であるとした(1条1項)。そして、サービス提供者が4条及び7条から11条に基づく義務を、比例原則を考慮しつつ当該業界において一般的な高水準に従って履行する場合は、公衆への伝達につき著作権に基づく責任を負わないとした(1条2項)。特にDSMCD17条4項との関係では、サービス提供者が公衆に伝達するためのライセンス契約を得るための最善の努力を払い(UrhDaG4条1項)、いわゆるステイダウン措置を講ずることで可能な限り将来にわたり無許諾公衆伝達行為の遮断を保証する義務を負うとした(同法7条1項・8条1項及び3項)。

他方で、アップロードされた著作物の利用可能性を妨げないための規定として、DSMCD17条7項第1段落との関係では、UrhDaG7条1項及び8条1項に基づく措置が、法律で利用が認められたユーザーまたは権利侵害のないユーザーがアップロードしたコンテンツを利用できなくする結果をもたらさないものとすることが定められた(7条2項・8条2項)。権利制限規定との調整については、引用(5条1項1号)及びカリカチュア・パロディ・パスティーシュ(同2号)を目的とした著作物の公衆への伝達は認められるとした。さらにUrhDaGでは、著作権法1章6節の権利制限規定に従い、1号及び2号に該当しない公衆への伝達のうち法的に認められた場合も、公衆伝達は認められるとした(同3号)。

DSMCD17条9項で示された救済措置については、まずUrhDaG7条3項で、サービス提供者は利用者に対してコンテンツを遮断したことを直ちに通知し、14条に従い苦情を申し立てる権利があることを伝える必要があるとした。さらに13条以下で、苦情処理手続及び救済手続の具体化がなされている。14条1項では、「サービス提供者は、利用者及び権利者に対し、ブロッキング及び保護著作物の公衆への伝達に関する効果的、無償かつ迅速な苦情処理手続を提供しなければならない」とし、サービス提供者が内部で苦情処理手続ができる体制を整える必要があることが示されるとともに、関係者全員に対し意見主張の機会を付与することや、苦情提出後遅くとも1週間以内に苦情につき判断することといった義務を負うことも規定された(同3項)。また、サービス提供者は14条に基づく義務を履行するために外部の苦情処理機関を利用することができ(15条)、権利者及び利用者は裁判外での紛争解決手段を使うこともできるとした(16条)。さらに18条で、権利者による不当な請求が続く場合、適切な期間、関連する手続きから除外するといった措置も規定された。

DSMCDと異なるUrhDaG独自の規定としては、第一に、様々な場面でサービス提供者が権利者へ適切な報酬を支払うことが義務付けられている点である(4条3項、5条2項、12条)。これは、アップロードフィルター等の自動化された識別技術の使用をできるだけ回避しつつ、代わりに適切な報酬の付与を通じて権利者の利益を考慮しようとするものであることが指摘されている26

第二に、9条以下に「推定的に許容された利用(mutmaßlich erlaubte Nutzungen)」に関する規定を設けたことである。これは、ユーザー作成コンテンツのうち、①第三者の著作物または複数の著作物を半分未満含むものを②他のコンテンツと組み合わせ、かつ③第三者の著作物を軽微な範囲でのみ利用する27(10条)または当該ユーザー作成コンテンツが法的に許可されているとのフラグがある(11条)ものについて、その利用が5条に照らして認められているという反証可能な推定がなされるということであり、この「推定的に許容された利用」の場合、「自動化された手続を利用する際に生じる過度なブロッキングを回避するため、……14条の苦情処理手続の結論が出るまで公に伝達される」と規定された(9条1項)。したがって、「推定的に許容された利用」の場合、権利者が14条の苦情処理手続を通じて自らの主張が認められるまでユーザー作成コンテンツの流通を遮断しないことが明確化された。

3.2.UrhDaGとユーザーの利益の考慮

UrhDaGでは、今後自動化された識別技術の使用が不可避であると考えられる中で、ユーザーの利益を強く意識する必要があることが強調されている。すなわち、アップロードフィルターの使用によって、権利者側の削除申請等にかかる負担はかなり低くなる一方で、過剰なブロッキング等を通じて利用者の利益は根本的に損なわれる危険があるという懸念である28。また、引用やパロディ等のように文脈の読み取りが必要な利用態様の場合、自動化されたシステムではコンテンツの認識はできても、適法であるとする文脈を認識し的確に処理することが難しいという指摘がなされている29。これを踏まえて、UrhDaGは、DSMCDよりもユーザーの利益を厚く考慮する規定を設けている。とりわけ9条は、実質的に、適法なコンテンツをきちんと流通させるために適切なフィルタリングツールの設計を求めるものとなっている。9条以下の規定はドイツの独自規定であり批判的な意見がある30ものの、C-401/19での判断を踏まえると、むしろより好意的に評価すべきものであると考えられる31

また、UrhDaGでは権利者に対してサービス提供者が適切な報酬を支払う規定を設けている。これはもちろん権利者保護の視点が強いものの、アップロードフィルターの利用を可能な限り回避し、ユーザーのコンテンツアップロードを実現するといった側面も有していると考えられる32

4.検討と日本への示唆

4.1.適切なフィルタリングツールの設計について

DSMCD17条の解釈において、C-401/19では事前のアップロードフィルター等にかかる措置を検討することが重要であるとされた。UrhDaGでは、特に9条以下の規定を設けることで、フィルタリングツールの適切な設計を求めるものとなっていると考えられる。また、苦情処理手続や救済手続がユーザーによって利用しづらい実態33も指摘されており、事前の適切なフィルタリングツールの設計は歓迎されるべきであるとの意見も提示されている34。その上で、この先適切なフィルタリングツールを設計する上では、①具体的な設計方針や基準、②サービスプロバイダへの強制力、そして③適切なフィルタリングツールの調査や評価のためのデータアクセス、といった課題があると考えられる。

第一に、具体的なフィルタリングツールの設計方針や基準については、今後のより詳しい検討が待たれるところであるが、例えば、DSMCDの17条ガイダンスでは、自動的にフィルタリングできるのは明白に権利侵害のあるコンテンツに限られるとし、これは権利者により報告されたコンテンツと完全にあるいは本質的に同一である場合、例えば、フレーム化・ミラー化・180度回転といった処理がされているだけの場合が該当すると説明する35一方で、大幅な改変を含むコンテンツや、より長いコンテンツに組み込まれた短い作品の抜粋といった、文脈の中で評価すべきコンテンツは、一般的に明白な侵害とみなされるべきではないとする36。さらに、スポーツイベントの直近の放送ハイライトや発売前の音楽・映画のような、時事性の高い内容を含むコンテンツのアップロードが自動化されたフィルタリングツールで特定された場合、OCSSPの実行可能性も考慮しつつ、迅速な人による削除等判断を行うといったことも示されている37

また、RaueとSteinebachによる論文では、以下の観点からパラメーターを検討することで、権利者に効果的な対応を提供しつつ、利用者への干渉を最小化できるとした。すなわち、(a)わずかな誤検出しか生じないようなパラメーターの設定38、(b)アップロードを行う利用者や権利侵害を主張する権利者の信頼性、(c)利用者が引用であるとフラグを立ててアップロードする等の自己評価、(d)現在公開中の映画等といった権利者の利益を損なうことが予想される状況39、(e)アクセス頻度の高低、といった点を考慮しながらパラメーターを設定することが考えられるとした40。これらの点のいくつかは、3.で検討したようにUrhDaGの規定にも反映されている。

第二に、サービスプロバイダへの強制力、すなわち、事前の適切なフィルタリングの設計をどのように求めるか、という問題も検討が必要である。UrhDaG18条6項では、非営利かつ利用者の利益を一時的でなく促進することを目的とする登録団体に、許可された利用を繰り返し誤って遮断するサービス提供者に対する差止請求権を与えると規定されているものの、サービス提供者が適切なフィルタリングの設計を行わなかったことに対する制裁措置としては限定的であると言わざるを得ず、具体的な執行制度と結びついていないことが指摘されている41

この点については、プラットフォームに対する規制全体を踏まえて適宜担保できる可能性がある。例えばHusovecは、特にデジタルサービス法(Digital Service Act、以下「DSA」という。)の諸規定をサービス提供者が遵守することで、課題を解決しうる点を指摘する。例えば、DSAには「超大規模オンラインプラットフォーム」(多くのOCSSPも該当する)がフィルタリングツールのリスク軽減評価を実施しなければならないという規定があるため、この結果当該プラットフォームはリスクの高いフィルタリングツールを使用できず、適切なフィルタリングツールの設計につながる、とする42。またHusovecは、過剰ブロッキングに対する保護措置として想定されるもののうち、アルゴリズムの透明性、紛争解決手段の設計等はDSAに盛り込まれているため、それらの保護措置が提供される点も指摘している43

第三に、フィルタリングツールの調査や影響評価のためのデータアクセスである。サービスプロバイダが実際に行っているコンテンツ・モデレーションを理解し、評価し、エビデンスに基づいた政策立案を行うためには、透明性を確保し、研究者等がプラットフォームの提供者の有する膨大なデータにアクセスできる必要があり44、究極的にはコンテンツ・モデレーションのシステムを営業秘密等による保護の対象外とすることも検討すべきである点が指摘されている45。この点に関しても、DSAの諸規定の適用可否を検討する必要があると考えられる46

4.2.「ユーザーの権利」としての評価

DSMCD17条7項やUrhDaG5条等では、著作権の例外や制限に関する規定を援用できるようなユーザー生成コンテンツの利用可能性を妨げないことが明示されているが、これをいわゆる「ユーザーの権利」47の観点からより積極的に評価することについて議論がある。ユーザーの権利を認める立場からは、権利者の削除請求が、侵害訴訟等を提起することなくフィルタリングツールによって自動的に達成されうる状況においては、単なる抗弁としての例外や制限規定に依拠することは現実的ではない48ことや、C-401/19を含むCJEUのこれまでの判決において、たびたびユーザーの権利に触れていることから49、DSMCD17条7項で規定される例外及び制限を主観的なユーザーの権利に昇格させる必要がある点が主張されている50。ユーザーの権利は、その権利の実体が認識されるだけでなく、例えば、ユーザーが不当なブロッキングに対していかなる法的措置を講じることができるかといった点を鑑み、ユーザーの権利を手続的に保障するように解釈されるべきである51と考えられる。ただしDSMCDでは、権利の執行可能性をどのように確保するかは加盟国に委ねられている52

UrhDaGでも、ユーザーの権利の観点から同法を評価することが試みられており、例えば、14条によって苦情処理手続を利用できる点が評価されるほか、7条2項や9条1項等について検討がなされているが、これも見解が分かれている。7条2項については、ユーザーによりアップロードされた適法なコンテンツを利用できなくなる結果をもたらさないようにすることは結果達成義務であり、サービスプロバイダに適切なフィルタリングツールを利用することを求めるユーザーの権利と捉える見解がある53一方で、単に達成すべき結果を規定するだけでサービス提供者に具体的な行動を要求しているわけではないと理解せざるを得ないと指摘するものもある54。また9条1項についても、推定的に許容された利用の公の伝達に関し、ユーザーがサービス提供者に対し法的措置をとることができると捉え、主観的なユーザーの権利であると解する見解55がある一方で、法的措置をとることは難しいと考える見解56もある。

4.3.日本への示唆

日本では、著作権侵害に対するサービスプロバイダの責任を限定的に捉え、例外的に、規範的侵害主体論等によりサービスプロバイダが直接の侵害主体と認められる場面を検討するという姿勢がとられてきた57。しかし、特にEUのOSCCPのような大規模なサービスプロバイダに対して、「コンテンツの利用を拡大させ、その対価による利益を権利者にも適切に還元する仕組みを担う機能をもち得るという視点からも、その役割と責任について検討すべき」58であるとし、DSMCD17条やドイツ等の国内実施法の動向を参考にすることが提案されている。

日本においてサービスプロバイダの役割や責任を再検討するにあたっては、欧州ではDSMCD17条の解釈や各国での運用に際して、EU基本権憲章16条で保障されるOSCCPの企業活動の自由を尊重しつつ、同憲章11条によって保護されるユーザーの表現及び情報の自由に関する権利と同憲章17条2項で保護される知的財産権との公正なバランスを図ることが必要とされ、基本権衡量の観点から衡量が制度化されたものであると捉えられている点が参考になろう。日本では、そもそも著作権法の諸規定がユーザーの表現の自由等の制約に該当するかという点について、これまで著作権法学のみならず憲法学においてもあまり検討がされてこなかった59ため、ユーザーの表現の自由と著作権との公正なバランスを図るという視点は薄くなるきらいがあった。しかし近年では、著作権と表現の自由との関係について検討するものが増え、著作権が憲法上の権利であるかといった原理的な側面を検討するものに加え、表現の自由等が示している憲法的価値をより積極的に権利制限規定に読み込むような見解や、「ユーザーの権利」に言及する見解が現れている60。望ましいコンテンツ・モデレーションのあり方を考えていく上で、大きな価値の衡量を行う必要がある点は日本でも変わらず、その意味でEUでの議論は参照に値すると考える。

また、実際の衡量のあり方についても、DSMCD17条やUrhDaGの規定は示唆に富む。権利者の利益あるいはユーザーの利益を考慮するという場合、日本の著作権法の規定では結局どちらか一方の利益のみを掬い上げることになり、all or nothingの状況に陥る点が指摘されている61。とりわけ本論文で検討したコンテンツ・モデレーションの場面では、大規模なコンテンツ流通に伴う侵害拡大や権利者の報酬減少といった観点から、侵害の除去や予防に議論が集中しがちであり、ユーザーの利益の考慮が相対的に少なくなってしまう懸念も生じうる。しかし、例えばUrhDaGでは、侵害が明白なコンテンツを将来にわたり削除あるいは遮断しつつ、適法と推定されるコンテンツを(権利者からの侵害申立ての可能性を残しながら)原則削除しないようにすることをサービス提供者に求めており、適切なフィルタリングツールの設計を通じて、権利者の利益とユーザーの利益の双方を考慮するための工夫が見られる。また、サービス提供者が権利者へ適切な報酬を支払う規定を設けることで、権利者の金銭的利益を確保しつつ、アップロードフィルターの利用を可能な限り回避し、ユーザーのコンテンツアップロードを実現するといった点も注目される。さらに、サービスプロバイダに対し権利者やユーザーが利用可能な内部苦情処理手続の提供を義務付けることをはじめとする事後の救済措置の充実も検討に値する。

他方で、4.1や4.2で検討したように、適切なフィルタリングツールの設計方針及び適切な設計でない場合の制裁措置、そして具体的な救済措置及びその法的性質については、日本でも同様に課題となりうる。この点、著作権法制度の枠内で完結させるのではなく、一種のプラットフォーム設計論として構築し、広くプラットフォーム事業者に対する規制枠組みや政策全体の中で議論していくことも考えられうる。特に、4.1で挙げた、適切なフィルタリングの設計方針、強制力、評価のためのデータアクセスといった観点や、サービスプロバイダの内部苦情処理手続の構築といった点については、他の違法有害コンテンツの流通にかかるコンテンツ・モデレーションでも同様の論点が生じるため、共通して検討を行いつつ62、著作権特有の問題についてさらに検討を加えることが考えられる。

また、事後的な救済措置の法的性質については、例えば、オーバーブロッキング等の不当な削除からコンテンツのアップロードを回復させるユーザーの請求権のようなものを想定しうるかという点が問題となる。直接的に権利構成を取れるか否かの検討も必要だが、プラットフォームの情報流通基盤としての性格を踏まえ、その役割を果たすための規制として、(プラットフォームの参加者である)利用者の利益を考慮した規定を置く、などの構成が考えられうる。他方で、プロバイダ責任制限法において、米国DMCA512条のようなカウンターノーティスの導入が以前検討された際には、ユーザー(発信者)の通信の秘密を侵害するという懸念63から、かなり否定的な意見が強かったようである。さらに著作権関連でより問題なのは、そもそも日本著作権法の権利制限規定は限定的であるため、不当な削除である理由を法的根拠に基づいて挙げづらい可能性が指摘されており64、この点も考慮が必要であろう。

5.おわりに

本論文では、著作権侵害対策としてコンテンツ共有プラットフォームでなされるコンテンツ・モデレーションに着目し、サービスプロバイダに対する各種規制においてユーザーの利益をいかに考慮すべきかという点について、DSMCD17条及びドイツのUrhDaGを検討してきた。近年のコンテンツ・モデレーションでは、アップロードフィルター等の自動的なフィルタリングツールが導入されるようになってきており、DSMCD17条やUrhDaG等でもこれらのフィルタリングツールを用いることが暗黙の前提とされている。しかしながら、ユーザーの利益の考慮という観点からは、本来であれば合法にアップロード可能であったコンテンツがこれらの技術によってブロッキングされてしまった場合に、不服申立てをはじめとする事後的な救済の仕組みを整えることはもちろんのこと、アップロードフィルターを適切に設計するといった事前の対応が求められていることが明らかとなった。特にUrhDaGでは、適法と推定されるユーザーコンテンツの場合、苦情処理手続の結論がでるまで公に伝達されるとするなど、よりユーザーの利益を重く考慮した規定が設けられている。日本法においても、大きな価値の衡量という視点を踏まえ、権利者のみならずユーザーの利益を積極的に考慮していくことが求められると考えられる。

本論文の特に4.1及び4.2で挙げた課題については、EUでも継続検討されており、今後さらなる議論の進化が望まれる。今後も検討を進めていきたい。

〔付記〕本論文はJSPS科研費 JP20H00056の助成を受けたものである。

脚注

1 東京大学大学院情報学環准教授

2 コンテンツ・モデレーションの定義として、EUのデジタルサービス法(Digital Services Act: DSA)3条(t)では、「自動化されているか否かにかかわらず、媒介者サービスの提供者によって行われる、特に、サービスの受領者によって提供される違法コンテンツまたはその利用条件と両立しない情報を検出、特定、対処することを目的とする活動を意味する。これには、降格、収益化の廃止、アクセス不能化、削除など、違法コンテンツまたはその情報の可用性、可視性、アクセス可能性に影響を与える措置、またはサービスの受領者のアカウントの終了または停止など、サービスの受領者がその情報を提供する能力に影響を与える措置が含まれる。」と定義している。Regulation (EU) 2022/2065 of the European Parliament and of the Council of 19 October 2022 on a Single Market for Digital Services and amending Directive 2000/31/EC.

3 著作権法分野に限らず、違法・有害コンテンツの流通対策は喫緊の課題であり、その結果生じるサービスプロバイダのコンテンツ・モデレーションに関して、憲法学の立場から様々な検討がなされている。例えば、水谷瑛嗣郎「ソーシャルメディア・プラットフォームのコンテンツ・モデレーションと 『表現の自由』─フロリダ州法SB7072に対する連邦地裁の仮差止命令を題材に─」メディア・コミュニケーション72号27頁(2022年)、上本翔太「プラットフォーム事業者によるコンテンツ・モデレーションと表現の自由:アメリカの方理論を素材として(1)(2・完)」阪大法学73巻3号134頁・4号165頁(いずれも2023年)参照。

4 プロバイダの責任に関するこれまでの制度状況を踏まえ、諸外国の近年の動向を紹介し、国内法の検討を行うものとして、鈴木將文「著作物の利用に関するプラットフォーマーの役割と責任」千葉惠美子(編著)『デジタル化社会の進展と法のデザイン』(商事法務、2023年)368頁参照。

5 Directive (EU) 2019/790 of the European Parliament and of the Council of 17 April 2019 on copyright and related rights in the Digital Single Market and amending Directives 96/9/EC and 2001/29/EC.

6 Gesetz über die urheberrechtliche Verantwortlichkeit von Diensteanbietern für das Teilen von Online-Inhalten, vom 31. Mai 2021 (BGBl. I S. 1204, 1215).

7 DSMCD17条は2021年にガイダンスが発表されている。COMMUNICATION FROM THE COMMISSION TO THE EUROPEAN PARLIAMENT AND THE COUNCIL. Guidance on Article 17 of Directive 2019/790 on Copyright in the Digital Single Market, COM (2021) 288 final.

8 OCSSPはDSMCD2条6項第1段落で「プロバイダが営利目的で企画し展開する、利用者によってアップロードされた著作権により保護される著作物または他の保護対象物を大量にストックし、かつそれらへのアクセスを公衆に提供することをその主な目的または主な目的の1つとする、情報社会サービスのプロバイダをいう。」と定義されている。また同第2段落では、非営利目的のオンライン百科事典・教育学術レポジトリ、オープンソフトウェアの開発・共有プラットフォーム等はDSMCDにおけるOSCCPに該当しないとする。

9 Value Gap問題につき紹介するものとして、榧野睦子「『バリュー・ギャップ』問題の解決に向けて ~その後のEUでの検討状況〜」CPRA news 87号2頁(2018年)。

10 17条の解説としては、Eleonora Rosati, Article 17—Use of Protected Content by Online Content-Sharing Service Providers, in: Copyright in the Digital Single Market: Article-by-Article Commentary to the Provisions of Directive 2019/790 (2021), pp.308-359; Irini Stamatoudi and Paul Torremans, Chapter17 THE DIGITAL SINGLE MARKET DIRECTIVE, in: I. Stamatoudi, P. Torremans(ed.), EU Copyright Law: A Commentary, (2d ed. 2021), 651–761. に詳しい。また日本語では、生貝直人=曽我部真裕=中川隆太郎「鼎談 EU 新著作権指令の意義」ジュリ1533号ii頁及び52頁(2019年)、作花文雄「『Digital Single Market』に向けてのEU著作権制度の現代化(続編)—EU域内の著作権制度の共通化によるコンテンツ流通の拡大と文化多様性の発展—」コピライト703号37頁(2019年)、鈴木・前掲注(4)375頁以下にも紹介がある。本報告で使用する条文の翻訳は、CRIC「デジタル単一市場指令」(井奈波朋子訳)を用いた。

11 この点、17条のガイダンスでは、「自動的なブロッキング、すなわち技術の使用によるアップロードの防止は、原則として明白な侵害であるアップロードに限定すべきである」とする。COM (2021) 288 final, supra note 7, at 20.

12 例えば、Christophe Geiger and Bernd Justin Jütte, Platform Liability Under Art. 17 of the Copyright in the Digital Single Market Directive, Automated Filtering and Fundamental Rights: An Impossible Match, 70(6) GRUR Int. 517 (2021); João Pedro Quintais, et.al, Copyright Content Moderation in the EU: An Interdisciplinary Mapping Analysis, reCreating Europe Report (August 2022), https://www.ivir.nl/publicaties/download/Copyright_Content_Moderation_In_The_EU.pdf (last visited Feb. 11, 2024); The European Copyright Society, Comment of the European Copyright Society Selected Aspects of Implementing Article 17 of the Directive on Copyright in the Digital Single Market into National Law, 11 JIPITEC 115 (2020); T. Gillespie et. al., Expanding the debate about content moderation: scholarly research agendas for the coming policy debates, 9(4) Internet Policy Review (2020), DOI: 10.14763/2020.4.1512; Jane C. Ginsburg, A United States Perspective on Digital Single Market Directive Article 17, in: EU Copyright Law (supra note 10), at 782 ff.

13 See ALAI, Second Opinion on certain aspects of the implementation of Article 17 of Directive (EU) 2019/790 of 17 April 2019 on copyright and related rights in the digital single market, December 18, 2020, https://www.alai.org/en/assets/files/resolutions/200918-second-opinion-article-17-dsm_draft_en.pdf (last visited Feb. 11, 2024).

14 See The European Copyright Society, supra note 12, para 19. para 27では、フィルタリングツールを17条4項(b)遵守の唯一解として指定しないことを求めている。

15 See J.E. Gray & N.P. Suzor, Playing with machines: Using machine learning to understand automated copyright enforcement at scale, 7(1) Big Data & Society (2020), https://doi.org/10.1177/2053951720919963 (last visited Feb. 11, 2024).

16 日本語での紹介として、作花文雄「『Digital Single Market』に向けてのEU著作権制度の現代化(続編・その2)—違法コンテンツのフィルタリングと表現の自由等基本的権利の保護—」コピライト739号28頁(2022年)参照。

17 関連して、ポーランドが提案した代替メカニズムでは17条4項(a)及び(c)の冒頭に規定された義務のみをOCSSPに課すというものだったが、これは確かにユーザーの表現及び自由の権利の行使にとって制限の少ない措置ではあるものの、DSMCDで採用された責任レジームと比べ知的財産権の保護という観点で効果的ではない、としている(para83)。

18 違法コンテンツと合法コンテンツを適切に識別しないフィルタリングシステムは、EU基本権憲章11条により保障される権利と両立せず、また当該権利と知的財産権との公正なバランスも尊重しないと判断している。

19 この点、鈴木・前掲注(4)380頁では、DSMCD17条が維持された一方で、「表現および情報の自由をはじめとする基本権の保障と整合する形で同条を具体的に実現する制度を構築し、運用するという難しい課題を、加盟国が負っていることが、鮮明になったと思われる」と指摘する。

20 Quintais, et.al., supra note 12, at 123. 4項と7項のヒエラルキー構造に言及するものとして、See Geiger/Hütte, supra note 12, at 539.

21 See Rosati, supra note 10, at 345. なお17条に関するガイダンスでは、17条7項の国内法化や適用にあたっては、「いったん削除等された適法なコンテンツを17条9項に基づき事後的に回復させるだけでは不十分である」とする。COM (2021) 288 final, supra note 7, at 20.

22 EU10カ国を対象に17条をどのように国内法化したかアンケートを取りまとめたものとして、Quintais, et al., supra note 12, Ch.4以降を参照。

23 Dr. Julian Waiblinger / Jonathan Pukas, Die urheberrechtliche Haftung von Onlineplattformen nach dem Urheberrechts-Diensteanbieter-Gesetz (UrhDaG), MDR 2021, 1489, 1490.

24 Dieter Frey / Carl M. Rudolph, Das Urheberrechts-Dienstanbieter-Gesetz -- ein Überblick, MMR 2021, 671; Louisa Specht-Riemenschneider, Leitlinien zur Nationalen Umsetzung des Art. 17 DSM-RL aus Verbrauchersicht (Juni 2020), https://www.vzbv.de/sites/default/files/downloads/2020/11/05/2020-06-12-specht-final-art_17.pdf (last visited Feb. 11, 2024), at 9.

25 Jannis Lennartz / Christoph Möllers, Vogelfreie Werkteile. Zur unions- und verfassungsrechtlichen Zulässigkeit der „mutmaßlich erlaubten Nutzung” im UrhDaG, GRUR 123, at 1109 (2021).

26 政治的な議論においても、『禁止よりも報酬を』『ブロックよりも支払いを』といったスローガンが提示されていたようである。Malte Stieper, Vergüten statt Verbieten – Vergütungspflichten im UrhDaG nach dem Regierungsentwurf zur Umsetzung der DSM-RL, ZUM 2021, 387, 388.

27 ここでいう軽微な利用とは、10条各号で、映画や動画は1本につき15秒まで、音楽は1曲15秒まで、テキストは160文字以内、画像は125KBまでの、非営利目的あるいは瑣末な収入を得るにとどまる利用であると規定されている。

28 Specht-Riemenschneider, supra note 24, at 7.

29 Id. at 6.

30 特にEU法とのハーモナイゼーションの問題が指摘されている。See Lennartz/Möller, supra note 25; Finn J. Hümmer, The German transposition of Article 17 of the Copyright DSM Directive and its ‘presumed legal use’: incompatible with EU law or a model for balancing fundamental rights in the age of upload filters? 17(1) Journal of Intellectual Property Law & Practice 22 (2022).

31 例えば、Matthias Leistner, The Implementation of Art. 17 DSM Directive in Germany – A Primer with Some Comparative Remarks, 71(10) GRUR Int. 909 (2022); Martin Husovec, Mandatory filtering does not always violate freedom of expression: important lessons from Poland v council and European parliament (C-401/19), 60(1) Common Market Law Review 173 (2023).

32 Dreier/Schulze, UrhG (7. Aufl.), 2022, Vor UrhDaG Rn.2 [Raue].

33 例えば、Jan Schillmöller/Steliyana Doseva, „Chilling Effects” durch YouTubes Content ID?, MMR 2022, 181.

34 See Quintais, supra note 12, at 124.

35 COM (2021) 288 final, supra note 7, at. 21. 同様の趣旨を主張するものとして、Benjamin Raue/Martin Steinebach, Uploadfilter – Funktionsweisen, Einsatzmöglichkeiten und Parametrisierung, ZUM 2020, 355, 362-363.

36 COM (2021) 288 final, supra note 7, at 21-22.

37 Id. at 22.

38 他方で多くの誤検出を伴う低い閾値の場合には、類似性をアップロード者と権利者に通知するといった対応が考えられるとした。See Raue/Steinebach, supra note 35, S. 363.

39 他方で、選挙等の時事性の高い話題に関連してライブストリーミングをブロックすることは表現の自由を損なう可能性があると指摘している。Id. at 363.

40 Id. at 362-364.

41 Jasmin Brieske / Alexander Peukert, Coming into Force, not Coming into Effect? The impact of the German implementation of Article 17 CDSM Directive on selected online platforms, 2(1)Weizenbaum Journal of the Digital Society (2022), https://doi.org/10.34669/wi.wjds/2.1.4 (last visited Feb. 11, 2024), at 19-20. バランスの取れた結果を反映させるにはデジタルサービス法49条のような公法上の制裁を含め、利用者の利益を効果的に執行することが極めて重要であるとする。Id. at 20; さらにSee Jasmin Brieske, Digital User Rights and Their Enforcement: What Is the Copyright Directive Asking For?, The Journal of World Intellectual Property (2023), https://doi.org/10.1111/jwip.12286 (last visited Feb. 11, 2024), at 11.

42 Husovec, supra note 31, at 196.

43 Id.

44 See D. Dergacheva & C. Katzenbach, Mandate to overblock? Understanding the impact of the European Union's Article 17 on copyright content moderation on YouTube, Policy & Internet (2023), https://doi.org/10.1002/poi3.379 (last visited Feb. 11, 2024) at 16-17; João Pedro Quintais, et.al, Copyright Content Moderation in the European Union: State of the Art, Ways Forward and Policy Recommendations, IIC (2024), https://doi.org/10.1007/s40319-023-01409-5 (last visited Feb. 11, 2024), at 18-19.

45 Id. at 19.

46 Id. at 18-19.

47 本論文では、「ユーザーの権利」とは、著作権者による侵害主張に対する利用者の特権あるいは抗弁としての機能を超えて、利用者の主観的な権利として権利制限規定を捉えようとする見解のことを指す。Niva Elkin-Koren, Copyright in the Digital Ecosystem: A User-Rights Approach, in Ruth Okediji (ed.), Copyright Law in an Age of Limitations and Exceptions (2017), at 156; Malte Stieper, Rechtfertigung, Rechtsnatur und Disponibilität der Schranken des Urheberrechts, 2009, S. 99f.; Brieske, supra note 41, at 3.

48 Brieske, supra note 41, at 7.

49 Quintais, supra note 44, at 5-6. ただしBrieskeは、C-401/19でDSMCD17条が最終的に利用者の主観的権利を認めているか否かについては明言を避けていることを指摘している。Brieske, supra note 41, at 6.

50 Id. at 7; European Copyright Society, supra note 12, paras 36-42; Quintais, supra note 44, at 5.

51 Brieske, supra note 41, at 7.

52 Id.

53 Franz Hofmann, Update für das Urheberrecht. Einführung in das Gesetz zur Anpassung des Urheberrechts an die Erfordernisse des digitalen Binnenmarktes, GRUR 2021, 895, 902.

54 Brieske, supra note 41, at 9.

55 Axel Metzger and Timm Pravemann, Der Entwurf des UrhDaG als Umsetzung von Art. 17 DSM-RL—Ein gesetzgebungstechnischer Drahtseilakt, ZUM 2021, 288, 294; Dreier/Schulze, supra note 32, §9 UrhDaG Rn. 6[Specht-Riemenschneider].

56 Brieske, supra note 41, at 9.

57 鈴木・前掲注(4)389頁。

58 同上。

59 高橋和之『人権研究1 表現の自由』(有斐閣、2022年)103-104頁。

60 同上(特に103-113頁)に加え、比良友佳理「著作権と表現の自由」著作権研究48号(2023年)、高倉成男・木下昌彦・金子敏哉(編)『知的財産法制と憲法的価値』(有斐閣、2022年)所収の論文、大日方信春『著作権と憲法理論』(信山社、2011年)、山口いつ子「表現の自由と著作権——AI時代の『ユーザーライツ』概念とそのチェック機能」論ジュリ25号61頁(2018年)等を参照。

61 上野達弘「著作権法における権利の在り方〜制度論のメニュー〜」コピライト650号2頁(2015年)11頁等を参照。

62 例えば、総務省で開催されている違法情報対策に関するプラットフォームサービスに関する研究会でのヒアリング・調査まとめにおいて、違法コンテンツの削除対応手法、異議申立手続等に関するプラットフォーム事業者からのヒアリングを行っている。また透明性の観点からは、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律等の制定および執行を通じて今後の対応を図っていくことが考えられる。

63 利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会「プロバイダ責任制限法検証に関する提言」(平成23年7月)43頁 https://www.soumu.go.jp/main_content/000122708.pdf (2024年2月11日最終確認)。

64 田村善之「効率性・多様性・自由—インターネット時代の著作権制度のあり方—」法哲学年報2001巻38頁(2002年)50頁では、日本の権利制限規定は限定列挙であると解されているが故に、規定にない軽微な利用であっても「権利が働くことになりかねず、無闇な負担をプロヴァイダーに課すことになりかねない」とする。

 
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