Abstract
2016年から IMO の 3次規制が始まるため,早急に舶用ディーゼル機関における NOx 低減技術を開発する必要がある.著者らは NOx を低減するために NHM(窒素富化・加湿膜)システムの開発を行っている.NHM システムは,酸素分子と水分子が窒素分子よりも早く通過するという性質を持つポリマーガス分離膜で構成されており,酸素濃度が低く加湿された給気をエンジンに供給するため,燃料油中に含まれる硫黄分影響を受けない.このシステムを 103kW/2400rpm の舶用高速 4ストローク機関に接続し,負荷率75, 50, 25 %における NOx の低減効果を明らかにする実験を行った.その結果 NOx の値は通常の運転状態よりも 80%以上減少し,1.9 g/kWh 以下となった.