The Japanese Journal of Gastroenterological Surgery
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
EDITOR'S NOTE
EDITOR'S NOTE
Hidejiro Kawahara
Author information
JOURNAL FREE ACCESS FULL-TEXT HTML

2016 Volume 49 Issue 1 Pages en1-

Details

あけましておめでとうございます.昨年の社会情勢の不安定さから,今年は国際学会の参加を自粛される先生方が多いかと思います.昨年私は,参加の自粛を呼びかけられた2つの国際学会に参加いたしました.1つはバンコクで開催された第46回世界外科学会(WCS)で,もう1つは福建省福州で開催された第25回国際外科腫瘍学会(IASGO)です.

まず世界外科学会についてですが,学会開催の1週間ほど前にバンコク中心部の学会場にほど近いエラワン廟で爆破事件が起きました.このため参加を予定していた日本人の多くが参加をキャンセルされました.会場ではほとんど日本人と遭遇することはありませんでしたが,徳島大学の島田教授(第71回総会会長)と偶然お目にかかれ安心しました.私の発表には,日本支部長の北川教授(慶應)がいらしていただきました.北川教授は「学会にいらしていただいただけで感謝します.」とおっしゃいましたが,半分死を覚悟しているような表情が印象的でした.市内のいたるところに警官や軍人がいて,学会場や大きな施設の入り口には金属探知機が設置されており,国を挙げて治安を維持していました.また一般観光客の数にはあまり変化がなかったそうです.HISなどのツアーが現地の安全を保証し,夜間の遊楽外以外は比較的安全だと考えていたようです.

つぎに国際外科腫瘍学会についてですが,抗日戦争勝利70周年記念式典中の学会でした.この学会は当初北京で開催する予定でしたが,諸般の事情により福建省福州の国際センターに変更になりました.記念式典は北京では盛大に行われていましたが,学会場の福州や乗換えで訪れた香港ではこの式典について全く話題になっておらず,日本人には友好的でした.テレビで放映されたニュースでは,勝利国であるにもかかわらず戦争に勝って喜んでいる人はなく,戦争の悲惨さだけが強調された内容が多かったのが印象的でした.

よくいわれていることですが,人から聞いた内容と自分で実際に体験した内容には大きな違いがあると思います.論文を作成する場合には,同様な疾患の報告例を検索しその内容を参考にすることが多いと思います.「これまで何例の報告があり本例は何例目です.」だけではなく,自分の論文の独創性を強調することが重要で,そのことが読者に印象づけ,日常診療にも役立ちます.

今年の学会誌1号には,原著1編,症例報告9編の10編が掲載されており,研究内容あるいは症例の独創性がどれも強調された内容です.

 

(河原秀次郎)

2016年1月1日

 

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
feedback
Top