EDITOR'S NOTE

はやいもので2019年，平成31年が始まりました．今年は何といっても，5月1日に現在の皇太子徳仁親王が新天皇に即位し，新しい元号が始まります．どのような元号になるのか，さまざまな予想がされているようです．元号を決めるにあたっては，「国民の理想としてふさわしい良い意味」であるとか，「俗用されていない」などが条件になるそうです．ちなみに，「平成」は出典が二つあり，一つは「書経」偽古文尚書・大禹謨の「地平天成」，また，「史記」五帝本紀の「内平外成」から引用され，「天地，内外とも平和が達成される」という意味だそうです．その前の「昭和」も「書経」を出典とし，「百姓昭明，協和萬邦」から引用され，「国民の平和と世界の共存繁栄を願う」という意味合いということです．いずれも平和を祈念した元号ということになりますが，残念ながら昭和時代は第二次世界大戦がありました．そういう意味では平成時代はその由来のとおり，大きな戦争がない平和な時代だった，と言えるのかもしれません．そのように思っていたのですが，昨年あたりより昭和時代の負の遺産，あるいはレーダー照射問題などから隣国である韓国との関係悪化，さらにはこれも昭和時代からの領土問題によりロシアとの関係も不透明，といったように何やらきな臭さを感じさせます．外科も含めた医学の世界では，その発展のために良好な協力体制が築かれているところですので，そこにも影響が出ないよう，そして近隣諸国との関係が円満になるよう願わざるをえません．

さて，52巻1号には症例報告9編と臨床経験1編の大変興味深い論文が掲載されております．大変苦労されて救命された症例，臨床上経験された，知っておきたい合併症，まれな症例，臨床上の工夫など，一例一例に真摯に向き合った結果の力作ぞろいであります．ぜひご一読いただければ，と思います．本年は新天皇即位にあたり，ゴールデンウィークが10連休になり，どこの医療機関でもどうするか，頭を悩ませていることだと思います．患者さんのためには何がより良いか，を常に考えて日々の臨床にあたるべきであろうと思います．

 

（大塚　将之）

2019年1月1日