The Japanese Journal of Gastroenterological Surgery
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CASE REPORT
A Case of Anorectal Malignant Melanoma with Lymph Node Recurrence Showing a Complete Response to Nivolumab Treatment
Mikio KawamuraEiki OjimaShinji YamashitaKiyoshi HashimotoHideki WatanabeKazuo FukutomeYasuhiko Mohri
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2021 Volume 54 Issue 1 Pages 73-82

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Abstract

リンパ節再発を来した直腸肛門部悪性黒色腫に対してnivolumabによりclinical complete response(以下,cCRと略記)を得た症例を経験したので報告する.症例は84歳の男性で,肛門痛,下血を主訴に近医を受診し直腸から肛門管にかけ隆起性病変を認め病理学的に悪性黒色腫と診断され当科に紹介となり腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術を施行した.病理学的にpT1bN2bM0 pStage IIIcであったが術後補助化学療法は施行せず経過観察の方針となった.術後6か月目のCTで右側方リンパ節腫大を認めnivolumabを導入した.術後24か月後のCTで病変消失しcCRが確認された.予後不良な直腸肛門部悪性黒色腫に対してnivolumabによりcCRを得たまれな症例を報告する.

Translated Abstract

We herein present a case of clinical complete response using nivolumab for anorectal malignant melanoma with lymph node recurrence. An 84 year-old male was referred to our hospital with a chief complaint of hematochezia and anal pain, which was finally diagnosed as anorectal malignant melanoma. Preoperative studies showed no distant metastases, and the patient underwent laparoscopic abdominoperineal resection. Although pathological exams revealed that the tumor had invaded the submucosa with multiple lymph node metastases, adjuvant chemotherapy was not used. Six months after surgery, a CT scan demonstrated right lateral lymph node swelling, which led to a diagnosis of recurrent malignant melanoma. Administration of nivolumab was started as treatment for the metastatic lesion. Although immune-related adverse events occurred, CT at 24 months after surgery showed that the recurrent tumor had disappeared, so the case was judged as a clinical complete response. In this report, we described a rare case of clinical complete response using nivolumab for recurrent anorectal malignant melanoma. Anorectal malignant melanoma is a rare disease with an extremely poor prognosis. This case suggests that nivolumab may provide a superior survival benefit.

はじめに

直腸肛門部に生じる悪性黒色腫はまれな疾患であり術式,化学療法の選択に明確な基準は確立されていない.また,手術後早期より高率に血行性,リンパ行性に転移再発を来し,その予後は不良であるとされる.近年,皮膚悪性黒色腫に対するnivolumabなどの免疫チェックポイント阻害薬などの新規薬物療法の導入より従来の殺細胞性の化学療法を上回る治療成績が報告されている1).直腸肛門部悪性黒色腫に対する使用経験は乏しくnivolumabの奏効例の報告はいまだ多くはない.今回,腹会陰式直腸切断術を施行したのちにリンパ節再発を来した直腸肛門部悪性黒色腫に対してnivolumabを導入し,clinical complete response(以下,cCRと略記)を得た症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

症例

症例:84歳,男性

主訴:肛門痛,排便時出血

家族歴,生活歴:特記事項なし.

既往歴:糖尿病,内痔核

現病歴:当院受診より3か月前から徐々に増強傾向にある下血,肛門痛を主訴に近医を受診し,精査目的に大腸内視鏡施行したところ下部直腸から肛門管にかけて全周に及ぶ腫瘍性病変を認めた.生検では悪性黒色腫であったため当科紹介受診となった.

診察所見:直腸指診では,肛門縁3 cmから一部下部直腸に至る,ほぼ全周性の腫瘍を触知した.

血液生化学検査所見:ヘモグロビン値12.0 g/dlと軽度の貧血を認めたが,その他血算,生化学ともに大きな異常所見は見られなかった.腫瘍マーカーはCEA 2.7 ng/ml,CA-19-9 41 U/mlであった.

下部消化管造影検査所見:下部直腸左側壁-前壁に辺縁不整な隆起性病変がみられた(Fig. 1).

Fig. 1 

Gastrografin enema (a; frontal view, b; lateral view). The tumor was located mainly in the left wall of the lower rectum (arrows).

下部消化管内視鏡検査所見:下部直腸から肛門管に,易出血性の大小複数の隆起性病変を認めた.周堤隆起,中心陥凹など典型的な腺癌の所見にとぼしく,表面構造も腺癌とは異なり所々に黒色の斑点を伴っていた(Fig. 2).

Fig. 2 

Endoscopic findings (a, b). Black spots were seen on the tumor surface in some regions.

腹部・骨盤部造影CT所見:下部直腸から肛門管に平衡相でやや濃染する腫瘍を認めた.腫瘍周囲の直腸間膜,下腸間膜動脈に沿い複数の腫大リンパ節を認めた.側方,鼠径リンパ節腫大なく,遠隔臓器転移はみられなかった(Fig. 3).

Fig. 3 

Abdominal CT showed swollen lymph nodes along the inferior mesenteric artery (a) and next to the rectum wall (b, c).

腹部造影MRI所見:下部直腸から肛門管にかけてT2強調像で高信号・低信号が混在する全周性の腫瘍性病変を認めた.前立腺,精囊腺への明らかな浸潤は認めなかったが直腸間膜内の腫大リンパ節に接して外膜の信号が不整となっており深達度はT3が疑われた.直腸間膜内に腫大リンパ節を複数認めたが側方リンパ節,鼠径リンパ節に腫大は見られなかった(Fig. 4).

Fig. 4 

Pelvic MRI showed that the tumor seemed to invade the adventitia (arrow). No invasion to adjacent organs was suspected.

前医病理組織学的検査所見:免疫染色検査ではS-100(+),Malan A(+),HMB45(+),pankeratin(−)であり,悪性黒色腫の診断であった.

以上の所見より,大腸癌取扱い規約第9版に従い,直腸悪性黒色腫,Rb-P,cT3,N2bM0 cStage IIIcと診断した.肛門管に及ぶ病変であり脱出に伴う疼痛が高度であったため直腸切断を希望された.側方,鼠径リンパ節腫大は認めなかったため,本人と相談のうえで側方リンパ節,鼠径リンパ節郭清は省略することとし腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術を施行した.

手術所見:明らかな肝転移,腹膜播種は認めなかった.腫瘍は術中操作中には確認されなかった.下腸間膜動脈根部に至るまで複数の腫大リンパ節を認めた.予定どおり,下腸間膜動脈を根部で切離し,中枢側D3郭清とする腹会陰式直腸切断術を施行した.肛門周囲皮膚は十分マージンをとりR0切除とした.

病理組織学的検査所見:腺管形成のみられない分化傾向の乏しい類円形の細胞が密に増生しており,非上皮性腫瘍が疑われた.免疫染色検査ではS-100(+),HMB-45(+),AE1/AE3(−)であった.

Malignant melanoma,Type 2,pT1b,med,INFa,ly2,v2,pPM0,pDM0,pRM0,N2b(9/17)と診断された(Fig. 5, 6).BRAF遺伝子変異は認めなかった.

Fig. 5 

Resected specimen. A tumor of 40×30 mm in size was located in the left wall of the rectum just above the dentate line.

Fig. 6 

Histopathologic findings. (a) HE stain. Pleomorphic tumor cells were diffusely seen in the submucosa. Karyomitosis was noticeable in some areas. Melanin pigmentation seemed to be absent. Immunostaining. (b) S-100, (c) HMB-45, (d) AE1/AE3.

術後経過:術後11日目に骨盤死腔炎を生じたため経会陰的にドレナージを要したが改善し,術後25日目に退院となった.pStageから直腸肛門部悪性黒色腫の過去の報告に基づきdacarvazine(以下,DTICと略記)による補助化学療法を提案したが,同意されず経過観察の方針となった.術後6か月目のCTで右内腸骨中枢リンパ節腫大を認め直腸肛門部悪性黒色腫のリンパ節転移再発と診断した(Fig. 7).BRAF変異は見られなかったため,nivolumab単剤で治療する方針となった.化学療法未治療の根治切除不能な悪性黒色腫に対する用法・用量に従いnivolumabを開始した.特に大きな有害事象認めず投与継続していたが,25コース施行後に洞不全症候群に伴う不整脈発作を認め,循環器内科によりペースメーカー留置術が施行された.ペースメーカー留置術後は症状消失し,全身状態も安定した.不整脈発症とnivolumabとの関連は否定しきれず,nivolumab投与中止も検討されたが厳重な経過観察のもと継続した.右内腸骨中枢リンパ節転移は徐々に縮小傾向となり,術後24か月目のCTで消失し(Fig. 8),新規病変の出現なくcCRの判断となった.現在術後33か月であるが,新たな免疫関連有害事象(immune-related adverse events;以下,irAEと略記)含め,大きな有害事象認めることなくCRを維持し存命である.

Fig. 7 

Pelvic CT at the time of recurrence showed a swollen lymph node along the right internal iliac artery.

Fig. 8 

Pelvic CT at (a) 12, (b) 18, and (c) 24 months after surgery. The lesion (white arrowheads) gradually diminished (a, b) and finally could not be seen and no new lesion was detected (c), suggesting a complete response.

考察

直腸肛門部悪性黒色腫は直腸肛門部に生じる悪性腫瘍の0.38~1%と非常にまれな肛門疾患である2)3).また,悪性黒色腫のうち直腸肛門部に生じるものは1.3%であり,粘膜に生じるmucosal melanomaの中でも16.5%と悪性黒色腫の中でもまれな疾患であるとされる4).また,肛門管内に生じ直腸から肛門外に及ぶこともありほとんどの腫瘍は肛門縁から6㎝以内に生じるとされる5).直腸肛門部悪性黒色腫は歯状線近傍のメラノサイトや母斑細胞系の細胞を発生母地とし,肉眼的には複数の不整な腫瘤・ポリープ状を呈しメラニン色素を反映して黒色の点を認めることが特徴である6).しかし,色素の乏しい低色素性悪性黒色腫(amelanotic melanoma)も存在し,肉眼所見のみで悪性黒色腫と診断するのが困難な症例も存在するため注意を要する7)8)

直腸悪性黒色腫の予後はどの治療法を選択しても5年生存率10%未満と予後不良である4)6)9).長期生存例では,広範囲のリンパ節郭清を伴う腹会陰式直腸切断術が施行されることが多かったことが根拠となり,直腸肛門部悪性黒色腫には腹会陰式直腸切断術が行われる傾向にあった6)10).一方で,周術期の合併症の低さから病変のみの局所切除が選択されることもあり,直腸切断術と,局所切除では予後に大きな差がないとする報告もある2)11).また,局所切除にさまざまな治療法を組み合わせることで長期予後を得られたとする報告も散見される12)13).リンパ節郭清範囲も問題となるが,同様に明確な基準は確立されていない.予防的な鼠径リンパ節郭清は予後改善に寄与せず,臨床的に転移陽性である鼠径リンパ節を郭清しても予後は改善しない可能性が示唆されている11)14).また,側方郭清については,端山ら15)の本邦の直腸肛門部悪性黒色腫の深達度T1の切除例の検討において側方郭清は9例に施行され4例に術後再発を認める一方,側方郭清を施行しなかった6例中再発した症例は1例であり側方郭清による効果は限定的である可能性を示唆している.また,岡田ら16)の本邦における直腸肛門部悪性黒色腫の長期生存例11例の解析によると予防的郭清を行った3例のうち1例もリンパ節転移を認めていなかったことから,術前検査で側方リンパ節転移が疑われない直腸肛門部悪性黒色腫に対する予防的側方郭清は長期予後に寄与しない可能性を考察している.このように直腸肛門部悪性黒色腫は希少疾患ゆえ術式選択についてのランダム化試験がなく明確な術式選択指針がないのが実情である.本例においては高齢であり当初から薬物治療も提案したが,腫瘍脱出による疼痛,出血のため著しくQOLが低下していたため切除を選択した.腫瘍は肛門管ほぼ全周に及び局所切除は困難と予想されたため直腸切断術を行った.術前に鼠径リンパ節,側方リンパ節に明らかな腫大を認めておらず側方郭清,鼠径リンパ節郭清は施行しなかった.

直腸肛門部悪性黒色腫を含むmucosal melanomaの進行再発例に対する薬物療法には確立したものはなく,DTICやインターロイキン2,インターフェロンなどを組み合わせた化学療法が行われてきたがその効果は十分とはいえなかった6).本邦においては2014年に,抗programmed death-1(以下,PD-1と略記)抗体であるnivolumabと,BRAF阻害薬であるvemurafenibの保険収載を機に新規薬剤の導入と実地臨床への応用がなされ,進行期悪性黒色腫に対する薬物療法は大きく変化した.また,免疫チェックポイント阻害薬では他に抗cytotoxic T cell antigen-4(以下,CTLA-4と略記)抗体であるiplimumab,抗PD-1抗体であるpembrolizumabが,分子標的製剤では抗BRAF阻害薬であるdabrafenib,encorafenib,MEK阻害薬であるtrametinib,binimetinib,が相次いで保険承認されガイドラインに記載されることとなった17).一次治療としてはBRAF阻害薬・MEK阻害薬の併用療法もしくは免疫チェックポイント阻害薬の単剤もしくは2剤併用療法が候補となる.BRAF変異がない場合は免疫チェックポイント阻害薬が選択されるが,BRAF変異がある場合はどちらも候補となる.しかしながら,現時点でどちらを先に使用したほうが良いかを判断する明確なエビデンスは現時点ではなく,個々の症例の状況に応じて判断することとなる17).また,D’Angeloら18)はmucosal melanomaに対してipilimumabをnivolumabに上乗せして治療することでさらに奏効率向上,予後改善が期待できることを示し本邦でも実施可能なレジメンであるが,このcombined therapyはnivolumab monotherapyと比べてgrade 3,4の有害事象も高率に生じており症例選択を適切に行う必要があると報告している.

NivolumabはPD-1に対するモノクローナル抗体でありPD-1とそのリガンドであるPD-L1およびPD-L2との結合を阻害し,癌抗原特異的なT細胞の増殖,活性化および細胞障害活性化の増強などにより腫瘍増殖を抑制すると考えられている19).切除不能進行再発悪性黒色腫に対するnivolumabの有効性はDTICと比較したCheckMate-066試験により明らかとなり,nivolumabはDTICに比べ奏効率,全生存率,無再発生存期間を有意に延長することが示された1).副作用において,nivolumab群は全gradeで74.3%,DTIC群は75.6%とほぼ同等であるものの,grade 3,4の重度の副作用はnivolumab群11.7%,DTIC群17.6%とnivolumab群が有意に低率であった1).また,mucosal melanomaに対してもnivolumabの有効性が報告されており18)20),Asciertoら21)は鼻粘膜に生じた悪性黒色腫に対するnivolumab単独療法によりCRを得た症例を報告している.また,Tokuharaら8)は肝転移を生じた直腸肛門部悪性黒色腫のDTICに次ぐ2nd-lineでnivolumabを使用し良好な反応を得たことを報告している.

本邦報告例では,医学中央雑誌(1964~2019年12月)で「直腸肛門部」,「悪性黒色腫」,「ニボルマブ」,「nivolumab」をキーワードに検索(会議録除く)したところ,nivolumabをfirst lineで投与した症例は2報告があるのみであった.1例は治癒切除後1か月で再発しnivolumabが開始されたが投与開始後67日で原病死しており,もう1例は腹会陰式直腸切断術後6か月で肺,肝転移がみられnivolumabが開始されたが投与開始後9か月で現病死していた22)23).いずれもnivolumabが投与されたが予後は不良であり,本例のようにcCRを得た症例はまれと考えられる.

皮膚悪性黒色腫診療ガイドラインでは進行悪性黒色腫に対する治療の中心は薬物療法であるが,完全切除可能な病変,いわゆるoligometastasisを切除することで予後延長が期待できる可能性があるとされ17),直腸肛門部悪性黒色腫においてもoligometastasisに対する切除例が報告されている.Matsudaら24)は直腸肛門部悪性黒色腫切除後の肺転移再発に対して切除を行い,さらにその後の脳転移再発に対しても切除を行ったことで長期予後を得た症例を報告している.一方で,大山ら25)は直腸肛門部悪性黒色腫の切除可能同時性胃転移に対して原発巣および転移巣を同時切除したが,術後3か月で再発したことを報告している.このように手術自体の侵襲により多発転移が出現し生存期間を短縮させるとの見解も見られている25)26).また,本例のような側方リンパ節再発に対する切除報告はあるものの,長期予後は不明であった27)

一方,oligometastasisに対する治療として,皮膚悪性黒色腫ではdabrafenib+trametinib併用療法は手術よりも良好な予後が報告されている28).また,転移巣切除に加えてnivolumabを投与することで予後改善が期待できる可能性も示唆されている17).このように悪性黒色腫のoligometastasisに対する治療についてはいまだevidenceは十分でないものの新規薬剤の導入により今後大きく変化していくものと考えられる.直腸肛門部悪性黒色腫においても切除を行うか,分子標的製剤や免疫チェックポイント阻害薬を進行期治療として行うか患者ごとに慎重に決定すべきと思われる.

新規薬剤は悪性黒色腫の予後改善に寄与する一方,nivolumabを含む免疫チェックポイント阻害薬は免疫を介して抗腫瘍効果を発揮するために,免疫関連の副作用であるirAEが多く報告されている.内分泌障害(1型糖尿病,甲状腺機能障害,副腎機能不全,下垂体機能低下症),間質性肺障害,大腸炎,神経系障害,肝機能障害など多岐にわたり従来の殺細胞性抗腫瘍薬や分子標的薬では見られないものも多く注意が必要とされる.また,まれながらnivolumabには心毒性を呈することがあり,左室収縮機能不全,心房細動,心室性不整脈,伝導障害が観察されている29).PD-1には心筋を保護する作用があると考えられており30),nivolumabの投与によってPD-1の作用が阻害された結果心筋障害や伝導障害を発症し不整脈の原因となる可能性が示唆されているため本例においても関連性は否定できない.本例における不整脈発症を重度のirAEとした場合,nivolumab中止も検討される.また,悪性黒色腫に対して,nivolumabは治療中止後もある程度効果が持続する可能性が示唆されており31),本例においても投与中止して経過観察することも選択肢の一つとして考えられる.患者にこれら投与継続,中止のメリット,デメリットを十分説明したところ投与継続を希望されたため,循環器内科医師の厳重な経過観察のもとnivolumab投与を継続している.現在,手術後33か月,ペースメーカー留置後15か月となるが新たな有害事象の発現なく画像上CRを維持し,nivolumab投与継続中である.

直腸肛門部悪性黒色腫は予後不良な疾患であるが,nivolumabなどの免疫チェックポイント阻害薬やBRAF阻害薬により従来の報告以上の予後を期待できる可能性がある.しかしながら,直腸肛門部悪性黒色腫だけでなく,いまだ消化器領域での使用エビデンスに乏しく,症例の蓄積が望まれる.また,免疫チェックポイント阻害薬においてはirAEなどの注意すべき有害事象も生じうることから,その使用について十分な注意が必要であると考えられた.

利益相反:なし

文献
 

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