The Japanese Journal of Gastroenterological Surgery
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CASE REPORT
Colonic Perforation Following Clostridioides difficile Enteritis: A Case Report
Ryoko NozakiKiyoshi FukunagaMasaya OkazakiYuzuru KondoTatsuya Oda
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2021 Volume 54 Issue 6 Pages 416-423

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Abstract

症例は85歳の女性で,下痢,食思不振,嘔気を主訴に入院し,便迅速検査でClostridioides difficile(以下,CDと略記)抗原陽性,CDトキシン陰性,遺伝子検査でCDトキシンB陽性であった.入院3日目に結腸穿孔を発症し,緊急手術が施行された.横行結腸中央部から下行結腸に色調不良,および下行結腸に穿孔を認め,結腸左半切除,横行結腸人工肛門造設術を行った.術後,播種性血管内凝固症候群を発症したが改善し,術後82日目に退院となった.CD腸炎において結腸穿孔が発症する原因は明らかになっていないが,自験例の病理診断において縦走潰瘍と憩室が一致した部位に穿孔を生じた可能性が示唆された.また,CD腸炎に伴った結腸穿孔症例に対する外科的治療として,既報では結腸部分切除術,結腸全摘術,結腸温存術が行われ,救命されていた.病態に応じた術式選択が必要である.

Translated Abstract

An 85-year-old woman was admitted to our hospital due to diarrhea, loss of appetite and nausea. Rapid test results of a stool specimen taken on the third day after admission were positive for Clostridioides difficile (CD) antigen and negative for CD toxins. Later that day, she presented with signs of colonic perforation and was immediately brought to the operating room. The left half of the transverse colon and the entire descending colon had turned dark purple in color, and there was a hole in the descending colon. Left hemicolectomy and transverse colostomy were performed. After surgery, the preoperative stool specimen was submitted for a nucleic acid amplification test, which turned positive for CD toxin B. The patient recovered from postoperative disseminated intravascular coagulopathy and was discharged on postoperative day 82. The detailed mechanisms of colonic perforation following CD colitis are still to be unraveled, but pathological analysis in our case suggested that perforation occurred where longitudinal ulcers hit preexisting diverticula. In previous reports, partial colectomy, total colectomy or colon-sparing surgery have been performed in cases of colonic perforation following CD colitis. The operative procedure should be chosen based on the condition of the patient.

はじめに

Clostridioides difficile(以下,CDと略記)は嫌気性のグラム陽性桿菌であり,2016年にClostridium difficileから菌名が変更された.CDが原因となる腸炎はそのほとんどが軽症であるが,3~10%の患者は重症となり外科的治療を必要とすることがある1).CD腸炎に合併した結腸穿孔も外科的治療を必要とする重症CD腸炎に含まれるが,その頻度はまれであることから,穿孔に至る機序や治療に際して行われる手術方法について確立したものはない.今回,我々はCD腸炎に下行結腸穿孔を併発した症例を経験したので,文献的考察を加え報告する.

症例

症例:85歳,女性

主訴:下痢,食思不振,嘔気

既往歴:右乳癌 69歳 右乳房部分切除術,S状結腸癌 71歳 S状結腸切除術,原発性肺癌 74歳 左肺下葉切除術,直腸瘤 83歳~84歳 ペッサリー挿入.

生活歴:息子と2人暮らし.日常生活は自立していた.

現病歴:2019年12月に間欠的な下痢が出現し近医受診,腸炎の診断でCefditoren 300 mg/日を3日間内服した.年明けから下痢が継続するようになったが,腹痛や発熱は見られなかった.1月中旬に腰痛を主訴に当院整形外科を受診,腰椎圧迫骨折の診断でcelecoxibとloxoprofen sodium hydrateを処方された.それ以降,トイレとたまの洗濯以外は寝たきりとなった.2020年1月下旬から食思不振となり,ほとんど経口摂取できなくなり,嘔気が生じるようになったため,当院内科外来を受診され,入院となった.

来院時身体所見:身長131 cm,体重33 kg,体温37.0°C,脈拍138回/分,血圧101/64 mmHg,SpO2 97%(室内気).呼吸音は清.腹部は平坦,軟で圧痛を認めず.四肢の浮腫なし.

来院時血液検査所見:WBC 8,700/μl(好中球91.5%),Hb 9.7 g/dl,Plt 230,000/μl,CRP 25.4 mg/dl,Alb 2.5 g/dl,BUN 29 mg/dl,Cre 0.87 mg/dl,eGFR 47.0 ml/min/1.73 m2,T-Bil 1.1 mg/dl,Na 138 mEq/l,K 2.7 mEq/l,Cl 91 mEq/l,UK/Ucr 0.09 mEq/gと炎症所見と腎外性カリウム喪失を認めた.

腹部単純CT所見:総胆管の生理的な拡張のほか,全結腸壁の肥厚を認めた.遊離ガス像や腹水は認めなかった.

入院時SOFAスコア0点であったが,炎症所見が強いため細菌感染症を疑い,ceftriaxone 2 g/日の経静脈投与が開始された.入院後も下痢が続き,入院翌日にWBC 9,000/μl,CRP 25.88 mg/dl,K 2.4 mEq/lと炎症所見の増悪,カリウム喪失の進行が見られ,KCL 20 mEq/dayの経静脈的投与が開始された.また,動脈血液ガス分析(室内気)ではpH 7.512,pCO2 36.6 mmHg,pO2 95.2 mmHg,HCO3 28.7 mmol/l,AG 8.7 mmol/l,Lactate 1.50 mmol/lと,カリウム喪失による代謝性アルカローシスが認められた.同日夕方より,38.0°C台の発熱と腹痛が出現した.反跳痛や筋性防御は見られなかった.その後も下痢が続き,入院3日目の便迅速検査ではCD抗原(glutamate dehydrogenase;以下,GDHと略記)陽性,CDトキシン陰性,ノロウイルス抗原陰性であり,CD腸炎としてvancomycin hydrochloride(以下,VCMと略記)2 g/日の経口投与を予定した.しかし,同日午後,39.3°Cの体温上昇,腹痛の増強,筋性防御が出現し,腹部単純CT所見にて膵前面から十二指腸周囲,肝表面に至る腹腔内遊離ガスと腹水を認め,消化管穿孔の診断で緊急手術を行った(Fig. 1).

Fig. 1 

Enhanced CT images of the abdomen showed free air (a: arrowheads), wall thickness of the entire colon (b: arrowheads) associated with ascites (b: arrows) and extraluminal air trapped in the mesentery (c: arrowheads).

手術前の血液検査所見:WBC 6,500/μl(好中球84.8%),Hb 9.1 g/dl,Plt 178,000/μl,CRP 17.71 mg/dl,Na 134 mEq/l,K 2.8 mEq/l,Cl 92 mEq/l,Cre 0.64 mg/dl,PT 16.3秒,PT-INR 1.42,APTT 72.2秒,Fib 189 mg/dl,D-dimer 7.9 μg/mlと凝固系異常を認め,動脈血液ガス分析(室内気)ではpH 7.534,pCO2 35.1 mmHg,pO2 93.6 mmHg,HCO3 28.9 mmol/l,Na 128 mmol/l,K 2.97 mmol/l,Cl 94 mmol/l,AG 8.1 mmol/l,Lactate 4.66 mmol/lと代謝性アルカローシスに加えて乳酸値の上昇を認めた.

手術所見:開腹すると腹腔内に緑色便汁あり,下行結腸に径3 mmの穿孔を1か所認めた.横行結腸中央部から下行結腸までの漿膜面は暗赤色を呈していたため虚血性大腸炎と診断し,既往手術であるS状結腸切除術の吻合部を含めた左半結腸切除術を行い,肛側切離端を閉鎖,口側切離端を単孔式人工肛門とした.

切除標本肉眼所見:粘膜面は出血壊死を示す暗赤色調を呈し,縦走潰瘍,びらんが横行結腸中央部の口側断端まで広がっていた.重症の虚血性大腸炎に類似した所見であったが,その障害範囲は一般的な虚血性大腸炎と異なり限局性ではなかった.結腸穿孔は肛側断端付近にみられた(Fig. 2).

Fig. 2 

Macroscopic images of the resected specimen showed discoloration of the mucous membrane, multiple longitudinal ulcers (a) and a perforation (b: arrow) that occurred in the background of diverticula (b: arrowheads) in the descending colon.

病理組織学的検査所見:固有筋層に達する境界明瞭な潰瘍が多数みられた.下行結腸穿孔部の背景腸管には憩室様の構造があり,縦走潰瘍と憩室が一致した部位に穿孔を生じた可能性が疑われた.偽膜形成は認めなかった(Fig. 3).

Fig. 3 

Histopathological views of the specimen showed ulcers that reached the colonic muscularis propria (a: HE stain, original magnification ×200), which was discontinuous at the perforated site (b: HE stain, original magnification ×200).

術後経過:術後はVCM 1 g/日の経静脈投与,flomoxef sodium(以下,FMOXと略記)2 g/日の経静脈投与を5日間行った後,VCM 2 g/日の経胃管投与,meropenem hydrate(以下,MEPMと略記)1 g/日の経静脈投与を行った.入院3日目の便検体の培養結果は陰性であったが,同検体を用いた遺伝子検査(nucleic acid amplification test;以下,NAATと略記)ではトキシンBが陽性であった.術後3日目にDIC(急性期DICスコア4点)を来し,アンチトロンビンIII(以下,ATIIIと略記)低値を認めたため,トロンボモデュリン製剤,ATIII製剤を投与した.その後,発作性上室性頻拍が生じ,verapamil hydrochloride 5 mgの経静脈投与を行った.術後8日目の便迅速検査ではGDH,CDトキシンともに陰性であった.その後,徐々に全身状態は安定し,術後12日目より経口摂取開始,術後15日目に抗菌薬投与終了,術後82日目に退院となった.

考察

CDは芽胞形成により広範囲な環境で長期間生存できるという特徴を持ち,1970年代に抗菌薬起因性腸炎との関連性が明らかとなった.2000年以降,欧米において重症型のCD腸炎が出現したことが影響し,死亡率は上昇した2).そのため欧米では国家的なサーベイランスが実施されており,ガイドライン整備も進められてきたが,本邦ではCD腸炎の発生率が欧米に比べて低く,その重症度も高くないとされていることもあり3),大規模な調査研究は行われておらず,CD腸炎発生の全体像は明らかになっていない4).罹患のリスクファクターとして,高齢,長期の入院,化学療法,消化管手術,経管栄養などが報告されている5).最も重要なリスクファクターは抗菌薬の使用であるが,これによる腸内フローラの撹乱は使用開始後3か月間続くとされており,特に最初の1か月はCD腸炎のリスクが高い.抗菌薬使用は長期間および複数投与でリスクが増大するが,一方,術後予防投与などの短期間単剤使用でもリスクとなることが報告されている.アメリカ合衆国のサーベイランスによると発症前12週間の入院歴や外来通院歴などを含めると,CD腸炎の94%が医療施設関連の発症であった5).自験例においても不定期ながら医療機関への通院歴があった.

CD腸炎の主病態はトキシンの直接的な大腸粘膜障害による下痢,およびトキシンが誘導する炎症性メディエーターによる発熱,低血圧,頻呼吸,白血球増多などの全身性炎症反応である1)6).したがって,トキシン非産生株はCD腸炎を発症しない3).CD腸炎の特徴とされる偽膜は,障害された腸管粘膜面へのフィブリン,ムチン,障害された細胞の集積により形成されるが,半数の症例では偽膜を認めず3),自験例においても認めなかった.CD腸炎の診断には,24時間以内に形状のない排便が3回以上あるという臨床所見と,糞便検査によるCDトキシン陽性が必要である3).自験例においては当初,糞便中トキシン陰性,GDH陽性であった.GDHはCDが特異的に産生する酵素であるが,GDH陽性のみではトキシン産生の有無は判定できない3).GDH陽性でトキシン陰性の場合,NAATを行うことで診断率が向上し2),本邦7)や欧米5)8)のガイドラインにおいても推奨されている検査法である.自験例でもNAATにてCDトキシンB遺伝子が検出され,トキシン産生CDであると診断された.

CD腸炎は重症化することがあり,重症化因子としてCDトキシンに対する抗体反応性の低さ,あるいは地域的な要因などが挙げられているが不明な点が多い6).重症CD腸炎は中毒性巨大結腸症,敗血症などの病態をとることが多く,結腸穿孔はまれである.CD腸炎に結腸穿孔が生じる機序は明確にされていないが,CD腸炎の直接の障害ではなく,炎症を起こした結腸の循環障害による結腸壊死が背景にあるのではないかと考えられている9).また,CDが産生するトキシンA,Bには,腸管の細胞骨格を破壊する作用があることが明らかになっており8),これが憩室などの腸管壁構造が脆弱になっている部位に生じることで穿孔に至る可能性が考えられる.我々が検索しえたかぎりでは,CD腸炎に合併した結腸穿孔の過去20年間の報告例は,自験例を含め6例であった(検索期間1999~2019年,PubMedおよび医学中央雑誌にて検索キーワード「Clostridium difficile」あるいは「pseudomembranous colitis(偽膜性腸炎)」かつ「colonic perforation(結腸穿孔)」)(Table 110)~14).症例は高齢女性が多く,アメリカのサーベイランス5)におけるCD腸炎の罹患者と同様の結果であった.2例は周術期の予防的抗菌薬投与が発症の契機であった10)12)が,他4例に抗菌薬投与歴はなかった.穿孔部位はS状結腸11)14)と下行結腸10)が2例ずつ,脾彎曲部12)と盲腸13)が1例ずつであり,虚血性大腸炎の好発部位である左側結腸に多い傾向がみられ,循環障害による結腸壊死が穿孔の原因であることを示唆する結果であった.手術方法は多様であり,結腸部分切除および結腸人工肛門造設術が4例10)11)14),結腸全摘術および回腸人工肛門造設術が1例13),結腸切除を行わず,穿孔部での人工肛門造設術を行った症例が1例12)であった.4例で病理学的検討がなされているが,半数の2例10)11)に偽膜を認め,縦走潰瘍,出血,壊死などの所見により壊死性腸炎と診断された症例もみられた14).また,本症例のように穿孔に憩室が関与している疑いがあると記載された症例が1例みられた11)

Tabe 1  Reported cases of perforated Clostridioides difficile colitis from 1999 to 2019
No. Author/Year Age/Sex Background Surgery before onset Exposure to antibiotics before onset Symptoms on admission Laboratory findings at operation CD testing Site of perforation Operative procedures Pathologcal findings Outcome
Diarrhea Abdominal pain Body temp. (°C) Hypotention/Shock WBC (/ul) CRP (mg/dl) Lactate (mmol/l) CD toxin GDH Stool culture NAAT
1 Hata10)/2000 60/F Rectoviginal fistula after radiation therapy for cervical cancer, liver cirrhosis (HCV) Sigmoid colostomy Tosufloxacin (PO), Flomoxef + + >38.0 + 7,320 9.2 NA + NA + NA Descending colon LHC, transverse colostomy PMC, ulcers Alive
2 Otani11)/2013 78/M Chemoherapy for lung cancer, steroid pulse therapy for intestitial pneumonitis + + 37.2 17,600 30.2 NA A+ NA NA NA Sigmoid colon Sigmoidectomy, Hartmann’s operation PMC, diverticulitis Dead
3 Nakamura12)/2015 32/F Pregnancy Caeserian section Cefazolin, Cefozopran + 40.0 + 42,000 31.5 NA + NA NA Ribotype 027, toxin A, B, binary toxin Splenic flexure Colostomy NA Alive
4 Luthe13)/2017 79/F Left thalamic hemorrhage + + 38.2 + 20,600 15.8 4.2 A+ NA NA NA Cecum Total colectomy, ileostomy NA Alive
5 Maeda14)/2017 85/F + + 36.8 12,800 13.3 2.7 A+B+ + + Ribotype 014 Sigmoid colon LHC, transverse colostomy NEC, longitutal ulcers Alive
6 Our case 85/F + 37.0 6,500 17.7 4.66 + Toxin B Descending colon LHC, transverse colostomy Longitutal ulcers, diverticulum Alive

CD: Clostridioides difficile, GDH: glutamate dehydrogenase, NAAT: nucleic acid amplification test, HCV: hepatitis C virus, PO: per os, LHC: left hemicolectomy, PMC: pseudomembranous colitis, NEC: necrotizing colitis

CD腸炎に合併した結腸穿孔の術後は,細菌性腹膜炎に対する抗菌薬に加え,CDに対する抗菌薬投与が必要と考えられるが,術後抗菌薬投与に関してガイドラインに記載はみられない.今回検討した報告例5例中3例で術後CDに対して抗菌薬が投与されており,その薬剤はそれぞれmetronidazole(以下,MNZと略記)経管投与11),VCM注腸投与12),VCM経静脈および経管投与に加え,MNZ経静脈投与14)であった.左半結腸切除術後にCDに対する抗菌薬投与が行われていない症例10)では,結腸穿孔発症前に行われたVCM経口投与により術直前のCDトキシンが陰性化していたためと推測された.また,結腸全摘術後,CDに対する抗菌薬投与が行われていない症例13)があり,CDに障害された結腸が切除されたことから投与不要と判断された可能性が示唆された.自験例では腹膜炎術後としてまずFMOXを投与し,その後,炎症所見の改善が乏しかったことからMEPMに変更した.CDに対しては術直後にVCM経静脈投与を行い,腸管蠕動が回復してからVCM経管投与を行った.

海外のガイドラインでは,重症CD腸炎に対する外科的治療として結腸全摘術が推奨されている5)8).この手術方法はCD腸炎の病態が解明される以前,重症CD腸炎の症状が炎症性腸疾患による中毒性巨大結腸症に類似していることから,これに準じて行われるようになった1).手術成績について,1990年代には結腸左半切除などの部分切除術より術後死亡率が低いとの結果が少数例ながら報告された15)16).しかし,その後のメタアナリシスで,結腸全摘術と結腸部分切除術とを比較し,術後死亡率に有意差はなかったと報告され17),2019年には,術後30日以内の死亡率および合併症発生率に有意差はなく,術後在院期間は結腸全摘術において有意に長いと報告された18).このように,結腸部分切除術でも結腸全摘術と同等以上の成績を得られる可能性がある.一方,2011年にNealら1)は結腸切除を行わず,回腸末端でループ式人工肛門を造設し,肛門側人工肛門から腸管洗浄,VCM注腸を行う方法を発表し,結腸切除術と比較し有意に予後が向上したと報告した.その後,この方法は術後生存率や術後合併症発症率において結腸全摘術に劣らないと報告され19)20),ガイドラインにおいて結腸全摘術に準じた推奨度で位置付けられている5)8).ガイドラインにおける重症CD腸炎はショック,巨大結腸症,イレウスなどを発症した症例であり,結腸穿孔症例について論じた記述は見られない.そのため,ガイドラインに記載の外科的治療を結腸穿孔症例にそのまま適用することは適切でない可能性がある.今回,CD腸炎に合併した結腸穿孔の6例を検討したが,生存した5例に対して行われた手術は結腸部分切除術3例,結腸全摘術1例,結腸温存術1例であり,いずれの術式でも救命可能であることが示唆された.患者の全身状態,手術侵襲の大きさ,穿孔部位などを考慮し,手術方法を決定することが必要と思われる.

本邦では2018年に日本化学療法学会と日本感染症学会によりCD感染症診療ガイドラインが作成され7),2019年4月にはNAATが保険適用となった.これらにより今後CD腸炎と適切に診断される症例が増加し,重症CD腸炎に対する外科的治療の役割もますます重要になると考えられる.

利益相反:なし

文献
 

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