2022 Volume 55 Issue 5 Pages en5-
2021年9月より編集委員長の比企直樹先生の御高配で,本雑誌編集委員の末席に加えていただいております.私自身初めての編集委員で,緊張のなか委員の仕事を行っております.今回はこの場をお借りして,編集の仕事の中で私が気づいたことを二つ述べさせていただきます.
一つ目は編集委員が外科手術の匠でかつ多くの論文を発表されている先生方で構成されていることです.当科の教授,島田より「手術の匠ほど論文を書く」と指導されております.一見して関係がないように思われるかもしれませんが,手術のエキスパートの先生方は豊かで幅広い知識や知見をお持ちで,編集委員会での鋭いご指摘に私はいつも感服しております.手術と論文作成は大きく関係していると,改めて実感しているところです.二つ目は査読にかけられている思いです.査読が熱意を持って行われていること,編集委員会で著名な先生方が真剣に議論なさっていることを知りました.私が論文を投稿するとき,リバイスのやり取りの中で「対応したのでそろそろ採用してほしい」と思うこともありました.しかし,それは決して批判されていたのではなく,より良い論文にするという先生方の厚意だったのだと気づくことができました.査読者のコメントに感謝の念を持って対応するべきであったこと,また査読で著名な先生がご指摘くださっているにもかかわらず,十分な対応ができていたのかなど,反省の種は尽きません.今後,論文投稿の際は,襟を正して取り組んでいかなければならないと改めて感じております.
本号には2編の原著と5編の症例報告が記載されております.また,今回より特別報告「私の工夫」として手技の工夫が動画付きで掲載されるようになりました.トップランナーの先生方の動画を勉強していただけると幸いです.私の一押し論文は「eCura systemを用いた早期胃癌ESD非治癒切除病変に対する至適リンパ節郭清の検討」です.ESD後に追加切除をしてもリンパ節転移がなかった症例にしばしば遭遇します.特に高齢者が多い我々のような地方病院では追加切除が必要な患者様を的確に選択する難しさを感じております.今後の方針の一助になると思われますので,読者の皆様におかれましては,ぜひご一読ください.
(吉川 幸造)
2022年5月1日