The Japanese Journal of Gastroenterological Surgery
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Takeshi Kubota
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2025 Volume 58 Issue 2 Pages en2-

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暖かい日が続いたと思えば突然寒波が押し寄せるなど,今年の冬は体調管理が難しいと感じている今日この頃ですが,この編集後記が出版される頃には春の兆しが感じられるようになっていることでしょう.

さて,今回の私の一押し論文,医療法人樹心会角田病院外科 戸塚らの「上腸間膜動脈塞栓症により生じた短腸症候群に対してテデュグルチドが奏効した2症例」です.短腸症候群はまれな疾患ではありますが,患者さんはこの後遺症を一生背負わなければならず,消化器外科医にとってはその治療に難渋する代表的な病態でもあります.その治療としては完全静脈栄養(TPN)による水分・栄養管理,複数種の止痢剤,栄養補助食品などが中心でしたが,2021年8月に短腸症候群に対し,新しい機序(栄養素の吸収促進,腸管粘膜の維持および修復)のGLP-2の遺伝子組み換えアナログ製剤(テデュグルチド)が発売となりました.まれな疾患ゆえ治療経験のない消化器外科医も多いと思います.こういった治療経験を参考にして,今後遭遇したときの備えにしてほしいと思います.

「査読への想い:如何に教育的な査読によりいい論文を作り出すか?」

日本消化器外科学会の査読方法について少し触れたいと思います.他のJournalでは複数名の査読員がコメントを記載して編集長に返すだけのことが多いのですが,本誌は査読員がweb上で一堂に会し,担当査読員がコメントをプレゼンテーションして査読員全員で内容を吟味している点は,非常に丁寧かつ公正性を担保した方法であると感じています.また,論文となって公表されればやはり嬉しいし,若い先生方にはぜひその喜びを味わってほしいと思って情熱を持って査読をしています.私自身も今までの論文の別冊(今はPDFですが)は全て本棚に残してあります.本誌の経験豊富な査読員は,良い論文に仕上げるために教育的かつ建設的なアドバイスを送るよう努めておりますので,ぜひご投稿いただき,生涯想い出に残る論文を後世に残していただきたいと思います.

 

(窪田 健)

2025年2月6日

 

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