The Japanese Journal of Gastroenterological Surgery
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Yukinori Kurokawa
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2025 Volume 58 Issue 3 Pages en3-

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これが私にとって3回目の編集後記になります.これまでの2回はコロナ(Covid-19)禍に担当していましたが,現在は活動制限もほとんどなくなり,コロナ禍前の日々がほぼ戻りました.今日大阪ではExpo駅伝が開かれ,自宅すぐ近くの道路をランナーが走るので私も初めて駅伝を見に行ってきましたが,たくさんの観衆が集まってランナーを応援しており,すごい活気でした.来月からいよいよExpoも始まりますが,新たな時代の到来を楽しみにしています.

さて,今回の私の一押し論文は「多臓器合併切除を施行した顆粒球コロニー刺激因子産生後腹膜脱分化型脂肪肉腫の1例」です.G-CSF産生腫瘍はたまに遭遇する疾患でありますが,G-CSF産生の脂肪肉腫というのは非常にまれです.術前の検査で20 cm大の巨大腫瘍に加えて,白血球高値,CRP高値となると,なかなか拡大手術に踏み切るのも勇気がいると思いますが,結腸右半切除と右腎摘出を伴う腫瘍摘出を無事に行えたという報告です.一般的にG-CSF産生腫瘍は予後不良であり,後腹膜脱分化型脂肪肉腫に対して有効な化学療法はほとんどないという現状ですので,リスクはあっても外科的切除を選択せざるをえない状況だったかと思います.ぜひ皆さんもご一読いただき,いつかこのような症例に遭遇したときの予備知識としていただければと思います.

「査読への想い:如何に教育的な査読によりいい論文を作り出すか?」

私が消化器外科医になって早くも28年が過ぎますが,人生で初めての論文は研修医1年目に書いた症例報告でした.このときは右も左もわからない状況の中,指導医の手取り足取りのご指導のお陰でなんとか書き上げ,本誌の第31巻9号に掲載されたときには本当に嬉しく,上司からもお褒めの言葉をいただいたことを今でも鮮明に覚えております.この小さな成功体験が,その後の私の外科医人生に大きく影響したことは間違いありません.本誌を読んでいる指導医の先生方も,周りにいる若手の外科医たちにこういった成功体験を味わってもらえるよう,ぜひとも本誌への積極的な投稿を勧めていただき,さらには論文執筆をご指導いただければ幸いです.

 

(黒川 幸典)

2025年3月16日

 

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