The Japanese Journal of Psychology
Online ISSN : 1884-1082
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Effect of boredom on eating behavior: Development of the Japanese version of a Short Boredom Proneness Scale
Ayako MorinagaKei TanakaYosuke SatoHikari NamatameYoko Sawamiya
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Article ID: 96.23221

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Translated Abstract

In the present study, a Japanese version of the Short Boredom Proneness Scale (SBPS) was developed, and its reliability and validity were examined. In addition, the effects of boredom proneness on eating behaviors, such as emotional eating and intuitive eating, were examined. In study 1,208 men and women completed the questionnaire. Confirmatory factor analysis revealed that the Japanese version of the SBPS had a one-factor structure similar to the original version, and the reliability and validity of the Japanese version of the SBPS were demonstrated. In study 2,782 men and women completed the questionnaire. A hierarchical multiple regression analysis indicated that the more easily bored one was, the more likely one was to engage in emotional eating. Regarding the moderating effect of emotion regulation strategies, the function of emotion regulation differed depending on sex and the characteristic factors of boredom. The results of this study suggest that by accounting for the characteristic factors of boredom, effective interventions for eating behavior may be enabled by accounting for the characteristic factors of boredom.

心身の健康という臨床的視点から,退屈という概念が注目されている(Tam et al., 2021)。例えば,退屈しやすい人ほどウェルビーイングや人生満足感が低く(Fahlman et al., 2009; Peng et al., 2020),抑うつ,不安,孤独感,怒りといったネガティブ感情が高いことが示されている(Farmer & Sundberg, 1986; Struk et al., 2017)。また,SNSやインターネット依存(Chou et al., 2018; Donati et al., 2022),先延ばし行動(Vodanovich & Rupp, 1999),過食・むちゃ食い(Stickney & Miltenberger, 1999)など様々な問題行動の背景に退屈が存在することが報告されている。さらに,COVID-19流行が心身の健康に与えた影響としても,退屈は注目されている(例えば,Westgate et al., 2023)。本論文では,「満足のいく活動をしたいのにできない,という嫌悪的な経験」(Danckert & Eastwood, 2020 一川・神月訳 2021; Eastwood et al., 2012)を退屈の定義として扱うこととする。

退屈しやすさを測定する尺度として広く使用されているものに,Short Boredom Proneness Scale(以下,SBPSとする:Struk et al., 2017)がある。SBPSは,Boredom Proneness Scale(以下,BPSとする:Farmer & Sundberg, 1986)の短縮版尺度であり,個人が退屈を経験する全般的な傾向が測定できる。BPSや他の短縮版の因子構造の不安定さを解決した尺度であるため,退屈を測定する尺度の中で最も概念的な問題が少ないとされる(Gana et al., 2019; Struk et al., 2017)。英語の他,中国語(Peng et al., 2020),ドイツ語(Martarelli et al., 2021),フランス語(Martarelli et al., 2023)など複数の言語に翻訳,活用され,国際比較においても有用な尺度といえる。一方,本邦では退屈を測定する尺度が開発されておらず,退屈についての詳細な検討が不足している。そのような現状を打開し,本邦で心身の健康や問題行動に関する退屈に着目した検討を行うためには,信頼性および妥当性が十分に検討された短縮版退屈尺度の日本語版を作成することが必要である。

ところで,近年,COVID-19下で過食やむちゃ食いなどの問題行動が増加したとの報告がある(日本摂食障害協会,2021; Phillipou et al., 2020)。この問題的な食行動の増加には,行動自粛などによる退屈の影響が指摘されている(Jackson et al., 2021)。この退屈と食行動の関係を説明する上で特に近年注目されているのが,情動的摂食と適応的調和食行動の2つの食行動である。情動的摂食は,感情によって引き起こされ(Arnow et al., 1995),高カロリーな食べ物の摂取(Camilleri et al., 2014)や高頻度の間食(O'Connor et al., 2008)など不適切な食行動との関連性が高い。そして,その後の研究知見により,退屈であるときの方が,抑うつ,不安といった他のネガティブ感情を経験するときよりも食行動が活発化することから,情動的摂食を引き起こすネガティブ感情として新たに退屈が加えられた(Koball et al., 2012; Walfish & Brown, 2009)。特性的な観点においても,他の感情の経験しやすさを超えて,退屈しやすさが情動的摂食を予測することが明らかになった(Ahlich & Rancourt, 2022)。一方,適応的調和食行動は,生理的な空腹感や満腹感に基づいて生じる適応的食行動である(Tylka, 2006)。適応的調和食行動は,退屈や摂食障害傾向の低さ,ウェルビーイングと関係する精神的指標と関連することから,食行動への介入場面における有用性が指摘されている(Ahlich & Rancourt, 2022; Tylka & Kroon Van Diest, 2013)。Tylka & Kroon Van Diest(2013)は,適応的調和食行動の特徴の1つに情動的摂食への抵抗を挙げており,Ahlich & Rancourt(2022)では適応的調和食行動の一部と情動的摂食の間で負の関連が明らかになった。以上より,情動的摂食の予防や適応的調和食行動の促進など,食行動に対する介入可能性を検討する上で退屈に着目することが鍵になるといえる。

また,Macht(2008)は,感情が食行動に与える影響過程について説明した食感情モデル(Five-way model)の中で,情動的摂食を感情と関連した食習慣の1つとして位置づけている。感情制御(emotion regulation)の困難性が情動的摂食に影響することが示されており(Braden et al., 2018; Crockett et al., 2015),感情制御の機能不全が情動的摂食の一因になると推測される。食感情モデルにおける感情を退屈と仮定すると,退屈したとしても,感情制御の使用方略が異なれば食行動に差異が生じる可能性がある。例えば,摂食障害は,状況や出来事を再解釈する再評価方略とは負の関連,感情表出を抑える抑制方略とは正の関連をもつことが明らかになった(Aldao et al., 2010; Prefit et al., 2019)。また,COVID-19の影響下において退屈と感情制御の困難性に注目が集まり,両者の関連が示された(Weybright et al., 2022)。以上より,退屈,感情制御,食行動は相互的に関連するため,退屈と食行動の関係において感情制御が調整要因の役割を担うと考えられる。さらに,方略ごとのメカニズムの差異が明らかになれば,感情制御の方略にアプローチすることで,退屈による食行動への影響を緩和できる可能性が示されるだろう。

また,従来の研究では食行動の関連要因による影響が十分に考慮されていないという課題もある。例えば,間食は,退屈や退屈によって生じる情動的摂食の関連要因である(Jackson et al., 2021; Moynihan et al., 2015)。その他にも,食行動は他者の存在に影響を受けるといわれており(Macht & Simons, 2011; Schüz et al., 2017),食行動に関する研究ではこれらの関連要因を統制する必要がある。さらに,退屈,食行動,感情制御の抑制方略に性差があることが明らかになっている(Struk et al., 2017; 吉津他,2013)。特に,女性は情動的摂食を行う傾向が高く(例えば,Ahlich & Rancourt, 2022; 高山他,2012),男性は適応的調和食行動の傾向が高い(生田目・沢宮,2019)など,食行動において性別は重要な要因である。

以上より,研究1では,短縮版退屈尺度の日本語版を作成し,信頼性および妥当性を検討することを目的とする。研究2では,(a)退屈が食行動に与える影響,(b)退屈と食行動の関連における感情制御の方略の調整効果の検討を行うことを目的とする。なお,退屈による食行動への影響過程が性別によって異なる可能性があるため,研究2では男女別に分析を行い検討することとする。

研究1

目的

短縮版退屈尺度の日本語版を作成し,その信頼性と妥当性を検討する。再検査信頼性を検討するため,SBPSの他言語版作成を行った先行研究(Peng et al., 2020)にならい,本調査から4週間後に再調査を行う。また,構成概念妥当性を検討するため,原版および他言語版の妥当性検討を参考に,非意図的マインドワンダリング,マインドフルネス,孤独感,行動抑制系(Behavioral Inhibition System: 以下,BISとする),行動賦活系(Behavioral Activation System: 以下,BASとする),主観的幸福感,抑うつ症状との関連を検討する。

方法

調査方法 2022年3月下旬に,インターネット調査会社の登録モニターである18歳以上の男女250名を対象にWeb調査を実施した。分析対象は,回答態度を測定する項目2つのうち少なくとも1つに誤って回答した42名を除いた208名(男性100名,女性106名,その他2名,平均年齢40.94歳,SD=11.19)である。なお,参加者のうち96名(男性47名,女性48名,その他1名,平均年齢41.67歳,SD=10.55)に4週間後に再調査を行い,短縮版退屈尺度の日本語版に回答を求めた。

本研究の内容と倫理的配慮に関する説明は,調査開始前の画面に表示し,回答をもって同意を得たものとした。なお,本研究は,筑波大学研究倫理委員会の承認を受けて実施された(課題番号:筑2021-202A号)。

調査内容 調査内容は以下の通りであった。

1. フェイスシートでは,性別と年齢の回答を求めた。

2. 短縮版退屈尺度の日本語版の作成のため,原尺度(Struk et al., 2017)を翻訳した。「以下の文章がだいたいどの程度あなたに当てはまるか評価してください」という教示文の後に,8項目について7件法(「1. 全くあてはまらない」から「7. よくあてはまる」)で回答を求めた。原尺度は1因子8項目で構成され,十分な信頼性・妥当性が報告されている(Struk et al., 2017)。翻訳にあたって,原著者の1人であるDanckertの許可を得た。翻訳を職業とする専門家4名(英語を母国語とする翻訳家の男女各1名,日本語を母国語とする翻訳家の男女各1名)に依頼し,原尺度の項目を日本語に翻訳した。日本語訳の結果を踏まえ,心理学を専門とする大学教員3名および大学院生2名が表現の統一などを協議した。次に,前述の4名の翻訳家とは別の翻訳家4名(英語を母国語とする翻訳家の男女各1名,日本語を母国語とする翻訳家の男女各1名)にバックトランスレーションを依頼し,その結果を原著者に送り,原尺度と意味の相違がないことの確認を得た。その後,心理学を専攻する大学院生10名を対象とした認知ディブリーフィングを通して,分かりにくい表現がないかどうか確認を行った。

3. 非意図的なマインドワンダリング傾向を測定するためMind Wandering-Spontaneous(Carriere et al., 2013; 日本語版:山岡・湯川,2019)を用いた。4項目で構成され,問1,2,4は「1. めったにない」から「7. 非常によくある」,問3は「1. まったくそうではない」から「7. 非常にそうである」のそれぞれ7件法で回答を求めた。

4. マインドフルネスのうち,注意の欠如を経験する傾向を測定するためFive Facet Mindfulness Questionnaire(Baer et al., 2006; 日本語版:Sugiura et al., 2012)のうち,Acting with Awareness下位尺度を用いた。全8項目について「1. まったくあてはまらない」から「5. いつもあてはまる」の5件法で回答を求めた。

5. 孤独感を測定するため改訂版UCLA孤独感尺度(Russell et al., 1980; 日本語版:諸井,1991)を用いた。全20項目について「1. けっして感じない」から「4. たびたび感じる」の4件法で回答を求めた。

6. 罰への回避と報酬への接近の感受性を測定するためBIS/BAS Scales(Carver & White, 1994; 日本語版:髙橋他,2007)を用いた。同尺度は「BIS(7項目)」,「BAS駆動(4項目)」,「BAS報酬反応性(5項目)」,「BAS刺激探求(4項目)」の4因子20項目で構成された。全項目について「1. あてはまらない」から「4. あてはまる」の4件法で回答を求めた。

7. 主観的幸福感を測定するためSubjective Happiness Scale(Lyubomirsky & Lepper, 1999; 日本語版:島井他,2004)を用いた。4項目で構成され,問1,2は「1. 非常に不幸な人間」から「7. 非常に幸福な人間」,問3,4は「1. まったくない」から「7. とてもある」のそれぞれ7件法で回答を求めた。

8. 抑うつ傾向を測定するためCenter for Epidemiologic Studies Depression Scale(Radloff, 1977; 日本語版:島他,1985)を用いた。全20項目について「0. この1週間で全くないか,あったとしても1日も続かない」から「3. 週のうち5日以上」の4件法で回答を求めた。

結果と考察

分析にはSPSS Statistics 26およびSPSS Amos 27を用いた。

因子構造 短縮版退屈尺度の日本語版の因子構造を確認するため,原尺度と同じく8項目1因子構造を仮定し確認的因子分析を行った(Table 1)。分析の結果,適合度指標はχ2 (20) =95.987,p<.001,CFI=.876,RMSEA=.135,SRMR=.077であり,値が良好でなかった。そこで修正指標を参考に同一内容を測定していると考えられる項目1と項目7,項目1と項目8,項目6と項目8との間に誤差相関の共分散を設定し,再度確認的因子分析を行った。その結果,モデルの適合度指標はχ2 (17) = 48.183,p<.001,CFI=.949,RMSEA=.094,SRMR=.054で良好もしくは許容範囲内の値を示した。

Table 1

Means, standard deviations, factor loadings

M (SD) Factor loadings
1 何をしたらいいのかわからず,「手持ち無沙汰」になることがよくある。 3.50 (1.60) .52
(I often find myself at “loose ends,” not knowing what to do.)
2 自分自身を楽しませるのは難しい。 3.97 (1.76) .65
(I find it hard to entertain myself.)
3 自分がやらなくてはならないことの多くは,繰り返しで,単調だ。 4.36 (1.43) .54
(Many things I have to do are repetitive and monotonous.)
4 やる気を出すために,たいていの人よりも多くの刺激を必要とする。 3.92 (1.50) .52
(It takes more stimulation to get me going than most people.)
5 自分がするたいていのことにやる気が出ない。 3.92 (1.64) .85
(I don’t feel motivated by most things that I do.)
6 たいていの場面で,興味を持ち続けるようなことを見つけるのは難しい。 3.98 (1.56) .87
(In most situations, it is hard for me to find something to do or see to keep me interested.)
7 ほとんどの時間,何もせずにダラダラと過ごしている。 3.56 (1.73) .63
(Much of the time, I just sit around doing nothing.)
8 たとえ危険でも,刺激的なことをしていないと,つまらなくて半分死んだような感じがする。 2.68 (1.57) .40
(Unless I am doing something exciting, even dangerous, I feel half-dead and dull.)

なお,項目1と項目7は「無為に時を過ごしている状態」,項目1と項目8は「何かに没頭したいのにそれができないという精神的な努力を強いられるため,嫌な気分になる」,項目6と項目8は,「より意味のある他の行動を追及する」という特徴を表す項目であるため,これらの誤差間に相関を仮定することは理論的に妥当であると判断された。

信頼性 内的整合性に関しては,Cronbachのα係数は.84で十分な値を有しており,内的整合性が認められた。再検査信頼性に関しては,4週間間隔を空けて行った2時点における級内相関係数を算出した結果,ICC (1, 1) =.72, 95%CI= [.61, .80] であり,十分な再検査信頼性が確認された。

構成概念妥当性 短縮版退屈尺度の日本語版と他の尺度のピアソンの積率相関係数を算出した(Table 2)。その結果,原版および他言語版と同様の結果が得られた。具体的には,短縮版退屈尺度の日本語版とマインドワンダリング,孤独感,抑うつとの間に強い正の相関が,BISとの間に中程度の正の相関が認められ(いずれもp<.01),マインドフルネス,主観的幸福感との間に強い負の相関が認められた(いずれもp<.01)。また,BASとの間には有意な相関が認められなかった。これらの結果より構成概念妥当性が示された。

Table 2

Descriptive Statistics and coorrelations

M (SD) 1 2 3 4 5 6 7 8
*p< .05, **p < .01
1 Boredom Proneness 29.89 (8.82) .75 ** ‒.73 ** .60 ** .31 ** ‒.10 ‒.52 ** .64 **
2 Mind Wandering-Spontaneous 8.73 (3.44) ‒.82 ** .57 ** .40 ** .01 ‒.49 ** .68 **
3 Mindfulness 27.58 (7.07) ‒.51 ** ‒.37 ** .01 .51 ** ‒.68 **
4 Loneliness 49.20 (12.57) .48 ** ‒.36 ** ‒.70 ** .66 **
5 Behavioral Inhibition System 20.04 (4.26) .01 ‒.49 ** .42 **
6 Behavioral Activation System 33.86 (6.40) .27 ** ‒.15 *
7 Subjective Happiness 15.22 (4.80) ‒.73 **
8 Depression 37.39 (12.78)

研究2

目的

(a)退屈が食行動に与える影響の検討,(b)退屈と食行動の関連における感情制御の方略の調整効果の検討を行う。(a)についてはAhlich & Rancourt(2022)と同様,退屈が情動的摂食に対して他の要因を超える影響力をもつことを仮説とする。なお,先行研究では退屈と食行動の男女差が指摘されているが(Struk et al., 2017; 高山他,2012),Ahlich & Rancourt(2022)では男女差が検討されていないため,本研究では男女別に検討する。(b)については,退屈と食行動の関係において感情制御の方略の調整効果がみられるか,男女別に検討する。先行研究を踏まえ,退屈しやすいほど情動的摂食を行いやすくなり,適応的調和食行動は抑制されるものの,再評価方略の使用傾向が高いとその影響は緩和され,抑制方略の使用傾向はその影響を強めることを仮説とする。

方法

調査方法 2022年10月下旬に,インターネット調査会社の登録モニターである18歳以上の男女800名を対象にWeb調査を実施した。分析対象は,欠損値を除いた782名(男性389名,女性393名,平均年齢45.67歳,SD=17.21)である。G*power3(Faul et al., 2007)を用い,Cohen(1988)の基準より効果量R2=0.02(小),有意水準5%,検定力80%とし必要サンプルサイズを計算した結果395名であり,男女別で分析を行うにあたって,本研究におけるサンプルサイズは概ねこれを満たしていた。

本研究の内容と倫理的配慮に関する説明は,調査開始前の画面に表示し,回答をもって同意を得たものとした。なお,本研究は,筑波大学研究倫理委員会の承認を受けて実施された(課題番号:筑2022-135A号)。

調査内容 調査内容は以下の通りであった。

1. フェイスシートでは,年齢,性別,1日の間食の頻度,居住人数の回答を求めた。また,BMI(体重 (kg) /身長2 (cm2) )を算出するため,身長と体重の回答を求めた。

2. 退屈を経験する傾向を測定するため,研究1で作成した短縮版退屈尺度の日本語版を用いた。

3. ポジティブ感情およびネガティブ感情を測定するためPositive and Negative Affect Schedule(Watson et al., 1988; 日本語版:川人他,2011)を用いた。同尺度は「ポジティブ感情」,「ネガティブ感情」の2因子20項目で構成された。全項目について「1. 全く当てはまらない」から「7. 非常によく当てはまる」の7件法で回答を求めた。

4. 感情制御の方略を測定するためEmotion Regulation Questionnaire(Gross & John, 2003; 日本語版:吉津他,2013)を用いた。同尺度は状況や出来事を再解釈することによって感情の強度や種類を変化させる「再評価方略」,感情表出を抑える「抑制方略」の2因子10項目で構成された。全項目について「1. 全くあてはまらない」から「7. 非常にあてはまる」の7件法で回答を求めた。

5. 情動的摂食を測定するためDutch Eating Behavior Questionnaire(Van Strien et al., 1986; 日本語版:加藤,2009)のうち情動的摂食下位尺度を用いた。全13項目について「1. 全くない」から「5. いつも」の5件法で回答を求めた。

6. 適応的調和食行動を測定するためIntuitive Eating Scale-2(以下,IES-2とする:Tylka & Kroon Van Diest, 2013; 日本語版:生田目・沢宮,2019)を用いた。同尺度は「食べることを無条件に許容する(Unconditional Permission to Eat: 以下,UPEとする)」,「情動的理由からではなく身体のために食べる(Eating for Physical Rather Than Emotional Reasons: 以下,EPRとする)」,「空腹感と満腹感を頼りにする(Reliance on Hunger and Satiety Cues: 以下,RHSCとする)」,「身体と食べ物の選択が一致する(Body-Food Choice Congruence: 以下,B-FCCとする)」の4因子22項目で構成された。UPEは,空腹時に自らすすんで食べようとすること,および特定の食べ物を禁止しないことを表し,「その時食べたいものを食べても良いことにしている」など計5項目で構成される。EPRは,情動的苦痛に対処するためではなく,身体的な空腹感のために食べることを表し,「食べること以外の方法で,ストレスや不安に対処する」など計8項目で構成される。RHSCは,空腹感や満腹感を頼りに食べることを表し,「いつ食べるかは,自分の身体が伝えてくれる感覚を頼りにしている」など計6項目で構成される。B-FCCは健康や身体機能を尊重するような食べ物を選ぶことを表し,「たいてい,エネルギーやスタミナになるものを食べている」など計3項目で構成される。全22項目について「1. 全くあてはまらない」から「5. とてもよくあてはまる」の5件法で回答を求めた。

結果

分析にはSPSS Statistics 26および統計分析ソフトHAD(清水,2016)を用いた。BMI,間食の頻度,居住人数,各尺度の記述統計および退屈とその他の尺度との相関係数はTable 3の通りであった。各得点の性差を検討するためt検定を行った。その結果,抑制方略(t=3.23, p<.01, d=0.23),EPR(t=2.95, p<.01, d=0.21)は女性よりも男性の方が有意に高い値を示した。また,間食の頻度(t=3.69, p<.001, d=0.26),情動的摂食(t=2.73, p<.01, d=0.20),RHSC(t=3.43, p<.01, d=0.25)は男性よりも女性の方が有意に高い値を示した。性差が有意になったことから,以降の分析では男女別に検討した。

Table 3

Means, standard deviations, correlations with boredom proneness

M (SD) Correlations
male female male female
Note . 1 = Boredom Proneness, 2 = BMI, 3 = Snacking, 4 = Number of Housemates, 5 = Positive Affect, 6 = Negative Affect, 7 = Reappraisal Strategy, 8 = Suppression Strategy, 9 = Emotional Eating, 10 = Intuitive Eating Scale-2 total scale, 11 = Unconditional Permission to Eat, 12 = Eating for Physical Rather Than Emotional Reasons, 13 = Reliance on Hunger and Satiety Cues, 14 = Body-Food Choice Congruence.
**p< .01, ***p < .001
1 26.89 (8.64) 26.68 (8.73)
2 22.16 (3.40) 20.83 (3.61) ‒.07 .07
3 1.00 (0.93) 1.23 (0.85) .21 *** .17 ***
4 2.59 (1.35) 2.78 (2.42) ‒.01 .00
5 31.42 (8.03) 29.36 (8.06) ‒.02 ‒.20 ***
6 28.80 (9.54) 26.86 (10.12) .57 *** .58 ***
7 24.20 (5.02) 24.34 (5.59) .00 ‒.12 **
8 16.03 (3.53) 15.19 (3.80) .12 ** .09
9 28.20 (11.45) 30.38 (10.93) .50 *** .39 ***
10 71.98 (9.45) 71.97 (8.77) ‒.12 ** ‒.21 ***
11 16.48 (3.18) 16.60 (3.28) .01 .04
12 27.94 (5.16) 26.79 (5.70) ‒.39 *** ‒.36 ***
13 18.42 (4.41) 19.47 (4.22) .16 *** .05
14 9.15 (2.04) 9.11 (2.07) .08 ‒.09

退屈が食行動に与える影響 退屈が食行動に与える影響を検討するため,男女別で階層的重回帰分析を行った。従属変数に情動的摂食,適応的調和食行動,独立変数は,Step 1に年齢,BMI,間食の頻度,居住人数,ポジティブ感情,ネガティブ感情,Step 2に退屈を投入した(Table 4)。情動的摂食を従属変数とした結果,男女ともに分散説明率の増分が有意であり,退屈の標準偏回帰係数が有意であった(順に,β=.33,p<.001,ΔR2=.07,p<.001; β=.23,p<.001,ΔR2=.03,p<.001)。IES-2 total scaleを従属変数とした結果,男女ともに分散説明率の増分が有意でなかった(β=.01―09,ns)。EPRを従属変数とした結果,男女ともに分散説明率の増分が有意であった(順に,β=‒.18,p<.01,ΔR2=.02,p<.01; β=‒.13,p<.05,ΔR2=.01,p<.05)。男性では,RHSC,B-FCCを従属変数とした場合に分散説明率の増分が有意であった(順に,β=.26,p<.001,ΔR2=.04,p<.01; β=.18,p<.01,ΔR2=.02,p<.01)。

Table 4

Results of hierarchical multiple regression analysis (standardised regression coefficient)

Emotional Eating IES-2 total scale IES-2 UPE IES-2 EPR IES-2 RHSC IES-2 B-FCC
Note. Values for male are presented the left of the diagonal. Values for female are presented the right of the diagonal. IES-2 = Intuitive Eating Scale-2, UPE = Unconditional Permission to Eat, EPR = Eating for Physical Rather Than Emotional Reasons, RHSC = Reliance on Hunger and Satiety Cues, B-FCC = Body-Food Choice Congruence.
*p< .05, **p< .01, ***p < .001
Step 1
Age ‒.19 *** / ‒.07 .09 / .00 .01 / ‒.04 .14 ** / .06 .00 / ‒.05 .03 / .02
BMI .15 ** / .06 ‒.10 * / ‒.08 .00 / .00 ‒.16 *** / ‒.12 ** ‒.05 / ‒.02 .04 / .03
Snacking .11 ** / .26 *** .01 / ‒.09 .05 / .05 ‒.09 * / ‒.19 *** .06 / .04 .03 / ‒.01
Number of Housemates ‒.05 / .01 .04 / .05 .04 / ‒.02 .05 / .05 ‒.01 / .06 ‒.01 / .02
Positive Affect .15 ** / .22 *** .12 * / .14 ** ‒.14 * / ‒.14 * ‒.01 * / .03 .20 *** / .18 ** .34 *** / .38 ***
Negative Affect .17 ** / .22 *** ‒.33 *** / ‒.29 *** ‒.16 * / ‒.18 ** ‒.28 *** / ‒.27 *** ‒.20 ** / ‒.04 ‒.14 * / ‒.13 *
R2 .30 *** / .32 *** .09 *** / .12 *** .05 ** / .05 ** .24 *** / .23 *** .04 * / .04 * .09 *** / .13 ***
Step 2
Boredom Proneness .33 *** / .23 *** .09 / .01 .09 / .09 ‒.18 ** / ‒.13 * .26 *** / .09 .18 ** / .07
R2 .37 *** / .35 *** .10 *** / .12 *** .05 ** / .06 ** .26 *** / .24 *** .08 *** / .04 * .11 *** / .13 ***
AdjR2 .36 *** / .33 *** .08 *** / .10 *** .04 ** / .04 ** .24 *** / .22 *** .06 *** / .02 * .09 *** / .12 ***
ΔR2 .07 *** / .03 *** .01 / .00 .01 / .01 .02 ** / .01 * .04 ** / .00 .02 ** / .00

退屈と食行動の関連における感情制御の方略の調整効果 退屈と感情制御の方略が食行動に与える影響を検討するため,男女別で階層的重回帰分析を行った。従属変数に情動的摂食,適応的調和食行動,独立変数には,Step 1に年齢,BMI,間食の頻度,居住人数,ポジティブ感情,ネガティブ感情,Step 2に退屈,再評価方略,抑制方略,Step 3に退屈と再評価方略,退屈と抑制方略の交互作用項を投入した。なお,Step 1についてはTable 4と同様の結果であった。情動的摂食を従属変数とした結果,男女ともにStep 2の分散説明率の増分が有意であり(AdjR2=.34―.36,p<.001,ΔR2=.03―.07,p<.001),男性は退屈,抑制方略の主効果が,女性は退屈の主効果が有意であった(p<.001―.05)。Step 3では男女ともに分散説明率の増分が有意でなかった(ΔR2=.01,ns)。適応的調和食行動に関して,IES-2 total scaleを従属変数とした結果,男女ともにStep 2の分散説明率の増分が有意であり(AdjR2=.13―.24,p<.001,ΔR2=.03―.17,p<.001―.01),男性は再評価方略と抑制方略の主効果が,女性は再評価方略の主効果が有意であった(p<.001)。Step 3では男女ともに分散説明率の増分が有意でなかった(ΔR2=.00―.01,ns)。UPEを従属変数とした結果,女性のみStep 2の分散説明率の増分が有意であり(AdjR2=.05,p<.001,ΔR2=.02,p<.05),Step 3では男性のみ分散説明率の増分が有意であった(AdjR2=.06,p<.001,ΔR2=.02,p<.05)。男性では退屈と再評価方略の交互作用が有意であったため,単純傾斜検定を行った(Figure 1)。その結果,再評価方略が低い場合(‒1SD)に退屈とUPEの正の関連が有意であった(b=.07,β=.20,95%Cl=[.01, .13],p<.05)。EPRを従属変数とした結果,男性のみStep 2の分散説明率の増分が有意であり(AdjR2=.30,p<.001,ΔR2=.08,p<.001),退屈,再評価方略,抑制方略の主効果が有意であった(p<.001―.05)。Step 3では女性のみ分散説明率の増分が有意であり(AdjR2=.23,p<.001,ΔR2=.02,p<.01),退屈と抑制方略の交互作用が有意であったため単純傾斜分析を行った(Figure 2)。その結果,抑制方略が低い場合(‒1SD)に退屈とEPRの負の関連が有意であった(b=‒.19,β=‒.29,95%Cl=[‒.29, ‒.09],p<.001)。RHSCを従属変数とした結果,男女ともにStep 2の分散説明率の増分が有意であり(AdjR2=.12―.19,p<.001,ΔR2=.11―.18,p<.001),男性は退屈,再評価方略,抑制方略の主効果が,女性は再評価方略の主効果が有意であった(p<.001―.05)。Step 3では男女ともに分散説明率の増分が有意でなかった(ΔR2=.00,ns)。B-FCCを従属変数とした結果,男女ともにStep 2の分散説明率の増分が有意であり(AdjR2=.17―.19,p<.001,ΔR2=.06―.12,p<.001),いずれも再評価方略の主効果が有意であった(p<.001)。Step 3では男女ともに分散説明率の増分が有意でなかった(ΔR2 =.01,ns)。

Figure 1

Interaction effect of boredom proeness and reappraisal strategy to IES-2 UPE subscale in male

Figure 2

Interaction of boredom proneness and suppression strategies on the IES-2 EPR subscale in female

考察

各得点の性差の結果より,先行研究(Ahlich & Rancourt, 2022; 高山他,2012; 吉津他,2013)で指摘されていたことからも,男女別検討の必要性が確認された。

退屈が食行動に与える影響 階層的重回帰分析の結果から,退屈は,情動的摂食,EPRに対して他の要因を超える影響力をもつことが示された。Ahlich & Rancourt(2022)と同様,本邦でも情動的摂食が生じる背景に退屈の特性的要因が関わることが示唆され,本研究の仮説は支持された。IES-2 total scaleに対しては,退屈は有意な影響力をもたないことが示唆された。相関分析において,退屈とIES-2 total scaleの間に有意な負の相関,退屈とネガティブ感情の間に有意な正の相関が示されたことから,退屈とIES-2 total scaleの間に疑似相関が生じた可能性がある。EPRについては,退屈しやすいほど,情動的理由からではなく身体のために食べる傾向が低い可能性が示唆された。男性では,退屈によるRHSCとB-FCCへの正の影響が示され,退屈しやすいほど身体的な感覚を頼りにした食行動が生じることが明らかになった。Ahlich & Rancourt(2022)では,退屈とRHSCの間に有意な負の関連が示されており,本研究の結果は先行研究と一致するものではなかった。この不一致は,RHSCとB-FCCが体の感覚に基づいた食行動を特徴とすることから説明される。脳が身体の内的状態を感知し統合するメカニズムを内受容感覚といい,性別や文化的背景によって感情と内受容感覚の結びつきが異なることが確認されている(Freedman et al., 2021; Shoji et al., 2018)。内受容感覚の文化差について,Shoji et al.(2018)は,西洋文化圏と比較して東アジア人は,感情に結び付けて体の感覚を評価する傾向があるためであると指摘している。その他,日本人男性における適応的調和食行動は,西洋文化圏の男性の結果と異なる傾向を示すことが示唆されている(生田目・沢宮,2019)。具体的には,アメリカの大学生を対象とした先行研究では,ネガティブ感情と人生への満足において,男女ともに適応的調和食行動が摂食障害傾向を超える影響をもつ傾向が示唆された(Tylka & Kroon Van Diest, 2013)。一方で,日本の大学生では,適応的調和食行動が摂食障害傾向を超える影響をもつ傾向は,女性においてのみ確認された(生田目・沢宮,2019)。このように,日本人男性において適応的調和食行動が特異な特徴を示す一因として,日本では男性は女性に比べて食行動への意識が低い(上原他,2015)ことが指摘されている。一方で,肥満を意識している者の減量実行率は男性に多いとの報告(矢倉他,1993)やBMIが平均以下である男子大学生のうち約40%が痩身願望を持っている(高橋他,2004)という報告もあるため,今後も女性だけでなく男性も対象として食行動に関する研究を蓄積していく必要がある。

退屈と食行動の関連における感情制御の方略の調整効果 再評価方略,抑制方略は退屈による情動的摂食への影響を調整しないことが示された。仮説とは異なり本邦独自の結果が得られたことから,感情制御の方略については欧米との文化差を加味する必要性が示唆された。例えば,欧米との文化差が確認されているものにマインドフルネスがある(Sugiura et al., 2012)。Chambers et al.(2009)はマインドフルネスを,感情をどう知覚するかを変化させる感情制御の方略に位置付けており,実際に,マインドフルネスを基にした介入や食事(mindful eating)が,情動的摂食の低減につながることが明らかにされている(Morillo-Sarto et al., 2023)。今後は,文化的特徴を踏まえ,感情制御による食行動への介入可能性についてより詳細に検討されることが望まれる。

適応的調和食行動の一部の下位尺度では,退屈との間で感情制御の方略が調整要因となることが示されたが,仮説を支持する結果は得られなかった。まず,男性のうち,再評価方略の使用傾向が低い人は退屈しやすいほど特定の食べ物を禁止せずに食べる傾向が高まることが示された。一方で,再評価方略の使用傾向が高いと,退屈による食行動への影響はみられなかった。再評価方略は不適応的側面を内包することが指摘されており(榊原,2014),例えば,自身に生じた感情経験を受け入れようとしないという感情抵抗がある。つまり,退屈によって食べたいものを食べるという行動が促されるものの,再評価方略によって無条件に食べることが抑制される可能性がある。また,女性のうち,抑制方略の使用傾向が高い人は,退屈しやすかったとしても,食べること以外のやり方でストレスや不安に対処する傾向を維持できることが示された。Gross & John(2003)や吉津他(2013)は,アジア文化圏では抑制方略の使用が一般的であり,必ずしも不適応的な結果をもたらすものではないことを報告している。本研究の結果は,先行研究の知見と矛盾のないものであり,抑制方略が退屈による適応的な食行動への影響を抑え,行動を維持する効果をもつことを示している。なお,退屈から適応的調和食行動への影響には肯定的なものも否定的なものも示されたことから,両者の関係については,今後さらなる検討を行う必要がある。

総合考察

本研究の目的は,短縮版退屈尺度の日本語版を作成し,その信頼性と妥当性を検討すること,退屈が食行動に与える影響を検討することであった。研究1では,短縮版退屈尺度の日本語版が原版と同様に1因子8項目で構成され,十分な内的整合性,再検査信頼性,構成概念妥当性を有することが示された。研究2では,退屈しやすいほど情動的摂食を行う傾向が高いことが明らかになり,先行研究を支持する結果が得られた(Koball et al., 2012; Walfish & Brown, 2009)。退屈と適応的調和食行動の一部の側面との関係について,男性では再評価方略が,女性では抑制方略が調整効果をもつことが示された。

本研究の意義として,研究1で信頼性と妥当性を備える短縮版退屈尺度の日本語版が開発されたことにより,本邦における退屈研究の今後の発展に寄与し得ることが挙げられる。研究2では,情動的摂食の背景に退屈が存在することが実証されたが,短縮版退屈尺度の日本語版を用いて退屈しやすさを測定することで,情動的摂食に対するリスク評価が可能となり摂食障害の一次予防に貢献できる。さらに,性別や退屈の特性的要因に合わせて感情制御の方略を適用することで,適応的調和食行動を促進できることが示唆された。これら退屈と食行動の関連が明らかになったことにより,食行動への介入に対する新たな知見を提供することができたといえる。

本研究の課題として,退屈と食行動の関係について,1時点での調査を実施したため因果関係の推定を行うことができないことが挙げられる。また,退屈と食行動に関わる重要な要因として感情制御の方略との相互的な影響を予想したものの,情動的摂食ではそのような影響は示されなかった。情動的摂食が生じる上では,退屈が重要な危険因子となることから,退屈の影響を調整する保護要因を検討するために,再評価方略や抑制方略に代わる他の要因を明らかにすることが課題である。適応的調和食行動や感情制御の方略に関して,日本独自の文化的要因が影響することが示唆されたため,文化差を考慮した上で更なる検証を重ねていく必要がある。今後の展望として,短縮版退屈尺度の日本語版を用いて,退屈を背景とした問題行動や精神症状の詳細な検討,退屈を乗り越えるための適応的な代替行動の提案が期待される。

利益相反

本論文に関して,開示すべき利益相反関連事項はない。

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