The Japanese Journal of Psychology
Online ISSN : 1884-1082
Print ISSN : 0021-5236
ISSN-L : 0021-5236
Reliability and validity of the Japanese version of Moore's Moral Disengagement Scale (J-MDS)
Yoshiya FurukawaKen'ichiro NakashimaRyota Tsukawaki
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Article ID: 96.24207

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Translated Abstract

Moral disengagement is a cognitive distortion that makes it easy to behave immorally and explains how people who internalize moral standards violate them while avoiding conflict and guilt. This study aimed to develop a Japanese version of the Moral Disengagement Scale (J-MDS) to measure individuals' tendency toward moral disengagement and examine its reliability and validity. In Study 1, exploratory and confirmatory factor analyses confirmed the validity of the single-factor structure of the 8-item moral disengagement scale. Additionally, the J-MDS negatively correlated with moral identity internalization and proneness to guilts. Study 2 showed that the J-MDS significantly predicted immoral behavior. Study 3 confirmed the incremental validity of the J-MDS. Study 4 confirmed the test-retest reliability of the J-MDS. Study 5 showed that the J-MDS negatively correlated with internal attribution and positively correlated with external attribution. These results indicate that the J-MDS has a certain degree of reliability and validity.

人は正しいこと,道徳的なものを好み,間違ったこと,不道徳なものを嫌う傾向がある。道徳的であることは,他の欲求(自律性や自尊心など)と同様に,人の基本的な欲求の一つであり,道徳的であるかの充足は心理的ウェルビーイングの高さを予測する(Prentice et al., 2019)。その一方で,Hofmann et al.(2014)による経験サンプリング研究からは,道徳的な出来事と不道徳な出来事が同程度に日常場面で生じていることが示唆される。人は道徳的でありたいと望み,それに即した行動をする一方で,容易に不道徳行動を行ってしまう性質を併せ持っている。

不道徳行動は個人の目標からの乖離のみならず,大きな社会的損失をもたらしている。Association of Certified Fraud Examiners(2024)の「2024年度版職業上の不正に関する国民への報告書」によると,138の国と地域で発生した1,921件の不正(資産の不正流用,汚職,財務諸表の改ざんなど)での損失金額の総額は31億ドル超にのぼると報告されている。同報告書では,標準的な組織は毎年収益の5%を不正行為で失っていると推定し,これを2022年度の推定世界総生産にあてはめると,およそ5兆ドルの損失に相当すると指摘している。加えて,ハラスメントやいじめ,遅刻やずる休み,法律や法令への違反,不正の隠蔽などの非生産的職務行動(Bennett & Robinson, 2000)もまた,組織や集団成員の利益に反し,社会的損失をもたらす不道徳行動と言える。こうした不道徳行動を引き起こす要因について明らかにし,不道徳行動の抑制につなげることは社会的損失を減らしていく上で重要な取り組みとなるだろう。

上記で述べたように,多くの人は自分が道徳的であることを望ましいと考える傾向がある(Prentice et al., 2019)。それにもかかわらず,多くの場面で人は不道徳行動を行う。つまり,何が道徳的に適切であるかを理解しつつも,それに反した行動を人は取ってしまっているのである。なぜ,自身の道徳基準と照らし合わせても望ましいものではないと分かっていながらも,不道徳行動を行ってしまうのだろうか。このギャップを説明する心理的構成概念の一つとしてBandura(1999, 2002)の提唱した道徳不活性化(Moral Disengagement)がある1

Bandura(1999, 2002)によれば,道徳不活性化とは,人が自身の内的な道徳基準に違反しているにもかかわらず不快に感じないようにする認知の歪みである。道徳不活性化は,自分自身の認知を歪ませることで,道徳基準に従って自己を制御するメカニズムを無効化する。これにより,自己の肯定的イメージを損なうことなく,道徳基準に反する行動を容易にさせる。本研究では,Moore et al.(2012)の開発した成人期を対象とする道徳不活性化尺度の日本語版(J-MDS)の作成を行う。

道徳不活性化の理論的背景

まず,道徳不活性化はBandura自身が提唱した社会的認知理論(Social Cognitive Theory)が前身となっている(明田,1992; Bandura, 1986, 1999)。社会的認知理論では攻撃行動や逸脱行為などの不道徳行動に対して,その制御において他者からの社会的制裁(他者からの非難や不利な結果)と自己制裁(内面化された社会的制裁)が作用すると想定している。自己制裁は不道徳行動の実行や道徳行動の不実行で発生する(あるいは発生が予測される)自己に対する認知や感情(罪悪感など)として作用する。この自己調整過程では自分の行動をモニタリングし,その行動を道徳基準などに照らして判断し,行為の判断に伴う肯定的,あるいは否定的評価による認知的,感情的,行動的反応が生じるとされる。社会的制裁は他者の目に触れない,目に触れることが予期されない限り機能しない。しかし,自分の行為は常に自分自身がモニターしている。そのため,社会的制裁の可能性がなくても,自己制裁の存在により自己制御は機能することになる。したがって,社会的認知理論では,(不)道徳行動を制御する主要な役割を担っているのは,自己制裁の回避を誘因とする自己調整過程であると想定されている。

しかし,自己調整過程が獲得されたとしても,内在化している道徳基準に合致する形で行動が一貫して制御されるわけではない。モニタリングされた行為の判断に基づく認知,感情的反応が活性化しない限り,(不)道徳行動の自己制御は実際には機能しない。自己調整過程に関わるいくつかの段階で行動を制御するための働きに不活性化が生じる。このメカニズムが道徳不活性化である。

道徳不活性化理論では自己調整過程を含む社会的認知プロセスにおいて,そのプロセスを阻害する認知の歪みとして「道徳不活性化メカニズム」を想定している(Bandura, 1999, 2002; Moore et al., 2012; 吉澤他,2015)。この理論では,道徳基準を内在化していながら人が葛藤や罪悪感を回避しつつ,どのようにその道徳基準に反する行動(不道徳行動)を実行しているのかを説明する。社会的認知理論に基づくと,自己調整過程において,罰などの社会的制裁がなくても,人々が能動的に道徳基準に照らし合わせて行動の自己制御を行うのは,道徳基準に沿って行動することで自己満足や自尊心の向上を感じるためである。逆に,道徳基準に反する行動を避けるのは,自己非難や罪悪感といった自己制裁が引き起こされるのを避けるためである。しかしながら,この自己調整過程は常に機能しているのではなく,道徳不活性化のメカニズムによって自身の行動が道徳基準に反していないかのように認知を歪めて,自己制裁を回避する。この不活性化メカニズムにより,自分自身の道徳基準を変更することなく,道徳基準からの逸脱を許容してしまう。

道徳不活性化は,8つの異なる認知の歪みによって特徴づけられる(Bandura, 1999, 2002; Moore et al., 2012)。これらの不活性化メカニズムには,道徳的正当化,婉曲的ラベリング,都合の良い比較,責任の転嫁,責任の拡散,結果の無視・歪曲,非人間化,非難の帰属がある。これらは,主体の行為と不道徳性との関連に対する認知の歪みであり,自己調整過程における4つのポイントで作用して自身の行為が道徳基準に反しているという認識を抑制する(Bandura, 1999, 2002; 吉澤他,2015)。

1つ目は行為自体が不道徳であるかの判断の段階での不活性化メカニズムである。この段階では,道徳的正当化,婉曲的ラベリング,都合の良い比較が作用し,行動に再解釈を与え,道徳基準に照らし合わせる認知を不活性化させる。道徳的正当化(moral justification)は,(非難すべき)行為を道徳的な目的に合致したものと解釈し受容可能なものと見なす方略である。婉曲的ラベリング(euphemistic labeling)は,行為の言い回しを変えることで,あたかもその行為の深刻さを低減させる方略である。都合の良い比較(advantageous comparison)は,より悪い比較対象と自身の行為を比較することで,自身の行為の不道徳性を相対的に弱めて解釈する方略である。

2つ目は行為とそれに伴う結果との因果関係に対する認識の段階での不活性化メカニズムである。この段階では,責任の転嫁,責任の拡散が作用し,不道徳行動の原因の主体を不明瞭にして認知を歪めて不活性化させる。責任の転嫁(displacement of responsibility)は,自身の行為の責任が自分以外にあると考えることで,自己非難を避ける方略である。責任の拡散(diffusion of responsibility)は,不道徳な行為の責任を自分以外にも分散させて考え,自身の個人的な責任の程度を弱める方略である。

3つ目は行為の結果に対する認識の段階での不活性化メカニズムである。この段階では,結果の無視・歪曲が作用し,行為の結果への認識を歪める。結果の無視・歪曲(distortion of consequences)は,引き起こした結果に直面することを避けたり,矮小化したりして考えることで行為の不道徳性を歪ませて認識する方略である。

4つ目は行為から被害を受ける対象に対する認識の段階での不活性化メカニズムである。被害対象を道徳的な考慮の適用から外したり,不道徳行動の責任を被害対象に帰属したりして正当化することで行為の結果への認知を歪めて不活性化させる。非人間化(dehumanization)は,行為の被害を受ける対象を感情や心を持った存在として見なさないことで,行為が不道徳であるという認識を弱める方略である。非難の帰属(attribution of blame)は,行為の被害を受ける対象にも落ち度があるとし,非難や責めを相手の側に帰属して転化させる方略である。

道徳不活性化理論では道徳基準に基づいた自己調整過程におけるいくつかの段階において上記の8つの不活性化メカニズムが生じ,それぞれが個別の役割を持ちながらも全体として一つの「道徳不活性化」という心理的構成概念として扱われる(Bandura et al., 1996; Johnson & Buckley, 2015; Moore et al., 2012)。

多くの先行研究において,道徳不活性化は道徳基準による自己制御が不活性化しやすい個人傾向として扱われてきた。道徳不活性化の個人傾向は,攻撃行動やいじめ(Bandura et al., 1996; Li et al., 2014; Thornberg et al., 2021; Zych et al., 2020),スポーツでの不正(Hodge & Lonsdale, 2011),全般的な不道徳行動(Detert et al., 2008; Moore et al., 2012)と関連している。また,ビジネス場面においても,ネガティブな影響を及ぼしていることを示す先行研究が多くあり,道徳不活性化は,職場での不法行為(Ogunfowora et al., 2022),非生産的職務行動(Moore et al., 2012),職場での目標の妨害(Lee et al., 2016)などと関連することが示されている。特に,Ogunfowora et al.(2022)のメタ分析研究からは,道徳不活性化が職場における不道徳行動を強く予測することが示されている。さらに,この研究ではダークトライアド傾向(Egan et al., 2015)などの不道徳な個人傾向を統制した上での,道徳不活性化が不道徳行動を規定する独自の説明力を確認している。このように道徳不活性化は個人的,組織的な不道徳行動と関連し,不道徳行動を説明する指標として一定の有効性が示されている。

上記のような,不道徳行動に対する説明力に加えて,道徳不活性化に着目する利点として,認知の歪みであることから介入によって変動しうる可能性がある点が挙げられる。道徳不活性化を低下させる介入研究は,学校現場での取り組みが主流である。例えば,Bustamante & Chaux(2014)は,中学生へのクリティカルシンキングの介入が道徳不活性化の程度を弱めることを明らかにしている。この取り組みは,道徳不活性化を低下させる信頼性のある教育上の手段を示唆している。したがって,道徳不活性化は不道徳行動の予測要因となるだけでなく,不道徳行動を抑制していくための介入対象として扱うことが出来る点で有用な構成概念であると考えられる。

道徳不活性化を測定する尺度はいくつか開発されているが,Moore et al.(2012)の成人期を対象とする道徳不活性化尺度は多くの研究で使用されており,十分な妥当性と信頼性が確認されている(Johnson & Buckley, 2015; Ogunfowora et al., 2022)。Moore et al.(2012)では,道徳不活性化が不道徳行動(Detert et al., 2008)や非生産的職務行動(Bennett & Robinson, 2000)を予測することを示している。尺度の妥当性については,道徳アイデンティティや共感性,罪悪感傾向との関連を検証している。道徳アイデンティティ(Aquino & Reed, 2002)は,個人の自己概念において道徳的であることを重要とする程度として表される。したがって,道徳不活性化とは負の関連が想定され,実際に有意な負の相関を確認している。他者を思いやったり,その立場を理解しようとする傾向である共感性の高い人は,他者の感情や立場を無視したり,歪曲したりする道徳不活性化は生じにくいと予測され,道徳不活性化と情動的共感,認知的共感の特性尺度との間に負の相関があることを示している。罪悪感の感じやすさである罪悪感傾向についても道徳不活性化との負の相関があることを確認している。加えて,道徳についての哲学(道徳観;Forsyth, 1980)と道徳不活性化との関連も検討しており,道徳基準を文脈に関係なく順守すべきものとする理想的道徳観(idealism)は道徳不活性化と相容れないため負の相関関係を,道徳基準が適切かは文脈に依存すると捉える相対的道徳観(relativism)は道徳不活性化と相性が良いため正の相関関係を予測し,それに即した結果を示している。

本研究の目的

本研究ではMoore et al.(2012)の開発した道徳不活性化尺度の日本語版(J-MDS)を作成し,その妥当性の検証を目的とする。基本的にはMoore et al.(2012)を踏まえての尺度の妥当性検証を行う。具体的には,道徳不活性化が不道徳行動を予測し得るか,道徳不活性化と道徳アイデンティティの内在化,罪悪感傾向,情動的共感,認知的共感,理想的道徳観との間に負の相関,相対的道徳観との間に正の相関が示されるかを確認する。

上記に加えて,いくつかの点で更なる尺度の妥当性の証拠を検証していく。1つ目として,不道徳行動を予測する主要な個人傾向(ダークトライアド傾向,セルフコントロール,攻撃性)を統制しても,道徳不活性化が不道徳行動に対する十分な説明力を持つことを確認し,増分的妥当性を示す。先行研究から,ダークトライアド傾向(Egan et al., 2015),セルフコントロール(Li et al., 2014),攻撃性(Bandura et al., 1996)による不道徳行動の予測モデルに対して,道徳不活性化を加えることで説明力の増加が認められると予測される(Egan et al., 2015; Ogunfowora et al., 2022)。2つ目として,J-MDSがある程度経時的な安定性を持つ個人傾向としての道徳不活性化を測定しうるかを確認するために再検査信頼性の検討を行う。3つ目として,道徳不活性化と帰属傾向との関連を検討する。行動の統制を内的に帰属しやすい人は,自分の行動とその結果との間に明確な関連性を見出し,その責任や原因を他者などの外側には求めず,不道徳行動の責任を転嫁や拡散する方略を含む道徳不活性化の傾向は低くなると考えられる。一方で,行動の統制を運命や運の結果などの外的な要素に帰属しやすい人は,責任を拡散させたり,被害者側に問題があったと考え,道徳不活性化の傾向も強くなると考えられる。本研究では内的帰属傾向,外的帰属傾向を反映する指標に自由意志信念尺度(後藤他,2015)を用いる。自由意志信念の因子のうち,自由意志信念は内的帰属と,決定論信念は外的帰属と関連する(Genschow & Lange, 2022)。

上記の点を検討するために,本研究では5つの研究を実施する。各研究における目的,結果の予測については,それぞれの研究において説明する。なお,Moore et al.(2012)の道徳不活性化尺度は24項目構成となっているが, Moore et al.(2012)は内的整合性の高さを保ちつつ,8つの不活性化メカニズムからそれぞれの代表的な1項目を選抜し,この8項目で尺度の妥当性検証を行っている。これは,全ての項目での24項目版,2項目ずつを選抜した16項目版,上記の8項目版について,確認的因子分析を行い,8項目版が最も良好な適合度指標を得られた結果に基づいている。そのため,Moore et al.(2012)は倹約性の高さから,道徳不活性化尺度を使用する際にはこの8項目を用いることを推奨しており,多くの研究でも採用されている(Lee et al., 2016)。したがって,本研究も道徳不活性化尺度の24項目を全て測定するが,妥当性検証では尺度の実用性や利便性を考慮し,Moore et al.(2012)に基づいた8項目での結果の報告を行う2

倫理的配慮

本研究は,広島大学大学院教育学研究科倫理審査委員会(現:広島大学大学院人間社会科学研究科倫理審査委員会)の承認を得て行われた。調査を行う前には,回答は統計的に処理され,個人が特定されないように配慮されること,得られた回答は研究以外の目的では使用されないことをweb画面上,あるいは紙面と口頭で伝えた。また,学生に調査協力を依頼する際には上記の内容に加えて,回答は授業の成績と一切関係がないこと,調査協力は任意であり,協力の有無によって不利益は生じないことを伝え,承諾した場合にのみ回答を求めた。

研究1

目的と結果の予測

研究1では因子的妥当性を検証するために,Moore et al.(2012)の道徳不活性化尺度を邦訳し,道徳不活性化尺度が1因子構造であることの妥当性を検証する。それに加えて,道徳アイデンティティの内在化の側面(Aquino & Reed, 2002)および罪悪感傾向(Cohen et al., 2014)と道徳不活性化との関連について検証する。仮説として,道徳不活性化は道徳アイデンティティの内在化,罪悪感傾向のいずれとも負の相関が予測される(予測1)。

調査対象者と手続き

研究1Aは調査会社(株式会社マクロミル)に登録している18―45歳の就労者モニターを,研究1Bは中国・四国地方に在住する大学生を対象とした。研究1Bでは大学の講義前,または講義後に調査を実施した。同一尺度内の各項目に同じ選択肢で回答し,それが全ての尺度で行われていた場合には不誠実回答とみなし除外した。この除外基準は以降の研究でも適用した。有効回答者は研究1Aが410名(男性204名,女性206名,Mage=32.34,SD=7.22,有効回答率:97.6%),研究1Bが241名(男性134名,女性106名,未回答1名,Mage=19.32,SD=1.11,有効回答率:99.2%)であり,分析対象とした3

測定尺度

道徳不活性化尺度 尺度の元論文(Moore et al., 2012)の著者に翻訳使用の承諾を得た上で,第1著者が項目の邦訳を行った。項目内容について原版を直訳するのではなく,原版の訳語の範囲内で日本語としての表現を考慮しながら順翻訳を行った。順翻訳をした項目は英文翻訳サービス会社に依頼し逆翻訳を行った。逆翻訳後の項目内容を原版と比較し適宜修正を行い,原版との等価性を確認して,最終的な項目の邦訳を決定した(全項目の内容はJ-STAGE電子付録のSupplemental 1を参照)。

道徳不活性化尺度にはBanduraの提唱している8つの道徳不活性化メカニズムが含まれ,それぞれ3項目ずつの計24項目で構成された。尺度の教示は「以下のそれぞれの項目は,あなたの考え方にどの程度あっているでしょうか。『1: 全くそう思わない』から『7: 強くそう思う』までのうち,最もあてはまる選択肢に〇印をつけて回答をしてください」とし,各項目に対して7件法(「1: 全くそう思わない,2: ほとんどそう思わない,3: あまりそう思わない,4: どちらともいえない,5: 少しそう思う,6: まあまあそう思う,7: 強くそう思う」)で回答を求めた。得点が高いほど,道徳不活性化の程度が強いことを意味している。

道徳アイデンティティ Aquino & Reed(2002)により開発された道徳アイデンティティ尺度の邦訳版(河村他,2017)を用いた。教示において9つの道徳関連特性(優しい,正直,誠実など)を提示し,参加者にはこれらの特徴を持つ人物を思い浮かべて項目に回答するよう求めた。それぞれの項目(「これらの特徴を持つことを,私は強く望んでいる」)に対して「1: 全くあてはまらない」から「7: とてもあてはまる」までの7件法で回答を求めた。道徳アイデンティティ尺度は内在化(internalization)と象徴化(symbolization)の2つの側面を測定する10項目で構成されるが,本研究では内在化を測定する5項目を用いた(研究1A: α=.73,研究1B: α=.66)。

罪悪感傾向 罪悪感傾向の測定にはCohen et al.(2014)の罪悪感傾向尺度を用いた。この尺度では参加者に不道徳行動(例:八つ当たりで備品を壊す)を行う5つの場面を提示し,それらの場面で罪悪感に関連したネガティブ感情(例:悪いと感じる)を感じると思う可能性の程度を尋ねた。それぞれの場面に「1: 絶対そうならないだろう」から「5: 絶対そうなるだろう」の5件法で回答を求めた(研究1A: α=.88,研究1B: α=.78)4

結果

分析方法 確認的因子分析と多母集団同時分析はR(ver. 4.1.3)のlavaanパッケージ(Rosseel, 2012)で,その他の分析はPython(ver. 3.9.5)で行った。欠損値を含むケースについては分析ごとにベアワイズ法で対応した。以降の研究においても同様の対応を適用した。

因子構造と内的整合性の確認 道徳不活性化尺度の24項目から,Moore et al.(2012)が推奨する8項目を対象に分析を行った。この8項目に対し,最尤法・プロマックス回転での探索的因子分析を行った。固有値の減衰状況(研究1A: 3.957,0.810,0.702…;研究1B: 3.387,0.993,0.808…)から,ガットマン基準に基づき1因子構造が妥当であると判断した。研究1A,1Bともにいずれの項目も.40以上の高い因子負荷量が認められた(Table 1)。

Table 1

探索的因子分析の結果

項目 研究1A 研究1B
M SD f M SD f
注)項目内容は一連の研究を通して表現を洗練している。最終的な項目はJ-STAGE電子付録を参照されたい。M=平均値,SD=標準偏差,f=因子負荷量。
1. 自分の大切な人たちを守るために風評を広めることは問題ない(道徳的正当化) 3.32 1.34 .65 3.55 1.62 .51
2. 「単に借りるだけ」であるならば,持ち主の許可なくその人の所有物を持っていっても大丈夫だ(婉曲的ラベリング) 2.32 1.36 .68 2.07 1.29 .65
3. 他の人たちが大げさに自分自身を誇張するやり方を考えれば,自分の経歴を少し盛ることくらいは大して悪いことではない(都合の良い比較) 3.08 1.38 .71 2.88 1.57 .76
4. 単に権威者からの指示によって実行しただけならば,その問題のある行動に対して,説明責任を負う必要はない(責任の転嫁) 3.09 1.35 .66 2.80 1.44 .75
5. その人の友人も皆同じことをしていたのならば,厳密にはそれが悪いことであっても,その行為をしたことでその人を非難することはできない(責任の拡散) 3.22 1.42 .74 3.26 1.53 .47
6. 他人のアイデアを自分の手柄にしても,それは大して問題ではない(結果の無視・歪曲) 2.59 1.38 .71 2.54 1.52 .58
7. 傷つく気持ちが欠落しているので,その人たちは粗末に扱われるべきである(非人間化) 3.17 1.46 .53 2.90 1.51 .46
8. ひどい扱いを受けているような人たちは,たいていそのような扱いを受けるに相応しいことを行っている(非難の帰属) 3.40 1.38 .48 3.59 1.67 .43

続いて,適合度指標を確認するために1因子構造での確認的因子分析を行った。その結果,研究1Aは十分な適合度が得られた(χ2 (20) =59.99, p<.001, GFI=.964, CFI=.963, RMSEA=.070, SRMR=.034)。研究1Bは,やや適合度指標が望ましい水準を満たせていないものの,許容可能な水準であると考えられる(χ2 (20) =61.40, p<.001, GFI=.939, CFI=.913, RMSEA=.093, SRMR=.056)5, 6。そのため,以降は8項目1因子構造として,これらの項目の平均値を道徳不活性化の得点として用いる。

この8項目について尺度の内的整合性の確認のために,クロンバックのα係数とマクドナルドのω係数を算出した。それぞれ研究1Aがα=.85,ω=.85,研究1Bがα=.80,ω=.80であり,一定の内的整合性が確認された。

年代別の等質性の確認 次に,上記で確認された道徳不活性化尺度の因子構造について各年代間の等質性の検証を行うために,研究1Aのデータで多母集団同時分析を行った7。研究1Aは18歳から45歳までを対象としていたため,20代(18―29歳:N=164),30代(30―39歳:N=162),40代(40―45歳:N=84)に分割した。まず,全てのパラメータが年代間で異なるとする配置不変モデルの適合度を算出し,概ね良好な適合度が確認された(χ2 (60) =112.68, p<.001, CFI=.953, RMSEA=.080, AIC=10386.0)。続いて,各年代で因子負荷量を等値とする弱測定不変モデルの適合度を算出し,同様に良好な適合度が確認された(χ2 (74) =120.93, p<.001, CFI=.958, RMSEA=.068, AIC=10366.2)。配置不変モデルと弱測定不変モデルでのモデル間の乖離は非有意であった(Δχ2 (14) =8.25, p=.876)。さらに,各年代で因子負荷量と切片を等値とする強測定不変モデルの適合度を確認した(χ2 (88) =155.15, p<.001, CFI=.940, RMSEA=.075, AIC=10420.4)。しかし,弱測定不変モデルと強測定不変モデルでは有意な乖離が認められた(Δχ2 (14) =34.21, p=.002)。加えて,情報量規準(AIC)も上記3つのモデルの中で弱測定不変モデルが最も低い値であった。

男女差の検討 先行研究で,道徳不活性化には性差があることが一貫して示されている(Bandura et al., 1996)。道徳不活性化の性差を検討するために,尺度得点についてt検定を行った。その結果,女性よりも男性の方が有意に道徳不活性化の得点が高かった(研究1A: 男性(M=3.32, SD=0.92),女性(M=2.73, SD=0.93),t (408) =6.43, p<.001, d=0.64, 95%CI[0.41, 0.77]; 研究1B: 男性(M=3.07, SD=1.01),女性(M=2.79, SD=0.93),t (236) =2.19, p=.030, d=0.29, 95%CI[0.03, 0.53])。

他変数との関連の検討 最後に,道徳不活性化と道徳アイデンティティの内在化,罪悪感傾向との相関分析を行った。道徳不活性化と罪悪感傾向は有意な負の相関が認められた(研究1A: r=‒.31, p<.001, 95%CI[‒.39, ‒.22]; 研究1B: r=‒.18, p=.012, 95%CI[‒.32, ‒.04])。一方,道徳不活性化と道徳アイデンティティは,研究1Aでは有意な負の相関が認められたものの(r=‒.15, p=.002, 95%CI[‒.24, ‒.05]),研究1Bでは有意な相関は認められなかった(r=‒.08, p=.211, 95%CI[‒.21, .05])。

研究2

目的と結果の予測

研究2では道徳不活性化が不道徳行動を予測するかの基準関連妥当性の検討を行う。そのために,職場における不道徳行動(Piff et al., 2012),非生産的職務行動(Bennett & Robinson, 2000),不道徳行動シナリオ(Detert et al., 2008)を測定し,道徳不活性化との関連を検討する。仮説として,道徳不活性化はいずれの不道徳行動の指標についても正の関連を示すと予測される(予測2)。

調査対象者と手続き

研究2Aは研究1Aと同一対象者のデータを上記の目的の検証に使用した。研究2Bは研究1Bと同一対象者の一部97名(男性54名,女性43名,Mage=19.34,SD=1.26)のデータを使用した。研究2Bでは共通方法バイアス(Podsakoff et al., 2003)8を考慮し,道徳不活性化と不道徳行動の測定を2週間空けて行った。同一対象者の回答の照合と対応づけのために,調査対象者の学籍番号の下2桁と携帯番号の下4桁を個別番号とし,第1時点と第2時点の調査の際にその番号を記入するよう求めた。両時点で同じ番号が回答されたものを有効回答とした。

測定尺度

不道徳行動 研究2Aは2種類,研究2Bは1種類の指標を用いて不道徳行動の程度を測定した。研究2Aの1つ目は職場における不道徳行動(「会社の在庫品を友人に無料で提供する」)についての12項目を尋ねた(Piff et al., 2012)。各項目の不道徳行動について自分が取り得ると思う程度を「1: しないだろうと思う」から「7: するだろうと思う」までの7件法で回答を求めた(α=.93)。

研究2Aの2つ目は非生産的職務行動(「許可を取らずに遅い時間に出社した」)の個人の経験頻度を12項目尋ねた(Bennett & Robinson, 2000; Moore et al., 2012)。各項目の行動について現在勤めている職場でここ1年の間に行った頻度に近いものを「1: 全くしたことがない」から「7: ほぼ毎日」までの7件法で回答を求めた(α=.87)。

研究2Bでは短いシナリオ場面を提示し,その場面における不道徳行動(例:アルバイト先の食材を無断で食べる)について尋ねた(Detert et al., 2008; Piff et al., 2012)。各シナリオの不道徳行動について自分が取り得ると思う程度を「1: しないだろうと思う」から「7: するだろうと思う」までの7件法で回答を求めた(α=.72)。

結果

全ての分析はPython(ver. 3.9.5)を用いて行った。

道徳不活性化により不道徳行動が予測されるかの階層的重回帰分析を行った。研究2A,研究2Bのそれぞれの不道徳行動を目的変数として,ステップ1で性別と年齢を,ステップ2で道徳不活性化得点を説明変数として投入した。その結果,道徳不活性化はそれぞれの指標の不道徳行動を有意に予測することが示された(職場における不道徳行動:β=.48, p<.001, 95%CI[.40, .57];非生産的職務行動の経験:β=.30, p<.001, 95%CI[.21, .40];不道徳行動シナリオ:β=.46, p<.001, 95%CI[.27, .64])。

研究3

目的と結果の予測

研究3では他の不道徳行動を予測する個人傾向に対して道徳不活性化が説明力を高めるかの増分的妥当性の検証を行う。そのために,道徳不活性化に加えて,ダークトライアド傾向(田村他,2015),セルフコントロール(尾崎他,2016),攻撃性(安藤他,1999)の尺度を測定し,不道徳行動に対する階層的重回帰分析を行う。仮説として,ダークトライアドの各特性,セルフコントロール,攻撃性の下位尺度で不道徳行動を予測するモデルに対して,道徳不活性化を投入した場合に,決定係数の有意な増加が認められると予測される(予測3)。

調査対象者

九州地方に在住する女子短期大学生を対象とし,講義前後に調査を実施した。有効回答者180名(Mage=19.37,SD=0.84,有効回答率:100.0%)を分析対象とした。

測定尺度

道徳不活性化 J-MDSを使用した(α=.77)。

ダークトライアド傾向 日本語版Dark Triad Dirty Dozen(田村他,2015)を用いて測定を行った。ダークトライアドの各特性(「マキャベリアニズム」・「サイコパシー傾向」・「自己愛傾向」)について4項目ずつの計12項目で構成されており,各項目が自分の特徴にどの程度あてはまるかを「1: あてはまらない」から「5: あてはまる」までの5件法で回答を求めた。各特性で合算した得点をそれぞれの指標とした(マキャベリアニズム:α=.80,サイコパシー傾向:α=.55,自己愛傾向:α=.82)。

セルフコントロール セルフコントロール尺度(尾崎他,2016)を用いて測定を行った。13項目(「自分にとってよくないことでも,楽しければやってしまう」)から構成されており,各項目が自分の特徴にどの程度あてはまるかを「1: あてはまらない」から「5: あてはまる」までの5件法で回答を求めた(α=.75)。

攻撃性 Buss-Perry攻撃性質問紙日本語版(安藤他,1999)を用いて測定を行った。本研究では「言語的攻撃」を除く3つの下位尺度(「身体的攻撃」・「短気」・「敵意」)を測定する17項目を用いた。各項目の内容について普段の自分にどの程度あてはまるかを「1: あてはまらない」から「5: あてはまる」まで5件法で回答を求めた。下位尺度ごとに合算した得点をそれぞれの指標とした(身体的攻撃:α=.67,短気:α=.81,敵意:α=.75)。

不道徳行動 研究2Bでの尺度(不道徳行動シナリオ;Detert et al., 2008; Piff et al., 2012)を使用した(α=.75)。

結果

全ての分析はPython(ver. 3.9.5)を用いて行った。

攻撃性の下位尺度である敵意を除いて,道徳不活性化と他の不道徳行動の説明変数との間にそれぞれ有意な相関が認められた(|r|s=.21―.40, ps<.01)。

不道徳行動の予測における道徳不活性化の増分的妥当性を検証するために,階層的重回帰分析を行った。目的変数に不道徳行動を,説明変数にステップ 1で年齢,ステップ 2でダークトライアドの各特性,セルフコントロール,攻撃性の各下位尺度を,ステップ3で道徳不活性化を投入した。その結果,ステップ 2でセルフコントロール(β=‒.19, p=.012, 95%CI[‒.34, ‒.04]),マキャベリアニズム(β=.26, p=.012, 95%CI[.06, .45]),自己愛傾向(β=.24, p=.010, 95%CI[.06, .42])の不道徳行動に対する有意な影響が認められたが,サイコパシー傾向と攻撃性の各下位尺度は有意な影響は認められなかった(R2=.27, p<.001)。次に,ステップ3において道徳不活性化(β=.26, p<.001, 95%CI[.12, .41])の不道徳行動に対する有意な影響が認められた(R2=.33, p<.001)。道徳不活性化の投入による決定係数の変化についても有意な増加が認められた(ΔR2=.06, ΔF=12.97, p<.001)。また,道徳不活性化の投入によりマキャベリアニズムの影響は非有意となった(β=.18, p=.078, 95%CI[‒.02, .37])。

研究4

目的と結果の予測

研究4では一定期間を空けてJ-MDSの2回の測定を行い,尺度の再検査信頼性を確認する。仮説として,期間を空けて測定した1回目と2回目の道徳不活性化の得点間に十分に高い値の正の相関係数,級内相関係数が得られると予測される(予測4)。

調査対象者と手続き

研究4Aは研究3の一部,研究4Bでは研究1Bの一部の調査協力者を対象とした。第1時点の調査の際に,後日もう一度調査を行うことを説明し,研究4Aは約1ヵ月,研究4Bは約2ヵ月の期間を空けて第2時点の調査を行った。同一対象者の回答の照合と対応づけのために,研究4Aでは調査対象者の携帯番号の下4桁を,研究4Bでは学籍番号の下2桁と携帯番号の下4桁を合わせた数値を個別番号としてもらい,第1時点と第2時点の調査の際にその番号を記入するよう求めた。両時点で同じ番号が回答されたものを有効回答とした。両調査で回答を得られた有効回答者は研究4Aで86名(Mage=19.41歳,SD=0.78,有効回答率:48.9%),研究4Bでは94名(男性42名,女性52名,Mage=18.98,SD=0.65,有効回答率:68.6%)であり,分析対象とした。

測定尺度

道徳不活性化 J-MDSを使用した。尺度の内的整合性は研究4Aの1回目がα=.73,2回目がα=.78,研究4Bの1回目がα=.81,2回目がα=.81であった。

結果

分析方法 全ての分析はPython(ver. 3.9.5)を用いて行った。級内相関数係はpingouinパッケージ(Vallat, 2018)を用いて分析を行った。

始めに,ジャックナイフ法およびマハラノビス距離に基づいて二変量の外れ値の検出を行った。ジャックナイフ法ではi番目の参加者を除外した場合の相関係数を算出し,除外した場合の相関係数の平均値を算出する。この平均値からi番目を除外した相関係数が3SD以上逸脱していた場合にi番目のデータを外れ値と判断した。マハラノビス距離では2乗した値が自由度2のχ2分布の95%点の値(χ2=5.991)を超えたデータを外れ値と判断した。ジャックナイフ法,マハラノビス距離に基づく基準の両方に該当したデータ(研究4A:4件,研究4B:3件)を有効回答の分析対象から除外した。

道徳不活性化尺度の再検査信頼性を確認するために,1回目と2回目の調査の相関係数および一致性の級内相関数係(intraclass correlation coefficient: ICC)を算出した。約1ヵ月の間隔を空けての研究4Aは相関が r=.73(p<.001, 95%CI[.61, .82]),級内相関係数が ICC2=.73(p<.001, 95%CI[.61, .82])であった。約2ヵ月の間隔を空けての研究4Bについても相関がr=.73(p<.001, 95%CI[.62, .82]),級内相関係数がICC2=.73(p<.001, 95%CI[.61, .81])と同程度の値が得られた。Terwee et al.(2007)によると,ICCが.70以上の場合に高い再検査信頼性を有すると判断できる。したがって,研究4A,研究4Bの再検査信頼性は十分な値であると言える。

研究5

目的と結果の予測

研究5では外的指標との関連を検討するために,道徳不活性化と情動的共感,認知的共感(日道他,2017),自由意志・決定論信念(後藤他,2015),道徳観(Forsyth, 1980)との関連を検討する。仮説として,道徳不活性化と共感的関心および視点取得との間に負の相関(予測5-1),自由意志・決定論信念のうち,自由意志信念との間に負の相関,決定論信念との間に正の相関(予測5-2),道徳観のうち,理想的道徳観との間に負の相関,相対的道徳観との間に正の相関(予測5-3)が予測される。

調査対象者と手続き

中国地方に在住する大学生を対象とし,講義前後に調査を実施した。一部は宿題調査で実施した。有効回答者134名(男性40名,女性91名,未回答3名,Mage=20.98,SD=0.52,有効回答率:98.5%)を分析対象とした。

測定尺度

道徳不活性化 J-MDSを使用した(α=.65)。

共感性 日本語版対人反応性指標(日道他,2017)を用いて測定を行った。同尺度より共感的関心の7項目,視点取得の7項目を用いた。各項目の内容について自分の特徴にどの程度あてはまるかを「1: あてはまらない」から「5: あてはまる」までの5件法で回答を求めた。それぞれの対応項目の合算を共感的関心(α=.80),視点取得(α=.64)の指標とした。

自由意志・決定論信念 自由意志・決定論信念尺度(後藤他,2015)の下位尺度である自由意志信念の7項目と運命的決定論信念の5項目を用いた。各項目の内容について自分の考えにどの程度あてはまるかを「1: あてはまらない」から「5: あてはまる」までの5件法で回答を求めた。それぞれの対応項目の合算を自由意志信念(α=.61),決定論信念(α=.72)の指標とした。

道徳観 Ethics Position Questionnaire(Forsyth, 1980)を用いて個人の道徳観を測定した。Forsyth(1980)は道徳判断における普遍的な道徳基準について,それに依拠する理想主義とそれを否定する相対主義という2つの軸を想定した。Forsyth(1980)では,この2軸の個人差を測定する尺度としてEthics Position Questionnaireが開発され,理想主義や相対主義を測定する別の質問項目との相関から,理想的道徳観と相対的道徳観の妥当性が確認された。この尺度では,理想的道徳観(「個人の尊厳や幸福を脅かしてしまうかもしれない行為はしてはならない」)と相対的道徳観(「道徳とは何かというのは,社会や状況によって異なってくる」)が含まれ,それぞれ10項目で構成されている。各項目に対する自分の意見について「1: 反対する」から「5: 賛成する」までの5件法で回答を求めた。それぞれの対応項目の合算を理想的道徳観(α=.71),相対的道徳観(α=.78)の指標とした。

結果

全ての分析はPython(ver. 3.9.5)を用いて行った。

道徳不活性化は,自由意志信念(r=‒.21, p=.018, 95%CI[‒.37, ‒.04]),理想的道徳観(r=‒.36, p<.001, 95%CI[‒.50, ‒.19])と有意な負の相関が,決定論信念(r=.25, p=.005, 95%CI[.08, .40])と有意な正の相関が認められた。しかし,共感的関心(r=‒.08, p=.350, 95%CI[‒.25, .09]),視点取得(r=‒.07, p=.403, 95%CI[‒.24, .10])との間に有意な相関は認められなかった。また,予測とは異なり,相対的道徳感とは負の相関であった(r=‒.19, p=.034, 95%CI[‒.35, ‒.01])。

総合考察

本研究はMoore et al.(2012)の成人期を対象とする道徳不活性化尺度の日本語版(J-MDS)を作成し,その信頼性と妥当性を検証することを目的とした。研究1では探索的因子分析および確認的因子分析から8項目での道徳不活性化尺度における1因子構造の妥当性を確認した。加えて,多母集団同時分析を行い,年代間(20代,30代,40代)での因子負荷量の等質性が確認された。また,一部,非有意であったものの,道徳アイデンティティの内在化,罪悪感傾向との負の相関が示され,予測1は概ね支持された。研究2では道徳不活性化と3種類の不道徳行動の指標との間にいずれも正の関連が示され,予測2が支持された。研究3ではダークトライアド傾向,セルフコントロール,攻撃性で不道徳行動を予測するモデルに対して,道徳不活性化を加えることでの決定係数の有意な増加を確認した。この結果は予測3を支持するものであった。研究4では期間を空けて道徳不活性化尺度の測定を行い,測定時点間で強い正の相関が認められた。この結果は予測4を支持していた。研究5では道徳不活性化と内的帰属傾向を反映する自由意志信念との間に負の相関,外的帰属傾向を反映する決定論信念との間に正の相関が認められ,予測5-2が支持された。また,理想的道徳観との間に負の相関が認められた一方で,相対的道徳観との間にも予想に反して負の相関が認められ,予測5-3は部分的に支持された。共感的関心,視点取得の間には有意な相関は認められず,予測5-1は支持されなかった。したがって,一部,Moore et al.(2012)と異なる結果であったものの,本研究の結果は概ね道徳不活性化尺度の日本語版(J-MDS)の妥当性を示すものであると評価することが出来るだろう。

本研究の結果の特徴として,Moore et al.(2012)と比較すると,道徳不活性化と道徳アイデンティティや罪悪感傾向との相関係数の絶対値が低い点が挙げられる。本研究での道徳アイデンティティとの相関は研究1Aがr=‒.15,研究1Bがr=‒.08,罪悪感傾向との相関は研究1Aがr=‒.31,研究1Bがr=‒.18であった。一方で,Moore et al.(2012)は前者の相関はr=‒.42,後者の相関はr=‒.47であった。これらの指標は,社会的認知理論における自己調整過程での自己制裁が発揮されやすいかに関与してくると考えられる。日本も属する集団主義的文化においては,内的要因よりも外的要因の影響を受けやすいとされる(Cialdini et al., 1999)。そのような文化的背景から,内的要因による自己制御の強度にも違いがあり,それを反映して道徳不活性化と道徳アイデンティティや罪悪感傾向との相関の程度が先行研究の結果と比較して小さなものになったのではないかと考えられる。

本研究では不道徳行動を生じさせる個人傾向として道徳不活性化に着目した。しかしながら,道徳不活性化における認知の歪みは他者からの影響を多分に受けている。例えば,親からの影響は大きく,Zych et al.(2020)では,知覚された親の道徳不活性化の高さが,子どもの道徳不活性化に影響を及ぼしていた。加えて,集団内の他者の特徴が個人の道徳不活性化に影響しうることが示唆されている。Hodge & Lonsdale(2011)は,道徳不活性化が統制的な指導スタイルとチームメイトや対戦相手への反社会的行動との関係に媒介することを示している。

また,集団の特徴が個人の道徳不活性化にも影響してくる。Johnson & Buckley(2015)は,道徳不活性化は本質的に対人的な現象であると論じている。彼らは,集団内において,ある集団成員の道徳不活性化とそれに伴う行動は,社会的な伝染プロセスから他の成員の道徳不活性化を高めると主張している。このような道徳不活性化の集合的な影響については学校場面での研究が先行している。例えば,Thornberg et al.(2021)は教室レベルでの集合的な道徳不活性化といじめ行為との関連を検討し,マルチレベル分析から集合的な道徳不活性化の高いクラスではいじめが生じやすいことを明らかにしている。

上記のように,道徳不活性化は不道徳行動を促進する個人内の影響過程に留まらず,他者や集団からの影響を受けて変動する。特に企業組織内での不道徳行動(不正,非生産的職務行動など)への道徳不活性化の影響を検討していく上で,今後の研究では対人的,あるいはマルチレベル的な影響過程を考慮する必要があるだろう。

本研究の限界と今後の課題

本論文で作成したJ-MDSにはいくつかの点で限界点がある。まず1つ目として,8つの不活性化メカニズムを個別には検討していない点である。本研究ではMoore et al.(2012)に倣い,道徳不活性化の全般を測定する尺度として妥当性の検証を行った。多くの先行研究でも8つの不活性化メカニズムをまとめて1つの道徳不活性化の指標が用いられている(Detert et al., 2008; Lee et al., 2016)。一方で,Ogunfowora et al.(2022)などは個別の不活性化メカニズムの影響の検証も行っており,種類ごとに不道徳行動への影響が異なっていた。この点を踏まえると,個別の不活性化メカニズムの影響についても検証していくことが重要となる。しかしながら,Moore et al.(2012)および本研究で作成したJ-MDSは,個別の不活性化メカニズムの測定については信頼性や妥当性を確認できていない。したがって,個別の不活性化メカニズムの検証には,項目内容の再検討なども含めた尺度のブラッシュアップが必要となるだろう。

2つ目として,本研究で道徳不活性化との関連を検討した不道徳行動の指標は過去の経験頻度や仮想場面での行動を尋ねる形式のものであった点である。今後の研究では実際に不道徳行動を行う程度をJ-MDSが予測するか検討していく必要があるだろう。

3つ目として,研究3の増分的妥当性の検証において,研究協力者が女性に限定されていた点である。この点で偏りのあるサンプルでの検証となっており,男性を含めて一般化された場合でも,不道徳行動に対して道徳不活性化によって説明力が向上するかは検討できていない。ただし,この点は先行研究(Egan et al., 2015; Ogunfowora et al., 2022)を踏まえると,ダークトライアド傾向(マキャベリアニズム・サイコパシー傾向・自己愛傾向)に追加しての道徳不活性化の増分的妥当性は両性を含めた一般化されたサンプルにおいても認められうるだろう。

利益相反

本論文には,開示すべき利益相反の関連事項はない。

助成

本研究を実施するにあたり,科研費の助成17J05039を受けた。

著者情報

本調査は,第1著者が広島大学に所属していた際に実施したものである。

謝辞

尺度の日本語版の作成をご快諾くださったDr. Celia Moore,本調査にご協力いただきました学生,調査会社のモニターの皆様,および調査機会をいただいた先生方に心から感謝申し上げます。

電子付録

各尺度の記述統計量,尺度間の相関係数,その他の補足的な分析結果は,J-STAGEの電子付録に掲載した。

道徳不活性化尺度日本語版(J-MDS)の使用

道徳不活性化尺度日本語版(J-MDS)の研究目的での利用については,発表の際に引用元を明記することで事前使用許可を不要とするが,商用利用については,著者に問い合わせを要することとする。

1

本研究では吉澤他(2015)に倣い,moral disengagementの日本語訳に「道徳不活性化」を採用した。

2

道徳不活性化尺度の全項目の記述統計量(Table S1),16項目版,24項目版における尺度間の相関係数の結果(Table S2―4)はJ-STAGEの電子付録に掲載した。

3

研究1Aは就業者を対象に実施していたため,業種を尋ねる項目において「働いていない」の選択肢に回答していたモニターについては分析対象から除外した。

4

研究1Bの罪悪感傾向は,道徳不活性化と道徳アイデンティティの調査の2週間後に測定を行った。

5

Hu & Bentler(1999)による基準では,CFI≧.95,RMSEA≦.06,SRMR≦.08であれば良好,CFIは.90―.94,RMSEAは.07―.10,SRMRは.09―.10であれば許容範囲内としている。

6

道徳不活性化尺度の8項目版,16項目版,24項目版の確認的因子分析の結果の比較をJ-STAGE電子付録のTable S5に示す。

7

性別の等質性を確認する多母集団同時分析はJ-STAGE電子付録のTable S6に示す。

8

共通方法バイアス(common method bias)とは,分散が尺度の捉える概念によるものではなく,その測定方法の為に帰することである(Podsakoff et al., 2003)。

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