Japanese Journal of Thrombosis and Hemostasis
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Okamoto Prize 2020 Utako Award The Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis
Manufacturing of platelets from human adipose tissue-derived mesenchymal stem cell line for future clinical application
Yumiko Matsubara
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2020 Volume 31 Issue 4 Pages 432-438

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Abstract

Platelets are released from mature megakaryocytes (MKs) and are used for therapeutic application, especially platelet transfusion. Platelet concentrates used for platelet transfusions are currently supplied by volunteer donors. Due to their short shelf life (4 days in Japan and 5 days in US), however, donor-dependent platelet concentrates are associated with practical problems, such as the limited supply and the risk of infection. Thus, new strategies for manufacturing MKs and subsequently platelets from a donor-independent source are urgently needed. Mesenchymal stem cells (MSCs) are known to be non-hematopoietic multipotent progenitor-cells. We found that MSCs/stromal cells differentiated into MKs and platelets. The clinical needs for platelet transfusions are increasing. Adipose tissue-derived MSCs/stromal cells are an attractive candidate cell source because inducing these cells into MK-lineages requires no gene transfer and only endogenous transcription factors containing p45NF-E2/Maf, an MK-inducing factor and endogenous thrombopoietin, a primary cytokine that drives MK lineages. Thus, we developed a manufacturing system for platelets from donor-independent cell source, human adipose-derived mesenchymal stromal/stem cell line (ASCL). ASCL satisfied the minimal criteria for defining MSC by The International Society for Cellular Therapy. ASCL-derived platelets (ASCL-PLT) were obtained with a peak at Day 12 of culture using MK lineage induction media. We observed that CD42b-positive cells expressed a MSC marker CD90 in relation to cell adhesion. The pattern of in vivo kinetics after being infused into irradiated immunodeficient NSG mice was similar to that of platelet concentrates. ASCL-PLT has characterization observed in other platelet populations and might have additional function as MSC. The present protocol is a simple method that requires no feeder cells, further enhancing the clinical application of our approach.

1.はじめに

血小板は成熟した巨核球から放出され,生理的止血,病的血栓,組織修復など多様な機能を有する.血小板の産生機構は未だ不明点は多いが,in vitroでの血小板分化誘導研究により知見が蓄積されている.その血小板分化誘導研究の応用のひとつとして医療応用目的の血小板作製研究が注目されている.同様研究の世界動向としては輸血製剤への展開を目的とした血小板作製研究が多い.血小板は止血作用を有する他類なき細胞であり,血小板輸血製剤として血液疾患や抗がん剤治療時などにおける血小板減少に用いられる.血小板輸血製剤は100%献血に依存,保存期間が僅か4日間,高齢化社会に伴う需要増加と献血者減少という問題を有している.また感染のリスク懸念が残る.そこで血小板を計画的に大量作製し医療に応用する試みとして,そのスタート細胞に幹細胞等を用いた血小板分化誘導が用いられている.幹細胞(定義:自己複製能と分化能を持つ)は,ES細胞やiPS細胞のような多能性幹細胞と造血幹細胞や間葉系幹細胞など特定の組織・細胞へ分化できる組織幹細胞に大別される.血小板作製が報告されている幹細胞は,ES細胞,iPS細胞,造血幹細胞,間葉系幹細胞/間質細胞である.また,転写因子NF-E2導入の皮膚線維芽細胞から血小板作製が報告されている13.これらの中で筆者らのグループが見出したスタート細胞(間葉系幹細胞/間質細胞,転写因子NF-E2導入の皮膚線維芽細胞)からの血小板産生,皮下脂肪から得た間葉系幹細胞からの血小板の医療応用に向けた取り組みについて概説したい.

2.間葉系幹細胞

間葉系幹細胞の定義(国際細胞治療学会:The International Society for Cellular Therapyによる)は,①in vitroで接着細胞として増殖すること,②CD73・CD90・CD105陽性であり,かつCD45・CD34・CD14・CD11b・CD79a・CD19およびヒト白血球抗原class II陰性であること,③骨芽細胞,脂肪細胞,軟骨細胞への分化能を有すること,とされている4, 5.間葉系幹細胞は,骨髄,脂肪,歯髄,胎盤などに存在する.これらの細胞はどれも上記の間葉系幹細胞の定義を満たすが,その増殖能や分化能に関して,多様性があることが知られている.間葉系幹細胞の生体内での役割の大きな特徴は,免疫反応調節,創傷治癒において重要な役割を持つことである.その機序は多岐にわたるが,いくつか例を上げると,好中球のアポトーシス抑制,マクロファージの創部への遊走移動,リンパ球へ作用し炎症性サイトカインの抑制・抗炎症性サイトカインの合成促進・regulatory T細胞の割合増加などの報告がある.間葉系幹細胞は,そのほかにも,細胞外マトリックスや細胞接着因子,成長因子などの創傷治癒を促進する様々な因子の細胞膜発現や分泌が知られている.間葉系幹細胞は,その免疫調節能,創傷治癒促進能,多彩な細胞への分化能などにより,創傷治癒や再生医療などの分野で注目を集め,医療応用に向けた様々な臨床試験が行われている.既に薬事承認を受けている製品も存在する.免疫調節能に着目した使用法として,国内では同種骨髄由来間葉系幹細胞(テムセル®HS注)として造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病に対しての再生医療等製品として承認されており,同種骨髄由来間葉系幹細胞のヒト投与への安全性・有効性が確認されている.創傷治癒関連では,糖尿病性下肢潰瘍に対する自家骨髄由来CD90陽性細胞投与の臨床試験や,未発表だが自家脂肪組織由来間葉系幹細胞の潰瘍に対する投与試験などが計画されている6, 7.医療応用においては,採取してきた細胞をin vitroで大量に拡大培養する必要があり,この工程は現在も最適化開発が必要とされている.

筆者の研究グループは,骨髄あるいは皮下脂肪に存在する間葉系幹細胞/間質細胞が巨核球・血小板に分化しうることを見出し,そのメカニズムの解明・血小板分化のスタート細胞が間葉系幹細胞であることを報告した.

3.マウスおよびヒトの間葉系幹細胞/間質細胞からの巨核球・血小板産生

2000年代,多能性幹細胞(iPS細胞やES細胞)からの巨核球・血小板産生は,主にfeeder細胞と幹細胞を組換えトロンボポエチン(TPO)存在下で培養して行われていた.筆者の研究グループも同様であった.その実験において,negative controlとしてfeeder細胞(OP9細胞:マウス骨髄脂肪前駆細胞株/間葉系幹細胞株)のみを用いて血小板産生の実験を行っていたが,その場合でも巨核球・血小板への分化を認めた8.最初は,細胞が巨核球同様の形態,フローサイトメトリー解析におけるCD42b,CD41陽性細胞の確認を認めた.この知見はヒト皮下脂肪由来間葉系幹細胞/間質細胞においても認められた9.これら観察結果を端緒にメカニズム解明研究を行った.メカニズム解明研究は,サイトカインや転写因子に着目して進めていった(後述).

4.巨核球・血小板への細胞分化決定因子として転写因子p45NF-E2の同定:線維芽細胞から巨核球・血小板のダイレクトリプログラミング

血球分化を司る重要因子は,サイトカインと転写因子である.巨核球分化に必須のサイトカインはTPOが同定されているが,転写因子は不明であったため,先ずは巨核球・血小板分化に重要な転写因子の同定を行うことに着手した.手がかりとして,これまでの知見(脂肪前駆細胞株3T3-L1は巨核球・血小板に分化するが,3T3-L1の親細胞である3T3線維芽細胞株は巨核球・血小板に分化しない)10を活用して,これら細胞の遺伝子発現プロファイルを詳細に比較した.3T3-L1に発現し,3T3に発現していない因子に着目し解析した結果,CEBP alphaとp45NF-E2が細胞間の発現量に大きな差をもって認められた.CEBP alphaは脂肪分化に重要な転写因子であることから,p45NF-E2が巨核球・血小板分化に関連する因子の候補となった.ヒト,マウスそれぞれの線維芽細胞にp45NF-E2とその結合因子Mafを遺伝子導入し,分化誘導培地(造血幹細胞からの巨核球分化誘導培地と同じ培地)で培養した.遺伝子導入細胞の詳細な解析(表面抗原,DNA ploidy,電子顕微鏡観察,免疫染色,Filoposia,Lamellipodia,巨核球輸注による血小板体内放出,機能解析など)により,巨核球・血小板への分化が確認された.上記分化誘導培地で培養した発現ベクターのみを導入した線維芽細胞や導入なしの線維芽細胞では巨核球・血小板の分化は認められなかった.したがって,巨核球・血小板への細胞分化決定因子として,転写因子p45NF-E2が同定された11

5.脂肪由来間葉系幹細胞/間質細胞は巨核球・血小板への細胞分化決定因子p45NF-E2を内在

前述のダイレクトリプログラミング研究成果は,細胞のp45NF-E2内在は巨核球・血小板に分化しうる可能性があることを示唆していた.そこで間葉系幹細胞/間質細胞の遺伝子発現をES細胞,Bone marrow mononuclear cellsとともに行った.その結果,p45NF-E2発現はBone marrow mononuclear cellsと間葉系幹細胞/間質細胞に認められ,巨核球・血小板分化に伴って発現量が増加した.間葉系幹細胞/間質細胞へのp45NF-E2強制発現は,巨核球の産生増加を示した.これら結果により,間葉系幹細胞/間質細胞が巨核球・血小板への分化決定因子であるp45NF-E2を内在し,その発現量増加を伴って巨核球・血小板に分化するメカニズムが示唆された.さらに間葉系幹細胞/間質細胞は,GATA2,RUNX1,Fli,FOGなど巨核球・血小板分化に重要な転写因子を内在していることを見出した8.一方,ES細胞に発現している多能性関連遺伝子の発現は間葉系幹細胞/間質細胞では認めなかった.

6.脂肪由来間葉系幹細胞/間質細胞はトランスフェリン刺激時,内在TPOがc-MPLを介して巨核球・血小板に分化

次に,サイトカインに着目したメカニズム解明研究を行なった.脂肪由来間葉系幹細胞/間質細胞の遺伝子解析を重ねていた際,脂肪由来間葉系幹細胞/間質細胞は巨核球・血小板分化に重要な転写因子のみならず,TPO遺伝子の発現も認めた.TPOの産生箇所は肝臓であることが知られている.したがって,造血幹細胞や多能性幹細胞から巨核球・血小板の分化誘導を行う際には組換えTPOの添加が必要である.しかし,脂肪由来間葉系幹細胞/間質細胞はTPO遺伝子を内在していた.筆者の研究グループでのQuestionは,脂肪由来間葉系幹細胞/間質細胞で観察されるTPO遺伝子は機能を有するTPOとして細胞外に分泌され,巨核球・血小板への分化を促すか?であった.TPO遺伝子は,巨核球・血小板分化にしたがって発現増加を示した.さらにTPO分泌が培養上清にELISA解析により認められた.この分泌TPOを含有する培地を用いて造血幹細胞を培養した結果,巨核球・血小板分化を認めた.脂肪由来間葉系幹細胞/間質細胞は,巨核球分化誘導に伴い内在TPOを分泌しTPO受容体であるc-MPLを介して巨核球・血小板へと分化する.その内在TPOはトランスフェリン添加刺激によりトランスフェリン受容体CD71を介した刺激により細胞外へ分泌されることを見出した12.つまり間葉系幹細胞/間質細胞が巨核球・血小板分化のスイッチONとなるのはトランスフェリン添加刺激によることが解明された(図1).これら結果により,間葉系幹細胞/間質細胞が巨核球・血小板への分化重要サイトカインTPOを内在し,その細胞外分泌,受容体刺激を伴って巨核球・血小板に分化するメカニズムが示唆された.

図1

Selected cells among mesenchymal stem/stromal cells differentiate platelets using endogenous TPO

Binding of transferrin, iron transporter, to its receptor CD71 leads to the production of endogenous TPO. Interaction between TPO and its receptor c-MPL is involved in megakaryocyte differentiation and subsequently platelet production.

7.脂肪由来間葉系幹細胞株ASCLの樹立,ASCLからの血小板の医療応用

ここまでの研究成果により,間葉系幹細胞/間質細胞は(1)遺伝子導入の必要なし,(2)組換えTPO添加不要で安定に血小板に分化できる.これは培養で得られた血小板の医療応用に向けた細胞ソースとして優位性があると考えた.しかし1点の改善がのぞましいと考えた.現在多くの分野で医療応用目的に開発されている間葉系幹細胞を含む間質細胞であるが,この細胞は増殖能の高いが種々の細胞が混在している.血小板分化を行なった際の最終産物が再生医療等製品として再現性よく均一で得るためには細胞ソースの均一性が必要と考えた.そこで比較的均一で,血小板分化に適しているadipogenicな細胞を安定的に得るために,間葉系幹細胞の精製・株化技術を開発した13.脂肪組織由来間葉系幹細胞の中でも大きな脂肪滴を持つ細胞のみが強い浮力を持つことを利用し,遠心分離後に浮遊した細胞のみを培養液で満たされたフラスコにいれることで,フラスコの天井に浮遊し付着した細胞が脱分化し,ASCLが得られる.得られたASCLはより均一な細胞集団,分化能を有する細胞集団となっており,複数の細胞株で安定して2ヶ月以上の増殖能を示すことがわかった.また,ASCLは前述のThe International Society for Cellular Therapyの提唱する①in vitroで接着細胞として増殖すること,②CD73・CD90・CD105陽性であり,かつCD45・CD34・CD14・CD11b・CD79a・CD19およびヒト白血球抗原class II陰性であること,③骨芽細胞,脂肪細胞,軟骨細胞への分化能を有すること,の3要件を満たし,間葉系幹細胞の定義を満たすことも確認された(図2).細胞表面抗原のさらなる解析では,CD13,CD29,CD44,CD71,CD166といった間葉系幹細胞に広く発現するマーカーが陽性であり,CD41やCD42bといった巨核球lineageに特徴的なマーカーが陰性であることも確認された.その他にASCLの特徴として,長期間の拡大培養後の細胞でも染色体異常を認めず安全性が高いと考えられることも挙げられる13

図2

Characterization of novel human ASCL13)

(A) Schema shows the process to establish ASCL from human subcutaneous adipose tissue. Adipose tissue (0.5–1 g) digested with collagenase was centrifuged to obtain ASCs. ASCs were cultured in conditioned media to differentiate into mature adipocytes. Fat-drop from trypsinized cells were moved to an upside-down culture. Floating mature adipocytes with fat droplets are collected and placed into the flask which is completely filled with the media. ASCL was obtained in upside of culture flask completely filled with medium for 14 days without medium change. A morphological change of fat-drop into adherence cells indicates that ASCL is obtained. (B) Proliferation assay was performed on ASCL established from three different subjects. (C) ASCL differentiated into osteoblasts, mature adipocytes, and chondrocytes. ASCL was cultured in conditioned media for each differentiation, and we assessed the capacity for their differentiations using cell staining. (D) Expressions of surface markers in ASCL were estimated by flow cytometry. Gray color shows isotype control, and red color shows specific markers. (E) Representative data of karyotype analysis of ASCL is shown.

ASCLは,巨核球・血小板分化誘導培地下での培養で,巨核球に誘導されたことが表面抗原解析,DNA plody,免疫染色で確認できた.誘導培地下で巨核球へ分化中のASCLの遺伝子発現について,qRT-PCRを用いて検討を行ったところ,TPOp45NF-E2beta-1 tubulinVWFGATA2などのヒト生体内での巨核球分化に深く関わる遺伝子の発現が経時的に増加していた.一方,巨核球へ分化誘導中のASCLでは,GATA1が検出されなかった.一般的に,GATA1はヒト生体内での造血幹細胞からの分化過程において,赤血球系・巨核球への分化を決定づける重要な遺伝子の一つとされ,一方GATA2GATA1欠損・GATA1変異マウスにおける巨核球への分化に際して発現が増加することが知られている.このことからも,ASCLからの巨核球分化は,通常の造血幹細胞からの巨核球分化と異なるパターンの遺伝子発現が起きていると推察され,誘導される巨核球の性質自体も,造血幹細胞から分化した巨核球と同一ではない可能性が考えられた.ASCL由来の巨核球とCD34陽性の臍帯血細胞から誘導した巨核球について,マイクロアレイ解析で広く遺伝子発現を比較したところ,ASCL由来の巨核球はCd44EngNt5eThy1CD90)などの間葉系幹細胞に関連した遺伝子の発現が多いことがわかった.マイクロアレイの遺伝子オントロジー解析やGSEA(Gene Set Enrichment Analysis)でも,ASCL由来巨核球で細胞接着や間葉系幹細胞に関連したマーカーの発現が亢進していることが示された.これらのデータから,ASCL由来の巨核球は,造血幹細胞由来の巨核球と同様の性質に加え,間葉系幹細胞のような特徴も併せ持つことが示唆された13

ASCLからの血小板を得るために10Lの培地が入る大きなバイオリアクターにASCLを入れ培養を行った.Day12の時点で培地中には,無核のCD42b陰性小型細胞が誘導されており,またそれらの細胞は免疫染色でVWF,beta-1 tubulin,PF4,セロトニンを発現しており,血小板が得られたことが確認された.ASCL由来の血小板は,CD10,CD13,CD44,CD73,CD90,CD107bといった表面抗原が高発現しており,うちCD73とCD90は前述のThe International Society for Cellular Therapyの提唱した間葉系幹細胞の定義において必須な表面抗原であった.CD90は細胞接着において重要な役割を持つことが知られており,CD42b陽性のASCL由来血小板では,95%以上の細胞がCD90を発現していた.ASCL由来血小板の機能検討は,輸血用血小板製剤との比較試験を行った.実臨床でも使われる比濁法を利用した凝集計での凝集能測定試験では,どちらの血小板もADP,コラーゲン,リストセチン,エピネフリンといった刺激剤に反応し凝集能を示した(図3).また,放射線照射により血小板減少を起こした免疫抑制マウスにそれぞれの血小板を投与し,時間をおいてマウスから採血した血液の血小板凝集能についてT-TAS®(可視的流血下血栓形成解析装置,藤森工業社製)を用いて評価したところ,どちらの血小板も同様に凝集が起きることが確認された.これら研究結果13は,ASCL血小板の輸血医療への応用への有用性が示唆された.

図3

Functional assay for ASCL-PLT and platelet concentrates13)

Agonist-induced aggregation of ASCL-PLT and platelet concentrates recorded under light transmission aggregometry. ADP (20 μM), collagen (5 μg/mL), ristocetin (1.2 mg/mL), and epinephrine (10 μM) were used as agonists.

8.おわりに

脂肪組織由来間葉系幹細胞/間質細胞,骨髄由来間葉系幹細胞/間質細胞から巨核球・血小板分化を認めたことを端緒にこの現象のメカニズムの解明,医療応用に向けて脂肪由来間葉系幹細胞株ASCLの樹立,バイオリアクターを用いたASCLからの巨核球・血小板産生について概説した.ASCL血小板の再生医療等製品としての医療応用は輸血,組織修復など幅広い用途が期待できる.輸血に先立って,現在はASCL血小板の組織修復への適応を目指し,臨床研究に向けた対応を進めている.

脂肪からの血小板産生をはじめに認めた時から現在に至るまで,研究室の皆様からのご教示頂きながらの議論,日本血栓止血学会で発表・多くの先生方との議論機会を頂きました.それら積み重ねが再生医療等製品の開発につながり,深謝しております.今後も開発進捗をご報告できるように努力を続けたく研究にのぞみます.

著者の利益相反(COI)の開示:

役員・顧問職・社員など(株式会社AdipoSeeds),エクイティ(株など)(株式会社AdipoSeeds),研究費(受託研究,共同研究,寄付金など)(日水製薬株式会社,藤森工業株式会社,株式会社AdipoSeeds,東ソー株式会社)

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