2024 Volume 35 Issue 6 Pages 695-701
敗血症病態には炎症と栄養欠乏が密接に関与しており,オートファジーは低栄養における細胞生存のメカニズムとして重要である.しかし ‘オートファジー細胞死’ は向炎症性であり,敗血症を悪化させることが知られている.他にもオートファジーは様々の非炎症性・炎症性細胞死,すなわちアポトーシスやネクローシスなどを誘導し,これらの炎症性細胞死が誘導されると損傷関連分子パターン(damage associated molecular patterns: DAMPs)の放出により炎症反応が増幅されることになる.種々の細胞死の選択に関する制御系の詳細は未だ解明されておらず,今後の研究課題である.オートファジーの調節をめざした治療は理論的には有望と考えられる.オートファジーを促進することで,細胞死を回避できるかもしれないし,過度の ‘オートファジー細胞死’ 抑制することで炎症を制御することも可能かもしれない.本総説では最近の研究の進歩と,敗血症におけるオートファジーの複雑な制御系について紹介する.
敗血症は感染に対する宿主の全身性炎症反応によって引き起こされる,生命を脅かす重篤な病態である.敗血症においては炎症刺激とともに,過剰な免疫反応,あるいは免疫反応の抑制が,臓器不全の原因として重要である.そしてこのシナリオにおいては細胞死とそのレスキューシステムが転帰を決定する上で大きな役割を果たしている1).オートファジーは基本的に様々な環境要因や栄養欠損から細胞を守るための適応反応である2).しかしオートファジーの制御は常に細胞保護的で宿主に有利に働くとは限らず,時に過剰であったり不十分であったりすることにより ‘オートファジー細胞死’ を誘導し,これが炎症の亢進させることにより臓器障害加速させることもある3).本総説ではオートファジー,オートファジー細胞死,オートファジー関連細胞死の関係を概説する.
オートファジーは,リソソームによる細胞小器官,タンパク質,その他の細胞成分の分解と再利用を行う細胞内プロセスである.そして細胞の恒常性を維持し,感染によるストレスに対応するために機能していると考えられている.オートファジーは「自食」を意味し,以下の3つのタイプに分類される4).
1)‘マクロオートファジー’ は最もよく研究されている形態で,単にオートファジーといえばこのマクロオートファジーを意味する.マクロオートファジーではオートファゴソームと呼ばれる二重膜構造が形成され,細胞質成分が非選択的にこれに取り込まれ,その後オートファゴソームはリソソームと融合することによって内容物が分解される.
2)‘マイクロオートファジー’ は,リソソーム膜が陥入することによって細胞内成分がリソソームに直接取り込まれるタイプのオートファジーである.
3)‘シャペロン介在型オートファジー’ は,特定のタンパク質がシャペロンによって認識され,リソソームに直接移行して分解される選択的なオートファジーである.
上記以外の分類としては内容物の選択性に基づいて,‘選択的オートファジー’ と ‘非選択的オートファジー’ に分類することもある.非選択的オートファジーは,細胞小器官やその他の細胞内物質を非選択的に分解するマクロオートファジーに代表され,選択的オートファジーには特定の基質,例えばミトコンドリアなどを分解するマイトファジーが含まれる.
また上記とは別に,オートファジーが関与する細胞死については,オートファジー機構によって誘導される ‘オートファジー細胞死’ と,オートファジーによって媒介されるものの最終的には別の形態の細胞死に至る ‘オートファジー関連細胞死’ に分類することがある5).
オートファジーとその調節異常,オートファジー細胞死,オートファジー関連細胞死は,感染症以外にも,無菌性炎症,神経変性疾患,悪性腫瘍など,様々な疾患の病態生理に関与しており,各疾患においてその理解は重要である.
先に述べた3種類のオートファジーの中では,マクロオートファジー(以下,オートファジーとする)のメカニズムが最もよく研究されている.ストレス下では,mammalian target of rapamycin(mTOR)が阻害されることによりUnc-51-like kinase 1(ULK1)複合体が活性化される(図1).ULK1複合体の活性化に続いてオートファゴソームの形成が開始される.次にオートファジー関連タンパク質(ATG)であるAtg5,Atg12,Atg16L1などが複合体を形成し,ファゴフォア膜の伸長を助ける.その後,microtubule-associated protein 1 light chain 3(LC3)が一連の反応を通してオートファゴソームに導入される.システインプロテアーゼAtg4はLC3をLC3-Iに切断し,LC3-IはAtg3,Atg7,ホスファチジルエタノールアミンによってプロセシングされLC3-IIを形成する.その後LC3-IIはオートファゴソームに挿入されてオートファゴゾームが内容物の周りを取り囲み,二重膜構造のオートファゴソームが完成する.そしてオートファゴソームはリソソームと融合し,オートリソソームを形成する6).オートリソソームの内膜と内容物はリソソームヒドロラーゼによって分解され,アミノ酸,脂肪酸,糖などの高分子は再利用されることになる.オートファジーは,栄養状態,エネルギー充足度,mTOR活性を調節する成長因子などによって複雑に制御されているが,AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)経路もまた,細胞のエネルギーレベルを感知し,mTORを阻害してULK1を直接リン酸化することにより,オートファジーの活性化に関与している7).また低酸素,活性酸素種(ROS),細胞内カルシウムレベルなどもオートファジーに影響を与える要因として知られている.

マクロオートファジーの機序
生体侵襲により,mammalian target of rapamycin(mTOR)が阻害されるとUnc-51-like kinase 1(ULK1)複合体が活性化される.これによりオートファゴソームの形成が開始され,続いてオートファジー関連タンパク質(Atg)が複合体を形成し,ファゴフォア膜の伸長を助ける.その後,microtubule-associated protein 1 light chain 3-II(LC3-II)が導入されてオートファゴゾームは内容物の周りを取り囲み,オートファゴソームが完成する.その後オートファゴソームはリソソームと融合し,内容物はライソゾームヒドロラーゼによって分解されてアミノ酸,脂肪酸,糖などは細胞生存のために再利用される.その際,AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)は細胞のエネルギーレベルを感知してmTORを阻害し,オートファジーを活性化する.ROS: reactive oxygen species, mtDNA: mitochondria DNA
オートファジーは,不要になったり損傷を受けたりした細胞小器官,ミスフォールドしたタンパク質,細胞の残骸を分解してリサイクルする細胞プロセスである8).したがって基本的にストレス,栄養不足,細胞損傷に対応して細胞が生存するための機構と捉えることができる.しかし一方で,過剰なオートファジーは細胞死を誘導することも知られている5).たとえば敗血症においてはオートファジーが活性化され,その状態が病態形成に深く関与していることが知られている.すなわち敗血症において血管内皮細胞は,トロンビンやヒストンなど凝固・炎症メディエーターの標的であり,播種性血管内凝固(DIC)及び臓器障害の発症に深く関わっているが,炎症性メディエーターの刺激は内皮細胞のオートファジー,さらに細胞死を誘導し,重症化の要因となっている(図2).

血管内皮細胞におけるオートファジー
血管内皮細胞をウシ胎仔血清(fetal bovine serum: FBS)非存在下で培養し,内皮細胞障害を誘導するため培養液中にヒストンH3添加してmonodansylcadaverine(MDC)によりオートファジーの蛍光染色をおこなった.左パネル:障害内皮細胞の位相差顕微鏡像,右パネル:同部位のオートファジー蛍光撮影.
ここまで繰り返し述べてきたようにオートファジーの第一の目的は,ストレス下や栄養欠乏下において,細胞の恒常性とエネルギーバランスを維持,改善することにより,細胞機能の回復を促進することである.敗血症においては,炎症,低酸素症,酸化ストレスなど種々の要因でミトコンドリア障害が引き起こされ,障害ミトコンドリアからは活性酸素種などの障害因子が放出され細胞死が誘導される.選択的オートファジーや非選択的オートファジーは,損傷したミトコンドリアやその他の細胞成分を分解することで細胞障害の原因となる不良細胞小器官の蓄積を防ぎ,また細胞内成分を再利用することにより必須栄養素とエネルギーの補給を行って敗血症における細胞死の回避に貢献している.
2)炎症の調節オートファジーは,炎症反応に関与するインターフェロン(IFN)-γ,腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor: TNF)-α,インターロイキン(IL)ファミリー(IL-1α,IL-1β,IL-33,IL-36)などの炎症性サイトカインを分解することにより,過剰な炎症を抑制することができる.またNLRP3(NOD-, LRR- and pyrin domain-containing protein 3)インフラマソームとその活性化因子,例えば細胞内DAMPsやサイトカインのオートファジー分解は,インフラマソームの活性化を抑制することで炎症性細胞死であるピロトーシスを防ぐことに役立っている9).
3)ゼノファジー(Xenophagy)オートファジーには自己の細胞内細胞小器官やタンパク質を除去するだけでなく非自己病原体も除去する機能があり,感染に対する宿主の防御機構において重要な役割を果たしている.病原体の細胞内分解が促進されることにより病原体負荷が軽減され,この病原体分解プロセスはゼノファジーとして知られている.ゼノファジーは選択的なマクロオートファジーで,オートファゴソーム内での病原体の隔離と分解を担っている10).他にもオートファジーは傷ついた細胞内器官やミスフォールドしたタンパク質を除去することで,DAMPsの放出を防ぎ炎症を抑制している.
Stimulator of interferon genes(STING)は,自然免疫反応,特に非自己細胞質DNAの検出において重要なタンパク質である.感染の際,オートファジーは細胞内病原体を分解するが,STINGの活性化はそれらの病原体に対する免疫応答を増強する役割を担っている.STING依存性のシグナル伝達ネットワークは,病原体のオートファジー分解と種々の細胞死誘導を制御することにより,敗血症の制御に関与している11).そしてこれらのプロセスは互いに連携することによって効率的な感染防御機構が構築されることになる.一方でオートファジーは活性化されたSTINGを分解することによってSTING経路を抑制し,免疫反応の持続時間と強度を制御することも知られている.これによって生体は過剰な炎症や自己免疫の活性化を抑制し,病原体のクリアランスと免疫応答のバランスをとっていると考えられているが,複雑なオートファジー調節機構の一端が示されている.
4)細胞の生存と細胞死の制御オートファジーは細胞が生存するための機構ではあるが,必須の細胞成分が分解されたり,十分な栄養素が供給されなかったりすると細胞死は避けられない.このような状況において,細胞は受動的な細胞死,すなわちネクローシスに陥る.ここでオートファジーが機能して必要なエネルギーが供給された場合には,細胞は回復するか,あるいはプログラム細胞死に進むことになる.敗血症では,オートファジーの亢進によりマクロファージのアポトーシスが増加し,この現象が免疫抑制(immunoparalysis)につながることが知られている.しかしこれとは逆に敗血症患者由来の好中球ではオートファジーの誘導とともにneutrophil extracellular trap(NET)の排出を伴う好中球細胞死が増加することも報告されており,後者の場合はオートファジーを介してネトーシス(NET放出をともなう細胞死)の誘導と炎症の活性化がみられていると考えられる12).このように敗血症ではオートファジーの亢進による炎症抑制細胞死と炎症促進細胞死の誘導の両方が混在して引き起こされている可能性があり,細胞がどのようにしてこれらのバランスをとっているのかは,興味深い課題である.細胞死様式の選択については,細胞の種類,炎症の重症度,感染の段階などによって異なることが想定されている.Liuらは13),敗血症における末梢血単核球中の免疫細胞の変化を調べるためにRNA配列の検討と電子顕微鏡を用いた携帯観察を行ない,ミトコンドリア損傷,オートファゴソーム,細胞表面のpore形成が,重症敗血症でより顕著であること,さらにRNA配列決定から,細胞死は主にリンパ球よりも骨髄系細胞で起こっており,好中球ではネクローシスとピロトーシスが優勢で,単球ではアポトーシスやフェロトーシス,オートファジー細胞死が優勢であることを報告している.
受動的なネクローシス,能動的な抗炎症性アポトーシス,あるいはそれら以外のプログラムされた炎症性細胞死であるネクロトーシス,ピロトーシス,フェロトーシスなどの様々なタイプのオートファジー関連細胞死が,敗血症の病態形成に重要な役割を果たしている.オートファジーは細胞死の回避と誘導の両方に関与しているが,オートファジーと様々な形態の細胞死との関係,すなわちオートファジーによって各種細胞死が選択的に誘導される機序については,未だ未解明の部分が大きい.
オートファジー細胞死は,死にゆく過程の細胞内にオートファゴソームとオートリソソームが広範囲に存在することを特徴とし,II型プログラム細胞死としても知られている.しかし,オートファジー細胞死を独立した細胞死の様式として分類するかどうかは,研究者の間でいまだに議論が続けられている.オートファジーは多くの細胞死に関与しており,そのため様々な細胞死の過程で一般的に観察される現象である.このためオートファジー細胞死という独立したカテゴリーの存在には反対する意見もある.さらに他のプログラム細胞死とは異なり,オートファジー細胞死には特異な経路が存在しないこともオートファジー細胞死は独立した細胞死様式ではないとする理由になっている14).おそらくオートファジー細胞死と他のオートファジー関連細胞死との境界は曖昧であり,シグナル伝達経路や制御機構は相当程度共有しているのであろう.
オートファジー細胞死が独立したカテゴリーであるかどうかはさておき,過剰なオートファジーは敗血症における様々なタイプの細胞死に関与し,炎症を活性化させることが知られている.さらにオートファジーによって細胞死が誘導されると,細胞外にDAMPsが放出される.high mobility group box 1(HMGB1),ATP,ミトコンドリアDNAなどのDAMPsは,免疫細胞上のパターン認識受容体(PRR)を活性化することによって炎症反応を誘発,増幅させる.よって死細胞からのDAMPsの放出は,免疫細胞を刺激してTNF-α,IL-1β,IL-6などの炎症性サイトカインを産生・分泌させ,敗血症における炎症反応を増悪させる要因となる.オートファジーは一般に抗炎症性で細胞保護的に機能することが多いが,オートファジー細胞死は炎症性であることに留意する必要がある.
ミトコンドリアは,エネルギー産生,活性酸素の生成,細胞死の制御を担う必須の細胞小器官である.ミトコンドリアが損傷を受けたり機能不全に陥ったりすると,活性酸素が過剰に産生され,細胞損傷や細胞死につながる.Kaushalらは15),オートファジーが前述のような非選択的な内容物の隔離を行う一方で,損傷を受けた細胞小器官,特にミトコンドリアの選択的な隔離・分解を促進することもあると報告している.マイトファジーは損傷したミトコンドリアや余分なミトコンドリアを特異的な標的として分解する細胞保護機構であり,損傷したミトコンドリアを除去し,機能不全状態のミトコンドリアの蓄積を防ぐことによって細胞の恒常性維持に貢献している.さらにマイトファジーの結果得られるアミノ酸や脂肪酸はミトコンドリアのターンオーバーやエネルギー再生のために活用されることになる.
敗血症におけるオートファジー,細胞死,炎症の相互作用を理解し,これを制御することで敗血症の転帰を改善することが可能かもしれない.しかしその調節効果を予測するのは必ずしも容易ではない.例えばオートファジーの促進はインフラマソーム分解や障害ミトコンドリアの除去により炎症を抑制する結果になるかもしれないが,過剰なオートファジーはオートファジー細胞死を誘導する可能性もある.
1)オートファジーの活性化オートファジーが細胞内病原体の排除を助けることはゼノファジーとして先に紹介した.したがってオートファジーを促進することで,結核菌やサルモネラ菌などの病原体を細胞内から排除することにつながると期待できる.Leeらは16),オートファジーを介して細胞内細菌の標的分解を誘導するために,N-terminal degrons(N-degrons)Nt-arginine様の物質を開発している.
敗血症患者に対するmTOR阻害薬の臨床試験は行われていないが,ラパマイシンの効果は多系統萎縮症患者で検討されている.その結果,ラパマイシン48週間投与の認容性は認められたものの,多系統萎縮症の進行を遅らせる効果は確認できず,プラセボと比較した場合のバイオマーカーの変化も見られなかった.このため,このランダム化比較試験は途中中断となっている.一方高血糖マウスにおける実験では,ラパマイシンによるオートファジー刺激が腎機能の保護と関連することが報告されている.
タウロリジンは,カテーテル関連の感染を予防するために使用される抗生物質である.またタウロリジンについてはオートファジーを誘導することも知られている.Huangら17)は,タウロリジンが敗血症においてマウスを保護することを報告している.しかしヒトでの効果の検証は,今のところなされていない.
2)免疫栄養,薬剤敗血症ではオートファジーを適切に制御することで過剰な炎症反応を緩和し,臓器障害を軽減することができる.一方これとは別に抗炎効果を有する栄養剤の使用により免疫反応のバランスを調整しすることによりオートファジー細胞死を抑制して敗血症の予後を改善できる可能性がある.しかしながら臨床試験では免疫栄養の有益性は証明されておらず,American Society for Parenteral and Enteral Nutrition(ASPEN)は,オメガ3系脂肪酸,エイコサペンタエン酸,ドコサヘキサエン酸などの抗炎症性脂質やセレン,亜鉛,ビタミンC,ビタミンEなどの抗酸化物質を調製した経腸栄養剤を日常的に重症患者に使用することは推奨していない18).
3)オートファジーの抑制クロロキンやヒドロキシクロロキンは,オートファゴソームとリソソームの融合を阻害することにより,オートファジーを阻害することが知られている.これらの薬剤を投与してオートファジーを抑制する試みは,オートファジーが生体防御機構であることからすればいささか奇異に感じられる.しかしLuらは19),ヒドロキシクロロキンがサイトカイン産生と血管漏出を減少させ,細菌クリアランスを促進することによって大腸菌感染による致死からマウスを保護したことを報告している.クロロキンおよびヒドロキシクロロキンの免疫調節作用は,最近はCOVID-19において注目されたが,メタアナリシスの結果はこれら薬剤には効果がないか,ほとんどないと結論づけている.
4)Permissive underfeedingオートファジーは低栄養に対する生理的反応であるため,投与カロリーを制限することによりオートファジーを活性化することが可能である.Arabiらは,まず成人の重症患者において,非タンパク質カロリーを制限した経腸栄養を実施しても死亡率の低下にはつながらないことを示した.続いて同じグループは,栄養リスクが高い患者および低い患者において,必要カロリーよりもやや少なめのカロリー投与を行うpermissive underfeedingを実施し,標準治療を実施した場合と同様の治療成績であったことを報告している20).この様な報告を受けてASPENは,肥満のICU患者のケアには高タンパク低カロリー食を導入することを提案している.
敗血症において,オートファジー,オートファジー細胞死,炎症の関係は複雑であり,疾患の転帰を決定する上でその理解は重要である.オートファジーは炎症を抑制し,細胞の生存を促進することで防御的役割を果たす一方で,その調節不全は過剰な細胞死と炎症の悪化をもたらすことになる.敗血症で優勢となる細胞死様式―アポトーシス,ネクローシス,その他のオートファジー関連細胞死,あるいはオートファジー細胞死―は炎症反応の活性化,もしくは抑制により敗血症の転帰に関与している.したがってこれらのプロセスを調節する治療により,敗血症患者の予後を改善させ得ることが期待される.
研究費(受託研究,共同研究,寄付金等)(JIMRO,旭化成ファーマ)