Japanese Journal of Thrombosis and Hemostasis
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Report on the 11th Educational Seminar of the Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis
Tatsuya KONISHI
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2025 Volume 36 Issue 1 Pages 59-60

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1.はじめに

私は2023年11月11~12日に開催されました日本血栓止血学会 第11回教育セミナーに受講生として参加させていただき,この度「日本血栓止血学会教育セミナーの報告」というお題で執筆の機会をいただきました.インターネットからバックナンバーを振り返る限り,本学会誌の「トピックス」では学術的な記事が並んでおり,(おそらく)唯一の感想文という異色の内容をお届けすることとなり若干の戸惑いもありますが,今回のセミナーで得た学びや,新たな仲間と出会えた経験をお伝えできることを嬉しく思います.

2.参加のきっかけ

私は医師11年目になりますが,これまで血液内科医として造血器腫瘍に対する同種造血幹細胞移植を中心に研鑽してきたため,正直,血栓止血の分野とはあまり縁がありませんでした.お恥ずかしい話,昨年まで日本血栓止血学会教育セミナーの存在すら知らずに過ごしてきました.そんな中,当科の山之内純先生(愛媛大学)に参加を勧めていただきました.開催告知ポスター(図1)をみてみると「対象:血栓止血学ビギナーズ 若手医師(初期研修医・専攻医を含む)」と記されており,明らかに自分はその上の年齢層に入るなぁ…と少し気後れもしましたが,大阪に行けるという魅力と,経験値が少ない分野を深く学ぶチャンスでもあると考え,参加を決意しました.

図1

2023年度 第11回教育セミナーの開催告知

3.セミナーの内容

セミナーは天野景裕先生(東京医科大学)によるオーバービューとアイスブレイクから始まり,先生の気さくな冗談が交じると会場は笑いに包まれ,緊張が解けるとともに期待感が高まりました.本セミナーは6つのワークショップと2つの特別講演で構成されており,ワークショップでは「止血機能検査」「血小板」「凝固系出血疾患」「血栓性疾患」「DIC」「TMA」といった6つの講座が設けられ,エキスパートである先生方が多岐にわたるテーマについてわかりやすく,インタラクティブに教えてくださいました.また,2日目のモーニングセミナーで向井幹夫先生(大阪国際がんセンター)ががん関連血栓症について,ランチョンセミナーでは新谷歩先生(大阪公立大学)が統計解析についてといった普段なかなか拝聴できない貴重な内容についても学ぶことができました.この2日間はまさに,血栓止血の基礎知識を少し湧き水で潤すつもりが,知識の滝に勢いよく打たれるような感覚でした.多くの開催とフィードバックを通じて磨き上げられてきた1この素晴らしいセミナーに参加できたことを嬉しく思い,アップデートできた知識を今後の日常診療に活かしていくことが楽しみになりました.

4.情報交換会での出会い

セミナーのもう一つの魅力は夜の情報交換会でした.日中の講義を終え,夜にはディレクター,ファシリテーター,チューターの先生方と受講生が集まり,会場で情報交換会が行われ,一晩で多くの講師や受講生の先生方と交流することができ,気がつけば10名以上と連絡先を交換していました.その後は会場外で二次会へと移動しました.お酒も進むにつれて会話もさらに弾み,かすかな記憶によると最後は四次会まで続いたのでは…と思います.若干の二日酔いで迎えた翌朝も,皆さんの温かい励ましで乗り切ることができ,良い思い出です(なお,モーニングセミナーについては後日配布スライドをじっくりと見返して復習させていただきました).このセミナーで出会えた先生方とは今でも気軽に連絡を取り合うことができ,相談できる関係を築けたことが,何よりの財産です.

5.次回セミナーに向けて

2024年11月に開催予定の第12回教育セミナーでは,私もチューター役を務めさせて頂けることとなり,今度は参加者をサポートする立場で参加する運びとなりました.この文章が掲載される頃には今年度のセミナーも無事に終了しているかと思いますが,2024年10月現在,開催までひと月を切っているなかでこの記事を執筆しております.昨年は多くの先生方から学びをいただきましたので,今年は少しでもその恩返しができるよう,精一杯サポートに努めたいと思っています.参加される先生方が,血栓止血の分野を楽しみながら深め,そして新しい繋がりを築ける場となるよう,全力でサポートする所存です.

6.おわりに

最後に,この貴重な執筆の機会をくださった編集委員の武山雅博先生(大阪医療センター),推薦いただいた小川孔幸先生(群馬大学),学会誌編集に携わる先生方,そして教育セミナーの開催に尽力された全ての先生方に心から感謝申し上げます.今回のセミナーで得た知識と人脈は,まるで凝固カスケードのように私の中で次々と連鎖し,より深く広がりを持たせることができました.今後も,教育セミナーを通じて血栓止血領域における学びと出会いを重ね,このカスケードがさらに多くの仲間へとつながっていくよう努めていけたらと思います.

著者の利益相反(COI)の開示:

本論文発表内容に関連して開示すべき企業等との利益相反なし

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