2025 Volume 74 Issue 2 Pages 189-190
目的:新型コロナウイルス流行期における小児の受動喫煙ばく露状況,ならびにその背景となる同居家族の喫煙状況,特に加熱式たばこの喫煙状況を調査することで,小児受動喫煙ばく露防止につながる有効な知見を抽出する. 方法:調査は令和3年度(2021年度)に大阪府寝屋川市内の小学校に在籍する小4児童1760名を対象に実施した.調査では唾液中コチニン濃度測定と家庭内喫煙状況に関するアンケートの提出を求め,これらの結果を解析した. 結果:加熱式たばこのみを喫煙する家庭では,紙巻たばこも喫煙する家庭に比べて分煙実施の割合が有意に低かった.児童の受動喫煙ばく露のカットオフ値は,感度と特異度を考慮したROC解析により唾液中コチニン濃度 1.0 ng/mlを採用した.この場合,「加熱式たばこのみを喫煙し分煙していない家庭児童」では受動喫煙陽性率は18.4%であった. 結論:加熱式たばこのみ喫煙している家庭でも,分煙していなければ児童を受動喫煙から十分に防護することは困難であることが明らかとなった.小児を受動喫煙のリスクから防護するためには,紙巻たばこ利用者のみでなく,加熱式たばこ利用者に対しても受動喫煙防止の啓発が重要である.