2025 Volume 74 Issue 2 Pages 191-192
目的:高齢化が進む日本において,2020年自殺者数における60歳以上高齢者の占める割合は約40%となっており,高齢者の自殺対策は重要な課題である.本研究では,今後の自殺対策に繋げるため,先行研究で報告のあった社会生活指標や生活習慣等について,二次医療圏別にデータを作成・分析し,高齢者の自殺率との関連について検討する. 方法:公開されている既存データを用いて,二次医療圏における男女別,60歳以上の自殺標準化死亡比(standardized mortality ratio,SMR)と社会経済的要因,生活習慣や治療中の生活習慣病等との関連についてノンパラメトリック相関分析,重回帰分析を用いて分析した. 結果:重回帰分析では,男性は高血圧,喫煙,飲酒(毎日),高齢単独世帯,高齢者の就業率と正の関連,女性は心療内科・精神科医師数,納税義務者一人当たりの所得と負の関連が示された. 結論:高齢者の自殺SMRと社会経済的要因や生活習慣などとの関係においては男女差が示唆されることから,各地域においてきめ細かい施策を考慮する必要がある.宮崎県の60歳以上の自殺SMRの高い二次医療圏においても全国分析と同様の傾向がみられており,今後はより詳細な地域データを基に対策を進める必要がある.