アマゾン・ドット・コムのCEOジェフリー・ベゾス氏が,年内に日本でも電子書籍の販売に乗り出す方針を明らかにしたという報道がありました。電子書籍のキンドル事業は2007年に始まったとき9万点だったのが,いまは100万点をはるかに超えるそうです。4月中旬に来日した際の,ベゾス氏のインタビュー記事が話題になっています。
一方,日本では4月に株式会社出版デジタル機構が設立されました。現在日本で流通している電子書籍は5万点といわれますが,会長(設立時は社長)の植村八潮氏によれば,5年後には100万点の電子コンテンツ,2,000億円の市場創出をめざすとのこと。株式会社ではありますが,非競争領域における公共基盤となることをめざしているそうです(『月刊Journalism』2012年5月号のメディア・リポート)。あらゆる端末,書店,出版社を結ぶ架け橋という意味を込めて,サービス名は「パブリッジ」。今年は真の「電子書籍元年」といえるのではないか,という声も聞こえます。
そのようななかで,今号も冊子とWebの両方で多彩な記事をお届けできることを嬉しく思います。漢字,とくに人名漢字については熱い議論が繰り返されています。情報流通の観点に立って,漢字の扱いの現状を知り今後を考えたいという問題意識から,今回の記事を企画しました。
「電子ジャーナルの利用規約を考える」と題した記事もまた,情報の円滑な流通と利用を目指した取り組みの報告です。電子付録として「利用規約ガイドライン(案)」が付いています。ぜひ,Web版〈http://johokanri.jp/journal/〉でごらんください。そのほか,メトリクス,メタゲノムとカタカナの標題が続きますが,いずれもいま旬のキーワードです。今号の記事が,皆様の参考になることを願っています。(KM)