Journal of Information Processing and Management
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Meeting
The 17th meeting of INFOMATES
Noriko OKA
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2012 Volume 55 Issue 9 Pages 691-692

Details

  • 日程 2012年8月27日(月)18:30~20:00
  • 場所 科学技術振興機構 西日本支所
  • 主催 情報活動研究会(INFOMATES)
  • 後援 一般社団法人情報科学技術協会(INFOSTA) 独立行政法人科学技術振興機構(JST)情報提供部

参加者数:15名(運営委員6名含む)

今回の参加者は多くが初対面であった。そこでまず,氏名と所属,どこの非常勤講師あるいは常勤教師であるか,担当の科目について自己紹介を行った。全15名の現職は,大学の現役教授4名,非常勤講師7名,大学図書館職員1名,企業の現役2名,元教員1名という内訳であり,大学での正規講師を含めると定年後の講師が3分の2を占めた。その経歴は,元が企業勤務の者と,元も大学勤務の者が半々であり,さまざまな経験の持ち主が集まった。

その後,日頃感じている問題や課題,あるいは悩み事を自由に意見交換しながら,討議を進めた。ここでは,まず授業評価の悩み,さらに司書課程を修了して免許を取得しても就職が非常に難しいという問題があげられた。そのため学生のモチベーションをいかにして維持するかが大きな課題であるとの指摘である。また授業中に学生の手応えがないが,授業の工夫を一体どのようにしているのか,といった相談があった。

以下に概要を報告する。

授業評価への悩み

学生間にレベルのばらつきがあり,授業の内容をどのレベルに合わせるのか,講師としては悩む。それに関連して学生の授業への集中度にも違いが大きい。講義レベルと関連して,授業にいかにして集中させるか悩むとのお話が出た。

講義レベルは,文科省指定の内容を基準とするのが適切であり,十分勉学している学生もいるが,当然怠ける者もいる。怠ける者の評価が低くなることは致し方ないのでは,という意見が出た。

就職の難しさの実情と司書課程授業のモチベーション維持の問題

司書課程を取得した学生にとって,図書館司書としての就職先はほとんどないといえる。このような現実では,学生のモチベーションをいかにして維持するか悩ましいという意見があった。大学によっては,モチベーションは比較的高いところもあるようだが,全体的には受講する学生が減少傾向にあるといえる。そこで,司書免許を取得することだけを目標としないこと,就職率の悪いことを先に知らしめるという意見が出た。また授業内容は現在の情報社会で生きていくために必要な最低限のスキルであると指導し,京都大学や東北大学のように,全学生を対象にしたリテラシーを向上させる取り組みを参考にするという意見が出た。

あるいは司書課程で学ぶ科目を拡大し,知財情報に関する科目を設置するなど,独自の取り組みがなされている例もあった。参考として,近畿大学司書課程の取り組みが紹介された1)。現状では非常勤講師という立場でカリキュラム内容の変更は難しいと思われるので,できるだけ正規教員との連携を密にし,アイデアを述べる機会を持つようにしたいという意見も出た。

また司書課程学習の狙いや目標を具体化して,資格等で取得することを指導するという意見もあった。例えば情報検索基礎能力(あるいは応用能力)試験2),ファイリング・デザイナー検定3),文書情報管理士検定4)などがあがった。その他,司書の関係する学会(日本図書館協会5)・情報科学技術協会6)ほか)に入会し,会誌から最新情報を入手して,学生の情報への意識を向上させるなどの提案もあった。

さらに教育課程にも関与している講師から,学校図書館司書教諭の就職率は高いとの話が出た。教育学部で将来教員を目指す学生で,司書課程,教職課程,司書教諭課程の3つともを履修する者もおり,特に英語の高レベルの人材を育てているところの紹介があった。

授業での学生の手応えがつかみにくいという問題

久しぶりに講師を務めたが,学生の手応えがなく,どうしたものかという悩みが寄せられた。これに対して,例えば前回の授業の復習を簡単にしてから講義を始めるなど,確認しながら理解を深めて進めるように工夫しているという助言があった。

また学生にもさまざまなタイプがいるので,そのよい点をできるだけ発揮させ評価してやりたいと思う,そのために,試験だけではなく,調査演習をやらせてレポートを作成させるなど,いろいろなやり方を行うようにしているという意見が出た。

最初に出た授業レベルの問題とも関係する課題であり,主体である学生のためになる授業を行うには,まだまだ課題は尽きないと感じた。

ようやくいろいろな意見が出始めたところで予定時刻になり,心残りであったが一旦終了した。今回は,司書課程の教員経験者が集まり,根本的な司書課程授業のあり方について熱心な話し合いが行われ,全員が高い志で講師を務めていることが伝わってきた。

参考文献
 
© 2012 Japan Science and Technology Agency
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