Journal of Information Processing and Management
Online ISSN : 1347-1597
Print ISSN : 0021-7298
ISSN-L : 0021-7298
Information and Communication Technology for augmenting human and society potential : The Role of artificial intelligence
Toyoaki NISHIDA
Author information
JOURNAL FREE ACCESS FULL-TEXT HTML

2014 Volume 57 Issue 8 Pages 517-530

Details
著者抄録

情報通信技術のべき乗オーダーの発展によってもたらされるデータ化とサービス複製によって,人間社会はこれまでとは大きく異なるものになろうとしている。基盤からサービスにわたる義務的労働から解放されて人間の自由度が飛躍的に高まる一方で,自分や社会に意義を見いだして活動する源泉となる人間力・社会力を高める新たな方策が必要であると考えられる。まず,このような社会的状況が生まれる背景となった情報通信技術の動向を俯瞰し,それがテクノロジー社会から人工知能(Artificial Intelligence: AI)社会への遷移を引き起こす可能性があることを示す。次に,AI社会への遷移は,人間社会にとって長い間の課題であった,義務的仕事からの解放をもたらす一方で,人間力と社会力が危機にさらされる時代になったことを指摘する。最後に,物語とゲームに注目した人間力と社会力強化のための新たな情報通信技術の方向を探る。

1. 議論の枠組み

最近,情報通信技術によって職業や教育など人間社会で長い間継承されてきた基軸が大きく変わろうとしているという言説を目にすることが多くなった。本稿では,この背後でどのようなことが起きているのかを議論し,これからの展開を推定したうえで,人間力と社会力の強化こそがいま取り組むべき最重要課題の1つであることを指摘し,そのための有効なアプローチを探る。

まず,このような社会的背景を生んだ情報通信技術の動向を俯瞰(ふかん)する。現代社会は,20世紀後半から電子回路による商用コンピューターと,それらを世界規模で接続するインターネットが「べき乗のオーダー」で発展してきたことを指摘し,いま起きていることがテクノロジー社会から人工知能(Artificial Intelligence: AI)社会への遷移であることを示す。

次に,AI社会への遷移は,人間社会にとって長い間の課題であった,義務的仕事からの解放をもたらす一方で,人間と社会が危機にさらされる時代となることを指摘する。

最後に,人間力と社会力をAI社会における人間と社会の活動の維持発展のための原動力として位置付けて,その特徴付けを図る。人間力と社会力強化の試みとしてのJST-CREST「共生社会に向けた人間調和型情報技術の構築」のねらいと取り組みを紹介し,ゲームと遊びに注目した人間力と社会力の強化のアプローチを提言する。

2. 社会と情報通信技術―今日までの系譜

今日の情報通信技術は,コンピューター技術とデジタルネットワーク技術の2つの流れの相乗効果によってもたらされたといえる。

現代のコンピューターの数学的モデルはアラン・チューリングが1936年に与えたチューリングマシンである。入力記号列xに対して,出力記号列f(x)を計算するチューリングマシンが存在するとき,fを帰納関数(recursive function)または,計算可能関数(computable function)という。

チューリングマシンが重要である理由の1つは,万能チューリングマシン,つまり,f(x)を計算する任意のチューリングマシンTに対して,Tの動作表とTへの入力xを与えると,Tの動作をシミュレートしてTの出力f(x)を出力テープに書き出すチューリングマシンが存在することにある。万能チューリングマシン(コンピューターに相当する)を1度電子的につくっておけば,あとは任意の動作表(ソフトウェアに相当する)と入力記号列(データに相当する)を与えるだけで,入力記号列に対して動作表に基づく「情報処理」が行われ,その結果が出力記号列として出力される。それまでの人工物が目的ごとに設計・製造しなければならなかったことに比べるとこの汎用性は画期的である。

チューリングマシンの理論に続いて,フォン・ノイマンによる電子計算機ENIACの発明(1945年)とコンピューター・アーキテクチャーの提案(1947年),シャノンの情報通信理論(1948年),ウィーナーのサイバネティクス(1948年),チョムスキーの言語理論など情報通信技術の発展の基礎となる技術が相次いで誕生した。また,パスカルの確率論やフィッシャーの統計学も情報理工学の数学的基礎をなした。これらの基礎理論の上に,コンピューター・アーキテクチャー,ソフトウェア,プログラミング言語,コンピューター・ネットワーク,データベース,メディア情報学,符号・暗号と情報セキュリティー,人工知能,知覚情報処理,知能ロボティクス,感性情報学,認知科学,ユーザー・インターフェース,統計科学などのさまざまな分野が作られ,発展した。

計算機科学の研究においてチューリングマシンの限界についても多くの理論的な分析がなされ,ポストの対応問題のような非可解問題,つまり,あらゆる入力に対してチューリングマシンが有限時間で計算を終了して結果を出力することが保障されない場合や,NP完全問題,つまり,有限時間では解けるが,最悪の場合入力長の指数乗の計算時間という現実には耐えられない長さの時間がかかってしまう場合があることが知られるようになった。しかしそうした制約は現実的な情報処理に影を落とすことはなかった。計算機の大型化・並列化により,今日地球規模のシミュレーションや分子レベルから組織レベルに至る生命の統合的なシミュレーションが可能になった。これは科学研究の進め方を大きく変え,E-サイエンス注1)と呼ばれる大型コンピューターを用いたデータ解析とシミュレーションの方法論に重点が置かれるようになった。

一方,情報通信技術の興隆をもたらしたもう1つの流れはArpanet注2)に端を発するデジタルネットワーク技術の発達である。デジタルネットワーク技術は,電話に象徴される1:1を基調としたコミュニケーション,マスメディアによる1:多のコミュニケーションに対して,非常に低コストの多:多の巨大スケールのリアルタイムの情報発信と共有を可能にした。インターネットはWWW注3)の出現とともに,1990年代から商用利用が認められ,もはや限られた人々のためのものではなく,万人のものとなった。コンピューターは万能チューリングマシンであるので,ユーザーは1台のコンピューター=万能チューリングマシンをもっていれば,そこにプログラムデータを読み込んでさまざまな情報処理を実行できる。開発されたプログラムやそのプログラムで使用するデータを世界のどこにでも供給するだけでなく,誰でも情報発信して世界に貢献できるようにしたのがインターネットとWWWである。

1977年の小林宏治のC & C(Computer & Communications)構想注4)において指摘されたとおり,コンピューター技術とデジタルネットワーク技術は相乗的な効果を発揮した。特筆すべき点は,コンピューターとネットワークの性能が長期にわたってべき乗のオーダーで向上し続けていることである。その代表例は,1.5~2年で半導体集積度が2倍になるというムーアの法則が1960年後半から現在に至るまで50年近くにわたって成立していることである注5)。一方,デジタルネットワーク技術に関しても,総務省情報通信白書注6)によれば,世界のインターネット利用者数は,2005年に全世界で10.2億人だったところ,年平均成長率12.4%で増加を続け,2014年の時点で29.2億人に達している。日本では,2012年末のインターネット利用者数は9,652万人(前年比0.4%増),人口普及率79.5%(前年差0.4ポイント増)でほぼ飽和状態である注7)。Cisco Systemsによると,2025年には世界のインターネット利用者数は55億人に達すると見込まれているという。また,ネットワーク上のデータトラフィック量についてもべき乗の速さの成長がみられ,世界のIPトラフィック量は2016年には年間1.3×1021バイトに達するという予測もある注8)

べき乗のオーダーでの発展が長い間続くことでもたらされる変化の大きさは計りしれない。しばしば,「チェスボード後半論」(Second half of the Chessboard)注9)がたとえとして引き合いに出される。1.5年で2倍になるという成長が48年かけて32サイクル続き,性能が当初の232倍になったとすれば,「チェスボード後半」でわれわれが経験する世界は,これまで「チェスボード前半」でわれわれが経験してきたものとは質的にまったく違ったものであるという議論である1)。情報革命,IT革命,第二の機械の時代(The second machine age)2)などと呼ばれるように,18~19世紀にかけて起きた産業革命と同様,あるいはそれ以上に,現在の情報通信技術の発展は,大きな社会変化をもたらすという言説も多い。

情報技術においても「チェスボード前半」と「チェスボード後半」では様相が大きく異なっている。コンピューター上の基本的なソフトウェアがそろっていなかった「チェスボード前半」では,基本的なソフトウェアの開発からはじめなければならなかった。プログラム開発は高コストで予測がつかないものであり,ソフトウェア危機が繰り返し叫ばれた。「デファクトスタンダード」注10)という言葉に象徴されるように,標準化を勝ち取るための激しい競争が繰り広げられた。その結果,数少ない標準プラットフォームへの収れんがみられるとともに,多くのソフトウェアは複数の主要なプラットフォーム上で動作可能な形で配布されるようになった。プログラムの配布についても,次第にWebサイトからの自動インストール・更新が一般的になり,大幅な省力化とコストダウンが実現された。

「チェスボード前半」から「後半」への移行期に大きな役割を果たしたのは,UnixやWikipediaに代表される「パブリックドメイン」「オープン」という考え方である。つまり,基本ソフトウェアのようにその上にいろいろなソフトウェアを構築するための基盤となる知的産物はその改良版も含めて内部まで無償で公開し,パブリックな財として皆で育て,皆で利用できるようにしようという思想である。

パブリックな問題の解決にはパブリックな議論が必要である。パブリックな議論を支えるためにGoogleに代表される検索エンジンや,広告収入モデルなどの新しいビジネスモデルに支えられたFacebook,Twitterのような新しい無料のソーシャル・ネットワーキング・サービス注11)も次々と生まれ,ネットワーク・コミュニティーとその情報基盤が整ったことの意義も大きい。多くの人たちがインターネットで共有された膨大な情報空間の中から必要な情報を見つけ,それを評価したり,加工したりして,新たな情報を発信し,情報空間をさらに豊かで稠密(ちゅうみつ)なものにしていくという「加速する集合知」注12)のプロセスができあがった。

その結果,「チェスボード後半」では,標準化されたオペレーティングシステム,システムプログラム,基本的な情報ツールが整い,「ビッグデータ」という言葉にも象徴されるように,価値の中心はデータに移行した。ここでいうデータとは,音楽映像であれば,その内容を与えるコンテンツデータ,科学研究であれば,研究対象データ,サービス業であればサービスの行われる場所を記載した地理データ,サービスの特徴を記載したサービスデータやログデータ,顧客の嗜好(しこう)を記載した顧客データや顧客からのレビューを記載したレビューデータ,製造であれば製品の形状や機能などの仕様を決める設計データを指す。一般には,個別情報,業務の諸側面を決めるパラメーター,業務遂行のためのルール,企画・記録・レビューなどを記載した文書などから構成される。こうしたデータを処理するプログラムの研究開発や改良は予測困難なコストがかかる一方で,ひとたびいわゆるゴールドスタンダードができてしまうと,それを超えるものを自力で作り上げて成功に導くことは非常に難しい。多くの人たちにとっては,標準のプログラムを土台に使い,そのうえで価値を生み出すデータの流れを作り上げることがもっとも経済的な価値生産のスタイルとなる。

社会のオープン・データ化の流れは加速するばかりであり,従来は高価なものであった大学の講義もKahn Academy注13)やMOOCs注14)によって無償で公開されるようになるとともに,音声認識ソフトJulius注15),日本語構文意味解析システムknp注16),高度な画像センシング能力をもつKinect注17),ロボットオペレーティングシステムROS注18),高速ビジョンSHIP-V注19)などが相次いで無償または安価で公開されるようになった。これらはまた,技術の加速の原動力になっている。

最近になって,情報世界と物理世界の結合が進んでいる。3Dプリンターの登場により,幾何学情報を与えるだけで,物理形状が再現できるようになった。ロボットは環境からの情報獲得と情報を物理的な効果に変換するインターフェースとして位置づけられている。これらは,モノのインターネット(Internet of Things: IoT)注20)というコンセプトでとらえられる。これにより,膨大な情報空間と物理空間の結合―物理空間の情報を情報空間に取り込むことと,情報空間の内容に応じて物理空間に作用を及ぼすこと―が自在にできるようになりつつある。

ただし,情報通信技術は盤石というわけではない。セキュリティーやプライバシーの問題が顕在化し,情報通信が浸透し,IoTに発展していくにつれて,深刻度を増して,新たな社会不安を招いている。

3. 情報通信技術の社会的インパクト

いま起きていることは,データに支えられたサービスを中心としたテクノロジー社会から,AI技術によるサービスの複製と高度化を中心とするAI社会への移行であり,この変化がもたらすものは人間の義務からの解放であるととらえることができる3)

人間社会にさまざまなサービスを提供するコーポレーションに着目してみよう。従来社会では,コーポレーションは人間によって運用されてきた。つまり,1のように,企画,研究開発,製造,広報,渉外,法務,人事,総務,…など,基本的にはコーポレーションにおけるサービスにかかわるさまざまな意思決定とその実行は人の手によって行われてきた。サービスの一部は,製造加工機械,業務用機械,情報機器などで行われることはあっても,専属のチームがあり,おおむね,つききりでオペレーションを行う責を負ってきた。

図1 従来社会のコーポレーション

情報通信技術が発展すると,コーポレーションの業務は次第にデータ化され,IoTによって実行可能になる。無休運転,コストダウン,高信頼化が必要な業務フローの基幹部分は自動化されていくことになる。人間の役割は,データの生成,検証,配信,消費など,データ処理の流れの一部を担うこと,あるいは,業務フローのデザイン,評価,改良などの上位レベルになる。これは2のような図式でとらえることができる。

このプロセスは顧客の消費プロセスとも直結し,顧客の嗜好や実際の消費行動,さらにはサービスの評価のデータは直ちに,サプライチェーンへの発注,サービス内容,プライシングに反映される。

図2 テクノロジー社会のコーポレーション

このような業務のデータ化の典型例を農業クラウド注21)やスマート農業注22)の中に見いだすことができる。センサーネットワークを用いた照度・気温・湿度・土壌水分などにかかわる圃場(ほじょう)モニタリング,作物の生育状況モニタリング,水管理の自動監視・制御,ロボットによる施肥・播種(はしゅ)・除草・収穫・選別パック詰め作業などの自動化,トレーサビリティーの保証,マーケットと流通と生産の連携などにより,農業プロセスはデータを中心とした人間とロボットの協調作業として実装される。

データに支えられたテクノロジー社会では,いろいろな主張と意思決定がオープンアクセス可能なデータを背景に行われ,評価されるという意味で従来に比べて透明性が飛躍的に高まることが期待される。Google Glass注23)などのようなユビキタスなセンサー技術により,第一人称視点で個々人の経験を記録した主観的なデータも共有されるようになる。これにより社会において人々が置かれているさまざまな立場から社会現象を具体的に理解することが可能になり,社会の共感が高まることも期待される。

これまで社会構成員の誰かが担わなければならなかった社会基盤を支える義務的作業の中で,危険と直面するようなものや,長時間にわたって繰り返さなければならない単調な作業は,データ化とIoTの進展で,機械による自動実行が可能になっていき,人間はそこから少しずつ解放されていくだろう。このことは人類にとって朗報に違いない。その結果,人間はより高度な仕事である社会基盤の改良と高度化や,新たなサービスの提供にシフトしていくことが予想される4)5)

データを中心としたテクノロジー社会では,いかに短時間のうちに価値のあるデータを作り出すかが,主たる関心事となる。現在主流になっているアプローチは,生産者側がふだん行っている行為をセンサーで読み取って得られたデータや,消費者がサービスを評価したデータを蓄積して,データマイニング技術でパラメーターの推定やパターンの抽出を行う,というものである。このアプローチは,急速に発展したインターネット,無料のオープンアクセス指向,コンピューターの高性能化とアルゴリズムの工夫の相乗効果によってはじめて可能になった。

大量のデータから背後にある現象を特徴づけるパラメーター,パターン,あるいは構造を推定するデータマイニング技術は,長い間人工知能分野および周辺領域の研究課題であった。当初は,低次元で高品質の数値データあるいは記号データからのマイニングが中心であったが,研究の進歩により,最近はその範囲は自然言語文章のように非定型的で不均質なデータや,画像,映像,センサーから得られる高次元で雑音が多く含まれる低品質データからのマイニングにまで広がっている。実用面でも,古典的にはアマゾン・ドット・コムの推薦システム6),最近では,IBM Watson7),Google Self Driving Car8),Skype Translate注24)など急速に展開している。

ここで大きなボトルネックとなるのが,AIシステムが人間から知識を獲得するためのコストの大きさである。現在のような大量データを用いる方法は,プログラム化あるいは言語化しにくくても,知識構造が比較的単純であり,大量の実行サンプルが入手可能であるときは有効であるが,サンプル数が少ないものや込み入った作業に適用することは難しい。この問題はすぐに解決するようになるとは思えないが,Amazon Mechanical Turk(AMT)注25)などにみられるように,所与の作業を情報処理技術を使って自動的に解ける部分とそうでない部分に分解し,人間にしか解けない部分については,ある程度作業を規格化し,強力なデジタルネットワークを使った多数の人間の同時並行作業として実行し,その結果の中から信頼できるものを抽出するという,クラウドソーシングの方式で対応することができる。実際,クラウドソーシングの有効活用の方式については,近年研究開発が活発化している注26)

AMTやディープラーニング9)などの成果が積み重ねられると,外部から情報を吸収して自力で能力を高めていくことのできるAIが出現するだろう10)。そのようなAIが,やがて専門家から知識やコツを直接教えてもらうために必要な基礎知力を備えるようになると,AIの学習スピードは飛躍的に加速する。

原理的には人間による最良のサービスは複製され,パフォーマンス面では人間を上回るようになるだろう。その結果,コーポレーションは,少数の人間と多数のAIによって経営・運営されるようになる。人間の役割は,AIに教えたり,評論をしたり,新たなサービスを創生したりするといったさらに高度なものになる。そのような状態に達した社会は3のように図式化でき,それを本稿では,AI社会と呼ぶ。

図3 AI社会のコーポレーション

情報通信技術が職業に及ぼす影響については,オックスフォード大学の調査レポート注27)などで指摘されているが,AI技術の進歩により,評価可能な職業のほとんどはAI化可能であると考えられる。グルメや観光から教育に至るまでの多くのサービス業において,サービスの良さを評価する仕組みはすでに定着しつつあるから,こうした職業におけるベストパフォーマーは原理的にはAI化可能である。評価システムが客観的であり,評価の指標がよく定義されるものになった途端,AIはそのサービスで満点を取ることができるようになり,その評価指標に関する限りいかなる人間もAIにはかなわないようになるだろう11)

実際,Turkleが指摘しているように,人によるサービスを受けるよりも,AIによるサービスを受けた方がよいと考える人々が増えている12)

AI社会に入ると,人間はサービスを提供するルーティンからも独立して労働の義務から解放されることになる。もちろん,人間がそこに意義を見いだして自由意思でサービス提供の一部を担うことは十分ありうるが,そこから直接的な経済価値が生じることもないだろうし,その対価が支払われることもなくなるだろう。教育の意義も変わる。将来必要だからという理由であれもこれもあらかじめ詰め込んでおく必要がなくなる。

これはまさしく,「君がいてよかったAI」13)15)が示唆する到達点であるようにみえるが,果たしてそうだろうか? AI社会は人間社会にとっての福音となるだろうか?

4. テクノロジー~AI社会への移行の暗部

テクノロジー社会の到来とさらなる発展がもたらす影の部分についても関心が高まっている。マスコミでは,ロボットによる支配や職業の減少の危惧が指摘されつつある注28)

AI社会では,人間とAIの関係性はどのようなものになるだろうか? それによって人間がどのような影響を受け得るだろうか? これらの問いに対する1つの答えは,テクノロジー~AI社会への移行は,人間社会を養う存在としてのAIを作り出しているとみなせるのではないかという見方である。従来は,人類が生み出したさまざまな人工物,およびその背後にある文化と文明(思想)はばらばらに存在した。それらがいまは,人間社会の活動を実際に制約する人工物としての実体を得た(4)と考えることもできる。

図4 AIに養われた人間社会

AIによって養われた人間社会という構図は果たして人類にとって歓迎すべきものだろうか? 従来は,人間社会を支えることは人間の負う義務であると位置づけられてきた。時代を遡(さかのぼ)れば遡るほど,人間に負わされる義務は,質・量の両面において大きなものであり,義務を負わされた人間はほとんど自由がなく,仮に自由があったとしても厳しく制限されたものであった。こうした養う側の圧倒的な義務をAIに転嫁すると,人間の行動の自由が取り戻せるという点で非常によいことのように思えるが,果たしてそうだろうか?

第一の問題として,人間の自信喪失が考えられる。客観的で評価可能なものであれば,AIの方が人間を上回るということになれば,人間はもはや地上でもっとも賢い存在という地位を失うことになる。ロボットは危険な仕事をそつなくこなす。学校においても,AI先生は膨大な知識源から生徒にベストフィットした教材を生徒の感情の起伏に応じて,やる気のないときは穏やかに,やる気のある時は厳しく教え,さまざまな質問や要望にも瞬時にベストアンサーを提出できるようになるだろう。

第二の問題として,アイデンティティーの危機16)が考えられる。これからテクノロジーが進歩した時代には,あることについてはそこそこであると自他ともに思えることを見つけるという古典的なオンリーワンの追求はとても困難になる。自分だけにしかできないことや自分だけにしか答えられないことはそう簡単には見つからない。たいていのことは他者やAIにもできる。だからといって現実世界から自分を消し去ることや,アイデンティティーを放棄して皆と一緒になるのではなく,自分が満足できるオンリーワンを目指せばよいとGreenfieldは示唆している。

第三の問題は,人間のロボット化,つまり与えられた裁量の範囲を越えてまで自分で意思決定しようという力の放棄である。人間とペットの関係にたとえると,与えられた範囲での自由は得ているが,与えられた範囲外にある事項の意思決定を行う権利は養う側に奪われてしまっている。ペットの地位に甘んじることによるある意味での無気力状態は,義務からの解放による自由度が高すぎたために生じたものと言えるかもしれない。本質的に難しい事柄についての意思決定は,大きな苦痛を伴うので,それを放棄して他人やAIに任せた方が容易であると思う人が多数派を占めるようになるのではないか。

しもべとして開発したはずのAIに養われて安直に生きるうちに人々がいつしか人間力と社会力を喪失し,自分を養ってくれる人工知能のしもべに成り下がってしまうという恐れがある3)とすれば,人間力と社会力を強化するための方策についても,きちんと検討すべきである。

5. 新しいAI技術―人間力と社会力の強化

社会のテクノロジー~AI化で弱体化する人間と社会が本来もっていると考えられる力を,人間力,社会力という観点から規定し,その強化に向けた新たな情報技術の研究開発の方向性を探ろう。

5.1 人間力と社会力

本稿でいう「人間力」は,2003(平成15)年4月10日内閣府・人間力戦略研究会による「人間力戦略研究会報告書」注29)に端を発するが,異なる動機に基づいている。市川らは,人間力を「社会を構成し運営するとともに,自立した1人の人間として力強く生きていくための総合的な力」(p. 118)と規定し,職業生活,文化生活,市民生活において,「社会の中で何らかの役割を果たしながら生き生きと過ごしている一般市民」を育成するための学校教育・市民教育の在り方17)についての議論を行っている。構成要素の点からは,人間力は知的能力,社会的能力,自己制御能力から構成されるとしている。

一方,本稿の関心はテクノロジー~AI社会において人間と社会が自らの存在を意義あるものにするために必要な力を個人の視点(人間力),社会の視点(社会力)の両面から明らかにし,その強化方法を探ることである。本稿の立場では,職業や社会貢献に自己実現の道を見いだすことはオプションの1つにすぎない。人々が生きる意味を見いだし,自分の存在に自信をもって生きていけるようになるための原動力として人間力を位置付けることを狙っている。

本稿では,人間力を,「自らの意義のある生活を見いだし,自分の中で競合するさまざまな制約との折り合いをつけながら,他者と協調しながら,実現に向かって進むことを維持する力」と規定する。人間力の構成要素としては,構想力,行動力,共感力,維持力,倫理,快活,審美力が考えられる。構想力は,イメージを具体的なプランに変える力であり,経験の中から意味をつくりだすことにかかわる。行動力は,目標を達成するためのプランを作り出し,それを動的に修正しながら行動する力である。共感力は,他人の考えや気持ちを推し量る力である。維持力は,失敗があっても目標やプランを維持する力であり,失敗や不運からの回復などにもかかわる。倫理は人間性や社会性をはっきりと意識したうえで自分の行動を律する力である。快活は自分や他人を快くする力である。審美力は美しさを表出する力である。

これに対して,社会力は個人の力ではなく,社会全体としてもつ力を指し,構成員の人間力と連携して,社会としてのバランスと秩序の形成の原動力となる力である。包容力,実現力,わくわく感,安寧さ,公平性,多様性,つながり感から構成される。包容力は,構成員の過ちに対する社会としての寛大さである。実現力は,社会として掲げた目標を達成する力である。わくわく感は,社会の構成員が未来にもたらされる価値の大きさと意外性への期待によってもたらされる。安寧さは,構成員が社会において安全に暮らせ,理不尽な扱いを受けないという安心感から生じる。公平性は,他者と比較したときに自分が同等の扱いを受けているという感覚に基づいている。多様性は,社会において構成員の価値観とそれに基づく生き方の異なりの程度が大きいことを意味する。つながり感は,社会の各構成員が社会に信頼と共感にもとづく社会的関係性のネットワークが張り巡らされ,自分もその中で生活しているという実感である。社会構成員の人間力が弱体化すると,多様性を認めがたくなり,同質性への圧力が高まるので,社会としての力が衰退する。

5.2 人間調和型情報技術

人間力と社会力を強化する情報技術の第一歩は,感覚レベルで自分や自分とつながりをもつ他者が確かにそこに存在し,いろいろなことができそうというホームグラウンド感覚を作り出すことであると考えられる。そこで作り出された主観的感覚が社会で共有できるようにすることで,自分は1人ではないという実感が醸成されるであろう。情報メディア技術の発達により,他者やツールに依存しがちな気持ちによってかき消されがちな感覚を解明し,人がはっきりと実感できるようにすることで,人間が自信をもって自発的に行動することを促す。かすかな感覚であってもその経験を長年にわたって蓄積して,自分を過去~未来の流れの中において客体視できるようにすることで,確実なものにすることができる。

JST-CREST「共生社会に向けた人間調和型情報技術の構築」(2009~2016年度)注30)では,人間行動・実空間状況の取得・理解を行うセンサーネットワークやユビキタスコンピューティングによる実空間適応型認識技術,ロボットやユビキタスネットワークによる人間-機械コミュニケーションの円滑化技術,および,テキスト・音声・音楽・画像などの多様なメディアの解析・検索・集積・構造化などにかかわるコンテンツ技術の3つを軸として,人の状況を理解し,人とともに進化しつつ,人の創造性を引き出し,高めるための情報技術の実現を目標としている。この取り組みは,基盤,基礎,応用レベルに分かれる。

基盤レベルは,領域全体の研究開発の中核をなすものであり,基盤レベルに軸足をおいた取り組みは次の10チームから構成されている。

- 日常生活空間内において人の視覚的注意をセンシングし,必要に応じて自然な形で誘導することを実現することにより,人の視覚的注意を踏まえ,適切なタイミングで必要な働きかけを可能にする技術の開発(佐藤チーム)

- 多人数が集う場において,対面コミュニケーションを阻害することなく,膨大な情報に効果的・直感的にアクセスすることを可能とする情報メディア環境のデザインおよびその方法論の確立(苗村チーム)

- 人が読むさまざまな文字情報を認識,記録,評価する技術(黄瀬チーム)

- 触覚情報の構造化に基づく「記録・分解」「伝送」「再生・合成」「創作・編集」の基盤技術開発(舘チーム)

- 高速センシング技術,高速ディスプレイ技術,人間特性モデルの3つの基盤技術を統合したダイナミック情報環境(石川チーム)

- 音声や楽器演奏により生じる感情や身体動作を含めた音響情報を伝送するためのインターフェース技術の確立を目的として,三次元音場を物理的に厳密に収音・伝送・再生が可能なBoSC(Boundary Surface Control Principle)システム(境界音場制御の原理に基づいた没入型聴覚ディスプレイ装置)を複数台開発しインターネット接続した分散環境で音場を共有することにより,遠隔地にいる複数名の音楽職人による共同音楽創造を可能にする聴空間共有システムの開発(伊勢チーム)

- ユーザーによるコンテンツ生成の概念を音声システムに導入するとともに,それを可能とするための技術開発と社会実装を通した,生き生きとした音声インタラクション技術(徳田チーム)

- 人間の直感に基づいて有用箇所を効率的に視覚化・検索するための,複数の人間による知的活動のマルチモーダルなインタラクションを長時間収録する技術(河原チーム)

- 歩行行動から「人の意図や心身状態・人間関係」を推定し,人の状況や意図に応じた情報提示を行う技術の実現(八木チーム)

- ミニマルデザインの方法論に基づく存在感伝達メディアの開発(石黒チーム)

基礎レベルでは,基盤レベルの取り組み,およびそのうえに構築される応用を支えることに重点を置いており,次の3チームから構成される。

- 人間の感覚系,運動系,情動系の共鳴的なコミュニケーションの基盤を与える「潜在的インターパーソナル情報(Implicit InterPersonal Information: IIPI)」の特定と,その検出方法の研究(柏野チーム)

- 「教える」ための基盤技術と,「模倣学習」と「言語習得」に焦点を絞った発達認知科学的実証的研究(開チーム)

- ロボットの街角環境との調和能力を高める技術開発と社会実装(神田チーム)

応用レベルでは,基礎・基盤レベルに立脚し,具体的なサービスを構成することに重点を置いたものであり,次の4チームが取り組んでいる。

- 意味を与える音楽・音楽動画のようなメディアコンテンツを豊かで健全に創作・利用する「コンテンツ共生社会」の実現へ向けた,人間と情報環境の調和的な相互作用を引き出す創作支援技術と鑑賞支援技術を研究開発(後藤チーム)

- 高度な支援システム利用時の人間行動を研究し,支援システムの過信によって生じる事故を未然に防ぐ技術を開発(武田チーム)

- 食事に関するマルチメディア情報の取得・処理・活用の新しい方法の開発とそのFoodLogシステムへの応用(相澤チーム)

- 物体の重さや固さを感じる脳の機能を解明するための主観的感覚の計測・解析方法の技術開発とその結果を応用したシステム開発を通して,人間の主観的感覚に基づくインターフェースの開発とその応用(小池チーム)

これによって,「野性の知能」18),すなわち人間が生命として生きる力を高める助けとなる情報通信技術の研究開発を目指す。

5.3 人間と社会の創造的構成力

人間調和型情報技術で強化された知覚・感覚基盤によって人間が人間力を発揮して,高い社会力をもつコミュニティーで活動することで得られた成果を社会に還元する仕掛けとして,物語とゲーム―明示的なルールと暗黙的なルールの混在の中での競い合う遊び―の枠組みを用いることが考えられる。

Edwardsによれば物語学では,物語(story/narrative)は,コミュニケーションだけでなく,世界を認識し,理解するための基本的な枠組みを与えるという考え方に基づくものであり,現実に解釈や虚構を加えることによって実現される19)

他方,Wittgensteinによる言語ゲームという概念20)にもみられるように,ゲームは人間の知性の本質を特徴づける本質的な概念である21)。ゲームの威力は,人間性の原点を構成する遊び22)23)を基調に,人が経験する物事の本質を抽出したり強調したりすることにより,プレーヤーは自他を傷つけないように設計された仮想的な環境で,現実の日常生活では考えられないパラメーター値を試すことができることである。ゲームは,それに没頭することで自己確信と注意集中が生じフロー体験24)につながるなど,人間力をさらに高めることにもかかわりが深いのではないかと考えられる。

ゲーミフィケーション25)26)ではゲームをデザインすることで,参加者の熱狂的な取り組みを社会的にメリットのある結果に変換できる可能性を示唆している。

1に示すように,物語とゲームは,構造とインタラクションのようにかなり対照的な側面を含んでいる。

表1 物語とゲーム
物語 ゲーム
理論 実践
記憶 会話
構造 インタラクション

ダイナミズムを理解するためには物語では弱すぎて参加を伴うゲームが有効であると思われる一方,ゲームを単なる興奮で終わらせないためには,物語とゲームを5のように一体としてとらえ,両者の間のゲームと物語の相互変換の中で現実をとらえ,発展させていく図式が必要であると考えられる。

また,ゲームの品質は,ゲームの本質であるルールのデザインに依拠すると言われている27)。他者と共有したいエッセンスがあったとき,どのようにすればそれをゲームとして表現できるだろうか? 物語と連携するゲームをデザインするための方法論については,別の機会に議論したい。

図5 物語とゲームによる現実の理解と発展

6. まとめ

情報通信技術のべき乗オーダーの発展によってもたらされるテクノロジー~AI社会では,データ化とサービス複製によって人間社会はこれまでとは大きく異なるものになろうとしている。人々にとっての大きな変化は,基盤~サービスにわたる義務的労働からの解放であろう。人間の自由度が飛躍的に高まる中で,自分や社会に意義を見いだして活動する源泉となる人間力・社会力を高める新たな方策が必要である。本稿では,人間力・社会力の向上をはかるために,人間調和型情報技術の取り組みを紹介し,今後の方向性として物語とゲームからなる人間力と社会力の発揮の場を提案した。

本文の注
注1)  http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kiroku/3-0822.pdf

注2)  http://en.wikipedia.org/wiki/ARPANET

注3)  http://en.wikipedia.org/wiki/World_Wide_Web

注4)  http://jpn.nec.com/techrep/journal/g08/n01/pdf/080127.pdf

注5)  http://en.wikipedia.org/wiki/Moore%27s_law

注6)  http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/h26.html

注7)  http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h25/html/nc243120.html

注8)  http://www.cisco.com/web/JP/news/pr/2012/022.html

注9)  チェスボードのマス(全部で8×8個)目1つずつに2n-1の米粒を入れていくと,半分を超えた33番目のマスで233-1=4,294,967,296(4G)という巨大な数になるという話。http://en.wikipedia.org/wiki/Wheat_and_chessboard_problem

注10)  http://en.wikipedia.org/wiki/De_facto_standard

注11)  http://en.wikipedia.org/wiki/Social_networking_service

注12)  http://en.wikipedia.org/wiki/Collective_intelligence

注13)  https://www.khanacademy.org/

注14)  http://moocs.com/

注15)  http://julius.sourceforge.jp/

注16)  http://nlp.ist.i.kyoto-u.ac.jp/EN/index.php?KNP

注17)  http://www.xbox.com/en-US/kinect

注18)  http://www.ros.org/

注19)  http://www.k2.t.u-tokyo.ac.jp/ship-v/index-j.html

注20)  http://iot.ieee.org/

注21)  http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/nougyou/dai1/siryou6_3.pdf

注22)  http://www.maff.go.jp/j/kanbo/kihyo03/gityo/g_smart_nougyo/

注23)  http://www.google.com/glass/start/

注24)  http://blogs.microsoft.com/blog/2014/05/27/microsoft-demos-breakthrough-in-real-time-translated-conversations/

注25)  https://www.mturk.com/mturk/welcome

注26)  たとえば,http://www.humancomputation.com/2014/

注27)   http://www.futuretech.ox.ac.uk/sites/futuretech.ox.ac.uk/files/The_Future_of_Employment_OMS_Working_Paper_1.pdf

注28)  たとえば,週刊ダイヤモンド2014年6月14日特集号「待ち受けるのは競争か共生か:ロボット・AI革命」http://dw.diamond.ne.jp/category/special/2014-06-14,NHKサキどり↑「来たっ!人工知能が切り開くアカルイ未来」2014年6月22日放送

注29)  http://www5.cao.go.jp/keizai1/2004/ningenryoku/0410houkoku.pdf

注30)  http://www.jst.go.jp/kisoken/crest/research_area/ongoing/bunyah21-1.html

参考文献
  • 1)   Brynjolfsson,  Erik;  McAfee,  Andrew. Race Against the Machine. Digital Frontier Press, 2011.
  • 2)   Brynjolfsson,  Erik;  McAfee,  Andrew. The Second Machine Age: Work, Progress, and Prosperity in a Time of Brilliant Technologies. W. W. Norton & Company, 2014.
  • 3)   西田 豊明. 人工知能の社会実装がもたらし得ること. 人工知能. 2014, vol. 29, no. 5, p. 524-532.
  • 4)   Gratton,  Lynda. The Shift: The Future of Work is Already Here. Harper Collins Pub., 2011.
  • 5)   Perry,  Tekla. "Robotics Company Prepares to Take Responsibility For Displaced Workers". IEEE Sprctrum. 2014-08-08. http://spectrum.ieee.org/view-from-the-valley/robotics/industrial-robots/robotics-company-prepares-to-take-responsibility-for-displaced-workers#.U-XEW1d_O0s.twitter, (accessed 2014-08-07).
  • 6)   Linden,  Greg;  Smith,  Brent;  York,  Jeremy. "Amazon.com Recommendations: Item-to-Item Collaborative Filtering". IEEE Internet Computing. 2003, vol. 7, Iss. 1, p. 76-80.
  • 7)   Ferrucci,  David A.;  Levas,  Anthony;  Bagchi, Gondek,  David;  Mueller,  Erik T. Watson: Beyond Jeopardy!. Artif. Intell. 2013, vol. 199, p. 93-105.
  • 8)   Guizzo,  Erico. "How Google's Self-Driving Car Works". IEEE Spectrum. 2011-10-18. http://spectrum.ieee.org/automaton/robotics/artificial-intelligence/how-google-self-driving-car-works, (accessed 2014-08-07).
  • 9)   Le,  Quoc V.;  Ranzato,  Marc'Aurelio;  Monga,  Rajat;  Devin,  Matthieu;  Chen,  Kai;  Corrado,  Greg S.;  Dean,  Jeff;  Ng,  Andrew Y. Building high-level features using large scale unsupervised learning. ICML 2012.
  • 10)   Nishida,  Toyoaki;  Nakazawa,  Atsushi;  Ohmoto,  Yoshimasa;  Mohammad,  Yasser. Conversational Informatics―Data Intensive Approach with Emphasis on Nonverbal Communication. Springer, 2014. http://link.springer.com/book/10.1007%2F978-4-431-55040-2, (accessed 2014-08-07).
  • 11)   Rifkin,  Jeremy. The End of Work: The Decline of the Global Labor Force and the Dawn of the Post-Market Era. G. P. Putnam's Sons, 1995.
  • 12)   Turkle,  Sharon. Alone together: why we expect more from technology and less from each other. Basic Books, 2011.
  • 13)   西田 豊明. 人工知能研究半世紀の歩みと今後の課題. 情報管理. vol. 55, no. 7, p. 461-471, 2012.
  • 14)   Nishida,  Toyoaki. Towards Mutual Dependency between Empathy and Technology. AI & Society. 2013, Vol. 28, Iss. 3, p. 277-287. http://dx.doi.org/10.1007/s00146-012-0403-5, (accessed 2014-08-07).
  • 15)   西田 豊明. 人工知能とは(2). 人工知能学会誌. 2013, vol. 28, no. 2, p. 326-335.
  • 16)   Greenfield,  Susan. ID: The Quest for Meaning in the 21st Century. Hodder & Stoughton. 2008.
  • 17)   市川 伸一 編. 学力から人間力へ. 教育出版, 2003.
  • 18)   Barrett,  Louise. Beyond the Brain: How Body and Environment Shape Animal and Human Minds. Princeton University Press, 2011. 邦訳:バレット, ルイーズ著; 小松淳子 訳. 野性の知能:裸の脳から,身体・環境とのつながりへ. インターシフト; 合同出版(発売), 2013.
  • 19)   Edwards,  D. Discourse and cognition. Sage, 1997.
  • 20)   Wittgenstein,  Ludwig;  Anscombe,  G.E.M. (English translation); Hacker P.M.S. ;Joachim Schulte (editor). Philosophical Investigations. Revised 4th edition, Wiley-Blackwell, 2009. (originally Blackwell Publishing, 1953).
  • 21)   Harrigan,  Pat;  Wardrip-Fruin,  Noah (eds). Second Person: Role-Playing and Story in Games and Playable Media. The MIT Press, 2007.
  • 22)   Huizinga,  Johan. Homo Ludens: A Study of the Play Element in Culture. Beacon Press, , 1955 (originally published in 1938). 邦訳:ホイジンガ 著,高橋英夫 訳. ホモ・ルーデンス. 中央公論社, 1973, (中公文庫).
  • 23)   Caillois,  Roger. Les jeux et les hommes: Le masque et le vertige. Gallimard, 1958. 邦訳:カイヨワ, ロジェ 著; 多田道太郎, 塚崎幹夫 訳. 遊びと人間. 講談社, 1990, (講談社学術文庫).
  • 24)   Csikszentmihalyi,  Mihaly. Flow: The Psychology of Optimal Experience. Harper and Row, 1990. 邦訳:チクセントミハイ, M. 著; 今村浩明 訳. フロー体験:喜びの現象学. 世界思想社, 1996.
  • 25)   McGonical,  Jane. Reality is Broken. The Penguin Press, 2011.
  • 26)   Zichermann,  Gabe;  Linder,  Joselin. Game-based Marcketing. John Wiley, 2010.
  • 27)   Salen,  Katie;  Zimmerman,  Eric. Rules of Play: Game Design Fundamentals. The MIT Press, 2004.
 
© 2014 Japan Science and Technology Agency
feedback
Top