今号は,図らずも特殊な文字が出てくる記事を2本掲載することとなりました。
なぜ弊誌で変体仮名を取り上げるのか違和感をもつ方もおられると思います。過去にも数回取り上げましたが,国際文字コード規格で標準化することが,情報の流通に欠かせないと考えるからです。これらの標準化はまさに基盤整備事業ということができると思います。
変体仮名が過去に他国の方から国際文字コード規格に追加提案された話は興味深く感じます。わたしたちがすぐに思いつく行政利用と学術的利用のための標準化だけでなく,文化遺産を継承するための標準化もあるということ。他国の方がそれを提案したという事実。日本人として考えさせられました。
日本語用の文字の中で変体仮名は文字コード標準化未着手の最後のレパートリーだそうです。今回の学術情報交換用変体仮名の選定は,非常に重要なステップであると考えます。
SAT大蔵経テキストデータベースは,デジタル技術の進展に伴い『大正新脩大藏經(たいしょうしんしゅうだいぞうきょう)』という基本資料の本文テクスト1億字超をデジタル翻刻して検索を可能にし,リンクによって関連資料とつながる貴重なデータベースです。このような学術資源が,志ある方々のご尽力によって実現したことに敬意を表し,ぜひ紹介したいと考えました。
今回,「SAT大蔵経テキストデータベース」のご寄稿にあたって,編集事務局の不手際のために2回にわたり,ほぼ全面的な書き直しをしていただく結果となり,多大な労力をおかけしてしまいました。やりとりの過程で反省すべきこと,学ぶべきことが多々ありました。お忙しい中,ご協力くださった永崎先生およびご関係者の方々に,お詫びとお礼を申し上げます。至らぬ点を厳粛に受け止め,反省点を生かして業務を改善し,これまで以上に誠意を尽くして務めていく所存です。
ご研究・お仕事のかたわら弊誌へのご寄稿にご協力くださる方々に心からお礼を申し上げます。読者の皆様からのご意見をお待ちしております。(KM)