Japanese Journal of Visual Science
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Interview
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2020 Volume 41 Issue 3 Pages 42-43

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この度,東京医科大学茨城医療センター病院眼科教授の三浦雅博先生にインタビューをさせていただきたいと思います。三浦先生は眼科イメージング装置の臨床研究に携わってこられました。学生時代の話から,現在の研究に関わっていかれた経緯,光工学やエンジニアとの共同研究にまつわるお話をお伺いしました。

Q: 三浦先生が医師を目指されたきっかけは何だったのでしょうか?

A: 医師を目指したきっかけは父親が産婦人科医でした。また私の兄と姉も医学部への道に進んだということから,家族の勧めが大きかったと思います。

Q: 学生時代はどのように過ごされたのでしょうか?

A: 学生時代は,日本医科大学に進学し,山岳部に所属して山を登っていました。また,普段は友達と麻雀をする平凡な学生でした。

Q: 眼科医を目指されるようになったのはどのような経緯だったのでしょうか?

A: もともと私は自分がそれほど優秀ではないと自覚していました。そこで狭い範囲である眼科であれば,ある程度上に行けるのではないかと考えて選びました。

Q: 三浦先生は,光イメージング,特に偏光イメージング,の研究を進めてこられていますが,このトピックについてご興味を持たれた/始められたきっかけは何だったのでしょうか?

A: イメージングに興味を持ったきっかけは,1997年にボストンのスケペンス眼研究所に留学したときに,Ann Elsner教授の下で共焦点走査型レーザー検眼鏡(SLO)の臨床応用を始めたのがきっかけです。偏光については,帰国してからElsner教授と偏光SLOによる黄斑疾患の研究を始めたのがきっかけでした。

Q: そのスケペンス眼研究所に行こうというきっかけは何だったのでしょうか。

A: 基本的には海外留学をしたいというのが最大のきっかけでした。そこでその中で探していくうちに,たまたまElsner教授のとこで受け入れてもらったというのがきっかけです。

Q: イメージングや偏光などについての知識は,どのようにして学ばれたのでしょうか?

A: イメージングや偏光につきましては,最初は論文や学会等でほぼ独学に近い形で行っていました。その後たまたま訪れた筑波大学の計算光学グループ(Computational Optics Group: COG)と交流していく中でイメージングや偏光について勉強させていただいたのが非常に大きかったと思います。

Q: Bostonのスケペンス眼研究所に4年行かれて,眼科以外の研究者の方とも一緒に研究をされていたかと思います。その時経験された思い出深いエピソードなどはございますか?

A: スケペンス眼研究所で最も興味を持ったのは,いわゆる眼科の臨床で使っている眼科画像というものが,実はエンジニアが作ったものだという事がもっとも興味を持ちました。すなわち,これは元々存在するのではなく,あくまでもエンジニアが作り出した画像だということです。ですからそれぞれの画像には必ず弱点もあります。長所もあります。そういったことを眼科医も理解しなければいけないということが一番興味を持ちました。

Q: 日本に帰国されてからは,どのように研究活動を進めてこられたのでしょうか?

A: 帰国してから,東京医科大学霞ヶ浦病院(現:東京医科大学茨城医療センター)に赴任しました。霞ヶ浦病院には,Rodenstock SLOと偏光SLOであるGDxが臨床用に設置されていました。最初はRodenstock SLOを用いて,Elsnerと共同で波長による疾患の検出率の違いついて最初は研究しました。続いてElsnerのところで偏光SLOによる黄斑疾患の解析という研究を始めたので,そこから解析プログラムを分けてもらい,東京医科大にあったGDxを用いて黄斑疾患の撮影を行い偏光SLOによる黄斑疾患の研究を進めてきました。そういった中でたまたま訪れたCOG筑波大学にフーリエドメインOCTがあるのを知り,それからは筑波大学とのOCTの研究が中心となっております。

Q: この十数年,眼科イメージングが発展してきた中,偏光SLO・OCT・偏光OCTなどのイメージング装置の開発と,眼科医として関わりながらご研究されてきたかと思います。今後,眼科イメージングの研究に携われる医師・光学研究者・エンジニアの方へアドバイスなどいただけませんでしょうか。

A: 一番大事なことは,医師が基礎的な知識を持つことには限界があります。また,工学研究者やエンジニアが医学的知識を持つには限界があります。そこでそれぞれが交流することにより,長所短所それぞれ理解し,共同で進めていくことが大切だと思います。医師は完成された機械にしか興味がないという弱点があります。またエンジニアは,理論に中心になってしまい,それが医師の需要と駆け離れることがあります。そこで医師とエンジニアが普段から交流することによって,よりよいきっかけが生まれると思います。

Q: 今現在のお仕事の内容についてお聞かせいただけますか?

A: 現在は,COG筑波大学と一緒に共同でマルチコントラストOCTの臨床応用を進めています。

Q: 最後に,今後の活動についての抱負などをお聞かせいただけますでしょうか。

A: 私は定年までもう6年もありません。その短い間に私の行っている共同研究が一つでも臨床応用に結びつけばと思って頑張っております。

 
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