Japanese Journal of Visual Science
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2020 Volume 41 Issue 4 Pages 94

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第56回日本眼光学学会総会(9月5日~22日)がWebにて開催されました。学会長は川守田拓志先生(北里大学 医療衛生学部)が務められ,テーマは【FOCUS2020】とされ,眼光学に関する基礎知識や様々な分野との融合に光をあて,基礎から応用また他分野との連携など,「役立つ眼光学につながる学会へ」という川守田先生のご意向が反映されている内容であったと感じました。

特別講演では三橋俊文先生(筑波大学)が「屈折や収差測定技術の変遷・眼の光学特性」としてオートレフラクトメータや収差計の開発の過程における様々な研究についてご講演下さり,今まで知ることができなかったことを勉強させていただくことができました。

特別企画の招待講演では,高島譲先生(アリゾナ大学)により,「光学の未来とその注目技術:拡張デバイスから自動運転アプリケーションまで」というテーマで,仮想現実(VR:Virtual Reality),拡張現実(AR:Augmented Reality)デバイスや自動運転技術に関してのご講演がありました。エンジニアの視点から光学についてのご講演であり,とても刺激的でした。個人的には,コンタクトレンズにディスプレイを搭載する試みがなされていることを知り,驚きました。また,今回はWeb開催への移行に伴い,新たに,特別FOCUSシンポジウムが企画され【新型コロナウィルスと戦う光学と医学】というテーマで行われました。他施設で,実践している感染対策や,実際に細菌・ウィルスの治療や研究の最前線でご活躍される先生方によるご講演,また,AIを使用した感染予防についてなど,日々の診療だけでなく,自身の日常生活での感染対策等についても学ぶことができました。

今回のシンポジウムのテーマは様々な場所でのアンケートをもとにされており,様々な現場でのニーズにこたえる形になっていたと感じます。画像診断や小児,手術,両眼視機能だけでなく,ディスプレイや照明などの技術開発の視点からの講演もあり,聴講者の気になる・聞きたい部分にFOCUSをあてたシンポジウムであったと感じます。教育セミナーも眼鏡やコンタクトレンズ処方の基礎や最新知識に関してや,近年眼科分野でも研究が増えてきているAIとの付き合い方等,基礎から応用までカバーされている内容であったように感じます。一般演題は,臨床研究から開発の基礎研究まで眼光学ならではの演題が多いように感じました。

今年は,新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大の影響により,多くの学会が延期や中止,Web開催となりました。眼光学学会もWeb開催への変更に伴い,学会長並びに事務局,関係者の皆様におかれましては,大変なご尽力をなされたものと思います。Web上では,実際に会場で意見交換ができないというデメリットはありますが,メリットも多いように感じます。空いている時間にゆっくりと落ち着いて講演を聞くことができる点,会場では,時間が重なると聞けない講演も多いですが,Web開催では全て聞くことができる点,聞き逃したところも後で見返せる点など,Web開催により,より多くのことを,深く学ぶことができると実感しました。また,今回のWeb上にはバーチャル会場が設置され,機器展示やリフレッシュコーナーが創られていました。ここで流れるバーチャル映像の光の反射や散乱等にも光学技術が応用されているとのことでした。川守田先生の工夫が,至る所に垣間見えるWeb会場であったように感じます。

実際に会場で,対面にて学会を開催できるのにはまだ少し時間がかかるかもしれませんが,新しい時代に合わせた,新たな学会の形の一つとして,今後につながる学会でもあったと感じます。

 
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