Japanese Journal of Visual Science
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2022 Volume 43 Issue 2 Pages 54

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ディスプレイ技術分野におけるアジア最大規模の国際会議であるディスプレイ国際ワークショップ(International Display Workshops,以後IDW)が,2021年12月1日から3日にかけて開催された。当国際会議は映像情報メディア学会とSociety for Information Display(SID)による共同開催で,今回が28回目の開催であった。発表件数は基調講演を含め308件,参加者数は736名とのことである。新型コロナウィルス感染対策で,2020年および2021年はオンライン開催となった。

IDWでは,技術分野ごとにWorkshop(WS)と呼ばれるサブコミッティーを構成しており,論文審査やセッションの企画と構成,当日の各セッションの運営などを,各WSが主体となり行っている。WSの中には,液晶に関する技術を扱うLC Science and Technologies(LCT),有機ELに関する技術を扱うOLED Displays and Related Technologies(OLED),製造や材料について扱うFPD Manufacturing, Materials and Components(FMC),ディスプレイにまつわる人間工学を扱うApplied Vision and Human Factors(VHF)などがあり,ディスプレイに関する幅広いトピックが扱われている。また,WSとは別に新たな注目分野を扱うTopical Sessionとして,AIの活用に関するトピックを扱うArtificial Intelligence and Smart Society(AIS)が設けられている。なお,筆者はディスプレイの研究に本格的に携わるようになった2015年から毎年参加しており,2018年と2019年は3D/Hyper-Realistic Displays and Systems(3D)Workshopの代表実行委員を務め,2020年からは同Workshopの代表プログラム委員を務めている。

会議は,日本ケーブルラボ専務理事の宇佐見正士氏による次世代通信規格5Gと映像サービスについて,京都大学の西田眞也教授によるディスプレイ技術と視覚科学について,スタンフォード大学のMark L. Brongersma教授によるメタマテリアル・メタサーフェスとディスプレイについての3件の基調講演で幕を開けた。宇佐見氏の講演がサービス系,西田教授の講演が人間工学系,Brongersma教授の講演がデバイス系であり,本国際会議のカバーする領域が多岐に渡ることがここからも読み取れた。

その後はWSごとに編成されたセッションへの参加となったが,本稿では,筆者が運営に関わっている3D WSの様子をお伝えしたい。今回の3D WSは,6つのOral Sessionと4つのLightning Talk Session(Poster Sessionに代わって設けられた5分間の発表動画のオンデマンド視聴によるSession)から構成された。扱うトピックとしては,ホログラフィやLight Field Displayなど,3D技術の王道を行くトピックから,質感と視覚に関する内容,新規な手法による3D表示やそれらの応用に関するトピックなどバラエティに富んでおり,現時点での3D表示とそれらにまつわる技術を俯瞰することができた。中でも,名古屋大の石川氏らによるマイクロレンズアレイを用いた方式や,中国の中山大学(Sun Yat-sen University)のWan氏らによるLight Field Displayを用いた方式による視力矯正の試みなどは,3D表示の新たな境地を拓くものであると言えるだろう。また,招待講演の英国University College Londonの平山氏らによる,超音波を用いた視覚,触覚,聴覚のマルチモーダルディスプレイは,従来の光学的手法のみによる3D表示とは一線を画すものであり,今後の展開が期待される。

直近の2年間は,コロナ禍によりオンラインのみの開催となったが,2022年5月時点では,IDW ‘22は福岡国際会議場でのon-siteと,on-demandおよびmetaverseのハイブリッド開催がアナウンスされている。参加形態の自由度が増えたことで,より参加しやすい国際会議となることが期待されると同時に,長らく対面で会うことのなかった方々と顔を合わせる機会でもあり,今から楽しみである。

 
© 2022 The Japanese Society of Ophthaimological Optics
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