Journal of Physical Therapy for Prevention
Online ISSN : 2436-9950
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2024 Volume 4 Issue 1 Pages 1

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皆様はどのように予防理学療法と出会われましたか?

私の予防理学療法との出会いは,理学療法士になって十数年経った二十年程前に遡ります。病院勤務を経て介護老人保健施設(当時は老人保健施設)へ勤め始めたころ自分の専門性について悩んでおり,学術大会や研修会に積極的に参加しながらこの先どの分野に進んで行こうかと模索していました。そのような時,偶然お会いした,とある大学病院にお勤めの先生が「これって凄いと思わない?」と見せてくださったのがスライディングシートでした。「ポケットに忍ばせておいて必要な時にサッと出せば,移乗がとても簡単にできるんだよ。凄いでしょ?」と。それを聞いた時に「これだ!」と思いました。もうおわかりと思いますが,スライディングシートは対象者にとって『楽に』『安全に』移乗できるだけでなく,『楽に』『安全に』介助できるため,介助者にとって最も多い症状の1つである腰痛の予防になります。先生とのこの何気ない会話から,私の福祉用具と医療従事者・介助者の腰痛予防についての勉強が始まりました。

その後,理学療法の養成校に勤務先が変わり,また偶然に地域在住高齢者の健康に関わる機会を頂きました。日本予防理学療法学会の理事(発足当初は運営幹事)として活動する機会を頂いたのも,ちょうどこの頃です。現在はこの2度目の偶然からの続きでフラダンスを活用した健康増進・介護予防教室を担当させて頂いています。教室は週1回60分で,開始時から参加されている方はもう10年,最高齢の方は88歳になります。フラダンスは1曲の運動量が4~6METs程度で,体幹筋や股関節周囲筋の筋力トレーニングができます。それに加え①音楽に合わせ②歌詞の意味を理解しハンドモーションで相手に伝え③幾つかの基本ステップを組み合わせて踊るため,認知症予防に効果的と言われているコグニサイズと同様の効果が得られるのではないかとも考えられます。また,フラダンスはパウスカートやフラワーレイなどのコスチュームでハワイアン音楽に合わせてゆったりと踊るので,楽しく実施できます。その『楽しさ』が『運動の継続』に繋がり,お祭りや発表会に参加して人前で披露することの『満足感・達成感』や普段とは違う化粧による『高揚感』が,さらなる『運動の継続』に繋がります。健康増進や介護予防は継続する事が重要なので,このフラダンス教室は適しているかなと自画自賛しています。

皆様も予防理学療法との出会いを今一度思い出して,今後の活動の糧にして頂けたらと思います。そして,もしフラダンスを活用した健康増進・介護予防に興味を持ってくださった方がおられましたら,ぜひ一緒にやってみませんか?ご連絡をお待ちしています!

令和6年7月26日

奈良学園大学 保健医療学部 リハビリテーション学科

日本予防理学療法学会 理事

笹野 弘美

 
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