JOURNAL OF RURAL SOCIETY AND ECONOMICS
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Rice Production of Large Scale Paddy Field Farming under the Alteration of Rice Production Adjustment
A Case Study on Ogata-mura, Akita prefecture
Shinichi TSUBAKIKazuko SATO
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2019 Volume 36 Issue 2 Pages 9-20

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2018年度から生産調整が大きく見直され,国による生産数量目標の配分が廃止される.それと同時に,生産調整への参加メリットとして「生産調整の円滑な推進」に大きな役割を果たしてきた米の直接支払い交付金(7,500円/10a)も2018年から廃止されることになった.生産調整政策の見直しは水田農業にどのような影響をおよぼすのであろうか.本研究では主食用米の大規模産地であり,かつ生産調整を達成している秋田県大潟村において,生産調整実施体制や作目の構成,担い手経営の経営展開を明らかにし,生産調整配分廃止後の作目の変化や生産調整の実効性を吟味することを目的とする.秋田県は新潟,北海道に次ぐ米の主産地であるとともに生産調整を超過達成している地域だからであり,生産調整の戦略作物では加工用米が多いという特徴をもつ.大潟村は生産調整実施面積の88.8%を加工用米が占め,秋田県内でも加工用米による転作がすすんでいる地域である.

研究方法は大潟村農業再生協議会および大潟村の大規模農家3戸の聞き取り調査である.そこから明らかになったのは以下である.第1に,作目構成は大きく変わらないということである.加工用米(モチ米)は需要の引き合いが強く,価格も良いこと,交付金という固定収入の安心感もあり,2018年度も加工用米による生産調整対応が中心になると考えられる.しかし第2に,販路に自信がある農家では主食用米を増やす意向であり,とも補償も廃止されることから,これまでのように転作の深掘りの維持とはなりにくく,生産調整の実効性がやや後退すると考えられる.

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© 2019 THE AGRICULTURAL ECONOMIC SOCIETY OF TOHOKU
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