2024 Volume 83 Issue 1 Pages 55-57
診断基準化委員会
担当理事:今井貴夫,城倉 健,堀井 新
委 員 長:今井貴夫
副委員長:橋本 誠
委 員:浅井正嗣,池田卓生,佐藤 豪,
重野浩一郎,高橋幸治,武井泰彦,
武田憲昭,中村 正,山本昌彦,
渡辺行雄
平衡機能検査基準化のための資料は,1987年に平衡機能検査基準化委員会により策定され,1990年,2006年,2015年,2016年,2019年に改訂され,現在に至っている。今回はII眼振検査の眼振記載法を改訂した。改訂の要点は以下である。
1.眼振の種類を水平性眼振,垂直性眼振,斜行性眼振,水平回旋混合性眼振,回旋性眼振,垂直回旋混合性眼振,振子様眼振に分け,表記法を改訂した。眼振の振幅がより大きい場合は矢印を二重線にして記載し,眼振の頻度がより高い場合は矢印に羽を追加して記載することとした。
2.「ときに垂直,ときに斜行」,「ときに水平,時に回旋」,「垂直性が斜行性に移行」などの記載法は削除した。主な眼振を表記し,ときに変化する眼振や移行する眼振はカルテに文字で記載することとした。
3.「眼振存在・方向ともに疑わしい」の表記法は,「眼振の存在が疑われる」の記載法にして,疑われる眼振の方向はカルテに文字で記載することとした。
4.注視眼振,頭位眼振,頭位変換眼振などを記載するボックスは改訂せず,頭振後眼振を記載するボックスを追加した。
本資料は,平衡機能検査の概要,原理,装置,手技と注意事項,判定基準,評価,基本検査・精密検査などの検査種類,関連する文献が統一的に記載されており,各施設における検査の実施基準や結果判定などの基礎資料として活用していただきたい。
眼振記載法
眼振は下図に記載する。
記載例
左側方注視眼振の振幅が,右側方注視眼振の振幅と比較してより大きいことを示す。
左下頭位での左向き水平性眼振の頻度が,右下頭位での右向き水平性眼振の頻度と比較してより高いことを示す。