Equilibrium Research
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Clinical Characteristics of Patients with High Scores on the Niigata PPPD Questionnaire but Were Not Diagnosed as Having Persistent Postural-Perceptual Dizziness
Yu IwaseKayoko KabayaAkina FukushimaAyano KojimaReiko KanoSachiyo KatsumiShinichi EsakiShinichi Iwasaki
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2024 Volume 83 Issue 6 Pages 496-502

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Translated Abstract

Persistent Postural-Perceptual Dizziness (PPPD) is a chronic functional vestibular disorder characterized by exacerbation of symptoms by standing, movements, and/or visual stimulation. The Niigata PPPD Questionnaire (NPQ) is an effective screening tool for identifying PPPD, typically with a score of 27 or higher. However, NPQ scores of 27 or more can also occur in diseases other than PPPD.

We examined the prevalence of NPQ scores of 27 or higher among patients with vestibular symptoms lasting for more than 3 months and explored the diagnoses and clinical features of cases with elevated NPQ scores that were not diagnosed as PPPD.

A retrospective study was conducted from January 2019 to March 2023 on 1,296 patients who presented to Nagoya City University Hospital’s Otorhinolaryngology Department with vestibular symptoms. Of these, 696 patients met the criteria of being ≥18 years and suffering from vestibular symptoms for more than 3 months. Of the 696 patients, 558 completed the NPQ, Dizziness Handicap Inventory (DHI), and Hospital Anxiety and Depression Scale (HADS) questionnaires at their initial visit.

More than half of the non-PPPD cases had NPQ scores of 27 or higher. Among the patients with elevated NPQ scores, in patients with PPPD, a correlation was noted between the NPQ scores and the severity of the vestibular symptoms, whereas correlations with scores on the depression and anxiety scales were less pronounced. In contrast, in patients with conditions such as Meniere’s disease, benign paroxysmal positional vertigo (BPPV), and vestibular migraine, while the NPQ scores were not correlated with the severity of the vestibular symptoms, the severity of the symptoms correlated closely with the scores on the depression and anxiety scales.

 はじめに

持続性知覚性姿勢誘発めまい(persistent postural-perceptual dizziness: PPPD)は,2017年にバラニー学会が診断基準を発表した慢性機能性めまい疾患である。3カ月以上持続する浮遊感,不安定感,非回転性めまいを主症状とし,症状は立位姿勢・歩行,能動的あるいは受動的な体動,動くものや複雑な視覚パターンを見た時に増悪することを特徴とする1)

Niigata PPPD Questionnaire(NPQ)は,PPPDの3つの増悪因子(立位・体動・視覚刺激)について点数化し,27点をカットオフ値とすると感度が70%,特異度が68%と効率的にPPPDのスクリーニングを行うことが可能な質問紙である2)。一方でPPPDの3つの増悪因子は一般人口でも約10%が持っており3),急性期のめまい症例においては約半数がPPPDの3つの増悪因子を持っているため,PPPD以外の疾患でもNPQが27点以上となることが少なくない4)。したがって,3カ月以上の罹病期間があるめまい症例の中に,NPQが高値であるがPPPDとは診断されない症例も存在することが予想される。

本研究は,罹病期間が3カ月以上のめまい症例において,NPQが27点以上となる割合について検討するとともに,NPQが27点以上であるにもかかわらず,PPPDと診断されなかっためまい症例のめまい診断とその臨床的特徴を明らかにすることを目的とした。

 対象と方法

対象は2019年1月から2023年3月までに名古屋市立大学病院耳鼻咽喉科を受診しためまい症例1,296例のうち,初診の時点で18歳以上かつ罹病期間が3カ月以上であった696例を抽出し,さらに初診時にNPQとDizziness Handicap Inventory(DHI)とHospital Anxiety and Depression Scale(HADS)の3つの質問紙に回答できていた558例を後方視的に調査した。

558例のめまい診断名,背景,NPQの点数,NPQの点数が27点以上症例の割合につき調査を行った。またPPPDが27点以上の高値となる頻度の高い疾患について,背景,NPQ,DHI,HADSを比較し,DHIとNPQの相関,DHIとHADSの相関について検討した。

めまいの診断については,PPPD1),メニエール病5),良性発作性頭位めまい症(BPPV)6),前庭性片頭痛7),前庭神経炎8)はバラニー学会の診断基準を,起立性調節障害はFreemanらの基準を用いた9)。機能性めまいには,PPPDを含まず,うつ病や不安障害によるめまいなどを含めた。特にPPPDの診断における増悪因子の項目については,診断基準の補足1)にあるように,NPQ回答時に3つ全ての増悪因子が存在しなくても,これまでの病歴で3つそろう場合や,めまいの増悪が予想されるために避けている因子を含め3つそろう場合など,口頭による問診で3つの増悪因子がそろうことを確認して診断した。

DHIはめまいによる日常生活障害度を定量化するための質問紙で,身体面,感情面,機能面の3つの視点から評価するものである10)。点数が高いほど症状が重いと評価され,46点以上が重症となる。また,HADSは患者の不安と抑うつを評価するための質問紙で,各尺度8点以上を疑い,11点以上を不安・抑うつと判定される11)

統計学的解析はEZRを使用した12)。2値データの比較はFisher検定を,連続データの比較には正規分布であればt検定,非正規分布であればMann-Whitney検定を使用し,相関関係についてはPearsonの相関係数を求めた。統計学的有意差はp値が5%未満を有意と判定した。

また,本研究はヘルシンキ宣言の人を対象とする医学系研究に関する倫理指針に沿って行ったものであり,名古屋市立大学大学院医学研究科及び医学部付属病院医学系研究倫理審査委員会の承認を得て行った(管理番号60-22-0106)。

 結果

対象となった罹病期間が3カ月以上のめまい症例558例中,PPPDは85例(15.2%),PPPDとは診断されなかった症例(non-PPPD)は473例(84.8%)であった。non-PPPDで頻度の高い疾患は順に,メニエール病(83例),BPPV(59例),機能性めまい(45例),前庭性片頭痛(36例),起立性調節障害(29例),前庭神経炎(14例)であった。BPPV症例の内訳は,後半規管型が33例,外側半規管型半規管結石症が17例,外側半規管型クプラ結石症が6例,前医でBPPVと診断されていたが当院では眼振が確認できず型が不明の症例が3例であった。なお,反復例は43例で,難治例は16例であった。

PPPD症例(85例)において,PPPDの発症に先行するめまいは,メニエール病が7例(8.2%),BPPVと前庭性片頭痛がそれぞれ6例(7.1%),うつ病やパニック発作など精神疾患が4例(4.7%),前庭神経炎が3例(3.5%),めまいを伴う突発性難聴が2例(2.4%),外傷性,薬剤性,特発性両側前庭障害,Hunt症候群がそれぞれ1例(1.2%),原因不明のめまいが36例(42.4%),先行するめまいを特定できないものが17例(19.3%)であった。PPPDの平均年齢は56.1歳±17.8歳(19歳~80歳)で,男女比は1:2.5,罹病期間は13.3カ月であり,non-PPPDの平均年齢は49.1歳±15.2歳(18歳~91歳),男女比は1:2.0,罹病期間は18.2カ月であった。

NPQが27点以上であった症例数は,PPPDでは85例中73例(85.9%),non-PPPDでは473例中254例(53.7%)で,全体では558例中327例(58.6%)であった。non-PPPDの各疾患においてNPQが27点以上であった症例数は,メニエール病49例(59.0%),BPPV28例(47.5%),機能性めまい29例(64.4%),前庭性片頭痛25例(69.4%),起立性調節障害15例(51.7%),前庭神経炎9例(64.3%)であった(図1表1)。

図1  めまい疾患の頻度とNPQが27点以上の症例の割合
表1 めまい疾患の頻度と各疾患におけるNPQの点数と27点以上の症例数

症例数

(%)

NPQ(点,平均±SD) NPQが27点以上の症例数(%) P値*
PPPD 85(15.2) 42.6 ± 13.9 73(85.9) NA
Non-PPPD 473(84.8) 29.0 ± 17.1 254(53.7) <0.001
(内訳)
メニエール病 83(17.5) 31.5 ± 20.1 49(59.0) <0.001
良性発作性頭位めまい症 59(12.5) 27.7 ± 17.4 28(47.5) <0.001
機能性めまい 45(9.5) 35.5 ± 16.8 29(64.4) 0.006
前庭性片頭痛 36(7.6) 33.8 ± 16.5 25(69.4) 0.044
起立性調節障害 29(6.1) 25.7 ± 14.6 15(51.7) <0.001
前庭神経炎 14(3.0) 31.4 ± 12.4 9(64.3) 0.062
下肢の深部感覚障害 14(3.0) 27.7 ± 19.3 7(50.0) 0.005
その他の原因によるめまい 193(40.8) 26.4 ± 15.8 90(46.6) <0.001
原因不明のめまい 68(14.3) 26.3 ± 15.6 32(47.1) <0.001

NPQ:The Niigata PPPD Questionnaire,PPPD:持続性知覚性姿勢誘発めまい,Non-PPPD:PPPDとは診断されなかった症例。

*Fisher検定,P値はPPPDとの比較。

NPQが27点以上の症例について,PPPDとnon-PPPDのうち前庭性疾患で頻度の高かったメニエール病,BPPV,前庭性片頭痛の患者背景を表2に示す。年齢は,PPPDと比較してBPPVでは有意に高く(p = 0.002),前庭性片頭痛では有意に低かった(p = 0.002)。性別は,全疾患において女性が多く,比率はPPPDと比較して有意な差は認めなかった(p > 0.05)。罹病期間は,PPPDと比較して,メニエール病と前庭性片頭痛で有意に長かった(それぞれ,p = 0.005,p = 0.008)。NPQが27点以上の症例についての本検討にて,NPQの合計点は,PPPDと比較し3疾患とも有意な差はなかったが(p > 0.05),視覚刺激において,前庭性片頭痛がPPPDと比較し有意に点数が低かった(p = 0.044)。DHIの合計点と3つの下位項目(身体面,機能面,感情面)は,PPPDと比較しBPPV,前庭性片頭痛で有意に点数が低かった(いずれもp < 0.05)。メニエール病については,身体面のみPPPDと比較して有意に点数が低かった(p < 0.001)。HADSの合計点は,PPPDと比較して3疾患とも有意に点数が低かった(いずれもp < 0.05)。HADSのうつについては,PPPDと比較してメニエール病,前庭性片頭痛で有意に点数が低かった(それぞれ,p = 0.031,p = 0.013)。HADSの不安については,PPPDと比較しメニエール病,BPPVで有意に点数が低かった(それぞれ,p = 0.046,p = 0.008)。

表2 PPPDとメニエール病,BPPV,前庭性片頭痛のNPQが27点以上の症例の背景

PPPD non-PPPD メニエール病 BPPV 前庭性片頭痛
(n = 73) (n = 254) P値 (n = 49) P値 (n = 28) P値 (n = 25) P値
年齢(歳) 49.7 ± 14.7 55.3 ± 17.9 0.015* 52.9 ± 17.1 0.271 59.8 ± 13.8 0.002* 39.5 ± 11.2 0.002*
性別(男:女) 1:2.7 1:2.6 1 1:1.7 0.321 1:6 0.200 1:11.5 0.054
罹病期間(月) 13.3(3.0–426.1) 23.3(3.0–638.1) 0.005* 27.4(3.5–193.0) 0.005* 23.5(3.2–530.2) 0.204 27.4(3.7–638.1) 0.008*
NPQ(点) 46.5 ± 10.6 42.1 ± 11.4 0.003* 44.9 ± 13.6 0.477 43.3 ± 10.9 0.183 42.5 ± 10.5 0.107
視覚 16.0 ± 4.5 13.4 ± 5.2 <0.001* 14.8 ± 5.1 0.164 15.5 ± 4.2 0.587 13.9 ± 4.4 0.044*
立位 15.2 ± 4.6 14.4 ± 4.9 0.262 14.9 ± 5.7 0.755 13.3 ± 5.3 0.085 13.6 ± 5.3 0.179
体動 15.2 ± 4.2 14.3 ± 4.4 0.122 15.3 ± 4.8 0.876 14.6 ± 4.2 0.518 15.0 ± 3.4 0.849
DHI(点) 65.4 ± 19.0 56.8 ± 19.2 <0.001* 59.9 ± 19.4 0.125 52.4 ± 21.3 0.004* 52.8 ± 18.6 0.005*
身体面 19.5 ± 6.1 15.7 ± 6.0 <0.001* 15.7 ± 6.1 <0.001* 16.6 ± 6.6 0.039* 14.8 ± 5.3 <0.001*
感情面 22.3 ± 7.5 20.3 ± 8.3 0.073 21.6 ± 8.1 0.634 16.9 ± 8.2 0.002* 18.4 ± 9.2 0.038*
機能面 23.8 ± 8.2 20.8 ± 8.5 0.008* 22.6 ± 8.4 0.439 18.9 ± 9.6 0.012* 19.6 ± 7.7 0.028*
HADS(点) 18.3 ± 8.0 15.4 ± 6.9 0.002* 15.0 ± 7.5 0.024* 14.4 ± 6.7 0.021* 14.1 ± 5.8 0.017*
抑うつ 9.4 ± 4.6 8.1 ± 4.1 0.028* 7.6 ± 3.7 0.031* 7.8 ± 4.0 0.106 6.8 ± 3.1 0.013*
不安 9.0 ± 4.1 7.2 ± 3.8 <0.001* 7.4 ± 4.4 0.046* 6.6 ± 3.6 0.008* 7.3 ± 3.6 0.069

PPPD:持続性知覚性姿勢誘発めまい,BPPV:良性発作性頭位めまい症。P値は全てPPPDとの比較,罹病期間は中央値(最小値-最大値),年齢と質問紙は平均±SD。

*:p < 0.05

PPPDとnon-PPPD,また,non-PPPDの中のメニエール病,BPPV,前庭性片頭痛のNPQが27点以上の症例のDHIとNPQ,DHIとHADSの散布図を,図23に示す。DHIとNPQの相関は,PPPDでr = 0.61と中程度以上の高い相関を認め(p < 0.001)たが,non-PPPDについてはr = 0.33と弱い相関を認めるのみであった(p < 0.001)。一方,メニエール病,BPPV,前庭性片頭痛ではDHIとNPQの間に有意な相関を認めなかった(p > 0.05)。

図2  各めまい疾患のNPQが27点以上の症例におけるNPQとDHIの分布と相関
図3  各めまい疾患のNPQが27点以上の症例におけるHADSとDHIの分布と相関

DHIとHADSの相関は,PPPDでr = 0.37と弱い相関を(p = 0.001),non-PPPDではr = 0.42と中等度の相関を認めた(p < 0.001)。また,メニエール病(r = 0.46),BPPV(r = 0.59),前庭性片頭痛(r = 0.55)では,中等度以上の有意な相関を認めた(それぞれ,p < 0.001,p = 0.001,p = 0.005)。

 考察

PPPDの診断基準には検査項目がなく,診断するためには症状や病歴の詳細な問診が必要となる1)。八木らにより作成されたNiigata PPPD Questionnaire(NPQ)は,この問診を効率的に行うためのツールである2)。NPQは,PPPDの3つの増悪因子(立位・体動・視覚刺激)を評価し,27点をカットオフ値としてPPPDのスクリーニングに有用であることが示されている(感度70%,特異度68%)2)。一方,前庭症状の種類(浮遊感,不安定感,非回転性めまい)や,有症状の日数(3カ月以上にわたって1カ月で15日以上症状がある)など,PPPDの他の診断基準に関する質問は含まれていないため,NPQのみでPPPDの診断はできない2)

PPPDの増悪因子を有する割合について,我々が以前行った検討ではめまい発症3カ月以内の急性期・亜急性期におけるめまい症例においてNPQが27点以上となった症例は50.3%であった4)。本検討では,めまい症状が3カ月以上継続するめまい症例のうちNPQが27点以上であったのは,全体で58.6%,PPPDを除いたnon-PPPDでは53.7%となった。めまい症例全体では,急性期・亜急性期と比較し,3カ月以上継続するめまい症例の方が,NPQが27点以上となる割合が多かった。しかしながら,non-PPPDに限ると,急性期・亜急性期と慢性期でほとんど差はなく,PPPD以外のめまい症例において,時期に関係なく約半数の症例でNPQが27点以上となると考えられた。このことからも,PPPDを診断する際にNPQのみでは不十分であり,NPQはスクリーニングに用いて,その後詳細な問診が必要であること1)2)が再認識された。また,PPPDは増悪因子を持っている症例から発症する傾向があることから4),一度PPPDではないと判断されたとしてもNPQが高値を示す症例はPPPD予備群である可能性があり,慎重な経過観察が必要といえる。

NPQが27点以上の症例においてDHIとNPQ,DHIとHADSの相関について検討したところ,PPPDについてはDHIとNPQで中等度の相関がみられ,PPPDの増悪因子でめまいが増強される症例ほど,めまいの重症度・生活の支障度が高いことが示唆された。一方で,DHIとHADSの相関は弱かったものの,PPPD症例のHADSは,メニエール病・BPPV・前庭性片頭痛と比較して高値であった。PPPDの発症様式は,70%の症例で器質的な要因によるめまいが先行しそこに元々あるいは続発した心理要因が修飾して発症するとされ,残り30%の症例では急性の心理ストレスによる精神疾患で発症するとされている1)13)。いずれの発症様式であったとしても心理状態が関与するため,うつ・不安の程度が重症である症例が多いことと,本検討がNPQが27点以上の重症例の多い集団であったことから,DHIとHADSの相関は弱く抑えられた可能性がある。

NPQが27点以上のメニエール病やBPPV,前庭性片頭痛症例については,DHIとNPQの間に有意な相関を認めなかったことからは,PPPDの増悪因子でめまいが増強する特性を持つこと自体は,めまいの重症化とは関連していないことが示唆される。これらより,DHIとNPQが連動して変化することが,PPPDの特徴と言えるかもしれない。一方で,DHIとHADSの間で,PPPDが弱い相関を示したのに対し,これら3つの前庭性疾患では中等度以上の相関を示した。めまいが重症であるほど,不安やうつの程度が強いことを示唆しており,先行研究におけるメニエール病,BPPV,前庭性片頭痛について,めまいが重症でめまいによる支障が大きいほど不安やうつが重症であるという報告に一致する14)15)

本研究の限界として,まず,NPQが27点以上となるnon-PPPDの特徴を検討することを目的としたが,non-PPPDには様々な前庭症状を示す疾患が含まれているため,頻度の高い3つの前庭疾患についてのみ詳細に検討した。今後,さらに症例を収集し,それ以外のnon-PPPDの特徴について検討する必要がある。次に,本検討では3か月以上継続するめまい症例全体を対象としており,めまいの性状や1回あたりのめまいの持続時間については限定しなかった。今後,めまいの性状や持続時間の関連性も含めた,NPQが高得点を示すnon-PPPDの特徴を検討していきたい。

 結論

罹病期間が3か月以上のめまい症例において,NPQはPPPD以外の疾患でも半数以上で高値となり,PPPDの診断には丁寧な問診が必要であることが示唆された。NPQが高値である症例について,PPPDではうつや不安の程度よりもNPQがめまいの重症度と関連を示したのに対し,メニエール病,BPPV,前庭性片頭痛ではNPQはめまいの重症度と関連せずうつや不安の程度がめまいの重症度と関連していた。

利益相反に該当する事項はない。

文献
 
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