Japan Journal of Human Resource Management
Online ISSN : 2424-0788
Print ISSN : 1881-3828
The 48th Annual Conference at Kyushu Sangyo University
Changing Industrial Structure and Work Styles
Motohiro MORISHIMA
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2019 Volume 20 Issue 1 Pages 54-55

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労働を取り巻く環境は大きく変化しています。経済全体における製造業・モノづくり産業のウェイトが減少し,サービス業や知識産業などのその他の産業がより重要な位置を占めるようになるなかで,そうした産業での生産性向上や働き方の改革が大きな課題となっています。また,ICT,IoT,AIなどの進展や経営のグローバル化なども働き方や人事管理のあり方に大きな影響を与えています。また働く側も,人口減少や意識変化などにより,働き方や人事・労務管理の変革を求めています。

このように「働く」を取り巻く環境が大きく変化するなか,今回の大会で重視をしたのは,ひとつには,サービス業,医療・介護やホスピタリティ産業など現在雇用が拡大しつつある場面における労働です。さらに,法律家やコンサルタントなどプロフェッショナル人材を中核としたサービス業やいわゆる知識産業での労働も重要なテーマです。これらの産業では,雇用契約のあり方,採用から退出までの一連の流れ,さらにはいわゆる「感情労働」と呼ばれる側面の重視など,これまでの労務・人事管理研究が前提としてきたものとは大きく異なった状況下で労働が提供されています。さらに,こうした産業における労働は,働く人のキャリアや生活といった側面にもこれまでとは異なった含意をもたらします。

だた,残念ながら,これらの成長が著しい産業における人事管理の知見はあまり蓄積されていません。これまで多くの研究資源が投じられてきた人事・労務管理研究は従来型の産業や労働者意識,技術水準を前提としたものが多く,現在重要性が増しているといわれる産業での労働やその管理に関する研究的知見が豊富に蓄積されていないのが現状です。

今大会では,「変化する産業構造と働き方」というテーマのもとに,これまであまり注目されてこなかったサービス業,ホスピタリティ産業,プロフェッショナルサービス業などでの労働を考えてみました。

またもうひとつ,福岡開催にあたり,働く場所としての地方の位置づけも取り上げました。地方創生が叫ばれるなか,大都市圏以外で働くことの意義が強調されることが多くなりました。大都市圏を離れることで失われる面と同時に,生活の質という側面からは,大都市圏にはない利便性があるのも事実です。ただ,その反面,地方での労働需要が充足されない状況も頻繁に指摘され,大都市圏からそれ以外への地域への労働力移動は遅々として進まないという現実もあります。地方での働き方の水準を高め,労働供給を増やしていくために,人事・労務管理研究は何ができるのでしょうか。

こうした問題意識に基づき,今回の労務学会では,産業構造やその他の変化が労働や働き方に及ぼす影響や新たな経済構造や地方重視の中での労働やその管理を考えてみる機会となりました。

(筆者=学習院大学経済学部教授)

 
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