Abstract
「皺」は物性の劣化を招き,美観を損なうものとして消極的に捉えられ,皺を避ける研究は多くみられるものの,客観的に皺そのものを考察した研究はほとんどない.しかし,力学的な観点から見ると,一度丸めて広げた紙の方が平な紙よりも面外剛性が高いように,皺が生じることにより材料が塑性化しているにも関わらず,面外剛性が上がることは経験的に知られている.本研究では,軽量で剛性が高く,意匠的に優れた部材の作成を目指し,皺の生成により面外剛性・耐力が上がる理由について定量的に考察する.また,薄板の座屈によって簡易な皺モデルを生成し,その力学特性を定量的に把握することを目指す.