2015 Volume 10 Issue 3 Pages 161-168
オキシコドンの薬効および体内動態は性差等の患者背景に依存することから,副作用と患者背景因子の関係の把握は臨床上重要な知見を与える可能性がある.そこで,独立行政法人医薬品医療機器総合機構・医薬品副作用データベース (JADER)を用いた解析を試みた.オキシコドン投与患者において,主要な副作用症例の年齢・性別による発現傾向の変化を観察した.オキシコドンに関連する重要な有害事象は,モルヒネおよびフェンタニルと共通して臨床的に認知されている譫妄,悪心・嘔吐等の症状であった.女性において悪心,下痢などの消化器症状が,男性においては間質性肺疾患が報告の多い有害事象であった.一方,非高齢者と比較して高齢者における有害事象は傾眠,譫妄等の報告が多かった.以上の結果は,オキシコドン投与時の副作用マネジメントの個別化において有用な知見となるものと期待される.
がん疼痛等の中等度以上の痛みには,強力な鎮痛効果を有する強オピオイドを用いた薬物療法が行われる.近年まで,わが国で使用される強オピオイドの大部分はモルヒネ製剤が占めていた.2002年にフェンタニル貼付剤が,その翌年にオキシコドン徐放錠が発売され,現在ではモルヒネ,フェンタニル,オキシコドンの3種類の薬物が主に使用されている1).2012年度の各オピオイドの消費量の変動(対前年度重量比)は,モルヒネ製剤は7.0%減,フェンタニル製剤は5.0%増,オキシコドン製剤は4.6%増であった.モルヒネに代わりフェンタニルとオキシコドンの消費量が年々増加傾向にある2).とくにオキシコドンの経口製剤は,現在のわが国における強オピオイドによる疼痛治療に必要不可欠である.2007年にオキシコドンの速放製剤が発売されたことで同一成分のレスキュー薬が使用できるようになったことや,オキシコドン徐放錠の5mg製剤により低用量から投与可能であることから,オキシコドンは強オピオイドの導入に使用しやすい.さらに,モルヒネと比較してオキシコドンは腎機能低下の影響を受けにくいという利点がある.
強オピオイドは優れた鎮痛効果の一方で様々な副作用を惹起し,時には強オピオイドを用いた治療の継続を困難にすることがあるため,強オピオイドの副作用マネジメントは重要な課題である.しかしながら,強オピオイドによる既知の副作用の全てに対するマネジメントの実施は現実的ではない.主要な副作用に限定しても,それらが全ての患者に等しい程度で一律に発現するとは限らない.患者によっては,副作用の説明を強く受け止め服用に躊躇する等,副作用対策薬により生じる副作用のリスクも存在すると考えられる.その上,指導・モニタリングを実施する医療従事者の負担や,不要な投薬とその結果生じる副作用の対応に要する医療費も考慮すると,医療経済的観点からも重要な問題点であると言える.オキシコドン投与患者に高い確率で発現することが予想される副作用を事前に把握できれば,個々の患者に合わせた的確かつ無駄の少ない副作用マネジメントを効率よく実践できると考えられる.
強オピオイドによる副作用対策は,モルヒネ投与時の患者の状態に基づいて構築されてきたが,各強オピオイドにおける副作用の性質には共通する部分とともに多くの異なる部分があることが知られている3), 4).この副作用発現頻度の相違はオピオイドスイッチングに応用されている5).オキシコドンのわが国における臨床使用の歴史は浅く,モルヒネに比べると情報はまだ少ない.近年のわが国におけるオキシコドンを用いた疼痛治療の急速な普及により,オキシコドンに関する詳細な情報がその副作用対策に必要となってきている.
薬物による副作用は,薬物側の性質と投与される患者背景因子の両者に起因する.強オピオイドによる発現頻度の高い副作用に関する情報は多くあるが,発現リスクが高い患者背景に関する情報は限られている.副作用発現に関与する患者背景には様々な影響要因があるが,その中でも得やすい因子として性別が挙げられる.性差医療の研究では,疾病の罹患率や種々薬物の体内動態・薬効等に性差があることが明らかになっている6), 7), 8).すでにいくつかの薬物において,副作用発現の性差についても知られるようになった9), 10).
患者の年齢も明確な背景因子である.薬物のクリアランスに関与する生理機能の加齢に伴う低下と,複数の疾患への罹患に伴う多剤併用により,高齢者では薬物による副作用が発現しやすくなる11), 12).今後,高齢のがん患者の増加により,強オピオイドの高齢者への使用がますます増加することが見込まれるが,強オピオイドによる疼痛治療を安全に遂行するためには副作用に関する情報が不可欠である.
2004年4月以降のわが国における医薬品による副作用報告の症例情報は,独立行政法人医薬品医療機器総合機構 (Pharmaceuticals and Medical Devices Agency: PMDA) のホームページにおいて「医薬品副作用データベース (Japanese Adverse Drug Event Report database: JADER) 」として公開されている13).疼痛治療下で使用されたオキシコドンによる副作用症例を多く含むJADERを用いることで,オキシコドンにより惹起される副作用の把握と,性別および年齢が与える副作用発現傾向への影響に関する解析を試みた.
PMDAのホームページより,JADERをダウンロードし解析を実施した.
今回用いた JADER のデータは,2004年 4 月 1 日~2014年7 月 31日までに報告のあった320,106 件の副作用報告の症例データである.
2 オキシコドンにより惹起される副作用の把握オキシコドンにより惹起される副作用を把握するために,全症例データの解析を実施した.
JADERにおいて各副作用症例データは,報告項目別に「症例一覧テーブル」,「医薬品情報テーブル」,「副作用テーブル」,「原疾患テーブル」の4つのテーブルに分割されて提供されている.まず「医薬品情報テーブル」と「副作用テーブル」に対して広岡らの方法14)を用いて重複データの除去を行った.その後,各副作用症例の番号である識別番号により「医薬品情報テーブル」と「副作用テーブル」,「症例一覧テーブル」の対応する症例データを結合した.各症例データは,投与された医薬品の有害事象に対する関与が被疑薬・併用薬・相互作用の3つのいずれかに割り付けられている.本研究では被疑薬である症例データのみを抽出し,解析用データテーブルとした.
解析用データテーブルから,副作用ごとにオキシコドンの投与の有無と副作用発現の有無による2×2の分割表を作成し,オッズ比および95%信頼区間の算出とFisherの直接正確検定を実施した.オッズ比の自然対数を横軸,Fisherの直接正確検定によるP値の逆数の常用対数を縦軸として散布図 (volcano plot)を作成し,副作用の発現傾向を観察した.
3 患者背景因子別解析用データテーブルの作成とオキシコドンにより惹起される副作用の集計上述した解析用データテーブルから,投与された医薬品の一般名がオキシコドンである症例のみを抽出した.解析対象を使用目的が疼痛治療目的である症例に限定する目的で,医薬品の使用理由に「痛」の文字を含む症例を抽出した.以上より得られたデータテーブルを患者背景因子別解析用データテーブルとした.
患者背景因子別解析用データテーブルから,オキシコドンによる各副作用の症例数を集計し,報告件数が10件以上の副作用を表1に示した.オキシコドンによる全副作用症例数に対する各副作用症例数の割合を「報告に占める割合」として算出した.
4 性差と副作用前項3で作成した患者背景因子別解析データテーブルから,性別の情報がない症例を除外した.副作用ごとに,副作用発現の有無と性別による2×2の分割表を作成し,オッズ比および95%信頼区間の算出とFisherの直接正確検定を実施した.オッズ比の自然対数を横軸,Fisherの直接正確検定によるP値の逆数の常用対数を縦軸として散布図を作成し,副作用と性差の関連を観察した.
5 年齢による解析JADERでは報告された年齢は,プライバシーへの配慮のために10歳代毎に区切ったデータとして提供されている.症例によっては年齢群 (新生児,幼児等,成人,高齢者)で提供されている場合もある15).患者背景因子別解析データテーブルの年齢が,年齢群で示された症例および「不明」である症例データは除外した.次に,患者の年代により高齢者群と非高齢者群に分類した.内閣府16)やBeers基準17)等では,高齢者は65歳以上と定義していることが一般的には多い.わが国の長寿高齢化を反映して高齢者の定義をより高い年齢へ引き上げるべきとの意見があることから18),本研究では70歳代以上を高齢者,60歳代以下を非高齢者とした.副作用ごとに,副作用発現の有無と高齢者/非高齢者による2×2の分割表を作成し,以下4と同様の手順で解析を行った.
6 統計解析全ての解析はJMP® Pro10.0.2 (SAS Institute Inc., NC, U.S.A.)を用いて実施した.オッズ比の計算においては,2×2の分割表に0のセルが存在すると計算ができず,度数が小さいと推定が不安定になる.このバイアスを修正するため,全てのセルに0.5を加える補正(Haldane-Anscombe 1/2 correction)を実施した19).危険率5%未満を有意水準とした.
全副作用症例に基づくオキシコドンによる副作用の発現傾向を網羅的に検討するため,オキシコドン以外の医薬品による副作用報告に対するオキシコドンによる副作用報告のオッズ比と統計的有意差 (表1)の関係を散布図として視覚化した (図1a).なお,本散布図はバイオインフォマティクス分野で遺伝子の発現傾向の視覚的理解のために頻用されるvolcano plotに相当する20).図1aの横軸は対数オッズ比 (lnOR)であり,正方向ほど報告が多い有害事象であることを意味する.一方,縦軸はFisherの直接正確検定におけるP値の逆数の常用対数 (-log P値)であり,正方向ほど統計的有意差が顕著な副作用であることを示唆する.すなわち,本散布図の右端上方に描画されているほど,オキシコドンによる有害事象として報告が多いことを意味する.オキシコドンにより惹起されやすい副作用には,一般的に強オピオイドによるものと認知されている副作用21)が多数認められた.オキシコドンによる副作用の報告件数が10件以上であった項目を表1に示す.最も件数が多い副作用は譫妄であった (6.3%).続いて悪心 (6.0%),嘔吐 (5.6%)等,これらも強オピオイドの副作用としてよく知られている副作用であった.
横軸は対数オッズ比 (lnOR),縦軸はFisher の直接正確検定におけるP 値の逆数の常用対数 (-log P 値)であり,縦軸の破線は有意水準5%(P=0.05)に相当する.
a) オキシコドンにより惹起される副作用
横軸正方向ほどオキシコドンによる副作用が発現しやすい傾向を,縦軸正方向ほど統計的有意差が顕著な副作用であることを示唆する.すなわち,本散布図の右端上方に描画されているほど,オキシコドンに依存的な副作用であることを意味する.
b) 性別と副作用の発現傾向
横軸正方向ほど男性に,負方向ほど女性に副作用が発現しやすい傾向を,縦軸正方向ほど統計的有意差が顕著な副作用であることを示唆する.
c) 年齢と副作用の発現傾向
横軸正方向ほど高齢者に,負方向ほど非高齢者に発現しやすい傾向を,縦軸正方向ほど統計的有意差が顕著な副作用であることを示唆する.
患者背景因子別解析データテーブルから性別の情報がない症例を除外し,529件の症例データを得た (男性307件,女性222件).性別による副作用の発現傾向を網羅的に検討するため,各副作用に対するオッズ比と統計的有意差 (表2)の関係を散布図として視覚化した (図1b).図1bの横軸はlnORであり,正方向ほど男性に,負方向ほど女性に報告が多い有害事象であることを意味する.縦軸はFisherの直接正確検定における-log P値であり,正方向ほど統計的有意差が顕著な副作用であることを示唆する.男性では間質性肺疾患が,女性では悪心・食欲減退・下痢の発現に有意差が認められた.これらのオッズ比と95%信頼区間,Fisherの直接正確検定によるP値,および報告件数を表2に示した.
3 年齢と副作用の発現傾向患者背景因子別解析データテーブルから年齢の情報が「成人」,「高齢者」,「不明」で示されている症例を除外し,523件の症例データを得た (高齢者群206件,非高齢者群317件).年齢による副作用の発現傾向を網羅的に検討するため,各副作用に対するオッズ比と統計的有意差 (表2)の関係を散布図として視覚化した (図1c).図1cの横軸はlnORであり,正方向ほど高齢者に,負方向ほど非高齢者に報告が多い有害事象であることを意味する.縦軸は-log P値であり,正方向ほど統計的有意差が顕著な副作用であることを示唆する.すなわち,本散布図の左右端上方に描画されているほど,若齢,もしくは高齢において報告が多い有害事象であることを意味する.図1cにおいて,高齢者群にのみ発現に有意差が認められた副作用の存在が示唆された.間質性肺疾患が最大のオッズ比 (4.3)を示し,次いで譫妄・傾眠といった中枢神経系の有害事象の報告が高齢者群において多かった.
オキシコドンにより惹起されやすい副作用は,強オピオイドによる副作用として認知されている副作用21)とほぼ一致していることが確認された (図1a).強オピオイドの基本薬であるモルヒネに対して従来から実践されてきた副作用マネジメントを,オキシコドンに対しても同様に適用する必要があると考えられる.
2 性差が認められた副作用オキシコドンの性差に関しては,健康な成人に対して同一用量の投与時に,女性では最高血漿中濃度 (maximum concentration: Cmax)および薬物血漿中濃度-時間曲線下面積 (area under the plasma concentration time curve: AUC)が男性より約1.4倍高くなるとの報告があるが,副作用に対する影響は示されていない22).本研究において,オキシコドンによる消化器症状が女性において報告の多い有害事象であることを認めた.この結果は,オキシコドンによる悪心嘔吐の予測因子を検討した研究23)や強オピオイドによる消化器症状に関する研究24)と一致する.様々な性差研究において,術後悪心嘔吐25), 26), 27), 28)やがん化学療法による悪心嘔吐29), 30)は女性に発現しやすいことが知られており,悪心・嘔吐は女性により発現しやすい副作用である可能性がある.悪心・嘔吐は患者にとって苦痛が大きく,一度経験すると拒薬に至ることもある副作用である.副作用発現の回避が望ましいが,強オピオイド開始時の制吐剤投与では悪心の予防効果が認められなかったとの報告24)がある.わが国のがん疼痛の薬物療法に関するガイドラインにおいても予防的制吐剤投与による悪心・嘔吐の減少効果を示す根拠は無いとしている31).悪心・嘔吐の発現リスクは性差により大きく異なることが示唆されたことから,患者背景を考慮した制吐剤の予防投与の有効性に関する検討が期待される.女性において下痢の発現に有意差が認められたが,強オピオイドによる副作用としては代表的ではない.溢流性便秘32), 33), 34)や添加剤35)の報告もあるが,今回の解析においては下痢の報告件数が少ないことから,オキシコドンとの関連や発症頻度の性差に関する更なる報告の集積が待たれる.
3 年齢健康な高齢者群にオキシコドンを投与した場合,非高齢者群との間にCmax,AUC,消失半減期 (elimination half-time: T1/2)および瞳孔径,呼吸数,および鎮静作用の相違を認めなかったとする報告があるが22),本研究においては譫妄や傾眠といった中枢神経系の有害事象の報告が高齢者群で有意に多いことを認めた.強オピオイドの使用は譫妄発症のリスク因子であることが知られているが36),本研究の結果から高齢がん患者においてとくに注意を払う必要があると考えられた.傾眠は強オピオイドの過量投与を疑う契機となる重要な副作用の一つである.肝機能障害者および腎機能障害者では,健康な高齢者群では認められなかったCmax,AUCの増加とT1/2の有意な延長が生じる22).とくに肝機能はオキシコドン動態の変動要因であることが示されている37), 38).高齢がん患者では代謝・排泄能の低下によりオキシコドンの血中濃度が上昇し,結果として副作用発現に差が生じている可能性が推察される.
性別の解析において間質性肺疾患は男性で有意に報告が多い傾向が認められた.一方,年齢に関する解析では,高齢者群で有意に間質性肺疾患の報告が多い傾向を認めた.間質性肺疾患は薬剤性肺障害の一つであり,危険因子として60歳以上であることが含まれている.いくつかの医薬品における薬剤性肺障害の増悪因子としては,男性であることが知られている39).JADERの解析より得られた薬剤性肺障害に関する発現傾向は上記の知見と良く整合しており,オキシコドン投与下の高齢男性患者においては間質性肺疾患の発現を注意深く観察する必要があると考えられる.一方,JADERには含まれない情報である治療歴(放射線療法や抗がん剤治療等)や既往歴等の患者情報も,副作用管理に有用であると考えられる.
4 その他の主要な副作用呼吸抑制は強オピオイドに共通する重篤な副作用であり,オキシコドンによる副作用の報告件数上位項目にも含まれている (表1).呼吸抑制は強オピオイドの用量に依存的に発現することが知られており,患者の年齢の上昇とともに発現が増加するとの報告がある40).しかし,今回の性別および年齢に関するJADERの解析においては,年齢と呼吸抑制発現の間に有意な傾向は認められなかった.
強オピオイドの三大副作用の一つとして知られている便秘においても,本研究では性別および年齢に依存した発現の相違は認められなかった.本研究に用いたJADERは自発報告に基づくため,軽度の便秘のように重篤ではなく一般的に頻度の高い副作用は報告されていない可能性がある.また,2007年4月に施行されたがん対策基本法に基づく緩和医療の普及のための様々な活動により,副作用に関する情報が多くの医療従事者に認知されたことで,呼吸抑制のリスクを考慮した慎重な用量設定や,便秘対策としてオキシコドン開始時の下剤の処方等が広く行われるようになり,副作用の発現が回避されている可能性も推測される.
5 本研究の限界点JADERは自発報告に基づくため,掲載例は臨床上副作用として認識された症例に限定される.軽度の副作用は報告され難く,重篤症例に偏る傾向もある.これらは自発報告データベースに特徴的な報告バイアスとして知られている41), 42).さらに,本データベースには医薬品と有害事象の因果関係が不明瞭であるという問題がある.死亡症例はPMDAにより検証されるが,それ以外では報告者の評価・判断による.副作用という語は狭義には医薬品と有害事象の因果関係が明白な場合に用いられる43)が,わが国では広義にも使用するため,本データベースの症例には真の副作用だけでなく副作用疑い例も含まれている可能性がある.
一方,用量依存的な副作用や薬物間相互作用依存的な副作用が報告されている38).投与量や併用薬は年齢等と同様に副作用を規定する要因であると考えられるため,今後の検討が待たれる.さらに,患者の既往,治療歴,薬歴,副作用のグレード等を加味した検討も有用であると考えられるが,JADERには含まれない情報である.他の情報源による研究例との統合等により,JADERの解析における上記の限界点が補完的に克服されることを期待したい.
わが国の実臨床に基づく副作用症例の大規模データベースであるJADERを用いてオキシコドンにより惹起される副作用の発現傾向を網羅的に解析することにより,性別および年齢がオキシコドンの副作用発現傾向に与える影響に関する客観的な知見を得た.本研究により得られたこのような情報は,患者毎にオキシコドン投与によって惹起されやすい副作用の,性別および年齢という基本的患者背景情報に基づく推定に使用できると考えられる.すなわち,オキシコドンを含むオピオイドスイッチング等のがん疼痛緩和において,オピオイドの選択等に関する個別化医療の一助になるものと期待される.
本研究は,平成25年度文部科学省科学研究費補助金 (研究課題番号: 25460227)の助成を受けて実施された.
本研究で使用した統計ソフトウェア(JMP® Pro10.0.2)の明治薬科大学年間ライセンスは文部科学省助成事業がんプロフェッショナル養成基盤推進プランの助成を受けた.