2016 Volume 11 Issue 2 Pages 174-181
【目的】外来がん患者のオピオイド使用を実態調査し,乱用や依存につながる不適正使用の是正を通して,緩和ケアチームの課題を考察する.【方法】2014年の4カ月間に外来通院中のオピオイド使用がん患者について,緩和ケアチームがカルテ調査した.乱用や依存につながる不適正使用とは「がん疼痛または呼吸困難以外の目的でのオピオイド使用」とした.主治医と協議して不適正使用の判断と是正を図った.【結果】オピオイド使用67人中,乱用や依存につながる不適正使用は5人(7.4%)で,その内訳は,①がん疼痛で開始されたが,治療により責任病変が消失:3人(4.5%),②がん疼痛と考え開始されたが,精査で良性疾患と判明:2人(3%)であった.5人中4人でオピオイドを中止できた.【考察】外来でのオピオイド使用は,乱用や依存につながる不適正使用が見逃される危険がある.常に疼痛の原因を可能な限り明らかにする姿勢が重要であった.
近年,わが国のがんの罹患率は増加しているものの,死亡率は低下しており1),相対的にがんサバイバーが増加している.がんサバイバーの約40%に何らかの痛みがあるとされ2),オピオイド使用による乱用や過剰投与の増加が問題化している3).
一方,緩和ケアチームは,がん診療連携拠点病院を中心に多くの病院に設置されている.とくに入院患者のオピオイド使用においては,緩和ケアチームを含む多職種が関わることで,不適正な使用をチェックする機能も果たしている.しかし,外来患者のオピオイド使用においては,治療科の主治医と患者間で診療が終始することが多く,不適正な使用が見逃される危険がある.
オピオイドの不適正使用に関する研究は少ない.またその概念や用語も時代とともに変化しており,数少ない研究結果の解釈の上でも混乱を招いている4).日本緩和医療学会の「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン」5)では,がん疼痛をがん自体が原因となって生じる痛みと定義している.また精神依存を,Savage6)らの嗜癖の定義に当てはめて,①自己制御できずに薬物を使用する,②症状(痛み)がないにもかかわらず強迫的に薬物を使用する,③有害な影響があるにもかかわらず持続して使用する,④薬物に対する強度の欲求がある,のいずれか一つを含む行動と定義している.さらに身体依存は,突然の薬物中止,急激な投与量減少,血中濃度低下,および拮抗薬投与によりその薬物に特有な離脱症候群が生じることにより明らかにされる,身体の薬物に対する生理的順応状態と定義している.依存は,身体依存,耐性,精神依存の全てを含むと解釈される.一方,薬物の乱用とは,非医学的もしくは承認されていない使用を指すものとされる7).Chemical copingとは,薬物を本来の目的でなく,心理的なストレスに対処するために使用する行動を指す8,9).このことは鎮痛薬の不適切な使用であるが,嗜癖のように自制が効かないオピオイドの強迫的使用の段階までは進行しておらず,精神的カウンセリングが有効とされている10).本研究は,上記の用語定義に従って行った.
本研究では,急性期病院の外来で,オピオイドは適正に使用されているかを調査するため,1)オピオイドの不適切な使用を調査し,2)オピオイドの不適切な使用の予防と治療を後方視的にカルテ調査した.
2014年8月から11月までの4カ月間に,当院に外来通院中の患者の中で,強オピオイド使用患者を対象とした.薬剤部管理データベースより強オピオイド使用患者を抽出した.乱用や依存につながる不適正使用の確立した定義はない.オピオイドの乱用は,鎮痛目的以外にオピオイドを使用することとされ,オピオイドの身体依存・精神依存は,乱用の繰り返しから生じるとされる11).一方,モルヒネは鎮痛以外に呼吸困難に対しても適応があることから,本稿では「がん疼痛または呼吸困難以外の目的にオピオイドを使用している症例」を,乱用や依存につながる不適正使用と操作的に定義した.慢性疼痛が原因であった場合,保険適応以外のオピオイド使用は「不適正」と判断した.オピオイド使用患者について,緩和ケアチームでカルテ調査を行い,操作的な定義に合致する症例を選定した.不適正が疑われた症例は,緩和ケアチームと主治医で協議を行い,最終判断を下した.
2 不適正使用の治療不適正と判断された全例において,オピオイドの減量・中止を目的とした治療を行った.確立した治療方法はないため,ガイドライン5),専門家の意見12),症例報告13)を参考に,減量スケジュール14,15)をはじめとする下記の基本方針を,独自に作成した.治療の主たる担当は,主治医と緩和ケアチームの協議により,従来の治療科外来か緩和ケアチーム外来のいずれかを選択した.
治療の基本方針
①十分な患者説明:オピオイド中止の理由やオピオイドを継続した場合の不利益,および治療計画など.
②段階的な減量:投与量の25~50%の範囲で減量.ただし経口モルヒネ換算120 mg/日を超える場合,10~25%程度の減量に留める.
③オピオイドスイッチ:段階的な減量が困難な場合,他のオピオイド製剤への剤形変更や,強オピオイド製剤から弱オピオイド製剤へ変更を考慮する.
④支持療法:退薬症状に留意し,必要に応じて抗不安薬や睡眠導入薬の使用を検討する.
⑤減量のタイミング:退薬症状が出現していないことを確認してから行う.
⑥細やかな配慮:患者に共感的に接しつつ,中止の必要性を繰り返し伝える.症例に応じて,電話での状況確認や通院間隔の再調整などを行う.
なお,本研究は,診断および治療内容ともに,侵襲を伴わず介入も行わない,通常診療範囲内での観察研究であり,倫理審査を要しなかった.ただし,人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成26年文部科学省・厚生労働省告示第3号)に従い,個人情報を匿名化する倫理的配慮を行った.
当院の薬剤管理データベースから,4カ月間でのオピオイド使用外来患者は68人であった.そのうち非がん疼痛に対する使用は1人だった.がんの診断の元,その治療経過で強オピオイドが使用されていたのは67人であった.その67人についてカルテ調査を行った(表1).
67人の平均年齢は64.8歳で,男性54%女性46%であった.原発部位は肺が最も多く27%を占め,以下乳腺(12%),直腸(10%),膵(6%),多発性骨髄腫(6%)が続いた.処方を行っていた治療科は,腫瘍内科が最も多く24%を占め,以下呼吸器内科(21%),緩和医療内科(12%),消化器内科(10%),血液内科(7%)と続いた.定時オピオイドの種類はオキシコドンが約半数(49%)で最も多く,以下フェンタニル(34%),モルヒネ(14%),定時オピオイドなし(3%)であった.治療状況としては,がんの積極的な治療(化学療法,分子標的治療,ホルモン療法)中が最も多く48%を占め,次にBest Supportive Care (以下BSC)が45%,さらに治療前(4%),治療を終えた経過観察のみ(3%)と続いた.
カルテ調査にて不適正使用が疑われた患者について主治医と協議を行い,適正・不適正の最終評価を行った.不適正な使用は5人(7.4%)に認められた.5人は次の2つに大別された.①がん治療による責任病変の消失後も使用継続されていた例:3人(4.5%)と,②がん疼痛と考え使用開始されたが精査で良性疾患であった例:2人(3%)であった(図1).それぞれの事例の概要を示す.
①がん治療による責任病変の消失後も使用継続されていた3人(表2)
【症例①】57歳,女性
胸壁浸潤肺がんの胸壁痛に対しオキシコドン徐放錠導入.その後手術(左上葉+胸壁合併切除)施行され,術後も胸壁痛にオキシコドン徐放錠10 mg/日が継続されてきた.また異時両側乳がんの術後でもあり,分子標的治療薬とホルモン剤による補助療法が継続されてきた.肺がん,乳がんともに明らかな再発所見を認めず,オピオイドの投与期間は約1年10カ月であった.
術後痛に対しロキソプロフェン,プレガバリンを継続しつつ,オキシコドン徐放錠を中止.トラマドールをレスキュー薬として開始.トラマドールは当初1~2回/日を要したが,徐々に減量され,約2.5カ月で中止できた.
【症例②】61歳,男性
肺がんの胸壁浸潤,縦隔リンパ節転移.胸壁痛に対しオキシコドン徐放錠導入.その後手術(肺・胸壁合併切除)施行され,術後も胸壁痛にオキシコドン徐放錠10 mg/日が継続されてきた.術後経過で再発所見はなく,経過観察中.オピオイドの投与期間は約2年2カ月であった.
患者は「痛みはなく突っ張り感だけ.(オキシコドン徐放錠は)心配だから飲んでいる.効いている気はしない.」と評価.オピオイド継続の不利益を説明.オキシコドン徐放錠中止し,ロキソプロフェン,プレガバリンとエチゾラム頓用への変更を提案.しかし「心配.やはり止めるのは嫌」と,協力が得られず.Chemical copingの状態と判断した.現在もオキシコドン徐放錠10 mg/日の中止を説得中である.
【症例③】65歳,男性
多発性骨髄腫の疼痛にフェンタニル貼付剤開始.一時6 mg/日まで漸増.化学療法が奏効し病変は消失.経過観察となった.疼痛の改善に伴いフェンタニル貼付剤も漸減.しかしフェンタニル貼付剤1 mg/日を中止すると,「倦怠感で居ても立っても居られない」等の退薬症状を認め,中止できず.オピオイドの投与期間は約1年4カ月であった.
苦痛に共感しつつ,オピオイド中止の意義を説明.一旦フェンタニル貼付剤1 mgからオキシコドン徐放錠15 mg/日へ変更し,オキシコドン徐放錠を漸減.約1カ月で中止できた.経過中,エチゾラム頓用が効果的であったが,その後エチゾラムも中止できた.
②がん疼痛と考え使用開始されたが,精査で良性疾患であった2人(表3)
【症例④】80歳,女性
腎がんでBSC中に腰痛出現.CTで腎がんの増大なく,骨転移も認めず.陳旧性の腰椎圧迫骨折は認めるが,2カ月前と著変なし.画像描出不能の骨転移を疑い,アセトアミノフェン(300 mg)6錠/日とオキシコドン散5 mg頓用を開始.オキシコドン散で痛み軽減するが眠気あり.オキシコドン徐放錠10 mg/日開始されるも,嘔気で自己中断.フェンタニル貼付剤1 mg/日に変更されるも,副作用の恐怖心から自己中止されていた.4週後,腰痛は自然に改善.CT再検にてTh11に新たな圧迫骨折を認めた.オピオイドは中止され,退薬症状は認めなかった.
【症例⑤】67歳,男性
下咽頭がんで手術など積極的治療を拒否されBSC中.アルコール依存や慢性閉塞性肺疾患あり.腰痛にて骨転移を疑いロキソプロフェンとモルヒネ内服液開始.4週後,モルヒネ内服液で痛み残存しておりモルヒネ徐放錠が開始された.1週間後に整形外科紹介され,胸腰椎に多発骨折を認めた.がん告知後から飲酒が増え,自宅で転倒を繰り返していたことが判明した.緩和ケアチームに紹介され,モルヒネ徐放錠が中止された.オピオイドの退薬症状は認めなかった.
オピオイドの中止を目的とした治療の結果,①では3人中2人で中止できた.②では2人とも中止できた.全体として5人中4人で中止できた.中止できない1人はchemical copingであった.
オピオイド使用外来がん患者67人のうち,不適正な使用は5人(7.4%)に認められた.5人の内訳は,がん治療による責任病変の消失後も使用継続されていた3人と,がん疼痛と考え使用開始されたが,精査で良性疾患であった2人であった.いずれもがん疼痛でなく,非がん性の急性痛あるいは慢性痛として対処されるべきであった.5人のうち4人は,オピオイドの漸減・中止が可能であったが,1人においては治療継続となっている.中止できない1人は痛み以外の目的(不安の軽減)でオピオイドを使用しているが,生活に支障をきたす害は生じていない.これはchemical coping8,9)の状態と考えられ,オピオイドを中止する治療は難渋することが分かった.他の中止成功例でも,その過程で退薬症状が出ていた.これはオピオイドの長期使用で身体依存が形成されていることを示している.身体依存は適正な使用下では問題とならないが,不適正な使用を改善する段階ではその扱いが中止治療の成否を決定するため,十分な知識が必要と考えられた16).
がん患者のオピオイド使用でも乱用・依存は起こるのであろうか? 動物実験においては,痛みの存在下では報酬系が賦活化されず,オピオイド依存の可能性は低いとされてきた17,18).しかし臨床的にはHøjstedらが,がん疼痛患者においての依存の頻度を0-7.7%,嗜癖の頻度を0-0.2%と報告している19).嗜癖5,6)の発症には,繰り返されるオピオイドの投与に加え,遺伝的要因,心理社会的要因,環境要因が影響するとされている.実臨床では,遺伝・環境要因が動物実験と大きく異なるため,オピオイドの乱用・依存が予想以上に多く発生していると考えられる11).がん患者の治療経過中に遭遇する痛みの原因としては,①がんの再発・転移の増大,②がん治療によって生じた二次的な痛み,③新たに生じた疾患による痛み,④元々有していた疾患の増悪,に分類できる20).①以外の②③④は非がん性慢性痛であり,治療戦略が大きく異なる.われわれは外来がん患者の不適正なオピオイド処方5人の疼痛原因として,骨転移のない骨折,術後創部痛,chemical copingを経験した.術後創部痛は慢性痛といえ,一部のオピオイドは適応が認められているが,使用されていたオピオイドがオキシコドン徐放錠で保険適応外使用であったため,不適正と判断した.つまり5人とも疼痛の原因が②か③であったにもかかわらず①と考え,オピオイドの処方を受けていた.非がん性慢性痛に対しオピオイドを処方されている患者の依存や嗜癖の頻度は,がん疼痛より高く,依存の頻度が14.4%,嗜癖の頻度が19.3%と報告されている21).外来がん患者の痛みの増大に対し,常に鑑別診断を適切に行い,痛みに見合ったオピオイド投与を行うと同時に,不適切使用の可能性を念頭に置いた診察を行っていく必要がある.そのためには,がん疼痛のガイドラインのみならず,非がん性慢性痛のガイドライン22)も精読しておく必要がある.
ではこうした不適切な処方を予防するために,がん治療医はオピオイド使用外来患者の,どのような点に注意を払うべきであろうか? オピオイドの有効性の評価として,Passik14)らが提唱する「4つのA」がある.これらの①鎮痛(Analgesia),②日常生活動作(Activities of daily living),③有害事象(Adverse events),④薬物関連の常軌を逸した行動(Aberrant drug-related behaviors)について,外来診療で確認していく必要がある.多くの処方医が①鎮痛や③有害事象について注意を払っている.また緩和ケアでは,②日常生活動作(ADL)の向上を鎮痛の目標に置くことは多いと考えられる.しかし④常軌を逸した行動(例えば,気分を高揚させる目的でオピオイドを使用することや,オピオイドを隠し持とうとして処方を要求することなど)については十分な注意が払われていない可能性がある.少しでも痛み以外の目的でオピオイドを使用している場合にはchemical copingを疑い,嗜癖に至る前にオピオイド継続による害について説明を開始することが大切である.さらに嗜癖については,患者の強迫的な欲求のみでなく,オピオイドが患者の生活を害しているかどうかに注目して評価することが重要である23).
では乱用や依存につながる不適正使用に気づいた時,どのように対処すればよいのか? 治療法は未だ確立されていないが,原則はオピオイドを中止し,痛みの原因に見合った処方を行うことである.原則を進める上で注意すべき点は,十分な患者説明を行うことと,退薬症状に注意することである.医療者側は,このオピオイド使用が患者の希望で始まったものでなく,医療機関からの処方で始まっている点に留意すべきである.患者の心情に配慮しつつ,依存の原因や鎮痛の目標点を含めて患者と十分話し合うべきである11).オピオイドを減量・中止する際には,退薬症状として筋肉の痛みや痙攣,疝痛,下痢などと共に,不眠,不安,焦燥感,および多彩な自律神経症状(発汗,流涙,鼻水,あくび,悪寒,立毛筋の収縮)の出現に注意する.これらは大変辛い症状であるが,通常2〜3日後をピークに自然消失する.退薬症状を回避するのに,漸減法や長時間持続型のオピオイド作動薬(メサドン,ブプレノルフィン,トラマドール(長時間型))の使用が試みられている24〜26).また慢性痛患者のオピオイド依存に対しオピオイド中止を行っても,再発率が高いことが指摘されており,再発予防目的の維持療法としても上記長時間持続型のオピオイド作動薬が使用されている27,28).ただし本邦でメサドンをこの目的に使用することはできない.われわれは,漸減あるいは他のオピオイド作動薬に変更しての漸減を経て中止を試みた.さらに心因性疼痛や退薬に伴う焦燥感の増強に対し,抗不安薬を使用した.オピオイドの投与期間が短い患者では,退薬症状が問題となることはなかった.結果,5人のうち4人で,オピオイドの中止が可能であった.
この研究の限界として,まず短期間の単施設調査であることがあげられる.各医療機関はそれぞれ特徴を持っており,そもそも一般化は難しいともいえる.また,「不適正」の判定の不確かさも残る.そもそも「不適正な使用」の範囲は広く,今回の操作的定義である「がん疼痛または呼吸困難以外の目的にオピオイドを使用している症例」はそのごく一部分に過ぎない.現時点で「不適正」の判定に確立した基準はなく,今回は緩和ケアチームと主治医との協議で最終判断した.がんの再発は,痛みが先行し,後から診断が確定する場合もあるので,今回の「不適正」の判断が正確かどうかは,その後の経過により変わりうる.オピオイドの中止を目的とした治療については,健常者や非がん性慢性痛での治療法を参考にしたが,がん患者について確立したものはない.依存の程度も比較的軽症例のみであった.今後,本邦におけるがん疼痛やがんサバイバーの疼痛について,大規模研究での検証が必要と考える.
急性期病院の緩和ケアにおける課題の一つとして,入院と比べて外来での疼痛治療が不十分なことが上げられている.その理由として,入院では緩和ケアチームをはじめとするチームアプローチが可能となっているのに対し,外来での苦痛のスクリーニング体制が十分確保されていないことが指摘されている29).反面,今回のように不適正なオピオイド投与があることも現実であり,緩和ケアチームが痛みの改善と乱用・依存の予防の両面で,よりサポート体制を強化することが求められている.欧米において,オピオイドの乱用・依存を予防するために,患者のリスク・スクリーニングツールが開発されている.患者が記入する(主観的)ツールとしてScreener and Opioid Assessment for Patients with Pain — Revised Version (SOAPP-R)30),Opioid Risk Tool (ORT)31),Pain Medication Questionnaire (PMQ)32)などがあり,医療者が記入する(客観的)ツールとしてDiagnosis, Intractability, Risk, Efficacy (DIRE) score33)やAddiction Behaviors Checklist (ABC)34)などがある.しかし,こうしたツールを開発した諸外国とわが国では,オピオイドをめぐる文化・背景が大きく異なっており,今後の検証や独自の開発が必要である35).
当院外来通院中の強オピオイド使用患者から,乱用や依存につながる不適正な使用の有無についてカルテ調査した.主治医と緩和ケアチームが連携し,8割の症例でオピオイドの不適正な使用を是正できた.常に疼痛の原因を可能な限り明らかにする姿勢が重要と再認識されると同時に,外来でのオピオイド使用について,乱用や依存につながる使用をスクリーニングすることが今後の課題と考えられた.