Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
Original Research
Retrospective Study Evaluating the Usefulness of Oral Tramadol in Opioid Therapy Initiation
Keisuke KongoToshihiko InazumiMieko OhotoNoriaki KitadaMotozumi AndoMio LiHashida Tohru
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2017 Volume 12 Issue 1 Pages 108-115

Details
Abstract

本研究では,がん疼痛に対する経口トラマドール(TD)の導入オピオイドとしての有用性を検討した.TD初回導入群(TD群),TD後のオキシコドン徐放性製剤(OXC)導入群(TD→OXC群)およびOXC初回導入群(OXC群)で,疼痛管理と副作用発現の状況を比較した.オピオイドの使用状況に幅広い多様性が見られたが,TD群ではOXC群に比し,疼痛管理不良を理由とした早期処方変更例が多かった.しかし,眠気発現数や制吐剤非併用例での悪心・嘔吐発現数はTD群で有意に少なかった.また,TD→OXC群のOXC開始後も眠気・悪心・嘔吐の発現数はOXC群より少なかった.OXC群ではOXC導入直後の副作用例が多数であったが,TD→OXC群ではOXC開始直後や,それ以降でほとんど副作用発現が見られなかった.以上よりTDを導入オピオイドとした疼痛管理法により副作用の発生を抑制できる可能性が示唆された.

緒言

非麻薬性鎮痛薬である経口トラマドール(TD)は,世界保健機構(WHO)が提唱する3段階除痛ラダー1)のうちコデイン同様,第2段階で使用される薬剤である2).TDはµオピオイド受容体賦活化作用とモノアミン再取り込み阻害作用を有しており3),他のオピオイド製剤と比較して副作用が軽微とされている.

一般に,オピオイド鎮痛薬を反復投与すると,オピオイドの神経抑制作用により,眠気,悪心および嘔吐をはじめとした副作用の発現に慣れが生じるとされている2).また,オピオイドスイッチングによりその副作用が軽減されることが報告されており48),その理由のひとつとして先行投与されたオピオイドによる耐性形成が考えられている2).したがって,オピオイド鎮痛薬であるTDを導入オピオイドとした際にも,その反復投与やオピオイドスイッチングにより副作用の発現頻度および強度が軽減すると考えられるが,これまでに実地臨床でそれらを明らかにした報告はほとんどない.

そこで,本研究では神戸市立医療センター中央市民病院(以下,当院)においてがん疼痛に対しTDおよびOXCが処方された入院患者を対象に,TD初回導入群(TD群),TDからのオキシコドン徐放性製剤(OXC)導入群(TD→OXC群)およびOXC初回導入群(OXC群)で,疼痛管理状況および副作用発現状況を比較した.

方法

1 対象

2011年7月1日から2012年6月30日までに,当院において,がん疼痛に対しTDあるいはOXCを初回のオピオイド導入薬として用いた入院患者を対象とした.ただし,オピオイド導入時期に化学療法を施行されていた患者は除外した.なお,本研究は当院の臨床研究倫理委員会による承認を得て実施した.

2 調査項目

オピオイド導入までの患者背景として性別,年齢,原発巣(消化器,造血器,呼吸器,婦人科系,泌尿器,頭頸部,原発不明),疼痛の種類(内臓痛,体性痛,神経障害性疼痛),TDあるいはOXCの初回投与量(開始用量とその経口モルヒネ換算量),前治療薬としての非オピオイド鎮痛薬の使用状況,オピオイド導入時のプロクロルペラジン併用状況およびその投与量と投与継続期間を調査した.また,オピオイド導入以降の投薬状況として,TDあるいはOXCの投与継続期間,処方変更例数,処方変更までの日数および変更理由,患者の転帰,オピオイドスイッチングを行った例数とスイッチ前のTDあるいはOXCの投与量およびその経口モルヒネ換算量を調査した.なお,上述の処方変更例は,TDおよびOXCを他のオピオイド鎮痛薬へスイッチした例(オピオイドスイッチ例),非オピオイド鎮痛薬へ変更した例およびTDあるいはOXCを中止した例と定義した.また,TDおよびOXCの経口モルヒネ換算比は本邦ガイドライン2)に準じ,それぞれTD : 経口モルヒネ=5 : 1およびOXC : 経口モルヒネ=2 : 3とした.副作用(眠気,悪心および嘔吐)発現開始状況は,いずれの群もオピオイドが投与されている期間の全ての日で調査した.TDによるオピオイド導入群のうち,途中でOXCへスイッチされた症例(TD→OXC群)では,OXCへスイッチ後の副作用発現頻度および発現開始日を調査した.これらはいずれも電子カルテシステムを用いて後方視的に調査し,鎮痛効果および副作用の有無は,医師が記載した診察記事から判断した.なお,副作用発現状況の比較において,悪心と嘔吐に関してはプロクロルペラジン非併用症例のみを使用した.

3 統計解析

TD群およびOXC群の年齢,導入オピオイドの経口モルヒネ換算量,プロクロルペラジンの投与量と継続期間,導入オピオイド継続期間,処方変更までの導入オピオイド投与日数,オピオイドスイッチング例数の比較についてはWelch’s t-testを使用した.その他の比較にはChi-square testを用いた.なお,全ての解析で有意水準はp<0.05 (両側検定)とした.

結果

1 対象患者の背景とTDおよびOXC導入後のオピオイド継続状況

表1に患者背景を示した.TD群は80名,OXC群は51名であった.腫瘍の原発巣として最も多かったのが両群とも消化器であり,それに続きTD群では造血器が,OXC群では呼吸器が多かったが,患者数が有意に異なる原発巣は見られなかった.疼痛の種類として,内臓痛,体性痛,神経障害性疼痛が見られ,それらを単一あるいは複数有する患者が見られたが,いずれの種類の疼痛もその保有人数に両群間で有意な差はなかった.非オピオイド鎮痛薬による前治療は両群とも約90%の患者が受けていた.オピオイド開始時の経口モルヒネ換算量に有意差はなかった.オピオイド導入時には,両群とも約40%の患者がプロクロルペラジンを投与されており,その1日あたりの投与量の平均はOXC群に比べTD群で有意に低値であった.TDおよびOXC導入後のオピオイド継続状況を調査したところ,TD群では73名,OXC群では43名で処方が変更されていた.また,TD群の方が早期に処方変更されている傾向がみられた.オピオイドの変更理由として,TD群では疼痛コントロール不良が最も多く(42名),OXC群の3名と比較して有意に高値であった(p<0.001).一方,副作用の発現を理由とした処方変更例は,OXC群の方が明らかに多かった(TD群:6名,OXC群:13名,p=0.009).それ以外の処方変更理由については両群間で有意な差を認めず,死亡例数も有意差を認めなかった.また,上述の処方変更例(すなわち,導入したTDおよびOXCを任意の鎮痛薬に変更した例:TD群,73名;OXC群,43名)のうち,オピオイドにスイッチした人数はTD群で49名,OXC群で26名であった.表には示していないが,TD群の49名のうち,21名はOXCにスイッチされていた.その理由として最も多かったのは疼痛コントロール不良(19名)であり,その他は傾眠と悪心が各1名であった.また,OXCへのスイッチ例以外の28名はフェンタニル経皮吸収型製剤(18名)および経口モルヒネ徐放性製剤(10名)へスイッチされていた.スイッチ前のTDおよびOXCの1日あたりの投与量の平均は,それぞれ157.7±95.2および21.7±15.4 mgであり,これらを経口モルヒネ換算量とすると両群とも1日あたり約30 mgとなり有意な差は認められなかった.

表1 患者背景およびオピオイド服用時の状況

2 TDおよびOXC導入後の副作用の発現状況

表2にTD群およびOXC群の副作用の発現状況を示した.TD→OXC群(21名)では,OXC使用時の副作用発現状況を示した.TD群(TD使用時)とOXC群において,今回の結果を本邦の臨床試験の結果(添付文書情報)と比較したところ,両群の嘔吐発現率やTD群(TD使用時)の悪心発現率が臨床試験の結果より低かったこと以外は,それほど大きな乖離はなかった.また,TD後のOXC使用時(TD→OXC群)ではOXCの臨床試験の結果と比較して,いずれの副作用もその発現率は低値であった.今回の結果のみでも副作用発現率を比較した.悪心および嘔吐の発現率を比較する際は,プロクロルペラジン非併用例のみとしたが,いずれの副作用もOXC群に比べTD群で低く,とくにTD使用時では眠気と悪心が有意に低く,TD後のOXC使用時(TD→OXC群)では悪心が有意に低かった.

表2 TD群およびOXC群における中枢性副作用の発現状況

3 TDおよびOXC開始後の副作用発生開始日と人数の関係の経日的変化

TD群およびOXC群における,オピオイド開始後の副作用発生開始日とその人数の関係をそれぞれ図1および図2に示した.また図3には,TD→OXC群におけるOXC開始後の副作用発生開始日とその人数の関係を示した.なお,オピオイド開始日をday 1として図示した.いずれの群も,オピオイド服用期間中の全ての日で副作用の発生状況を調査したが,副作用の発生開始はいずれもオピオイド開始後7日目までに見られていた.TD群とOXC群では似たような副作用発生開始状況であり,いずれもオピオイド導入直後に副作用発生開始例が多く,4日目にかけて漸減していた.一方,TD→OXC群のOXC開始後では,数名の眠気発生開始例がOXC開始直後に見られたが,そもそもの副作用発生人数はOXC群と比較して極めて少なく,悪心および嘔吐に関してはほとんど発生が認められなかった.

図1 TD群(TD使用時)におけるTD開始後の副作用発生開始日と発生人数
図2 OXC群におけるOXC開始後の副作用発生開始日と発生人数
図3 TD群(TD→OXC群)におけるOXC開始後の副作用発生開始日と発生人数

考察

TDは本邦でがん疼痛に適応があり,WHO疼痛ラダー1)においてコデインと並び,第2段階での使用が推奨されているオピオイド鎮痛薬である2).本研究ではTDをがん疼痛に対する導入オピオイドとすることの有用性について検討した.

今回調査した患者の腫瘍原発巣として消化器が最も多く,ほかには造血器や呼吸器などが比較的多く見られたが,患者数が有意に異なる原発巣はなかった.また,痛みの種類についても両群間で有意な差はなく,いずれも内臓痛を有する患者が最も多かった.その他,オピオイド導入時のプロクロルペラジンの1日あたりの投与量以外は,TD群とOXC群の間に有意な差は認められなかった.そのような患者集団に導入オピオイドとしてTDあるいはOXCを投与したところ,両群とも80%以上の患者で導入オピオイドが変更されていた.疼痛コントロールの不良により変更されていた患者はTD群で約50%(80名中42名)であったのに対し,OXC群では約6%(51名中3名)と明らかに少数であった.一方,副作用の発現を理由に変更されていた例は,TD群の方が明らかに少なかった(表1).したがって,OXC導入例では副作用の入念なモニタリングが重要であり,TD導入例では疼痛管理の入念なモニタリングが重要であると考えられた.このような結果となった背景には,様々なことが考えられる.今回,理論上の換算比(TD : 経口モルヒネ=5 : 1およびOXC : 経口モルヒネ=2 : 3)を利用しTDおよびOXCの経口モルヒネ換算量を算出したところ,それらは両群間でほぼ同等であった.それにもかかわらずTDとOXCで疼痛コントロールと副作用発現の状況に差があったことを踏まえると,その換算比が実際の効果を反映していなかった(TDに対する経口モルヒネの比率が1/5以上に小さかった)ことが可能性のひとつとして考えられる.一方,薬理学的に考えると,TDおよびその代謝物であるO-デスメチルトラマドール(M1)のµオピオイド受容体に対する親和性は,オキシコドンの数十分の一から数百分の一であることがラットやマウスの脳膜標品を用いた研究やクローン化ヒトオピオイド受容体を用いた研究により証明されており912),それらが,今回TD群において疼痛コントロール不良例が多かったことや副作用発現頻度が低かったことの一因であった可能性も考えられる.ほかにも臨床的および実務的な背景が関与している可能性が考えられる.弱オピオイドであるTDは,強オピオイドであるOXCなどと異なり天井効果を有する.また,TDはセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害作用を併せ持つことなどから上限が定められており,原則として上限である300 mgまでタイトレーションを行いながら,それでも疼痛緩和効果が得られない場合にオピオイドスイッチングを考慮するよう定められている.しかしながら,今回の結果ではTDスイッチ前の1日あたりの平均投与量が150 mg前後であり,最大投与量の300 mgまで増量されていた例は少なかった.その理由のひとつとして,急性期病院である当院では主治医や緩和ケアチームが,TD開始後の疼痛コントロール不良例に対し,疼痛緩和までの期間を短くするために積極的にオピオイドスイッチングを選択することが多い点が挙げられる.当院ではタイトレーションやオピオイドスイッチングの明確な基準を設けておらず,その判断は主治医およびチームに委ねられている.したがって,上述のような事情を加味した主治医やチームが,添付文書で定められている原則とは異なる基準でTDを使用した例が多かった可能性があり,それにより処方変更までの日数もOXC群よりTD群の方が短くなった可能性が推察される.このように様々な可能性が考えられ,今回の後方視的調査のみでOXCやTDの疼痛緩和効果や副作用発現頻度を厳正に評価することは困難であると考えられるが,あくまでも可能性のひとつとして,理論上の換算比から算出した結果ではあるものの,スイッチ前の経口モルヒネ換算量が両群でほぼ同等であったにもかかわらず,OXC群で副作用を理由にスイッチされていた例が多かったことは,OXCの副作用発現頻度がTDより高い可能性を示唆していると考えられる.また,TDを300 mgまで適正に増量していたならば,TD群の疼痛コントロール不良例は今回の結果より少なかった可能性も十分推察される.今後,これらの可能性の検証を踏まえた研究が必要ではあるが,いずれにせよ今回の実臨床から得られた結果では,TD群では副作用による変更例がOXC群より少なかった.一方で,疼痛コントロール不良により変更されていた例はTD群で多かった.したがって,TD導入直後は入念な疼痛モニタリングが必要であることが示唆された.

このように様々な可能性が含まれる状況ではあったが,オピオイド導入後の副作用発現数および頻度を比較したところ,OXC群に比べTD群(TD使用時)で副作用発現が少なく,とくに眠気や悪心については有意な差が見られた(表2).本邦の臨床試験(添付文書情報)での副作用発現状況と比較して,両群[TD群(TD使用時)とOXC群]の嘔吐発現率およびTD群(TD使用時)の悪心発現率が若干低値であったが,それ以外には大きな乖離は見られず,したがって今回の結果はある程度妥当な実臨床での副作用発現状況を反映していたと考えられる.副作用発現開始日とその発現人数の関係を経時的に見た結果でも,TD群およびOXC群ともに,いずれの副作用もオピオイド導入直後に発現を認めた例が多く(図1, 2),オピオイド鎮痛薬による副作用が比較的初期の段階で好発することを示したこれまでの報告とも一致する2,1315).したがって,実務上の事情等を含んだ本研究であったが,既報と類似した副作用発現状況および発生開始状況が初回オピオイド導入例で見られていたと考えられる.今回は悪心と嘔吐の発現頻度をプロクロルペラジン非併用例のみで比較しており,また,オピオイド導入時の疼痛強度も把握・統一できていない状況ではあるが,既報でも同様に中等度のがん疼痛患者に対し,TD(100 mg)を導入オピオイドとしてタイトレーションした場合,OXC(10 mg)を導入オピオイドとしてタイトレーションした場合に比べて,副作用発現率が有意に低くなったことが示されている16).一方で,術後疼痛に対しTDを静脈投与したところ,悪心の発現率がOXCの静脈投与より頻発したという報告もある17).したがって,一概にTDの使用が副作用の少ない疼痛管理法と言えるわけではないが,上記のような既報や本研究の成果を踏まえると,がん疼痛に対してはTDの経口投与が,比較的副作用の少ないオピオイド導入法のひとつとして有用である可能性が示唆される.

TDからOXCに変更した時のOXC服用期間における副作用発現率をOXC群と比較した場合,興味深いことにいずれの副作用もOXC群(OXC初回導入)よりTD→OXC群(TD後のOXC使用時)の方が発現率は低く,悪心に関しては有意な差であった(表1).TD→OXC群のOXC服用後における副作用発現プロファイルも,OXC群のプロファイルとは大きく異なり,多少,OXC開始直後に眠気の発現を認めた例があったものの,OXC開始後の日数が経過してもほとんど副作用の発現が認められなかった(図3).この結果は,TDの反復投与によりオピオイド受容体の耐性化が惹起され,スイッチした際のOXCの副作用が軽減された可能性を示していると考えられる.さらに,TD→OXC群において,全患者がプロクロルペラジンを併用していなかったにもかかわらず,OXC群よりも有意に低い悪心の発現数であったことを考慮すると,その耐性は交差耐性であった可能性も推察される.一般にオピオイド受容体の耐性化は,受容体の脱感作およびダウンレギュレーションによるものであるとされており,その分子メカニズムの中心的役割を担っているのがµオピオイド受容体を介したシグナル伝達経路であると言われている1820).今回の結果から,先行投与されたTDおよびその代謝物であるM1によりµオピオイド受容体の耐性化が惹起され,それがTDを反復投与した時およびOXCへ変更した時の副作用の発現抑制に寄与していた可能性が推察されるが,TDの交差耐性を支持する基盤的知見は乏しく,その可能性については今後更なる検討が必要であると考えられる.また,最近では中等度のがん疼痛に対して低用量オキシコドンを利用する機会が増えてきている.その場合もµオピオイド受容体の耐性を介した,副作用軽減効果が見られる可能性も推察されるが,中等度のがん疼痛患者を対象とした研究では,低用量OXC導入例とTD導入例で鎮痛効果はほぼ同等でありながら,副作用はTD導入例の方が少なかったことが示されている16).したがって,オピオイド全般ではなく,TD導入によるµオピオイド受容体の耐性化が副作用の軽減に重要である可能性が示唆されるが,それらを明らかにした報告はなく詳細は不明である.以上のように,本研究では初回のOXC導入例と比較して,TD導入後のOXC使用例で副作用発現頻度が極めて低くなる結果が得られた.つまり,TDでオピオイドを導入してからOXCにスイッチすることで,副作用の少ないスムーズなスイッチングが可能であることが示唆された.

本研究の限界は,オピオイド鎮痛薬による除痛・鎮痛効果を評価できていない点,オピオイド鎮痛薬導入時の保有疾患の重症度および疼痛強度が統一されていない点,あるいはオピオイド鎮痛薬のタイトレーションおよびスイッチングにおける基準が統一されていない点と考えられる.したがって,今後はそれらの点を適正化した研究が必要である.

結論

本研究では,TD群とTD→OXC群およびOXC群で疼痛管理と副作用発現状況を比較した.その結果,TDによるオピオイド導入例では,TDの継続あるいはOXCへのスイッチングにかかわらず,副作用発現頻度がOXCによるオピオイド導入例より低くなる可能性が示唆された.したがって,TDを導入オピオイドとした疼痛管理法は,副作用の少ない管理法として有用な可能性がある.今後は,適正な基準を満たした患者を対象とするなど,TDを導入オピオイドとすることの有用性をより厳密に評価できるような研究が必要である.

References
 
© 2017 by Japanese Society for Palliative Medicine
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