Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
Original Research
The Appearance Care for Patients Who Undergo Cancer Therapy: Current Status, Issues, and Training Needs of Nurses
Keiko IinoNamiko NagaokaKeiko NozawaShigeaki WatanukiTaeko ShimazuShoko TomaYayoi ShimizuMieko SagawaAyako MoriChikako Shimizu
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2019 Volume 14 Issue 2 Pages 127-138

Details
Abstract

【目的】がん治療を受ける患者に対する看護師のアピアランス支援の実態と課題および研修への要望を明らかにすること.【方法】がん診療連携拠点病院等の看護職2,025名に郵送法による無記名自記式質問紙調査を実施した.調査内容は支援94項目,研修への要望等について多肢選択式,自由記述にて回答を求めた.分析は,記述統計量の算出,「支援の種類の多さ」に影響する因子のロジスティック回帰分析を行い,自由記述は質的記述的に分析した.【結果】分析対象は726名(35.9%),平均年齢42.5(24〜62) 歳であった.94項目中93項目の支援を提供していた.支援の種類の多さに影響する因子は,多様な情報収集および支援への自信などであった.アピアランス支援の課題・研修への要望は17項目生成され,「アピアランス支援の標準化」等,多様であった.この結果をもとに,医療従事者の研修プログラムの構築を検討する予定である.

緒言

がんの治療法や有害事象の緩和技術の進歩,入院の短期化,外来治療の進歩などにより,治療を継続しながら社会的役割を担うがん患者が増加し,現在,就労を継続しているがんサバイバーは32.5万人と報告されている1).しかし,がん患者638名を対象にした調査2)は,治療の副作用の中でも外見に現れる副作用の苦痛度が高く,患者の97.4%が外見の変化とケアの情報は病院で与えられるべきと認識していることを示した.また,治療を受けた乳がん患者の身体症状の苦痛の上位は,頭髪の脱毛,乳房切除,睫毛・眉毛の脱毛等,外見の変化を伴う有害事象・形態の変化であることが報告されている3).このように,外見変化に対する支援(アピアランス支援)ニーズは高く,がん専門病院でアピアランス支援センターが設置されるなど,専門的なケアが期待されている.しかし,「がん患者に対するアピアランスケアの手引き2016年度版(以下,ケアの手引き)」4)によれば,「推奨度B:科学的根拠があり勧められる」支援内容は50項目中5項目しかなく,アピアランス支援は有効性の根拠の乏しい分野である.

第3期「がん対策推進基本計画」5)では,「尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築」を目指し,個別課題「がん患者等の就労を含めた社会的な問題(サバイバーシップ支援)」において,「国は,がん患者のさらなるQuality of Life(QOL)の向上を目指し,医療従事者を対象としたアピアランス支援研修等の開催」等を推進していく方向性が示された.そこで,われわれ研究グループは,がん患者へのアピアランス支援者対象の研修プログラム開発と標準化を計画し,医療従事者がより効果的に学べる支援体制の構築が急務と考えた.

これまでに,われわれは,がん専門病院の看護師によるアピアランス支援の実態を調査した6,7).その結果,外見変化に対する看護師の行うケアについて質的に網羅的に抽出したものの,研修企画のためには全国的な支援の実態として,教育内容を検討するためにどのような支援がどの程度されているのか,また,多くの種類の支援を実施している対象者に関連する要因,支援の課題と研修ニーズの明確化が必要と考えた.

本研究は,がん治療を受ける患者に対する看護師によるアピアランス支援の実態と課題および研修への要望を明らかにすることを目的とした.この結果を踏まえ,現在行っている研修プログラムを見直し,医療職向けのeラーニングプログラムの開発を目指す.

用語の定義

アピアランス支援:「がん治療を受け外見の変化(爪,皮膚障害,脱毛等)を有する患者への医療従事者からの支援」とし,相談を受けたり,説明したり,具体的に行っている支援とした.

方法

研究デザイン

横断調査,郵送法による無記名自記式質問紙調査

研究対象者

(1)全国がん診療連携拠点病院400箇所に従事する看護職各5名(計2,000名),(2)アピアランスケア研究ネットワークのホームページ(http://ap-kenkyu.umin.jp)に任意にアクセスし,研究参加希望者として登録した者約30名程度を計画として想定した.

対象者の登録方法として,(1)の対象候補者は,各病院の看護管理者へ,調査目的,方法,倫理的配慮,調査方法等を記載した依頼文章を送付し,アピアランス支援に関わっている看護師へ配布依頼した.調査票を受け取った看護師は,文書を精読し任意に返信をするよう依頼した.(2)の対象候補者へは,上記ホームページ上に調査協力依頼を掲示し,参加の意思表示の登録があった医療職へ依頼状・返信用封筒とともに調査票を郵送し,依頼文を読み任意にて返信をするよう依頼し,25名より登録があり調査票を送付した.

調査内容

調査項目は,支援に関する書籍4,8),研究班で実施してきた調査結果6,7),および文献検討を踏まえ,素案を作成した.また,がん専門病院におけるがん看護経験が8年以上の看護師8名によるパイロットスタディ,および外見変化を体験した若年成人から壮年期のがんサバイバー男性2名,女性3名からの意見を受け,共同研究者(看護師,心理士,美容の専門家,医師)で作成した.調査項目は,対象属性および以下の通りである.

①アピアランス支援の種類:日常的に一般的な整容で活用している香粧品の活用を含む94項目を設定し,支援実施(相談を受けたり,説明したり,具体的に行っている)項目について複数回答を求めた.

②アピアランス支援に関する背景・認識:支援部門の有無,支援を行うべき職種,研修会等の参加経験,困った時の情報源を設定し,複数回答および択一式回答を求めた.また,「アピアランス支援を適切にできている自信」について「とてもある」を6,「全くない」を1の6段階のリッカートで回答を求めた.

③アピアランス支援の課題,研修への要望は,自由記述にて回答を求めた.

分析方法

まず,各項目の記述統計量を算出した.次に,今後必要とされる研修内容を検討するために,医療者が実施している支援の実態,および支援を多く行っている対象者の関連要因を多変量解析で探索した.今後必要とされる教育内容を検討するにあたり,支援の実施頻度を明らかにすることと,支援の種類が多いことは対象者に合わせてより多様な支援の選択肢から選んで提供できていると考えられ,支援の種類を従属変数とする多変量解析を行った.

まず,アピアランス支援の種類(94項目)について,対象者の実施している種類の合計数の中央値以上を「支援の種類が多い群」,それ未満を「支援の種類が少ない群」とした.さらに,「支援の種類が多い群」「支援の種類が少ない群」で,単変量解析(χ2検定,Fisherの直接確率検定)を行った.単変量解析にて,p<0.2の独立変数間の分散拡大係数(VIF)を確認し,多重共線性を確認した.その後,「支援の種類が多い群」「支援の種類が少ない群」を従属変数とするロジスティック回帰分析を行った.変数投入法はステップワイズ法(変数増加法,尤度比検定法)を用いた.解析には,IBM SPSS Statistics Ver.24(日本IBM,東京)を用いた.

自由記述は,質的記述的に分析した.同義の記述単位ごとに内容をまとめ,共通して見出される類似性のある意味内容をもとに抽象度を高め,項目名を作成した.

倫理的配慮

郵送法による無記名自記式調査であり,対象者へは郵送時に研究目的,意義,方法,および倫理的配慮として本研究への参加は任意であることなどを記載した文書を同封した.返信された調査票の「調査協力の欄」にチェックをしている者を回答に同意したものとみなし分析対象とした.本研究は,国立国際医療研究センター倫理委員会の承認を得た(NCGM-G-001811-00).

調査期間

2018年2月~3月

結果

調査票は744名(36.7%)より返送され,有効回答の得られた分析対象者は726名(35.9%)であり,平均年齢42.5歳(24-62歳),認定看護師362名(49.9%),専門看護師45名(6.2%)であった.所属は,通院治療センター250名(34.4%)と最も多く,次いで病棟であった.単変量解析の結果,支援数により有意な違いがみられたのは,属性では年齢20歳代,経験年数10年未満の対象者が支援の種類が少なく,地区では東海北陸地区で多く,九州地区で少なかった.所属は,通院治療センターが多く,病棟で少なかった(表1).

表1 対象者の背景(N=726)

1.アピアランス支援に関する背景・認識

所属施設にアピアランス支援部門があるのは184名(28.4%)であり,対象者は,アピアランスに関する多様な研修に参加している一方,一度も参加経験のない者は238名(32.8%)であった.アピアランス支援をすべき職種は,看護師が693名(95.5%)であり,医師,薬剤師等も約4割程であり,多職種で担うことが期待されていた.支援で困った時の情報源は「専門看護師・認定看護師」442名(60.9%)が最も多かった(表2).単変量解析の結果,支援の種類の多さに関連していたのは,研修受講歴がある,アピアランスを行うべきと考えている職種が看護師である,院内外の理美容家等を活用している,アピアランス支援に困ったときの情報源が多様な書籍・業者・患者等である,アピアランス支援を実施する自信があること,であった.

表2 アピアランス支援に関する背景・認識:支援の種類の多い群と少ない群の比較(N=726)

2.がん治療に伴う外見変化に対して実施しているアピアランス支援内容

アピアランス支援94項目中93項目を実施していた (表3).実施項目数の中央値(四分位)は,30(15-45)項目,範囲は0-91項目であった.表3は,各項目の人数と割合および支援の種類が多い群/少ない群の2群の人数と割合を示した.2群とも50%以上支援している項目に網掛けをした.50%以上が実施していたのは,脱毛および再育毛する時期に関する情報提供(65.6%),頭髪の装いのための帽子使用(68.5%)であった.

1)体毛の変化に関するアピアランス支援内容

全身の体毛の変化に関する43項目のうち,2群とも50%以上が関わっていたのは13項目(30.2%)であり,頭髪の脱毛に対する帽子603名(83.1%),脱毛や再発毛の時期の情報提供593名(81.7%)が多く,鼻毛,髭等の支援は10~20%台であった.

2)爪および皮膚に関する変化に対するアピアランス支援内容

爪と皮膚に関する支援43項目中,2群とも50%以上が関わっていたのは12項目(27.9%)であった.爪の色素沈着443名(61.0%),皮膚の色素沈着508名(69.0%),スキンケア化粧品501名(68.1%)が多かった.水疱,潰瘍,びらんの皮膚変化や美白剤の使用等の予防とケア項目の実施割合は30%を下回った.

3)手術に伴う外見変化に対するアピアランス支援内容

手術に伴う外見変化に関する支援8項目中,最も多かったのは,乳房切除術後のケアであった.

表3 実施しているアピアランス支援内容:支援の種類が多い群と少ない群の比較(多重回答N=736)

3.アピアランス支援の種類の多さに関連する要因

アピアランス支援の種類の多さに関連すると予測された要因(独立変数)について,単変量解析(表12)で選択した変数間のVIFはすべて3以下で,多重共線性を発生させる高い相関はみられなかった.ステップワイズ法(尤度比検定,変数増加法)によるロジスティック回帰分析の結果を(オッズ比:95%信頼区間)示す(表4).支援の種類が多い対象者は,支援に困ったときの情報源としてアピアランスケアの手引きを活用している(2.9:2.039-4.328),理美容専門家を活用している(2.9:1.605-5.240)等積極的に情報を活用していた.また,アピアランス支援を適切に実施する自信が高いこと(2.4:1.660-3.506),通院治療センターに所属している(1.2:1.083-1.395)等であった.一方で,支援の種類の少なさに関連する要因として,アピアランス支援に関する研修を受講したことがない(0.5:0.302-0.680)が示された.

表4 がん治療を受ける患者のアピアランス支援の種類の多さに関連する要因

4.がん治療を受ける患者のアピアランス支援に関する課題および研修への要望

自由記述は,141名(19.4%)から回答を得,課題12項目,研修の要望5項目が生成された(表5).課題は,アピアランス支援が標準化されておらず,組織的取り組みが少なく,医療従事者として提供する必要のある支援内容や方法に迷っていた.また,支援には治療・ケアの幅広い知識・技術がないこと,活用できるツールが少ないこと等から,適切な支援の実施が難しいと感じていた.さらに,ストレスの強いがん診断後の患者の心理状態を踏まえた支援の介入時期の難しさ,患者がセルフケアに取り組もうとしても,患者が活用できる情報が少ないこと等が挙げられた.また,業者対応や職種間連携,理美容家との関わり,経済的側面の課題が示された.

研修については,機会の増加,多職種の研修,地方開催のほか,研修内容・方法に関する多様な要望が出された.

表5 がん治療を受ける患者のアピアランス支援に関する課題

考察

1.アピアランス支援を実施している種類や頻度の実態

アピアランス支援について対象者は94項目中,93項目を実施していたことが示され,幅の広い支援の実態があった.実施の種類が多い群が90%以上実施していたのは,脱毛および再育毛する時期の情報提供,ウィッグの購入時期,頭髪の装いの帽子の使用などであるが,これらは,患者のニーズにそって看護師が対応していた支援であると考える.一方,実施頻度が20%以下の項目も31項目あることや,自由記述において,「医療従事者がメイクアップ指導などする必要があるか疑問がある」と記載されていたように,医療職として実施すべき支援内容について,悩みながら支援を行っている実態も示された.支援頻度の高い項目を中心に必要性を検討するとともに,医療者として必要な知識・技術,多職種へ委譲すべき内容等を精選させていく予定である.

支援項目のなかでも,脱毛の時期・プロセスに関する情報提供は80%以上が実施し,ウィッグの情報を含め脱毛が予測される患者の準備のために情報提供している状況が示された.これは,がん専門病院において質的に調査した研究7)においても「外見変化のリスクを見越して備えるための情報提供」として示されたことと一致する.

眉毛・睫毛の脱毛ケアの頻度は,頭髪ケアに比較し低かった.これは,眉毛・アイラインの描き方等,患者自身の手技獲得が必要であると同時に,医療従事者にも教える技術が必要となる.そのため,今後さらに詳細を分析し,研修プログラムの充実に結び付けていく予定である.鼻毛,髭,陰毛,腋毛等のケアは,10~25%程度が実施しており,頻度は低いものの多様な脱毛のケアが求められている実態が示された.このような体毛は患者が訴えにくいため,強い脱毛を生じる治療の場合に訴えられず困っている患者の存在を認識し関わる必要がある.体毛の変化は,殺細胞性薬の脱毛とともに,近年の分子標的治療薬は毛髪の成長サイクルを遅延させ,多毛・長睫毛等が新たな課題となっている9).本調査では,支援の割合が約14%と少なく,どのように支援を行っているのか情報を集積していく必要がある.

爪と皮膚は,色素沈着ケアの実施割合が高かった.これは患者自身の目に頻繁に触れる症状であり,相談も多かったことが推察される.次いで,爪は爪囲炎,皮膚はざ瘡様皮疹のケアの実施割合が高かったが,これらは医師等専門職の介入が必要となる症状,かつ医学的対応が求められる.また,外見変化のみでなく,痛み等の苦痛を感じる症状であり,系統的な介入が必要である.

2.アピアランス支援を実施する看護師の特徴

単変量解析の結果,通院治療センター所属の対象者は支援の種類が多く,病棟所属の対象者はそれが少ないという結果であった.また,地区別に実施の頻度が有意に異なったことから,全国の均てん化のために地区別に異なった要因等について,今後詳細を分析していく必要がある.

多変量解析により支援の種類の多さに関連する要因は,所属が通院治療センターであることが関連していた.現在は,入院期間の短縮に伴い,治療の意思決定からの経過すべてが外来の場合も多い.脱毛が生じる時期も外来であり,患者の外来でのアピアランス支援に対するニーズも高いことが予想される.本結果からも,多くの支援が外来で実施されている実態が示され,アピアランス支援のケアのあり方を考える貴重なデータとなった.

「アピアランス支援を実施すべき者」としては,多様な職種による関わりが期待されていた.一方,自由記述からは,医療職種間の連携および理美容家等との関わり方が難しいことが示された.アピアランス支援には,有害事象対策とともに,整容や美容に用いる化粧品・医薬部外品等の香粧品に関する知識や使用方法等が必要である.多変量解析より,支援の種類の多い群は,理美容の専門家から積極的に情報を得ていることが推察され,専門家を含め多様なリソースから情報を収集するとともに,医療者として得た情報を再考し,有効性の根拠を踏まえて患者にあった支援を提供することが求められる.

3.がん患者へのアピアランス支援に関する課題および研修企画への示唆

自由記述より生成された課題として,支援が標準化されておらず,医療従事者により認識が異なることが挙げられていた.外見の変化に対する望ましいアウトカムは個人の主観的な価値観に左右される面が強く,患者は医療者へ相談してもよいか迷う状況もあると考えられる.

高橋ら10)は,Web上の外見変化関連の情報について医療従事者21名が検証し,およそ40%が検証できない情報,あるいは間違った情報であったと報告している.また,効果的なケアの方法論について有効性の根拠の乏しさが指摘されている4,11).医療従事者は幅広いアピアランス支援を行っているものの,試行錯誤しながら支援を実施しているものと推察され,専門的知見を確認し,有効性の根拠の乏しさを認識して関わる必要がある.そのため,多様な書籍を活用していることが支援の多さに関連していたと考えられる.また,研修受講未経験は,支援数の少なさと関連しており,研修のあり方の意見も参考に,知識の獲得,技術の向上,継続的な学習等のニーズを踏まえ,今後の研修内容・方法を検討していく予定である.

がん治療に伴い多様な外見の変化が避けられないがん患者に対して,診断直後から治療しながら社会生活を継続できるよう,医療従事者として多くのアピアランス支援を実施していること,支援に必要な能力獲得のための努力および課題が明らかとなった.今後,医療従事者としての支援のあり方,ケアの方向性を見据えた研修プログラムの構築を検討していく予定である.

研究の限界

本調査の対象者は,認定看護師と専門看護師等専門性の高い看護師が過半数であること,アピアランス支援研修受講経験のある者が7割程度であった.がん診療連携拠点病院においてアピアランス支援を行っている者のデータを収集できたと考えるが,一般化するに当たっては,今回は関心や認識の高い看護師の調査というデータの偏りを踏まえる必要がある.また,アピアランス支援の実施の頻度と自信の程度は自己評価であり,より客観的な評価指標の開発も今後求められる.今回の調査は横断的デザインであり,多変量解析におけるケアの実施の種類の多さの関連因子は,あくまでも相関関係にとどまり,因果関係は示唆できない.アピアランス支援は多職種で行うことが期待されているため,今回の看護師の調査結果をもとに,今後は多様な職種の実態を調査する必要がある.

結論

がん治療を受ける患者に対する看護師のアピアランス支援の実態と課題として以下が示された.

1)アピアランス支援として設定した94項目のうち,93項目について対象者が関わっており,幅広い外見変化へのケアの実態が示された.実施の頻度の高い支援項目は,頭髪の脱毛等であり,支援項目により実施の頻度の高い・低いに差がみられた.

2)アピアランス支援の種類の実施数は,年齢・経験階級別,地区別,所属部門別による異なりなどが示された.

3)アピアランス支援の種類を多く実施することに関連する要因を多変量解析で解析したところ,理美容専門家,アピアランスケアの手引き等を積極的に活用すること,支援を適切に実施する自信が高いこと,通院治療センターに所属していることなどが関連要因として示された.

4)がん治療を受ける患者に対するアピアランス支援の課題・研修への要望は17項目生成され,アピアランス支援の標準化や組織的取り組みに関すること等,多様であった.

謝辞

本研究に参加くださった調査回答者の皆様方にお礼を申し上げます.

付記

本研究は,厚生労働科学研究費がん対策推進総合事業(「がん患者に対するアピアランスケアの均てん化と指導者教育プログラムの構築に向けた研究(H29-がん対策-一般-027」)を資金源として実施した.

利益相反

清水千佳子:研究費(日本イーライリリー株式会社)その他:該当なし

著者貢献

飯野,長岡,綿貫,嶋津は研究の構想およびデザイン,研究データの収集,分析,原稿の起草に貢献;野澤,藤間,清水(千),清水(弥),森,佐川は研究の構想およびデザイン,研究データの解釈,原稿の重要な知的内容に関わる批判的な推敲に貢献した.すべての著者は投稿論文ならびに出版原稿の最終承認,および研究の説明責任に同意した.

References
 
© 2019 by Japanese Society for Palliative Medicine
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