2025 Volume 20 Issue 3 Pages 137-148
【目的】在宅終末期ケアにおける同行看護師の役割を明らかにすることを目的とした.【方法】半構造化インタビューによる質的研究を行い,記述的テーマ分析を実施した.対象は同行看護師,医師,研究対象診療所とともに看取り支援を行った訪問看護師,ケアマネージャー,訪問薬剤師,自宅看取りを経験した患者家族とした.【結果】同行看護師の役割は「診療補助」「医師との協働」「医師の説明に対する理解の促進」「意思決定支援」「患者・家族への直接的ケア」「診療におけるサポーティブな環境作り」「全人的な視点で情報収集・アセスメント」「多職種とのコーディネーション」「多職種に対する終末期・緩和ケア教育」の9テーマであった.【考察】さまざまな属性へのインタビューから同行看護師の役割が明らかになった.同行看護師は,訪問看護師と比べ,医師の診療とともに同時に展開される独自の役割があり,在宅終末期ケアにおけるコーディネーターを担っていた.
Purpose: This study aimed to identify the roles of nurses who co-visit with home care doctors in end-of-life care. Methods: A qualitative study was conducted using semi-structured interviews and descriptive thematic analysis. Participants included nurses who co-visit with home care doctors, home care physicians, visiting nurses, care managers, and visiting pharmacists. Families of patients who experienced home-based end-of-life care also participated in the study. Results: Nine roles were identified: (1) assisting with medical procedures, (2) collaborating with physicians, (3) facilitating understanding of physician explanations, (4) supporting decision-making, (5) providing care to patients and families, (6) creating a supportive environment in the medical care setting, (7) collecting information and assessing from a holistic perspective, (8) coordinating with multidisciplinary teams, and (9) educating on end-of-life and palliative care to medical teams. Discussion: Through interviews with various stakeholders, the roles of co-visiting nurses were clarified. Compared to visiting nurses, co-visiting nurses with home care doctors have unique roles that unfold simultaneously with physicians’ medical care while serving as coordinators in palliative home-based care.
在宅医療は増大する慢性期医療ニーズの受け皿として注目されている1).さらに国民の多くは終末期を可能な限り自宅で療養することを望んでおり2),在宅医療は終末期医療提供の場としても期待されている.自宅で人生の最期を迎えることを可能にする医療・介護体制の構築が求められており1,3)在宅終末期ケアの充実は重要な医療課題である.
在宅終末期ケアでは,心身機能が回復不能でかつ近い将来確実に死に至る終末期状態の患者に自宅または自宅に準ずる場でケアが提供される.この環境下では,医師の診断に基づいて多職種や家族等のチームが協働して機能することが重要であり4),多職種連携やチーム医療の実践が不可欠である.
在宅終末期ケアを担う看護師には主に2種の形態があり,看護師が単独で患家を訪れる訪問看護師と,訪問診療で医師とともに訪問する訪問診療同行看護師(以下同行看護師)がある.在宅終末期ケアに従事する訪問看護師の役割を調査した質的研究によると,訪問看護師は終末期において患者および家族の生活状況や病状変化を察知し,介護負担の軽減とその人らしく生きるための支援,看取り準備の調整とグリーフケアを見据えた支援,さらに多職種連携の調整を担っていた5).また,在宅終末期ケアにおける看護師の役割を調査した文献レビューにおいて,訪問看護師は24時間緊急対応体制の確保,症状コントロールや苦痛緩和などの支援,安心した生活維持への支援,意思決定支援や看取りに向けた患者ケアや家族教育,そして社会資源の調整や多職種連携・チームアプローチの推進といった包括的な役割を担っていることが示されている6,7).しかし,同文献レビューにおいても同行看護師の役割を記述した論文はなく,在宅終末期ケアにおける同行看護師の役割について明示された文献は限られている.既存報告は,在宅療養支援診療所看護師が行った在宅終末期患者に関わる活動報告8–10)のみであり,同行看護師と訪問看護師の役割の差について検討した報告もない.在宅終末期ケアにおいて各職種がお互いの役割を理解することは多職種連携の基礎として重要であり11),関連する医療スタッフならびに患者家族の多方向の視点から在宅終末期ケアにおける同行看護師の役割について明らかにすることは同行看護師を育成する観点からも重要である.
そこでわれわれは,同行看護師および医師と医師以外の職種(以下多職種),患者家族から同行看護師の役割認識等についてインタビュー調査を行い,在宅終末期ケアを担う同行看護師の役割について検討を行った.
半構造化インタビューによる質的研究.
研究対象者とサンプリングA診療所は年間150件以上の在宅看取り実績を有し終末期の訪問診療に注力する機能強化型在宅療養支援診療所である.研究実施時,医師6名および看護師8名(うち緩和ケア認定看護師3名)が在籍していた.令和3年7月1日から令和4年6月30日の一年間において在宅看取りは167件あり,この期間に同診療所と1回以上連携があった事業所は,訪問看護ステーション:24事業所,居宅介護支援事業所・地域包括支援センター:45事業所,薬局:14事業所であった.そのうち年間10例以上の在宅看取り支援実績を有したのは,訪問看護ステーション4カ所,居宅介護支援事業所・地域包括支援センター3事業所,薬局3事業所であった.本研究では,合目的的サンプリングを用いて,同診療所の同行看護師および医師(研究者を除く),同診療所と年間10例以上の在宅看取り支援実績を有する事業所に所属する訪問看護師・ケアマネージャー・訪問薬剤師,同診療所が介入し自宅(施設を除く)で看取りまで至った患者家族をインタビュー対象とした.インタビュイーについては研究者より対象事業所へ研究協力の依頼を行い,同意が得られた事業所の管理者より1名を推薦してもらい研究対象者とした.患者家族に関しては,研究開始時点で死別後6カ月が経過した15ケースを特定し,研究参加の同意を得られた5人を対象とした.サンプル数については,1年間という研究助成の期間制約により理論的飽和を目指すことが困難であったため,あらかじめ設定した基準を満たし,かつ研究参加への同意が得られた対象者で決定した.なお本研究では,同行看護師と直接的な業務上の接点を持つ職種を対象としたため,同行看護師との情報共有や連携がケアマネージャーを介して行われることの多いヘルパー等の介護職は対象から除外とした.
データ収集方法インタビューは令和4年11月14日から令和5年3月1日にオンラインテレビ会議システムを用いて属性ごとにフォーカスグループインタビューで実施した.インタビューは参加者間の相互作用による意見の深化と多様な経験の共有が生じることを期待して,フォーカスグループインタビューとした.インタビューガイドは研究者チームで協議して作成し,在宅終末期ケアにおける①同行看護師の印象②同行看護師の役割③同行看護師に期待することを問う内容とした.研究対象に該当しなかった訪問看護師2名とケアマネージャー1名にテストインタビューを行い,インタビューガイドの意図が正しく伝わることを確認した.インタビュー内容はICレコーダーで録音し逐語録を作成した.対象者の背景に関するデータは聞き取り調査ならびに電子カルテから入手した.
分析方法記述的テーマ分析12)を実施し,逐語録から在宅終末期ケアにおける同行看護師の役割や実践に関連する事柄を抽出しコード化した.意味内容の類似性を確認してサブテーマへ分類し,さらに抽象度を上げて最終的なテーマを抽出した.分析内容についてメンバーチェックを行いデータ分析の信頼性および信憑性を高めた.データ分析ソフトはMAXQDA2022(Light Stone,東京)を使用し,属性ごとに各テーマのコード数を示したコードマトリックスを作成した.
倫理的配慮本研究は北海道看護協会の研究倫理審査会の承認を得て実施された(認証番号:HK01).対象者は個別に研究に関する説明を受け同意書にサインを行った.本研究はフォーカスグループインタビューを用いたが,患者家族に対するインタビューは死別体験の個別性や心理的負担を考慮し,家族単位での個別対面インタビューとした.
インタビュー対象者は24名であった( 表1).患者家族の背景は患者の平均在宅療養日数35.8日,平均訪問診療数10.4回であった.各グループにおけるフォーカスグループインタビュー時間は,同行看護師:55分,医師:48分,訪問看護師:72分,ケアマネージャー:49分,薬剤師:59分,患者家族:33分(平均)であった.分析の結果,9テーマ35サブテーマが抽出された( 表2).以下テーマを【】サブテーマを〈〉コードを「」で示す.
職種・患者家族 | 対象人数(人) | 性別(男/女) | 平均年齢(歳) | 平均経験年数(年) | 在宅経験年数(年) | 専門資格 |
---|---|---|---|---|---|---|
(最小値–最大値) | (最小値–最大値) | (最小値–最大値) | ||||
同行看護師 | 5 | 0/5 | 49(35–63) | 23.4(8–42) | 5.6(2–19) | |
医師 | 4 | 4/0 | 48(36–55) | 20.8(11–22) | 3.8(2–6) | 日本プライマリ・ケア連合学会認定家庭医療専門医1名 |
訪問看護師 | 4 | 1/3 | 53(46–57) | 24.5(19–33) | 11.5(6–23) | 訪問看護認定看護師1名 ナースプラクティショナー1名 |
ケアマネージャー | 3 | 2/1 | 43(39–48) | 14.7(8–20) | 8.7(2–16) | |
薬剤師 | 3 | 1/2 | 43(29–58) | 7(5–10) | 4.7(2–6) | |
患者家族 | 5 | 0/5 | 68(58–73) | — | — |
テーマ | サブテーマ | コード |
---|---|---|
診療補助 | 医師の診療補助 | 身体診察の介助 |
侵襲的な処置(胸水穿刺・腹水穿刺等)の介助 | ||
医師の指示に基づく医療行為 | ||
必要な医材・薬剤の準備 | 必要な医材・薬剤の準備 | |
必要書類の作成補助 | 訪問看護指示書や在宅患者訪問点滴注射指示書をタイムリーに作成 | |
介護保険軽度者の福祉用具貸与に関わる申請書を迅速に記載 | ||
診療スケジュールの調整 | 当日の診療スケジュールの調整 | |
運転業務 | 移動時は同行看護師が運転する | |
医師との協働 | 医師ごとの診療形態に応じたサポートの実施 | 医師のカラーを理解 |
医師の役割は診察のみという認識 | ||
医師によっては多職種連携が未経験 | ||
同行看護師がいないと訪問診療が成立しないという医師の認識 | ||
同行看護師がいることで医師は治療に専念 | ||
医師の診療の妨げにならない配慮 | ||
診療以外の業務は同行看護師がサポート | ||
看護師としての専門性を発揮した診療マネジメントの参画 | 医師と共通言語を持ちコミュニケーションを円滑に保持 | |
治療方針やケア方法,患者・家族理解等について医師とタイムリーなディスカッション | ||
診療の場での役割分担 | ||
多職種チームからの全人的な情報を整理・統合して医師と共有 | ||
診療アシスタントとは異なる役割 | ||
医療度の高い患者層でも対応できる診療体制の維持 | 治療・ケアに関する選択肢の拡大 | |
より多くの診察が可能 | ||
同行看護師がいなければ診療範囲が限局される可能性 | ||
地域に関する情報をもっていなければ医師一人での訪問診療は困難 | ||
医師一人診療では患者への細やかな配慮を行うことが困難 | ||
医師の説明に対する理解の促進 | 医師の説明について理解の確認 | 患者・家族が医師の説明について十分理解できているか確認 |
誤解を生まない体制 | ||
医師の説明に対する補足説明 | 医師の説明や医療用語を理解しやすいように補足説明 | |
医師の説明が理解できていないところを察知して補足説明 | ||
意思決定支援 | 患者・家族のアドボケイト | 同行看護師は医師よりも患者・家族に近い立場の医療者 |
患者・家族のアドボケイターとしての役割 | ||
患者・家族のニーズの理解 | 患者・家族の意向を丁寧にくみ取る関わり | |
患者・家族の想いを察知し対応 | ||
患者の前で表出しづらい家族の意向を慎重に確認 | 患者から離れた場所で家族の意向を確認 | |
患者と家族の中立的な立場 | ||
患者・家族への直接的ケア | 医療行為・身体的ケアの実施 | 訪問看護師に代わって直接的ケアの実施 |
点滴の実施 | ||
使用中の医療機器が正しく使用できているか確認し対応 | ||
家族への介護指導・アドバイス | 患者ケアの方法を家族へ指導 | |
薬剤の使用方法について説明 | ||
患者・家族に対する精神的支援 | 患者・家族への声かけやコミュニケーション | |
患者・家族の想いに寄り添う関わり | ||
安心感を与える振る舞い | ||
診療におけるサポーティブな環境作り | 診療の場における緊張感の緩和 | 患者・家族の緊張感の緩和 |
不安や質問を表出しやすい声かけ・雰囲気作り | ||
同行看護師がいる安心感 | ||
医師と患者・家族間の関わりをサポート | 医師と患者・家族間のコミュニケーションの促進 | |
医師に直接質問するのは敷居が高い | ||
診療中の医師と多職種間の関わりをサポート | 多職種が発信しやすい雰囲気作り | |
医師と多職種がチームとして意思統一できるような関わり | ||
患者・家族,多職種間における関係性の構築 | 同行看護師の温和な印象 | |
同行看護師は話しやすい存在 | ||
医療介護従事者は第一印象が大切 | ||
全人的な視点で情報収集・アセスメント | 患者・家族を全人的に捉える関わり | 病気・病状の理解 |
生活・環境も捉える看護師の視点で患者・家族の全体像を把握 | ||
患者・家族の人生観,価値観の理解 | ||
患者・家族の体調や心情に配慮した関わり | 家族の体調や心情を把握するための意図的な声かけ | |
診療の場だけでは捉えきれない全人的な情報を多職種から情報収集 | 患者・家族理解について医師と補完 | |
多職種から患者・家族の状況を把握できるよう情報収集 | ||
多職種とのコーディネーション | 診療以外における医師を含めた多職種チーム内のコミュニケーションを円滑化 | 医師と直接コミュニケーションを図ることは多職種にとって敷居が高い認識 |
同行看護師がいることで医師とのアクセスが容易 | ||
細やかなコミュニケーションでミス防止 | ||
多職種とのやり取りを円滑にしてくれる役割 | ||
処方箋に医師の指示に関するコメントを記載 | ||
訪看の動きや考えが想像しやすくコミュニケーションがとりやすい | ||
多職種への感謝の気持ち | ||
病状変化や治療方針,ニーズなどについてチームで情報共有 | 訪問診療の内容を多職種と共有 | |
訪問診療の内容を共有することで多職種の戸惑いや不安の解消 | ||
病状だけではない生活環境などの細やかな情報を多職種と共有 | ||
医師の指示の意図について理解し多職種へ伝達 | ||
多職種間で共通目標の設定 | チームで課題を共有 | |
チームで目標設定 | ||
多職種からの相談とそれに対する助言 | 多職種が医師へ相談する際の窓口 | |
多職種へ臨床の場における終末期ケアや症状マネジメントに対する相談・支援 | ||
患者・家族,多職種の意向や考えを十分に傾聴し把握 | ||
多職種とケアの方向性についてディスカッション | 多職種と家族を含めた療養環境について議論し介入方法について検討 | |
同行看護師と訪問看護師で看護師としての視点を合わせて | ||
情報や問題点,介入方法等を整理 | ||
多職種との相互理解 | 多職種と専門性について理解 | |
多職種がおかれている状況を考慮 | ||
多職種の気持ちを理解,共感 | ||
多職種との相互支援 | 多職種と役割分担をすることで患者・家族への対応が円滑 | |
チームで患者・家族を支援 | ||
患者・家族支援のマネジメント | 患者の療養場所を調整 | |
退院調整時に得た情報から必要な在宅サービスを検討・提案 | ||
患者・家族支援につながる資源・在宅サービスの知識を持ち提案・調整 | ||
多職種チームの力を向上させるリーダーシップの発揮 | 多職種連携のキーマンとなり方向性の共有 | |
診療場面で解決できなかった問題・課題について多職種へ引き継ぎ | ||
在宅医療に関する制度等の知識を持ち対応 | ||
医師の指示を多職種に伝達し遂行できるよう調整 | ||
患者の希望を叶えるために多職種で連携 | ||
多職種がタイムリーに介入するための調整 | ||
患者だけではなく多職種が抱える困難に気づき積極的な働きかけ | ||
多職種に対する終末期ケア・緩和ケア教育 | 終末期ケア・緩和ケアに関して訪問看護師に実践を通じたスキルアップの支援 | 倫理面からも患者理解を深めケアにつなげたい |
訪問看護師が看取りや終末期ケアの経験が少なく不安 | ||
終末期ケアや症状マネジメントについて教育的支援 | ||
終末期ケア・緩和ケアに関する計画的な支援の実施 | 計画的に終末期ケア・緩和ケアに関する学習会を実施 | |
終末期ケア・緩和ケアに関して多職種との相互成長 | 患者の苦痛軽減が図れ訪問看護師がスキルアップを実感 | |
ケアマネージャーが医療の知識を得ることで終末期患者のサポート力が向上 |
1.【診療補助】:同行看護師による「侵襲的な処置の介助」等の〈医師の診察補助〉や〈必要な医材・薬剤の準備〉など,訪問診療を円滑に行うための医療行為の補助がテーマとして抽出された.診療補助には,〈必要書類の作成補助〉〈診療スケジュールの調整〉の診療外の補助も含まれていた.
2.【医師との協働】:このテーマでは,診療の質向上を目的とした医師との緊密な協働連携を表していた.緊密な協働連携には,同行看護師の関わりにより診療を効率化する〈医師ごとの診療形態に応じたサポートの実施〉,「診療の場での役割分担」で医師とともに診療を展開していく〈看護師としての専門性を発揮した診療マネジメントの参画〉,同行看護師と医師がタッグを組み,互いの専門性を発揮することで「治療・ケアに関する選択肢の拡大」を可能とする〈医療度の高い患者層でも対応できる診療体制の維持〉が含まれていた.
3.【医師の説明に対する理解の促進】:このテーマでは医師の説明に対する患者と家族を同行看護師がサポートする役割が抽出された.同行看護師が診療の場に同席出来ることで〈医師の説明に対する理解の確認〉が可能になり,患者・家族が「医師の説明を理解できていないところを察知して補足説明」を行う〈医師の説明に対する補足説明〉が可能になっていた.
4.【意思決定支援】:同行看護師による〈患者・家族のアドボケイト〉や,「患者・家族の意向を丁寧にくみ取る関わり」等の〈患者・家族のニーズの理解〉,患者と家族の距離が近い在宅が故の〈患者の前で表出しづらい家族の意向を慎重に確認〉という実践的な役割を担っていた.これは,患者と家族の意思決定を支援する役割であった.
5.【患者・家族への直接的ケア】:このテーマでは,診療の場における患者・家族への直接的なケア提供者の役割が抽出された.同行看護師による「訪問看護師に代わって直接的ケアの実施」「点滴の実施」等の〈医療行為・身体的ケアの実施〉や〈家族への介護指導・アドバイス〉,「患者・家族に対する声かけやコミュニケーション」を通じた〈患者・家族に対する精神的支援〉が実践されていた.
6.【診療におけるサポーティブな環境作り】:終末期という厳しい病状にある患者・家族にとって緊張感が高まる診察場面において,同行看護師による〈診療の場における緊張感の緩和〉や「医師に直接質問するのは敷居が高い」という患者・家族の潜在的な感情にも配慮した〈医師と患者・家族間の関わりをサポート〉,また,医師に対して心理的な緊張を抱いているのは多職種も同様であり〈診療中の医師と多職種間の関わりをサポート〉や〈患者・家族,多職種間における関係性の構築〉の役割が抽出された.これは,医師や多職種,患者・家族間のコミュニケーションを円滑にする役割であった.
7.【全人的な視点での情報収集・アセスメント】:このテーマでは,看護師ならではの全人的な視点で患者・家族を観察しアセスメントを行う役割が抽出された.同行看護師による「病気・病状の理解」に加え〈患者・家族を全人的に捉える関わり〉,〈患者・家族の体調や心情に配慮した関わり〉や〈診療の場だけでは捉えきれない全人的な情報を多職種から情報収集〉が行われていた.
8.【多職種とのコーディネーション】:このテーマでは,患者・家族を支えるための多職種連携・協働に関わる役割が取り扱われた.他事業所間でも細やかなやり取りが可能となるよう診療以外における医師を含めた多職種チーム内の相互コミュニケーションの円滑化〉,〈病状変化や治療方針,ニーズなどについてチームで情報共有〉や〈多職種間で共通目標の設定〉,さらに〈多職種からの相談とそれに対する助言〉や〈多職種とケアの方向性についてのディスカッション〉を実践していた.またチームで協働するための〈多職種との相互理解〉〈多職種との相互支援〉,終末期患者は病状や身体環境が変化しやすいためタイムリーな〈患者・家族支援のマネジメント〉,医師の見解・方針と患者・家族の状況を把握し〈多職種チームの力を向上させるリーダーシップの発揮〉が抽出された.
9.【多職種に対する終末期ケア・緩和ケア教育】:同行看護師による〈終末期ケア・緩和ケアに関して訪問看護師に実践を通じたスキルアップの支援〉や「倫理面からも患者理解を深めケアにつなげたい」という多職種のニーズから質の高い全人的ケアの提供のための教育支援,また実践的な支援だけでなく学習会の企画など〈終末期ケア,緩和ケアに関する計画的な支援の実施〉や〈終末期ケア・緩和ケアに関して多職種との相互成長〉が抽出された.このテーマでは,多職種への教育に関わる実践的な役割が含まれていた.
属性ごとのコード出現頻度に関する検討を行うため,各文書に付けられたコードの数を反映したコードマトリックスを作成した( 図1).医師を除く五つの属性からは比較的偏りなく各テーマに対するコードが確認された.一方,医師は【医師との協働】にコードが集中していた.【多職種とのコーディネーション】は多くの属性においてコード数が多い傾向にあった.
われわれは在宅終末期ケアを担う同行看護師の役割について,同行看護師と医師および多職種,患者家族に対するインタビュー調査を行い,9テーマに分類される役割を明らかにした.九つの役割は多職種連携および緩和ケア領域において必要とされる行動特性や役割と多くの点で共通していた.大塚は医療職における専門職連携実践に必要なコンピテンシーとして,対人援助の基本となる力,多職種と協働する力,チームを動かす力を挙げている13).【診療補助】【医師との協働】【患者・家族への直接的ケア】【全人的な視点で情報収集・アセスメント】は対人援助の基本となる力および多職種と協働する力を体現しており,【医師の説明に対する理解の促進】【意思決定支援】【診療におけるサポーティブな環境作り】【多職種とのコーディネーション】【多職種に対する終末期・緩和ケア教育】はチームを動かす力の発揮を示していると考えられた.また緩和ケアにおいて看護師に求められる専門的スキルとして,症状マネジメントの知識と技術,患者の価値観や生き方を尊重した支援,双方向性のコミュニケーションスキル,倫理的感性と配慮,日常生活維持へのサポート,多彩な形態でのケアの継続に対応,心のケア,家族支援があると報告されている14).これらの専門的スキルは,同行看護師が在宅終末期ケアにおいて必要とされる役割の遂行においても重要であることが明らかになった.
同行看護師の役割に関する既存報告との比較検討既存報告8–10,15)と比較すると,【診療におけるサポーティブな環境作り】【多職種に対する終末期・緩和ケア教育】は本研究で新たに認識された役割であった(表3).看護師もしくは医師のみを対象とした既存報告と異なり,多職種も対象に含めたインタビューを実施したことで新しい役割が抽出できたと考えられた.
本研究の結果 | 市川8) 地域包括ケアシステムにおける診療所看護師の役割 |
吉田9) 機能強化型在宅支援診療所看護師に求められる役割と今後の課題 |
高橋10) 在宅療養支援診療所看護師の役割・機能 |
斜森ら15) プライマリ・ケア機能を担う診療所における看護師の担うべき役割と必要な能力 |
---|---|---|---|---|
診療補助 | 診療・処置の補助 | 診療の補助 | 診療の補助 | |
診療の事前準備 | 検査・処置の介助 | |||
医師との協働 | 医師との情報共有 | 医師との役割分担 | 医師との情報共有 | 医師の思考を理解 |
医師へ予測的に進言 | 医師との役割分担 | 共通言語 | ||
医師が効率的効果的な診療を行えるようサポート | ||||
医師の説明に対する理解の促進 | 患者家族の気がかりが解決されているか見る | |||
看護師として説明を追加 | ||||
意思決定支援 | 意思決定支援 | 意思決定支援 | アドボケイト | |
本人・家族との関係性を構築 | 意思決定支援 | |||
患者・家族への直接的ケア | 家族の不安への対応 | 症状緩和のための処置・ケアの実施 | ||
患者・家族への直接的ケア | 患者・家族の不安への対応 | |||
診療におけるサポーティブな環境作り | ||||
全人的な視点で情報収集・アセスメント | 症状コントロール | |||
多職種とのコーディネーション | 訪問看護師と役割分担 | 訪問看護師との情報共有 | 療養方法・環境の検討 | |
薬剤師との連携 | 多職種カンファレンス | |||
多職種と情報共有 | 訪問看護師との連携 | |||
医師と多職種をつなぐ | 多職種との情報共有 | |||
多職種支援 | 多職種からの相談と支援 | |||
終末期ケア・緩和ケア教育 | ||||
その他 | 訪問看護 | 夜間や急変時の対応 | ||
患者の求めに応じて24時間支援の実施 | ||||
電話によるトリアージ | ||||
電話での薬剤対応方法 処置方法などの指導 | ||||
訪問看護 |
【診療におけるサポーティブな環境作り】は,医師と多職種や患者・家族間のコミュニケーションを円滑にする役割である.とくに在宅終末期では,病状や生命に関わる悪い知らせを含んだコミュニケーションが発生する場面が多く,心理的なストレスが生じやすいとされ,訪問看護師やケアマネージャーも医師とのコミュニケーションの重要性を認識しているものの,実際にはさまざまな障壁が存在することが報告されている16).具体的には,主治医と十分な話し合いの機会を持てないことや,医師とのコミュニケーションに対する心理的な不安や苦手意識,多忙な医師との時間調整,そして医師サイドからのコミュニケーション不足である17,18).同行看護師は常に医師と行動を共にする特性を活かし,これらの障壁を緩和する役割を担っていると考えられた.例えば,医師の診察に同席することで,同行看護師を介したコミュニケーションが可能となり,多職種が情報発信しやすい環境を構築可能となる.また,診察に先立って医師と事前ミーティングを行うことで,キーパーソンの家族を訪問診療場面に同席させるなど,限られた診療時間の中でコミュニケーション機会を最適化することも可能である.実際の訪問診療場面においても医師の説明後に患者や家族の理解度を確認し,専門的な医学用語をわかりやすい言葉に噛み砕いて説明したり,患者や家族が理解できなかった点や不安に感じている内容を医師に伝えるなど橋渡し的な役割を果たすことが可能である.同行看護師は,情緒的サポートや情報提供,想いの代弁を通じて患者・家族を支援し19),医師と多職種の診療現場でのコミュニーションを促進することで,その障壁を緩和し関係性の構築に寄与する役割があると考える.
【多職種に対する終末期・緩和ケア教育】は,とくに訪問看護師から抽出された役割であった.在宅緩和ケアに携わる訪問看護師は症状コントロールやコミュニケーションスキル等に関する緩和ケア分野の知識・技術の不足を感じており,これらに対する学習ニーズが高い20).そのため,医師とともに終末期診療を多く経験する同行看護師から学習したいという期待が反映されていると思われた.古瀬も訪問看護師は緩和ケアを目的とした苦痛緩和に関するアセスメントの困難感を感じているため,緩和ケアの経験豊かな在宅療養診療所と連携し,疼痛だけではなく終末期の総合的な症状に対してケアできる能力を身に付ける必要があると述べている21).訪問看護師にとって同行看護師は,医師との診療を通じて医学的視点と看護的視点の両方を持ち合わせており,また看護師という同じ職種であることから相談しやすい存在であるという利点がある.同行看護師と協働して関わった患者・家族についてカンファレンスや事例検討だけではなく,日々の困りごと等の相談を行うことは看護の視点の広がりや新たな課題に気づく機会となる.一つのケースに対して同じ看護職でありながらも訪問看護師とは違うアプローチ手段で関わる同行看護師が訪問看護師とディスカッションすることは,医師との診療の中で培った多様な症例における医学的判断や対応のプロセス,終末期特有の症状マネジメントに関する経験,診療場面における効果的な情報提供や意思決定支援に関する実践的知識等の同行看護師の視点も含めた教育的支援も可能となり得る.多面的なケアの振り返りを通じて,訪問看護師のケアの質向上と在宅終末期ケアを担う看護職としての相互成長につながると考える.ただし,A診療所には緩和ケア認定看護師が在籍し終末期ケア・緩和ケアに関わる助言や指導等が実践の中で行われていたため,認定看護師への期待が混在している可能性も考えられた.
訪問看護師の役割について既存報告との比較検討同行看護師と既存報告における訪問看護師の役割5–7)を比較すると,同行看護師は訪問看護師の役割と重複したうえで,さらに独自の役割を担っていた( 表4).同行看護師のみで抽出された役割は【診療補助】【医師との協働】【医師の説明に対する理解の促進】であった.訪問診療の場に同行看護師がいることで,その場の状況に応じて医師だけでは対応できない侵襲的な処置の実施や,点滴・医療機器を用いた薬剤投与等医療度の高い患者層にもその場で対応できる診療体制を維持することが可能となる.同行看護師が多職種からの情報の窓口になり医師とタイムリーなディスカッションを行うことで,医師はより全人的な視点で診療に専念でき,同行看護師と役割分担を行うなど,看護師としての専門性を発揮し診療マネジメントに参画することで,治療・ケアに関する選択肢の拡大やより多くの診療を可能とする.さらには,医師が訪問診療未経験者,地域情報を持っていない者であっても,多職種連携を含めた診療以外の業務を同行看護師が担うことで,訪問診療を円滑に進めることが可能となる.これらの役割は,医師の診療とともに同時に展開される役割であり,同行看護師特有の役割として理解可能であった.同行看護師独自の役割である【医師との協働】【医師の説明に対する理解の促進】に【診療におけるサポーティブな環境作り】【多職種とのコーディネーション】を加えた役割は,在宅終末期ケアにおけるコーディネーターの側面が強いと考えられた.渡辺は緩和ケアにおける看護師の役割は,ケアの実践者とケアチームのコーディネーターであると述べている22).同行看護師ならびに訪問看護師は,どちらもケアの実践者ならびにコーディネーターとして業務を遂行する資質は兼ね備えていると考えられるが,日々状況が変化しやすい終末期ケアにおいては,医療行為の即時調整ならびに実行が必要となる場面が多い.変化した状況に速やかに対応するためには,業務の効率化が重要であり,そのためには一定の役割分担が効果的だと考えられた.例えば,悪性腫瘍終末期で疼痛が増加した場合,同行看護師は医師の診察をサポートしながら,症状緩和のための麻薬等の薬剤について訪問薬剤師へ連絡・調整を行う.訪問薬剤師の利用がないケースではケアマネージャーへサービス導入調整を申し送る.また,訪問看護師へ点滴施行・管理の依頼と日々の在宅ケアについて情報共有し,突発的に増加した医療ケアが円滑に進むよう橋渡しの役割を果たす.同行看護師がこれらの調整業務を担うことで,訪問看護師は調整業務の負担から解放され,日々の薬剤管理とともに,日常生活動作能力の低下や苦痛症状出現に伴い必要となった口腔ケアや清拭などの日常的なケアを実施し,疼痛状況の継続的な把握や評価といった直接的なケアに集中することができる.同行看護師は次回の訪問診療に向け,投薬開始後の疼痛評価について訪問看護師から情報収集を行い,医師への報告準備を整えるという連携体制をとることで,多職種チームとして切れ目のない支援が達成可能となる.このように,同行看護師が参加する在宅医療の場においては,同行看護師がコーディネーターとしての役割を担うことで,訪問看護師はケアの実践者の役割に集中することが可能になっていたと考えられた.本研究を踏まえ同行看護師と訪問看護師の役割について相互理解を深めることが重要であると考えられた.
本研究結果 | 小沼ら5) 在宅がん終末期ケアに従事する訪問看護師が重要と判断したケア |
吉田ら6) 終末期がん患者の自宅看取り実現に必要な訪問看護師が実践する医療・ケア |
田草川ら7) がん終末期にある独居高齢者に対し訪問看護師が実施している支援 |
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診療補助 | — | — | — |
医師との協働 | — | — | — |
医師の説明に対する理解の促進 | — | — | — |
診療におけるサポーティブな環境作り | — | — | ・家族と在宅医との関係性の構築を行う支援 |
意思決定支援 | ・思いを尊重し療養者が最期まで自分らしく生き抜くために寄り添う | ・患者・家族を尊重した関わり | ・病状変化に合わせた意思確認 ・病状理解,看取り時期の予測や死の準備の支援 ・療養者と家族の揺れ動く思いに寄り添い決定していくプロセスへの支援 ・要望や要求を尊重した支援 ・療養者の意思に対する家族の受容促進に向けた支援 |
患者・家族への直接的ケア | ・家族と看護師間の共通認識に向け看取りへの準備をサポートする ・療養者の病状や生活背景を考慮した医療の提供や管理を行う ・訪問時の状況から安全・安楽な日常生活を支える |
・24時間緊急対応体制 ・在宅での苦痛緩和と医療処置や投薬 ・患者と家族の安心を提供するケア ・患者と家族それぞれの日常生活維持への支援 ・後悔のない納得した自宅看取り ・家族の関係性の調整 |
・がんに伴う症状コントロールや苦痛緩和に対する支援 ・不安や孤独に寄り添う精神的支援 ・望む生活に合わせた医療の提供やADLの確保 ・家族の不安軽減への支援 ・家族への病状説明の支援 ・療養者・家族の思いをつなぐ臨終・死後のケアの支援 |
全人的な視点での情報収集・アセスメント | ・療養者や家族の変化をとらえ介護負担の軽減に努める | — | ・家族の生活の維持と療養者への支援との両立ができるような支援方法の検討 |
多職種とのコーディネーション | ・多職種間の連携を強化する | ・社会資源活用の調整と多職種連携 | ・往診医と症状コントロールのための調整 ・多職種チーム内で情報共有や意思統一,合意形成に向けた支援 ・医師・ケアマネージャー・ヘルパーと訪問看護師とのそれぞれの連携における支援や専門性を引き出す調整 ・ヘルパーの不安軽減や相談・役割調整 ・予測されることを多職種に伝え,病状変化に伴う早期対応に向けた役割 ・医療と介護と全体のサービス調整の橋渡し,チームの要としての役割 ・ホスピスや医療機関との連携 |
多職種に対する終末期ケア・緩和ケア教育 | — | — | ・ヘルパーの緩和ケア実践に対する教育的支援 |
— | ・グリーフケアとして在宅看取りを認め家族に寄り添う | ・自宅看取りに向けた具体的助言・教育 ・遺族へのグリーフケア |
・インフォーマルサービスを取り入れたネットワークの構築 ・地域市民に向けた教育支援 |
属性ごとのコード数を表示したコードマトリックスでは,同行看護師は自身の役割についてほぼすべての役割を自認しており,とくに【医師との協働】【多職種とのコーディネーション】が頻出していた(図1).訪問看護師は【多職種とのコーディネーション】【サポーティブな環境作り】,薬剤師は【多職種とのコーディネーション】,ケアマネージャーでは【意思決定支援】が多く,各職種は自身の業務内容に関連した役割を強く認識していた.この傾向は非医療者である患者家族ではより強くなることが予想されたが,患者家族は診療場面以外の役割も含めさまざまな役割を認識していた.われわれがイメージしている以上に,患者家族は同行看護師を医師とは異なる役割を発揮する医療専門職として理解していたのかもしれない.一方医師は【医師との協働】に集中していた.自身の業務に関連するコードが多く抽出されることは他の職種と同様であったが,医師はその分布が特徴的であった.この結果から,医師は同行看護師に対し,在宅医療の成立に不可欠な生活や環境に関する情報の提供や多職種との連絡調整など,多くの支援を期待していると考えられた.
本研究の限界本研究は一診療所を対象とした事例研究であり,一般化可能性に限界がある.またA診療所には緩和ケア認定看護師も在籍しているため,認定看護師に期待する役割が混在した可能性がある.さらに本研究ではサンプリング人数に制限があったため,今後調査対象者を広げることで新たな役割が抽出される可能性がある.またフォーカスグループインタビューを用いたため,各参加者の意見を十分に拾い上げられなかった可能性がある.
今後の展望本研究を通じて得られた在宅終末期ケアを担う同行看護師の役割に関する知見を基に,他地域を含む多施設のデータを調査し,同行看護師の標準的な役割を明らかにしたい.一般的な知見が得られることで,同行看護師の教育プログラム検討が可能になると期待される.今回明らかになった九つの役割は多職種連携および緩和ケア領域において必要とされる能力であった.そのため,同行看護師育成には,多職種連携教育や専門的緩和ケアの行動特性等習得に向けたプログラム内容も含まれる必要があると考える.
在宅終末期ケアにおける同行看護師の役割は,同行看護師および医師・多職種・患者家族を対象にしたインタビュー調査により,【診療補助】【医師との協働】【医師の説明に対する理解の促進】【意思決定支援】【患者・家族への直接的ケア】【診療におけるサポーティブな環境作り】【全人的な視点で情報収集・アセスメント】【多職種とのコーディネーション】【多職種に対する終末期・緩和ケア教育】であることが明らかになった.訪問看護師の役割と比較すると,医師の診療とともに同時に展開される独自の役割を持ち,在宅終末期ケアにおけるコーディネーターの役割を担っていた.このような同行看護師の独自性を理解したうえで,多職種連携や緩和ケア領域におけるスキルの習得にむけた同行看護師育成が期待される.
本研究の実施にあたり,ご協力頂きましたインタビュイーの皆様に心より感謝申し上げます.
なお,本研究は公益財団法人木村看護教育振興財団2022年度看護研究助成の研究報告書の一部を加筆修正したものである.
また本研究の中間報告を第44回日本死の臨床研究会年次大会,最終報告を第29回日本緩和医療学会学術大会で発表した.
本研究は公益財団法人木村看護教育振興財団2022年度看護研究助成事業の助成を受けたものである.
すべての著者の申告すべき利益相反なし.
奥岡,本田,古山は研究の構想およびデザイン,研究データの収集,分析,解釈に貢献し,原稿の起草にも貢献した.神野は研究のデザイン,研究データの分析および解釈,原稿の起草に貢献した.日下,市来,辻は研究データの解釈および重要な知的内容に関わる批判的な推敲に貢献した.すべての著者は投稿論文ならびに出版原稿の最終承認,および研究の説明責任に同意した.