Host: The Japanese Society of Clinical Pharmacology and Therapeutics
Name : The 45th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Clinical Pharmacology and Therapeutics
Location : [in Japanese]
Date : December 13, 2024 - December 14, 2024
Pages 8-
【目的】近年、バンコマイシン(VCM)のトラフ血中濃度、併用薬などの背景因子を使用してVCMの腎機能障害を予測するための機械学習モデルが開発されている。これらのモデルは、従来のロジスティクス回帰モデルに比べて柔軟性が高く、副作用の予測も向上する可能性がある。しかしながら、既存の機械学習モデルにはいくつかの課題がある。第一に、VCM腎機能障害の発生率が低い(11.18~15.7%)ことを考慮しておらず、データの不均衡問題に対処できていない。一般的に、機械学習モデルは少数クラスを無視する傾向があり、腎機能障害陽性の患者が陰性と誤分類されるリスクが高い。次に、既存の機械学習モデルはVCMの血漿中薬物濃度-時間曲線下面積(AUC)を検討してない。最新のガイドラインでは、従来のトラフ血中濃度を用いた薬物治療薬モニタリング(Trough-guided TDM)からAUCを用いたTDM(AUC-guided TDM )への移行が推奨されており、AUCを考慮した予測モデルの開発が求められている。本研究では、これらの課題を解決するために、VCMの腎機能障害を予測する新たな機械学習モデルを開発することを目的とした。 【方法】東京医科歯科大学病院でVCMを静脈内投与された患者を対象にカルテ調査を実施し、バンコマイシンの併用薬、臨床検査値、体格因子、およびVCMのトラフ血中濃度を収集した。予測対象はVCMの投与開始から72‐336時間(Day 4-14)に発生する腎機能障害とした。バンコマイシンの定常状態のAUC (AUCss)は、TDMソフトウェアPractical AUC-guided TDM (PAT)を用いて推定した。不均衡データの問題に対処するために、Synthetic Minority Over-sampling Technique(SMOTE)と複数の機械学習アルゴリズムを用いて予測モデルを開発した。また、AUCssが600μg・h/mLを超える場合に腎機能障害陽性と判定する従来モデルと比較した。 【結果・考察】合計270名の患者データを対象患者とし、162名をモデル開発に使用し、108名の患者を予測精度の評価に用いた。最も優れた性能を示したモデルはSMOTEを用いたランダムフォレストモデルで、AUCssのみで評価した従来モデルと比較して感度が0.316から0.632に増大した。 【結論】本研究は、SMOTEを用いてVCMの腎機能障害を予測した初めての機械学習モデルである。このモデルは、従来のAUCのみを用いて評価するよりも腎機能障害の見逃しを減らすことが期待できる。
優秀発表賞審査セッション 2