The Journal of the Japan Society for Respiratory Care and Rehabilitation
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Workshop
The meeting with expert physiotherapists
Akira TamakiRyo Kozu
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2019 Volume 28 Issue 2 Pages 253

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呼吸ケア・リハビリテーションの領域における理学療法は,急性期から慢性安定期,内科系から外科系まで,新生児から高齢者までと多岐にわたって多様な呼吸障害を対象としている.そして呼吸管理の一手段やコンディショニングなど,その位置づけは病態や病期によって異なるものの,「運動」がその中心的手段になるという共通点がある.

一方,理学療法は治療的介入にとどまらず,予防的,指導的,環境適応的な介入手段があることも大きな特徴である.しかしながら,呼吸障害の病態や障害像は多種多様であり,また個々の患者によっても大きく異なることから,その介入のあり方には,エビデンスが不十分でコンセンサスが得られていない部分も少なくない.

理学療法は,内科的あるいは外科的治療と異なり,独自の治療概念を有している.これは,各種情報や評価結果から仮説を立て,プログラムの実施と患者の反応を評価することで効果の検証を行い,仮説(ならびにプログラム)の修正を行うというサイクルの中で進めていく「仮説検証型思考」であると言える.この臨床思考は自由度や意思決定の選択肢が高い反面,個人の臨床経験や思い込みに影響されやすいといった問題が常に内在する.

本ワークショップ「エキスパート理学療法士ミーティング」では上記の実情を踏まえ,実際の症例を通じて「仮説検証型思考」を学ぼうという試みである.3名の若手理学療法士から症例を提示いただき,臨床的疑問や問題点に対して,コメンテーターとして経験豊富なエキスパート理学療法士から解釈やコメントをいただきながら,議論を展開することで,臨床現場におけるカンファレンスのような「臨場感」の中で,ともに学ぼうというものである.下越病院の大嶋春乃先生には『動作時の呼吸困難感が生じるCOPD患者への呼吸リハビリテーション介入について』,市立秋田総合病院の古川 大先生には『慢性腎不全の急性増悪により急性呼吸不全を呈し人工呼吸管理を必要とした症例』,そして兵庫医療大学大学院医療科学研究科の小泉美緒先生には『階段昇降中の連続式酸素吸入が有効であった特発性肺線維症の1例』という演題でそれぞれ発表頂き,コメンテーターおよび会場から様々な助言を頂いた.

このワークシップを通じ,呼吸理学療法のエキスパートの考え方,思考過程を共有できれば幸いである.

著者のCOI(conflicts of interest)開示

本論文発表内容に関して特に申告すべきものはない.

 
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