2020 Volume 29 Issue 2 Pages 238
厚生労働省においては,団塊の世代が75歳以上となる2025年以降,国民の医療や介護の需要がさらに増加することを見込んでいる.そのため,高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもと,可能な限り住み慣れた地域において,自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう,住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を推進している.
人口が変わらず75歳以上人口が急増する大都市部,75歳以上人口の増加は緩やかだが人口は減少する町村部等,高齢化の進展状況には大きな地域差が生じ,地域の自主性や主体性に基づき,地域の特性,地域の資源,地域リーダーに応じて作り上げていくことが必要である.
特に呼吸ケアに関して地域でのニーズは大きく,呼吸器疾患専門以外の医療・介護施設でも在宅酸素療法などの知識も必要になってきている.しかし,地域包括ケアシステムの中において,高齢者の呼吸器感染症に対する予防も含めた呼吸ケアの位置付けは,決して進んでいる状況ではない.今後は,医療と介護を繋げるためには,地域の多職種による呼吸ケアチームがリーダーとなって,地域包括ケアシステムを動かしていく必要があると思われる.
今回のワークショップにおいて,各地域での実践を多職種の視点から,紹介と報告をしていただく.本ワークショップを通じて,今後の地域包括ケアにおける呼吸ケア構築の一歩となることを切望する.
津田 徹;講演料(ベーリンガーインゲルハイム,アストラゼネカ,杏林製薬)